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2026年7月31日金曜日

ラ・ウニオン2026/開会宣言、前年優勝者ガラ

 今年もやってきました、ラ・ウニオン!

セビージャから9時間半(途中40分の休憩あり)のバスの旅。疲れ果てて、29日の前夜祭ウニオンの日の公演はネット(https://www.facebook.com/reel/1436428001712722)でちょこっと視聴と言う情けなさ。

この町が誇る歌い手エンカルナシオン・フェルナンデスは生で見たかったなあ。彼女は“本物”のカンタオーラです。他のところではあまり歌わないので日本での知名度は低いかもですが。息子アントニオ・ムニョスの伴奏ギターも素晴らしく、ほんと、もっとたくさんの人に聞いてもらいたいご当地アルティスタです。ビデオの1時間5分くらいからなのでよければぜひ。タラント、ソレア、ガロティン、カンティーニャを歌っています。

なお、今年は会場の大幅な改装が行われ、舞台の位置が正面入り口を入っての向かい側から左手に代わり、右手には階段状の客席が配置されて、より劇場らしくなりました。舞台の真ん中に立っていた柱もなく(端っこにはあるけど)、より広く見える感じ。


で30日。ムルシア州知事による開会宣言。

©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas

続いて、ラップのように即興で韻を踏んだ詩を朗誦する、昔から続くラップのようなもので前年の優勝者を讃え紹介してガラ公演へ。
©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas

客席から登場したマヌ・ソトとアナ・ゴメスによるマルティネーテを、今年の若者舞踊コンクールで優勝したビルヒニア・エスパジャルド”ラ・ビチ”が踊り、
©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas

ピアノのホセ・カルロス・エステバン・アンサが、ジュンケの音を思わせる音で始まるシギリージャを重々しくも繊細に、ブレリアを最高のコンパスで歌うように、それはそれは見事な演奏を聞かせてくれました。彼の演奏を聴くとピアノのパーカッション性を思い出させます。いやあ、フラメンコはやっぱ、コンパスっす。
©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas

サロメ・ラミレスは黒にラメの衣装でタラント
©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas
グレゴリオ・モジャはパコ・コルテスの伴奏でミネーラ
©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas

エンリケ・モレンテ節を得意とする彼らしいエンリケ・モレンテの名曲エストレージャの伴奏にはホセ・カルロスのピアノも加わります。ギターに敬意を払い前に出過ぎない感じに好感。
©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas
最後はサロメがバタ・デ・コーラでアレグリアスで華やかに。ここにもホセ・カルロスが加わっています。本当はピアノだけでの伴奏のパートがあっても良かったようにもちょっと思いました。
©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas

その後、会場のすぐ外にあるテラスバーでもマヌ・ソトとアナ・ゴメス、伴奏アルバロ・モーラで公演があったのでありました。
アナ・ゴメス、初めて聴いたけど、男性みたいなムイ・フラメンカな声で、ガラでのマルティネーテも良かったけどテラス公演でのマラゲーニャも良かった!

またじっくり聞いてみたい歌い手です。アルコス・デ・ラ・フロンテーラの出身でヘーレン財団で学んだらしい。。。



2025年11月14日金曜日

マリア・モレーノ『マグニフィカ』/アンダルシア・フラメンコ


 マリア・モレーノの『マグニフィカ』

今年マドリードのビエナルで初演された作品。ギター伴奏でのバタ・デ・コーラのアレグリアス、5分にわたるマントン技からの、カンテのラビ登場、アレグリアスを締めてマルティネーテというようにテンポよく続いていく。マントンもスポーツ競技のように使う人も多いけどしっかりアルテで。ソレアだったかな、上体の動きとか、やっぱエバっぽいなと思うところもあるけれど、ロベルト・ハエンとのコンパスの掛け合いが秀逸。パルマも靴音も超速。いやコンパスの楽しさってフラメンコの根源みたいなとこあるな、と。ユーモアもあるし。この辺は起承転結の、起と承かな。ラウル・カンティサノのエレキギターやら、ふくよかな女優さんがフラメンコの掛け声を色々繋げてラップのように歌ったりとか、が転。女優さん、カディスの人でダンス作品とかもしてるらしい。最初すごく面白かったんだけど長く続くと飽きるというかくどく思えてしまう。塩梅、難しいですね。

カスタネットで始まるシギリージャ(ラビがギター弾きながら歌うのすごい)から光に向かってさっていて結って感じ。

個人的には、女優さんやエレキの部分はもっと短くていい(その方が効果的じゃ?)かなと思うけど、前作よりは好き。作品としてはちゃんとしてると思うし。エネルギーは伝わる。

ストレートなフラメンコがいいんだから、あえて奇をてらう必要はないと思うんだけど、色々やってみたくなるのかな。


マドリード公演のハイライト動画がありましたので貼っときます。



2020年9月23日水曜日

ダビ・コリア&ダビ・ラゴス『ファンダンゴス!』

 いやあ、すごいものを観てしまった。

私がこれまでの30数年に観てきたフラメンコ作品の中でも最もすごいものの一つ。

ないがすごいって、作品としてのすごさ。

音楽、踊り、照明、音響、動き、効果。個々のパフォーマンスも、どれをとってもすごすぎて、圧倒された1時間半。それが短く感じられる。

なんというか、これはレベルが違う。これまでに観てきたフラメンコ作品とは違うレベル。例えば、パリ、オペラ座のクリスタル・パイトの作品作りに匹敵するすごさ。と言ったらわかってもらえるだろうか。

どんな舞踊祭でも、どんなに格の高い劇場でも、この作品なら大丈夫。そんな、めちゃくちゃ質の高い作品。

エレクトリックミュージック、民族音楽、クラシック、そしてフラメンコ。全てが一緒に、一つの世界を構築している。それは地方ごとの文化をもち、内戦で血を流した歴史のあるスペインそのもの。

舞台の上の赤い丸は、スペインの赤土であり、これまでに流してきた血の海。そして闘牛場のアリーナでもある。光と影のスペイン。民衆を虐げてきた歴史。男性優位主義。そんな暗い影も、祝祭のスペインの、明るく楽しい、光に満ちた一面も余すことなく描き出す。

純粋なフラメンコも、コンテンポラリーも、全てを抱擁するスペイン。

ファンダンゴはフラメンコの曲種名というだけではなく、伝統舞曲であり、また騒ぎという意味もある。

カオスの国、スペイン…


伝統舞曲ファンダンゴのリズムで始まり、スペイン国歌が、昔のスペイン国歌であるリエゴ讃歌に繋がり、スペインの現代史が炙り出される。

プレゴンで、「恐怖を売る」と歌うのは、今現在の状況とリンクする。

ソレア、マラゲーニャ、シギリージャ、ファンダンゴ、マリアーナ。

フラメンコ曲に彩られ、フラメンコのテクニックで表現しているのだが、コンテンポラリーの文法や演劇的手法もあり、“みせる”のだ。

手前の赤い円と、舞台後方の白い砂浜のような舞台(実はお米だそう)。二つの世界の対比、そして二つの世界の繋がり。


ああ、もうこれは何度でも観たい。日本のダンスフェスティバルでもぜひ上演して欲しい作品だ。

フラメンコの進化が目に見える形でここにある。






2011年4月30日土曜日

ダニ・デ・モロンとアルフレド・ラゴス

4月28日木曜日
セビージャのテアトロ・セントラルでの
「フラメンコ・ビエネ・デル・スール」は
火曜日に引き続きギターが主役。
ダニ・デ・モロンとアルフレド・ラゴス。
伴奏を中心に活躍の中堅ギタリスト二人の登場だ。

舞台には椅子が二脚。
ただそれだけ。

最初に登場しダニの4曲。
続くアルフレドの4曲。
デュオで1曲
いずれもギター一本のみ。
バイレやカンテはもちろん、パーカッションもパルマすらない。
素のギターのみである。
こんなリサイタルは数年前のビエナルでのヘラルド・ヌーニェス以来。


ダニ・デ・モロンは故郷モロンの先輩、
ディエゴ・デ・モロンのスタイルを彷彿とさせる、
一種悪魔的な、黒い魂をそのままさしだしたようなシギリージャがすごかった。
火曜にきいたチクエロの破綻のない、きちんと構成された“曲”と対照的。
ディエゴのコピーをしているのではない。
同じファルセータを弾いているわけではない。
だが、その哲学というか、曲想というか、が
ディエゴを思い起こさせるのだ。
土地の力?

最後のブレリアでも
チクエロが聴き手を意識して曲をつくっているように思えるのに比べ
自分の思いのままにぶつけてくるような印象。
だがそれがまたムイ・フラメンコなのだ。
一種、自分勝手なようにみえて
フラメンコの芯の部分にがっつり着ている感じ。
重み。深み。自由さ。
すごみのあるフラメンコ魂だ。

アルフレド・ラゴスはロンデーニャからカーニャへとすすむ
ロンデカーニャ、さとうきびのラムという意味にもなるしゃれたタイトルの曲から。
イスラエル・ガルバンとの公演で聴きなじんだメロディが
あらわれてはきえていく。
フラメンコのかたちを崩すことなく
抜群の安定感で飛ばして行く
ソレア。ファンダンゴ。ブレリア。
ヘレス生まれでヘレスの香りももちろんあるのだが
あちらこちらにビセンてやパコの文法があらわれる。

まったくスタイルの違う二人のデュオも面白く
最後はゲストのパストーラが華をそえた。


チクエロもだけど
ふだん伴奏で踊りや歌の影にかくれがちの彼ら、ギタリストたちの実力を
みせつけるこのような公演。
これからも続けてほしい。

2010年1月15日金曜日

イサベル・バジョン

セビージャの木曜を彩る、フエベス・フラメンコがようやくはじまりました。
開幕公演を飾ったのはイサベル・バジョン。
言うまでもなくセビージャを代表する、
セビージャらしいバイラオーラの一人。
今回はこれまでの作品の中のフラメンコ曲を集めたもの。
シギリージャ、ファルーカ、そしてアレグリアスの3曲を踊りました。

私の一番のお気に入りの振り付けは
前回のビエナルで初演された「トルトラ・デ・バレンシア」のファルーカ。
身体にぴったりとした黒い上下。スカートはかなり短めです。
モダン。
でもその合間にしっかりとした伝統が息づいています。
 ファルーカの曲の特徴である、止めのところで
床を軽くけってアクセントをつける、その粋さ。
ブラソ、回転、すべてが美しく、緻密に構成されています。

最初のシギリージャも
イサベルが一番好きな曲だという、アレグリアスも三重丸。
とくにアレグリアスのバタさばきがとても自然。
身体の一部になっているという感じ。
バタをひけらかすのではなく、さらっと踊っているのがめちゃくちゃかっこいい。
さっとけって手にもってブレリアを踊っているときなど、
バタであることを忘れさせてしまうほど。

シンプルなフラメンコだからよりいっそう
そのテクニックの素晴らしさが際立つのかな。
来週はスーシが登場です。


2009年12月18日金曜日

ラ・アルヘンティーナ新譜発表会


12月17日、セビージャのアルバレス・キンテーロ劇場でラ・アルヘンティーナの新譜「ラス・ミーナス・デ・エヒプト」発表が行われた。
ラ・アルヘンティーナとそのマネージャーでこのCD発売元のレコード会社をたちあげたルイスミ、CDのグラフィックデザイナーが、カナルフラメンコラジオのパコ・サンチェスの司会でおしゃべり、とラジオ番組風にはじまり、続いてミニ・リサイタル。

新譜からシングルカットされたルンバ、タイトルの素となったレトラを歌っているソレア、ブレリアと3曲を歌った。ギターにボリータとエウヘニオ・イグレシアス、パーカッションにホセ・カラスコ、パルマにはメジ兄弟、ボボーテ、テテ・ペーニャというなかなか豪華な布陣。
ロサリア・デ・トリアーナのレトラを歌ったソレア、フェルナンダやパケーラのレトラを歌ったブレリアの2曲がいい。
ロサリアは録音もほとんど残っていないセビージャ生まれのヒターナだが、トリアーナの古いスタイルだとされる、そのわずかな録音は熱心なアフィシオナードたちに珍重されている、玄人好みのカンタオーラ。彼女が歌ったソレアの歌詞
「私はエジプトの鉱山に行きたい
そこにいるといったから
かわいそうなヒターノたちが
ロバの毛を刈っているという
だからエジプトの鉱山に行きたいの」
からこのアルバムのタイトルがついたわけだが、若くて、ある程度名もなして、でも古い物を聴いて勉強して、歌っていこうというこの姿勢は素晴らしい。
ブレリアでも,フェルナンダやパケーラのレトラをそっくりさんのように真似して歌うのではなく、彼女らしく歌ったところに好感がもてた。

ここ十数年だろうか、カンテの新譜というと新曲ばかり。
さまざまな楽器をいれたコンボスタイルにコーラスも加わったにぎやかな構成も
それはそれで楽しいし、素晴らしい作品だってある。
でもそれもいつの間にか新鮮味を失ってしまいかつての輝きは今はない。
で、今何が新しいかというと古典、伝統なのである。

そう、前に行くためには後ろを見ることも必要。
過去に学び、新たな道を模索する。それがアートのあるべき姿。
フラメンコもそうなのだ。


なおこのCD評はこちらのブログにアップしました。

2009年12月17日木曜日

MIELCOLE! 水曜のフラメンコでのギターリサイタル

MIELCOLE!は水曜日mielcoresとoleをかけたタイトルの、
セビージャ大学主催のフラメンコ公演シリーズ。
2年前にはじまったこの公演は若手中心の公演で月1回の公演。
会場はセビージャの中心、ラ・カンパナのそばの
デパート、エル・コルテ・イングレスのあるドゥーケ広場にある
ドゥーケ劇場。
セビージャで最も古い劇場のひとつだそうだが、長年放置されていたのを最近直したもの。
収容人数140人の小劇場はアットホームな雰囲気でフラメンコにぴったり。

この日はフアン・カンパージョとペドロ・サンチェス、若手ギタリスト二人の公演。
フアン・カンパージョはラファエルやアデラのカンパージョ兄弟の末っ子。
ラファエルらの伴奏や野村眞里子さんの招きで何度も日本に行っている。
2006年にはラ・ウニオンのコンクールで優勝している実力派。
まずはグラナイーナ、そしてロンデーニャとリブレの曲をふたつ。
彼は83年生まれと若いにも関わらず古いものをよく聴いていて
昔ながらのファルセータが超テクとともにでてくるのが面白い。
伝統的なものは曲に重みを与えますね。
また若いギタリストによくあるような、音の詰め込み過ぎがないのも好印象。
オレ!
と声をかける間合いがあるギターであります。
続くアレグリアスでは踊り手チョロと歌い手ハビエル・リベラ、パーカッションのアントニオ・モンティエルも舞台に上がりコンパスでサポート。
舞踊伴奏で鍛えられているだけに、切れのいい、きちんとした演奏。
最後は華やかで粋なブレリアで盛り上げる。

続くペドロ・サンチェスは歌い手ナランヒート・デ・トリアーナの息子。
彼もリブレからはじめ、ソレア、ブレリア。
曲の構成がちょっと冗長でありますが、古いアイレでたっぷり聴かせてくれました。
彼は若手、といってももう30代でありますが。

次回のミエルコレは1月20日、
今年のラ・ウニオンのコンクールで優勝した舞踊家アナ・モラーレスが登場
これもまた楽しみです。



2009年12月11日金曜日

アントニオ・マイレーナへのオマージュ/マエストランサ劇場

アントニオ・マイレーナへのオマージュ
「アル・ソン・デ・スース・レクエルドス」(その思い出のリズムで)
いやーいい公演でした!

フラメンコの歴史に偉大な足跡を残したアントニオ・マイレーナ。
あちこちの村に埋もれていた古いカンテを追いかけ
自らの才能と個性をも加え復興させ、
カンテにひとつの流れをつくったマイレーナ。
1983年9月5日、誕生日の二日前に亡くなった彼は1909年生まれで今年は生誕百周年。
ということでCDブックが発売されるなど、それを記念する催しが数多く開催されたが
そのフィナーレを飾る、とでもいうべき公演。

アントニオの録音に続き
「フィエスタをしようとマヌエル・トーレの家に行ったら彼は病の床にいた。『俺は死ぬ。マイレーナのタベルナにる、ニーニョ・デ・ラファエルを探しなさい。(歌は)彼がいい』というトーレの言葉に従って探しにいった」
という、ホセ・ルイス・オルティス・ヌエボの言葉ではじまった作品は
セグンド・ファルコンとアルカンヘルの歌、
マイレーナの伴奏もしたエンリケ・メルチョールと、ミゲル・オチャンド、ミゲル・アンヘル・コルテスのギター、
ハビエル・バロン、ラ・モネータ、ラウラ・ロサレンの踊り、
ディエゴ・アマドールのピアノと歌で、
アントニオが生きた時代を、その生涯を振り返っていくというもの。

ラウラがマカローナら市民戦争前に活躍した踊り手たちやマイレーナと親交のあったマティルデ・コラルを思わせる、女性らしい優美なブラソをみせれば
モネータはマイレーナがかつて歌った「マリア・デ・ラ・オ」でカルメン・アマジャを踊り
ハビエルはやはりマイレーナがかつてそのために歌ったグラン・アントニオを彷彿とさせる。
ディエゴのシギリージャの弾き語りの深さとティエントのはじめに弾いたサンブラの美しさ。
オチャンドがラモン・モントージャのロンデーニャで、劇場をマイレーナの時代の雰囲気に
染めれば
エンリケも長年、マイレーナの伴奏をつとめた父メルチョール・デ・マルチェーナ譲りのトーケで華を添える。
セグンドとアルカンヘルの朗唱は、マイレーナを歌いつつもマイレーナの真似ではないところが、彼への敬愛そのものだ。

「フィエスタの最中に、マヌエル・トーレの死の知らせが届いた。それからはただ飲んで亡くだけだった」
との言葉で終わった作品。
全てのアルティスタの、アントニオ・マイレーナへの愛と敬意が感じられる。
だからだろう、劇場を後にする観客が皆、微笑んでいたのは。

2009年12月7日月曜日

ダビ・ラゴス 新譜発表ミニ・コンサート


FNACという、 フランス発のCD、書籍を扱う大型店のチェーンがありまして、
そのセビージャ店で、土曜日20時から
ダビ・ラゴスの新譜「エル・エスペホ・エン・ケ・メ・ミロ」(僕を観る鏡)
発売記念のミニ・コンサートが開催されました。

ダビ・ラゴスは毎年来日してそのすばらしいのどをきかせている、
フラメンコのふるさと、ヘレス出身の歌い手。
今年も、つい先だって、森田志保さんと石井智子さんの公演に出演していましたね。

会場はお店の3階、クラシックのCD売り場の隣にあるちょっとしたサロン。
予定時刻の少し前には待つ人の列も。
待つうちにイスラエル・ガルバン一家も顔をみせ、
そしてダビと兄のアルフレド、ダビの奥さんでやはり歌い手のメルチョーラ・オルテガらが
やってきました。

ショップの中ということで劇場やペーニャでのリサイタルとはちょっとちがい、
電気も消えなければ、後ろの方がさわがしくどこか落ち着きません。

最初はトナ。CDの最後の曲です。
深い響きと、甘い含みをもった声でのトナは古い曲とされますが、
彼のはどこか新しさを感じさせるのが個性的。
最後はギターが入り、シギリージャのスタイルで終わるのも珍しいですが、
これもなかなか。
兄アルフレドの、勘所を押さえたギターも最高です。

続いてアレグリアス。
これは亡くなったチャノ・ロバートに捧げた曲です。
長年、グラン・アントニオやマティルデ・コラルなどへの舞踊伴唱を続け、
晩年、その実力が評価されソロで活躍した彼に思う所があるのでしょう。
カマロン、ペルラ、ペリコン、アウレリオらカディスの歌い手たちの名を
おりこんだオリジナルのレトラもいいし、 パワフルな歌いっぷりもさすが。

最後はブレリア。これはパケーラに捧げられたものでタイトルも「ブレリアの女王」。
パワフルだし、スピード感、ドライブ感たっぷりで、いやあさすがヘレスです。

CDもダビのフラメンコへの真摯な気持ちと愛がたっぷりつまったすてきな1枚です。
ぜひ1枚!
ちなみにCDレビューはこちらのブログに書いてます


2009年11月28日土曜日

カハソル175周年記念フラメンコ・コンサート

先日お知らせしたカハソル175周年記念フラメンココンサートに行ってきました。
豪華な顔ぶれですが、招待客がほとんどだったこともあってダフ屋がでる盛況。


幕開けのアルカンヘル、マルティネーテがすばらしかった。
彼の声はフラメンコ歌いにはめずらしい、いわゆる美声であって、
フラメンコ独特のしゃがれ声とは正反対。
若いに似合わず研究家肌で古いカンテに学び新しい感覚を加えていく。
彼の、こう歌おうという姿勢がぴんぴんに感じられる。
そしてその方向にこっちの魂ももっていかれていく感じだ。
続くカーニャもソレア・アポラーにつなげて終わる。
うんうん、カンテと真っ正面から勝負している感じだ。
タンゴへ。すごい集中力を感じると同時に、伸びやかでゆったりとしている。
アレグリアスはオーソドックスなものから新しい歌詞のもの、
ミラブラやカンティーニャ、アレグリアス・デ・コルドバまで幅広く網羅し、
最後のファンダンゴではいつもながらに大向こうをうならせた。
ひとつの音にたくさんのものが集約されているというのだろうか
強く激しく、心に響く。目が離せない、


続いて登場はベテラン、パンセキート。
全く衰えを感じさせない、ふくらみのある響きのある声で歌い上げるアレグリアス。
深みのあるソレア。タランタ。が、ブレリアで昔のアルバムで歌っているレトラを歌ったときには鳥肌がたった。ブレリアの名手、モライートの伴奏で聴くのはひさしぶりだがいい感じ。


最後をしめたのはイスラエル・ガルバン。
フアン・ホセ・アマドールとダビ・ラゴスのカンテとペドロ・シエラの超絶ギターを踊る。
ギターのように歌を伴奏するかと思えば、ギターを聴く心の響きをそのまま表すようにリズムをとる。
いや、やっぱりイスラはすごい。一段と磨きがかかった感じ。動きがさえわたっている。
ついついオレ!がもれてしまう。あの間合い。なにか武術にも通じるような感じだ。


いいものばかりみっつもみた夜は、いいフラメンコをみた夜がいつもそうであるようになぜかお腹いっぱいで
杯ばかりを重ねるのでした。

2009年11月16日月曜日

小松原庸子舞踊団40周年記念マドリード公演

日本から来た生え抜きの舞踊団のメンバーとスペインのアルティスタたちがいっしょにつくりあげた「カルメン」はスペインの観客のあたたかい拍手に包まれて、昨夜、無事千秋楽を迎えました。

日本のフラメンコ舞踊団がマドリードで公演、というニュースはいくつかのスペインのメディアにも取り上げられたのでちょっとご紹介。

新聞エル・パイスでは舞踊評論家ロヘル・サラスによるインタビューが掲載。

テレビ局アンテナ3  のニュースでもインタビューにこたえています。

そのほかにもスペイン国営放送の老舗フラメンコ番組「ヌエストロ・フラメンコ」や
美術倶楽部ラジオでの「シルクロ・フラメンコ」でもインタビューされました。

ウエブ、デフラメンコ。コムでは写真ギャラリーで取り上げられていますし
YouTubeでもいくつが映像がアップされています。


で、どこでも訊かれるのが「日本人はなぜフラメンコが好きなのだ?」という疑問。

小松原さんは、
「日本は感情を隠す文化でしたが、フラメンコは正反対。それをみて私も同じ、と思って憧れるのではないでしょうか」
とお話されてましたが、
「スペインも日本も同じ。私はアーティストの家に育ったのですが、アーティストの気質は日本もスペインも変わりませんよ」
とのこと。

ちなみに今回は舞踊団の井上圭子さん、谷淑江さん、田村陽子さんがトリプルキャストカルメンを踊り
相手役のホセはマルコ・バルガス、カルメン夫をスペイン国立バレエ団のホセ・マヌエル・ブソンが踊りました。




2009年11月9日月曜日

ニーニョ・ミゲルに捧げる 続報

先日お知らせした,ウエルバでの「ニーニョ・ミゲル」へのオマージュですが
11月7日、スポーツセンターに5千人もの観客を集め、無事開催されたとのことです。

ニーニョ・ミゲル、その人も久々に舞台に上がり、観客の惜しみない拍手を受けたとか。

ペペ・デ・ルシア、エル・ペレ、ホセ・メルセ、エストレージャ・モレンテ、エバ・ジェルバブエナ、カルメン・リナーレス、マノロ・サンルーカル、トマティート、フアン・アビチュエラ、ホセ・ルイス・ロドリゲス、ミゲル・アンヘル・コルテス、フアン・カルロス・ロメーロ、アルカンヘル。
公演告知のポスターにあった、全てのアーティストたち(!)が舞台に上がり、ニーニョ・ミゲルへの敬愛を示したのです。
また、会場には来れなかったエンリケ・モレンテ、ビセンテ・アミーゴらはビデオでメッセージを寄せました。

フラメンコたちの、本物のフラメンコへの限りない敬愛、友愛に胸が熱くなる思いです。

2009年10月13日火曜日

hiranito conquista Cai


土曜日はカディスまで足をのばし、Peña Juan Villar でHiranitoの リサイタルを楽しんで参りました。
Hiranitoこと平野健作さんは20年来のアフィシオナード。
仕事の傍ら毎週、エンリケ坂井さんのカンテのレッスンを受けてきたというベテラン。
日本ではすでに何度かリサイタルを開いていますが、今回は、彼が敬愛してやまないカディスの地で、本場のアフィシオナードたちを前にしたリサイタル、ということで緊張したかというと。。。。そんなことぜんぜんなかったそうです。
ティエントではじまり、マラゲーニャ、アレグリアス、そして渾身のソレアという第一部も、地元ギタリストの伴奏でのタンギージョ、ファンダンゴという第二部も、地元ファン総立ちの大成功のうちに終わりました。
カディスへの愛がそのまま伝わった!
いやー、日本のアフィシオンはすばらしい!と会場にいたスペイン人アフィシオナード同様、私も思ったことでした。

2009年9月27日日曜日

第1回フラメンコ国際ミーティング おはなし ふたつ と公演





二日目、最終日な今日もホテル、アバ・トリアーナでお話がふたつ。

11時からはミラグロス・メンヒバルがエル・ムンド紙の辛口批評家マヌエル・マルティン・マルティンが登場。トリアーナとフラメンコについて語りました。
ミラグロスはトリアーナ生まれ。なんでこどもの頃の思い出とかきけるかと思ったのですが、残念ながらそれはなし。
トリアーナゆかりの曲種やエスクエラ・セビジャーナ、セビージャ派といわれる舞踊の話が中心。 トリアーナのスタイルのバイレとしては元祖トリアーナ・プーラのタンゴをあげていました。。。で、トリアーナ生まれのアントニオ・カナーレスのタンゴにもその影響がみえる、とはマヌエルの意見。ふむ。
トリアーナのタンゴってのは、こーゆーやつです。



18時からはマティルデ・コラル、ペパ・モンテス、フアナ・ラ・デル・レブエロというトリアーナゆかりのアルティスタたちの話をセビージャ大学教授のフラメンコ研究家、クリスティーナ・クルセスが司会。
マティルデの昔のトリアーナと長屋の中庭で繰り広げられた宴や、トリアーナの奥にあったフラメンコの店グアヒーロの思い出話などがとにかく楽しい。
こどもの頃にサン・フアン通り(今のエバンへリスタ通り)にすんでいたというフアナも、マティルデも、口をあわせて、トリアーナはヒターノもパジョもいっしょだった、という。
これは、ほんと昔のトリアーナを知る人たちはみんないいますね。。。
60年代、70年代に郊外の団地へ移っていった人たちも皆、今も、聖週間にはトリアーナにやってきます。。。心のふるさと。
ペパはセビージャ県のヘレスよりのラ・カベサ・デ・サン・フアンという町で生まれたのですが、トリアーナっ子のギタリスト、リカルド・ミーニョと結婚し、34年間トリアーナに住んでいるので、トリアーナのアルティスタと行ってもいい存在。
いやー、女たちの話はとても楽しゅうございました。
途中でちょっと歌もでたりして。
で、やっぱりみんないうのがトリアーナ・プーラ。
youtubeで検索するとけっこうひっかかってくるのでみてみてくださいまし。
El Titi, Pepa La Calzona,,,,

当夜の公演はピラール・アストラ。トリアーナの奥にある団地タルドン出身。
この地区もけっこうフラメンコな地区で、チケテテやローレ・イ・マヌエルなどのアルティスタを輩出している。
降雨確率60%ということで、会場はホテルに変更になったので、照明が蛍光灯だったのは残念だったが、闘牛士だった父の衣装とカポーテを舞台に熱演。

ピラールはかつてテレビのフラメンコ番組の司会などもしていた中堅舞踊家。
結婚と育児で一時、舞台から遠ざかっていたが1年前セビージャに戻って来て、教授活動などを再開した。
イントロダクションの後、アレグリアスを踊り、ウーゴのソレア・ポル・ブレリアのあとはブレリアを歌い、フィン・デ・フィエスタ。。。とちょっとさびしい構成だったが、ピラールのマントンをつかったアレグリアスは、美しく、元気があってなかなかのものでした。。。





2009年9月26日土曜日

第1回フラメンコ国際ミーティング 「ラ・ソレア・デ・トリアーナ」公演



夜は橋のたもとでコンサートがありました。
トリアーナのビデオ(パスクアル・ゴンサレス監督)の初公開のあと、
「ラ・ソレア・デ・トリアーナ」と題されたこの公演、ウエルバの若手ギジェルモ・カーノ(下の写真)とご当地トリアーナ出身のパコ・タラント(上の写真)が出演。
ギジェルモ・カーノはよく通る声の若手で、数年前にセビジャーナスから転向しまたたくまに活躍するようになった一人。昨夜はビダリータ、ソレア、タンゴ、ファンダンゴと熱唱。
フラメンコ的な声というのではないけれど、一般にいう、いい声で、盛んな拍手をうけていました。が、私的にはちょっと長過ぎで一本調子かな。あとタンゴのスタイルを、脈略なくかえていくのもなーんか違和感ある。。。
パコ・タラントはベテランの貫禄。アレグリアスではじめて、彼も2曲目がソレア。それもスラケの、スタイルを、あ、ソレア・ポラーもあったけど、たーっぷりきかせてくれました。
私にとってのソレア・デ・トリアーナというと、やっぱこれでしょ、ってかんじ。
ってか、ふだん、近所のおっさんとかが聞き覚えで歌っているのがこれなんですよ。
勉強して、じゃなくて歌う感じね。
タンゴもトリアーナ風のを歌いました。。。
あとはトリアーナを歌ったファンダンゴとブレリア。
70年代ぽいかんじでよいです。。。
ってか70年代も遠くなったなああ、と実感。
今夜はピラール・アストラの出演です。


2009年9月24日木曜日

アンダルシア国際大学でのロサリオ・トレド


9月23日水曜の夜はアンダルシア国際大学主催のロサリオ・トレドの公演を観てきました。
歌のホセ・バレンシア、ギターのダニ・メンデスと3人だけのこじんまりとした舞台。
黒い衣装でのソレアにはじまり、緑のバタ・デ・コーラに黒い無地のマントンをまとったマラゲーニャ、ギターソロをはさんで赤い衣装でのカンティーニャスの3曲という、小品でしたが、流れるように進む舞台でなかなかの出来。
ロサリオも、スペイン国立バレエ団の名作「メデア」を思い起こさせる黒い衣装での、深みのある舞から、勉強していることを感じさせるマラゲーニャ、最後のグラシアあふれるカンティーニャスまで変化のある表現をみせ、改めてその実力のほどを知らしめた、という感じです。
シンプルな舞台でのシンプルなフラメンコ。だけどそのバックにはものすごい努力があるのです。
ちなみにこの公演は無料!
会場には、ベレン・マジャやスーシ、クロエなどアルティスタたちもたくさんいましたよん。
あ、留学中の萩原淳子さんにも会いました!

2009年9月21日月曜日

復活テレモート!


病気療養中だったテレモートが現役復帰!
という、うれしいニュースにつられて、金曜日、ヘレスまででかけてきました。
1月末、神経膠種で入院し、カディスの病院で病と闘っていたフェルナンド。
化学療法の甲斐もあって、この日、復帰記念のコンサートをヘレスの、彼のペーニャで行うというのです。
ヘレスの友達とでかけていくとペーニャの裏口にフェルナンド、その人が。
以前よりやせてはいるけどやつれてはいない。病気だったのが嘘のように元気そう。
よかった〜

コンサートは22時半から。だというのに、早めに行った私たちが到着した22時前にはもうかなりの人が集まっていた。たいていの公演が遅れて始まるスペインにしては珍しい。それだけ皆が期待しているということだろう。
あちこちに知った顔がみえる。マドリードのプロダクションの人やフラメンコ研究家、ヘレスの新聞記者、彼のマネージメント事務所であるア・ネグロのスタッフたち。モライートやフェルナンド・デ・ラ・モレーナらアルティスタたち。ペーニャのメンバー同様、皆がフェルナンドの復帰を待ちこがれていたのだ。

イスラエル・ガルバンの「エダ・デ・オロ」や「エル・フィナル・デ・エステ・エスタード・デ・コーサス」などでも共演しているアルフレド・ラゴスと、マヌエル・バレンシアのギター、カルロス・グリロ、カンタローテのパルマに伴奏され、最初はソレア・ポル・ブレリア。!!! やった!親父さん(やはり歌い手で早世したテレモート・デ・ヘレス)譲りの豊かな響きをもった声が健在というだけどころかか、前よりもすごみがあるほどの歌いっぷりだ。まったく衰えなど感じさせない。テレモートがかえってきた。マヌエル・バレンシア伴奏のシギリージャは親父さんのうたいっぷりを彷彿とさせる!そしてマラゲーニャ! これはもう、フェルナンドのマラゲーニャだ!
ヘレスのカンタオールたちにシギリージャやソレアがうまいのはごろごろいる。が、マラゲーニャをこんなにもすばらしく歌い上げるのは彼だけではないだろうか。
最後はブレリアで一部を終了。
興奮でためいきつきながら外にでると、イスラエル・ガルバンやフアン・ホセ・アマドール、ディエゴ・カラスコ、ミゲル・ポベーダ、エンリケ・ソト、ビセンテ・ソト…たくさんのアーティストたちもいた。皆、フェルナンドを応援しているのだ。

第二部は今年発売予定という新譜に収録する曲を披露。カマロンの「カナステーラ」をも歌ったのだが、これまたフェルナンド風になっている。奇をてらうことなく、自然に歌って自分のものとしてしまう。これは天の才だ。
最後のブレリアでは客席からフアナ・ラ・ピパらが舞台にあがり垂涎もののフィエスタを繰り広げてくれた。
最後には9歳という愛娘マリアが歌い、フェルナンドがウナ・パタイータ。
神様ありがとう! フェルナンドをつれていってしまわないでくれて。
昔風の味わいと今の感覚がみごとに同居する、すばらしい歌い手フェルナンド・テレモート。
それまでギタリストとして、叔母マリア・ソレアらの伴奏などをしていたフェルナンドが、19年前、ヘレスのペーニャ、ドン・アントニオ・チャコンで、歌い手としてのデビューを飾ったとき、偶然私はそこにいた。彼の一声、一声に観客が熱狂した。まるで彼の親父さんが帰って来たかのような興奮だった。そう、あの舞台にはフェルナンドとともに、親父さんの幻がいた。
が、この夜の彼の舞台の上にいたのはフェルナンド、その人。病に打ち勝って再び舞台に上がり、よりいっそうすばらしいカンテを私たちに届けてくれる、すばらしいカンタオール。そんな瞬間に立ち会えて本当に幸せだ。
その夜はペーニャ、そしてヘレスはアルコス通りのバル、コルマオに場所をうつして飲み続けたのでありました。幸福な夜に乾杯!








2009年9月19日土曜日

スペイン国立バレエ団 30周年記念公演 その4「マルティネテ」「メデア」「ガリシア・ファンタジー」

「マルティネーテ」は、今、国立バレエ団監督をつとめるホセ・アントニオの振り付けの小品。
「フラメンコ組曲」の中の一曲として日本でも何度か公演されています。
今回の公演で唯一の、カンテ伴唱による、純フラメンコのレパートリーなんですが、これも単にソロで曲を踊るというわけじゃなくて、鍛冶屋の兄弟の娘のところに恋人がやってきて去って行く、といった小さなストーリーものになっています。ひとすじなわではないけない。
これがまたいいんですね。なにが?とかいわれそうだけど、
言葉で説明しなくてもいい、小さな物語を舞踊だけで表現
しているのがやっぱいいな、と。
ふつうに、シンプルに曲として踊るのもいいけれど、こういったプラスアルファをくわえるというのもいいですね。なんか最近あんまりみないからか、かえって新鮮
主役の娘はローラ・グレコ。恋人はこれもゲスト出演のカルロス・ロドリゲスです。
なんか、前に兄弟たちを踊っていた、エドゥアルド・ソリスやヘスース・コルドバ、ヘスース・フロレンシオなどの、OBたちの顔をうかんできます。

続いてはご存知「メデア」。ローマ神話に材をとったホセ・グラネーロ振り付けのこの名作を踊るのはホセ・アントニオ、国立バレエ団監督とメルチェ・エスメラルダ。20年くらい前の、国立バレエ団初来日のときにスターとしてやってきたメルチェ。年を経て、少し貫禄ついたかな。ホセ・アントニオはまーるくおなかがでています。ですが、ですが、なのであります。
ぜーんぜん重さを感じさせない、優雅な踊りっぷり。すごいです。
メデアとイアソンのけんかから続いて愛のパドトゥと、呪いのシーンを踊って行くのですが、メルチェのメデアの迫力といい、ホセ・アントニオの太っても失わない美しい動きといい、いやーこれもよかったです。また、乳母を、ルペ・ゴメスが踊っていたのもよかった。小柄な踊り手で、乳母は長らく彼女の持ち役でした。。。
メデアは初演が故マヌエラ・バルガス、後、メルチェ、アナ・ゴンサレス(会場にみえてましたが美しさは変わらない!足を悪くされたようで杖をついていらっしゃいましたが)、ローラ・グレコ、マリベル・ガジャルドと踊ってきました。どれも好きだけど、やっぱメルチェはいいなあ。。。

最後の曲の幕が開いた瞬間に涙していました。
グラン・アントニオ振り付け「ガリシア・ファンタジー」。その名の通り、ガリシア地方の民族舞踊をみせる作品。初演はアントニオの舞踊団で1950年代ですが、国立バレエ団でも何度か上演しています。昔の作品なのに、まったく古さを感じさせず、今も新しいというのがすごい。半世紀も経ているのに。。。
民俗舞踊は、フラメンコ、クラシコ、エスクエラ・ボレーラとともにスペイン舞踊の4本柱のひとつですが、最近はなかなか舞台でみることができません。でもこんな、壮大なスペクタクル、倉にしまったままにしておくのはもったいない。
最初は男女のデュオが、ガリシアのサンティアゴ巡礼のシンボルであるホタテ貝を手にもってならしながら踊るバレエ。ため息がでるほど美しい音楽と振り付けです。
そして最後はその作品のフィナーレ。ガリシアを代表するムニェイラなどもちりばめて、全員が登場して一気にもりあがります。はなやかで美しくて、もうただただ酔わされました。
え、涙のわけですか?うーん、なんででしょうね。遠い昔への憧憬かな。。。

というわけで休憩含めて3時間!という長丁場もほんと、楽しめました。
このプログラムは明日でおしまい。
火曜からは新しいプログラムになります

2009年9月17日木曜日

スペイン国立バレエ団 30周年記念公演 その3「グアダルキビル物語」「アランフェス協奏曲」「三角帽子」

続く「グアダルキビール物語」は故ホセ・グラネーロの振り付け。
私は初演をこの同じサルスエラ劇場で観ましたが、はい、それってもう15年も前のことなのね。ひええ。月日のたつのが早すぎる。
ここでは主役二人のパ・ド・トゥを、初演でも主役をつとめたローラ・グレコと、フランシスコ・ベラスコが踊ってみせてくれました。
今、資料が手元にないのでうろ覚えだけれど(なんせ15年前だ)、たしか、南米に行った恋人を待つ娘ローラのもとに、彼が帰ってくる、というシーンだったのではないかと。

揺り椅子に座ったローラにしのびよって目隠しして驚かせてはじまる、二人の愛のパ・ド・トゥ。かなり色っぽい振りもあるのですが、決していやらしくならず、美しくみせています。
セビージャはマティルデ・コラルのアカデミア出身のフランは、今もローラと組んで踊ることも多い長身のダンサー。アントニオ・マルケスが抜けた後、国立で主役をつとめていたので覚えている人も多いことでしょう。
ローラは,昔に比べ少し肉付きがよくなったのですが、かつてが細すぎたくらいなので、気になりません。この人も舞踊の、細部の表現がきれいだし、役になりきる、というのか、感情をこめて踊っている感じ。また跳躍がほんとうに軽やかなんですよね。
そしてそれをサポートするフランも、いい感じに年をとってます。
ほんと美しいパ・ド・トゥに酔わされました。。。

次は「アランフェス協奏曲」
50年代にピラール・ロペスが自らの舞踊団のために振りつけたこの曲を2001年、国立バレエ団が復活上演させました。この初演もここ、サルスエラ劇場に観にきたな。。。(遠い目)。
あのときはピラール女史もまだお元気で、フィナーレには舞台にあがって、ちょこっと踊ってみせたのだった、なんて思い出にひたってしまうというのは私も年をとったということでしょうか。。。
ここでは第2楽章を、マリベル・ガジャルドがゲスト出演してみせてくれます。
ロマンチックバレエのチュチュのような(レ・シルフィードやジゼルを思い浮かべてくださいまし)長く、ふわっとしたスカートといい、男性の、ゴヤの絵の中から抜け出たような衣装といい、いやー、ロマンチックです。
振り付けとしても古風。今のスペイン舞踊では決してみることができないような感じ。
マリベルも存在感と実力で舞台をしめてくれました。

「三角帽子」からは粉引きのファルーカ。
マヌエル・デ・ファリャの「三角帽子」は、ディアギレフが自らが率いるバレエ・リュス、ロシア・バレエ団のために作曲を依頼し、レオニード・マシーンが振り付けし、ロンドンで初演したバレエでありますが、フラメンコではグラン・アントニオの振り付けが有名ですね。
ここではそのアントニオの愛弟子、ホセ・アントニオの振り付けでアントニオ・マルケスが踊りました。あ、皆アントニオなんでちょっとややこしいですが。
これもきりっとした男振りで、なかなかの出来でした。

2009年9月16日水曜日

スペイン国立バレエ団 30周年記念公演 その2「リトモス」

2部の幕開けは「リトモス」。
ピラール・ロペス舞踊団出身で昨年亡くなったアルベルト・ロルカが1984年に国立バレエのために振りつけた作品。
これはたしか日本でも公演しているはず。。。調べてみると、99年の来日公演で上演されていますね。
上のリンクでビデオを見ていただければ、雰囲気はつかめると思うのですが、デュオで、また3組のパレハで、そして群舞で、とバリエーションゆたかに、タイトル通り、リズムに乗って繰り広げられるスペイン舞踊の作品です。
構成は日本でもおなじみのボレロに似ているかも?
でも初演の年でいえばこちらが先。

立ち姿、まるみをもったブラソ、カスタネット、など、スペイン舞踊/フラメンコの基本とでもいうべき形と動きが次々に登場します。
中心となるパレハはゲスト出演のアントニオ・マルケスとバレエ団第一舞踊手、エステル・フラード。
国立バレエのスターとして、長らく活躍したアントニオ。20年前に覚えた?振り付けをいきいきと踊っています。いまさら、でありますが、やっぱりこの人にはカリスマがある!
振りの、ちょっとしたところ、たとえば手を動かすときに最初早く、最後がゆっくり、とかでアクセントつけて余韻が残る感じなる、とか、いやー、やはり風格。だてにキャリア積んでません。って失礼か。でも年を感じさせないのもすごい。同年代の踊り手たちが皆、太ったりとかしても、彼はしっかり体型維持、いやより研ぎすまされてる感じすらします。
フラメンコは体型じゃない、とはいっても、やはり観るものでありますから、美しいかたち、というのは大切。でもあります。いやでぶでも美しい動きで美しいかたちにみせることは可能でありますから、太ってはいけない、ということでは決してないんですが。
(って自分に言ってる?)
大柄なエステルも、アントニオという理想的な相手役を得て、のびのび踊っているし、いやー、ほんと、よかったです。
アントニオはスペイン舞踊を踊らせたら、スペイン一でございますな。

それにくわえて群舞もまる!
やっぱ国立にはスペイン舞踊をやって頂きたい、というのが私の意見。
いやね、フラメンコもいいんですよ。でもやっぱ真価が発揮されるのはスペイン舞踊ではないかと。
フラメンコはほかにももっと上手な人がたくさんいるし、舞踊団もあるわけだけど、スペイン舞踊というと、アントニオ・マルケスとアイーダ・ゴメスの舞踊団くらい? あ、あと、ラファエル・エステベスとナニ・パーニョスの若手注目デュオの舞踊団もあるし、ヌエボ・バレエ・エスパニョールもあるか。でもこういった大掛かりな群舞をきちんと見せられる、という意味ではやっぱ国立!なのであります。