2015年9月30日水曜日

コルドバ出身のフラメンコ舞踊家アルバロ・パーニョスとムルシア出身のカルメン・マンサネラ夫妻によるフラメンコ公演が10月17日、コルドバのグラン・テアトロで行われます。

アルバロは1976年コルドバ生まれ。ラファエル・エステベスとコンビを組むバレリアーノ(ナニ)・パーニョスとは双子の兄弟になる。ハビエル・ラトーレ門下で、コルドバのコンセルバトリオ卒。マヌエラ・カラスコのグループやアンダルシア・フラメンコ舞踊団などで活躍してきた。

コルドバを代表する画家で、フラメンコやヒターノたちを多く描いたフリオ・ロメロ・デ・トーレスを題材にどんな舞台をみせてくれるのだろうか。
 




◆「ロメロ・デ・トーレス」
10/17(土)20時30分
[出]〈b〉カルメン・マンサネラ、アルバロ・パーニョス
[場]コルドバ ゴンゴラ劇場
[問]http://www.teatrocordoba.org

2015年9月28日月曜日

ホアキン・エル・デ・ラ・パウラ・フラメンコ祭

10月3日、セビージャ郊外アルカラ・デ・グアダイラでフラメンコ祭が開催される。
出演はエスペランサ・フェルナンデスやホセ・バレンシア、アントニオ・レジェスら実力派が顔をそろえ、舞踊にファルキートと充実の顔ぶれ。

会場のリベラス・デル・グアダイラ劇場は数年前にできたきれいな大劇場。
なおホアキン・エル・デ・ラ・パウラは地元が生んだ、伝説のフラメンコ歌いだ。


◆ホアキン・デ・パウラ・フラメンコ祭
10/3(土)21時
[出]〈c〉エスペランサ・フェルナンデス、アルヘンティーナ、ホセ・バレンシア、アントニオ・レジェス、〈g〉ディエゴ・アマジャ、マヌエル・パリージャ、ホセ・ケベド“ボリータ”、ミゲル・アンヘル・コルテス、〈b〉ファルキート
[場]セビージャ県アルカラ・デ・グアダイラ リベラス・デル・グアダイラ劇場
[料]15〜20ユーロ
[問]http://www.teatroriberasdelguadaira.com/

2015年9月26日土曜日

カニサーレス「アランフェス協奏曲」

サラ・バラスが来日中のカニサーレスを招待する、ということで電話してくれということで電話をしたら応答がなく、そのままになっていたのだけど、その後電話がかえってきたら、カニサーレス夫人の真理子ちゃんだった、という縁で、すみだトリフォニーでのカニサーレス公演に。

彼のアランフェスはベルリンフィルとの共演以来あちこちで公演しているのだけど、まだみたことがなかった私は興味津々。
トリフォニーホールはその昔、ビセンテ・アミーゴ「ポエタ」公演できました。懐かしい。
アランフェスにさきがけまずはマヌエル・デ・ファリャ曲集。
「三角帽子」のファルーカはアンヘル・ムニョスの踊りが入り、 「はかなき人生」はチャロ・エスピノがカスタネット付けての踊りで華を添える。
今年初演百周年の「恋は魔術師」から狐火の歌はギターだけだったものの、火祭りの踊りはアンヘルとチャロのデュオの踊りつき。
アランフェス。私の頭にあるのは1990年、カニサーレス初来日の時のパコ・デ・ルシアのそれ。比べることに意味はないと思いつつもどうしても比べてしまう。パコの、骨太の、スペインの大地の香りたつようなアランフェス。リズムをキープしていくフラメンコなアランフェス。カニサーレスのアランフェスはより繊細でしなやか。ただ残念なことに、音響のせいか、ギターが時々オーケストラにかくれてしまう。うーん、スペインから音響さんつれてこなかったのかな。カニサーレスの公演だから、もっと彼のギターがもっとずっと前に出て良いと思う。もっといえば私的には踊りはいらない。もっとギターが聴きたい。
踊りを前面にだすことで聴かずぎらいをもとりこもうという戦略だとは思うのだけど。

20分の休憩を挟んだ第2部のフラメンコでも、音響のせいか、カニサーレスの熱がいまひとつ伝わってこない。ちゃんと弾いている様子はみえるのだけどね。マイクの位置かなあ。音響さんの好み? シンフォニーホールでフラメンコというのは難しい。残響があるので、パルマやパーカッションがずれてきこえることがあったり。難しいのはわかるけど、あの音では納得できない。あの超絶はやびきでも音がたってきこえてこない。最後の一曲とアンコールではしっかり彼らしい、きれきれの音がきこえてきたのでやっぱり音響のせいなのだろう。残念。
その後、ほかの場所でみていた友達にきくと音響の問題なかったとのこと。ということは、私の席だけだったのかもしれません。うーん。
 
昔なつかしいルンバやレハナ。2曲とも録音中のことなど思い出す。レハナはロシオ・フラードの映画「ローラは港に行く」のサントラで、その同じ映画の曲のモチーフが隠れているのに今更ながら気づいたり。

先日のサラといい、過去をめぐる旅は終わりません。

2015年9月24日木曜日

アンダルシア・フラメンコ舞踊団

23日はアンダルシア・フラメンコ舞踊団「イマヘネス」公演。アジアツアーの一環でバンコクから到着し公演、翌日はまた中国韓国公演へと旅立って行きました。過酷なスケジュールでも明るく元気に公演をこなすのはさすが。

カンパニーを率いるラファエラは久々の日本、楽しんだことでしょう。彼女が創り出すスタイリッシュなフラメンコ、日本の皆様の目にはどううつったのでしょうか。

2015年9月23日水曜日

サラ・バラスのこと

9月21日、22日の両日、渋谷、シアターオーブで行われたサラ・バラス・フラメンコ舞踊団「ボセス」公演でお仕事をさせていただきました。

スペインでフラメンコの公演やニュースを追ってお知らせしたり、解説を書いたりのジャーナリスト/ライターとしてのお仕事とともに、フラメンコ公演やプレス取材などの通訳もしておりまして、今回はその両方でのお仕事です。

サラとはじめてあったのは1990年。彼女がホアキン・グリロとともに新宿「エル・フラメンコ」に出演していたときのこと。一時帰国中にパセオの取材で訪れたのが最初だったでしょうか。エル・フラメンコの50年の歴史の中で、おそらく最も平均年齢の低いグループで、ショーの最後には出演者の名前とともに年齢を言っていたのを思い出します。
「サラ・バラスちゃん 19歳」というように。実力はまだまだだったけど、いわゆる華がある、という感じ。ほかの子とはどこかが違っていました。パコ・デ・ルシアがトリオで来日したり、ガデス舞踊団も来日したり、と、ちょうどいいアルティスタの来日とあたり、たくさんのアルティスタとの知己をえたそうです。私も夏にビセンテ・アミーゴとエル・ペレの通訳として一緒にエル・フラメンコを訪れたのを覚えています。新宿の店で、エル・フラメンコの宿舎で過ごしたひととき。楽しかったなあ。

その後、スペインでも、何度か会う機会がありました。1992年セビージャ万博のときも、アンダルシア館のタブラオにショーをみにきていた彼女と偶然ばったり会ったように覚えています。 その頃からハビエル・バロンとコンビを組みはじめ、94年のビエナルに初出演。間もなくハビエルと再び「エル・フラメンコ」に出演するためにまた日本へと旅だっていきました。

その日本でも再会します。野村眞里子さんプロデュースのメメ・メンヒバル公演、パコ・デ・ルシア・セクステット、そしてビセンテ・アミーゴ公演と続いた94年秋から冬。日本滞在中の私はタブラオに通い詰めました。ハビエルのタラント、サラのアレグリアスなどショーのレベルもたいへん高く素晴らしく、堪能しました。すっかり仲良くなって、休みの日にはディズニーランドに行ったり、ほかのスペイン人アルティスタたちと遊んだり。
もちろん彼女の方がずっと年下だけど気分は同期。 フラメンコのアルティスタではじめて、フラメンコ以外の話、こどものときの話や家族の話などいろいろ話せた人です。
フラメンコ舞踊の腕はもちろん、90年の初来日のときとは格段に上手になっていましたが、それでも普通の感覚をもった女の子でもありました。


帰国後、マドリードに住みはじめた頃も何度かご飯を食べたり、飲みに行ったり。
一緒にカフェセントラルにジャズのライブを観に行ったり、カンデーラに飲みに行ったり。タブラオ、カルボネーラの上に借りた家に遊びに行ったこともありました。
どんどん彼女はアルティスタとして大きくなっていき、舞踊団を結成し、テレビなどでも活躍するなど、そのスターぶりはまぶしいばかり。でもたまに会うといつも通り、あの明るい笑顔で迎えてくれます。

2002年に実現した、舞踊団での来日公演も同行しました。2005年秋の来日公演でも通訳をつとめ、そして今回。通訳として一緒にスペインからやってきました。

十年ぶりの日本はサラにとって思い出をたどる旅でもありました。エル・フラメンコ、新宿、ラーメン、渋谷、劇場、友だち、キムチ、ネオン、人ごみ、居酒屋。。。
この町で知り合ったアントニオ・ガデスや親交を深めたパコ・デ・ルシアの思い出はそのまま作品「ボセス」につながります。

初日のオープニング、パコの「愛のうた」が流れてきただけで涙があふれたのは、そんな思いもあったのでしょう。シギリージャを終えても号泣。あふれる思いがとまらない。あのとき、パコはそこにいたと感じたのは私だけでしょうか。
見事に舞台をつとめあげ、アンコールでどうしても観客に話したいということで、突如袖にいた私がよばれました。通訳は裏方で舞台にでることはまずないのですが、迷わず出て行ったのは彼女の思いを伝えたいということだけで。

サラは自分のキャリアの本格的なスタートとなった国、日本に、彼女のフラメンコの精神的な師であるガデスやパコに会わせてくれた日本に、そしてフラメンコを愛してはぐくんできてくれた日本に、心からの感謝をしている、それを伝えたかったのです。

entregarエントレガールという言葉があります。渡す、ゆだねる、という意味ですが、彼女の舞台はエントレガールそのもの。自分をぜんぶ観客に差し出す、という感じ。だから言葉がわからなくても、フラメンコのことなどなんにもわからなくても、伝わってくるのです。彼女のエネルギーが、彼女の思いが。

久しぶりに一緒に仕事をすることができてとても楽しい数日間でした。











2015年9月22日火曜日

ダビ・パロマールのリサイタル


カディス出身の歌い手で日本にも何度かやってきているダビ・パロマールが、マラガでリサイタルを行う。会場は市立エチェガライ劇場。
カディスの香り高いフラメンコを満喫させてくれることだろう。


◆マラガ エチェガライ劇場のフラメンコ
10/3(土)20時「デノミナシオン・デ・オリヘン」
[出]〈c〉ダビ・パロマル
[場]マラガ エチェガライ劇場
[問]http://www.teatroechegaray.com

2015年9月21日月曜日

セプティエンブレ・エス・フラメンコ終幕エバ・ジェルバブエナ「アイ!」

第1回セプティエンブレ・エス・フラメンコは9月20日マエストランサ劇場でのエバ・ジェルバブエナ公演「アイ」で終幕を迎えた。

2015年9月20日日曜日

セプティエンブレ・エス・フラメンコ12「アウロラ・バルガスとパンセキート」

Archivo Fotográfico la Bienal de Flamenco, fotógrafo Antonio Acedo.

Archivo Fotográfico la Bienal de Flamenco, fotógrafo Antonio Acedo.

2015年9月19日土曜日

セプティエンブレ・エス・フラメンコ11フラメンコ・サクロ

Archivo Fotográfico la Bienal de Flamenco, fotógrafo Antonio Acedo.

11日目、後半戦も終盤はホセ・デ・ラ・トマサのフラメンコ・サクロ。
マノロ・フランコのギターもホセ・デ・ラ・トマサのカンテも一度は聴いておきたいものです。

Archivo Fotográfico la Bienal de Flamenco, fotógrafo Antonio Acedo.

2015年9月18日金曜日

セプティエンブレ・エス・フラメンコ10ホセ・メネセ、ミラグロス・メンヒバル、アルヘンティーナ

再びアルカサルに戻って三人三様のコンサート。
Archivo Fotográfico la Bienal de Flamenco, fotógrafo Antonio Acedo.
ホセ・メネセはマリアーナ、ソレア、シギリージャをアントニオ・カリオンの伴奏で。
安定感あるが、強弱がないというか、感情をぐっとこめるような感じはあまりない。
いつものことといえばそれまでだけど
Archivo Fotográfico la Bienal de Flamenco, fotógrafo Antonio Acedo.

ミラグロス・メンヒバルはソレアとアレグリアス。どちらもバタ・デ・コーラで。
歌はマノロ・セビージャとフアン・レイナ、ギターにラファエル・ロドリゲスといういつもの面々。ソレアのうたいはじめ、マノロ・セビージャが音程を大きく外し、え、と思ったけれど、なんか今はそういう感じになっているようだ。うむ。ミラグロスの手の動きは美しい。あまり動かず、バタも動かさずブラソ、腕づかいや手の表情でみせていく。いくつもいくつもレトラをマルカールしていく。え、足無しのソレア?それもまた在処も、と思い始めた頃に少し足。ギターソロ、カンテソロかと思わせてからアレグリアスに入り、再びミラグロス登場。もうこの段階までくると何やっても許される、というか、途中でとまって観客に話しだしてしまうというのもミラグロスならでは。体型のせいもあってか、衣装も雰囲気が変わって、マントンがもともとぬいつけてあるようなデザインなのだけど、彼女にはやすっぽくみえて残念。同じ衣装でもふつうのマントンをまいてでてくればもっといいのに、と思うんだけど、それじゃ踊りにくいのだろうか。疑問。


Archivo Fotográfico la Bienal de Flamenco, fotógrafo Antonio Acedo.


アルヘンティーナはプログラムにソロリサイタルか、というほどの曲名がでていて、おい、と思ったけれど、歌ったのはその半分。マリアーナからのタンゴ 、セラーナ、アバンドラオス、シギリージャ、ブレリア。その全部が同じトーン。大声でどなるように歌う。音をさげていって掠れ声になる、なんていうフラメンコの醍醐味はまったくをもって不在。オレ!がまったくでないカンテ。
Archivo Fotográfico la Bienal de Flamenco, fotógrafo Antonio Acedo.

音程はいい。リズムもまちがっていない。でも、マティサールがまったくない。どの曲もアップテンポで、けんか腰のようなパルマでおいたてる。パルマはトロンボとロス・メジ。どちらもほかの歌い手とやるときはもっとゆったりしたパルマも叩くのに、今夜はぜーんぶけんか腰。めっちゃ早いテンポでばたばたばたばた。せわしない。疲れます。パーカッションはホセ・カラスコだし、悪いメンバーではないのに残念。でもっと残念なことには、観客は大満足のよう。
うーむ。みんな耳遠いん?

2015年9月17日木曜日

セプティエンブレ・エス・フラメンコ9アンドレス・マリン

セビージャ生まれのアンドレス・マリンの新作「カルタ・ブランカ」は、雨のため、トーレ・ドン・ファドリケからアラメーダ劇場に移転しての公演。

Archivo Fotográfico la Bienal de Flamenco, fotógrafo Antonio Acedo.

ホセ・バレンシアとセグンド・ファルコンの歌、サルバドール・グティエレスのギター、ダニエル・スアレスのパーカッション、ハビエル・トリゴのクラリネット、ラウル・カンティサーノのサンフォニャとエレキギターという男ばかりの構成。

Archivo Fotográfico la Bienal de Flamenco, fotógrafo Antonio Acedo.

アンドレスは最初から最後まで舞台の上で踊り続ける。それを伴奏するのはドラムスとエレキギターだったり、リコーダーだったり。クラリネットだったり。
アンドレス自身もシンバルやお祭りの鈴を身につけ、自らを捧げて音楽となる。

Archivo Fotográfico la Bienal de Flamenco, fotógrafo Antonio Acedo.

ファルーカ、シギリージャ、ブレリア、ソレア、カーニャ。
フラメンコ曲もうもれるようにそこにいて、 彼の威力をみせつける。
仮面をつけてのファルーカはマルセル・マルソーのようだが大野一雄のイメージらしい。アンドレスが歌うソレアのうまさ。
でもこの夜一番よかったのはブレリア。あの呼吸! 彼は足で歌うのだ。

Archivo Fotográfico la Bienal de Flamenco, fotógrafo Antonio Acedo. 
と、今までの彼の公演の中で一番!くらいによかったのだけど、どうも頭から離れないのはにわとりが先か卵が先か。
いろんなことがイスラエル・ガルバンとその作品に似すぎて、それが頭から離れない。同時多発?それとも写し?

動きについては、同じような動きでもイスラとは違うセンティードのものもあるし、同時多発かも?とも思うのだが、作品のあちこちにイスラエルの作品ですでにみたデテールがみえるのはいただけない。彼はもっとほかのことで、価値がある人なのだからもっと独自に切り開いてほしい、と切に願う。

ちなみにこの夜、エバ・ジェルバブエナをはじめ、アナ・モラーレス、ダビ・コリア、セジェスらのアンダルシア・フラメンコ舞踊団組、ウルスラ・ロペス、レオノール・レアル、ラ・チョニ、ラ・ルピ、クロエ・ブルーレら、多くの踊り手たちが会場につめかけておりました。クロエがセビージャに来て最初に習ったのもアンドレスだとか。

2015年9月16日水曜日

セプティエンブレ・エス・フラメンコ8アントニオ・レイ

1981年マドリード生まれ、ヘレス在住のアントニオ・レイのリサイタル。
すでに数枚のソロアルバムをリリースしている中堅。まだ十代の頃、メキシコのタブラオや日本で活動。後、ヌエボ・バレエ・エスパニョールの伴奏で頭角を現し、2003年にラ・ウニオンのコンクールで優勝した。

Archivo Fotográfico la Bienal de Flamenco, fotógrafo Antonio Acedo
ビセンテ・アミーゴやラファエル・リケーニ、ヘラルド・ヌーニェス、パコ・デ・ルシア。先人たちのモチーフをパッチワークにしたようなトーケ。
早弾きで観客をわかせるようなテクニックもある。
だが、曲としてはどうなんだろう。
ファルセータをつなげただけのような感じで、曲としてのまとまり、構成、コンセプトなどがまったく感じられないのだ。とっちらかった感じ?

リケーニに捧げたグアヒーラもそんな感じ。姉マラ・レイが登場したタンゴやパコに捧げた、シルヤブのモチーフが何度も登場するファンダンゴにはマラの息子でテレビ番組にも登場したホセも参加し、この2曲は歌が入ったせいか、ひとつの曲という感じはしたのだけど、次のルンバも、ビセンテ・アミーゴ風ボレロも、ブレリアも曲としてのまとまりが弱いように思われ残念。

演奏だけでなくその作曲能力も含めて評価される フラメンコギターの特殊性もあるのかもだけど、うーん、不完全燃焼でありました。

Archivo Fotográfico la Bienal de Flamenco, fotógrafo Antonio Acedo

セプティエンブレ・エス・フラメンコ7ランカピーノ父子「昨日と今日」

いやいや、本当にいいコンサートでした。
ランカピーノ父と子の二人による公演。会場はトーレ・ドン・ファドリケ。
カンテ・リサイタルとあって、ペーニャ関係者など年配男性も多いのが舞踊公演との違いかも。
二人が登場しただけで会場は拍手につつまれた。

最初はマルティネーテ。
ランカピーノの息子。1988年生まれのランカピーノ・チーコは朗々と。
声質は父のような、しゃがれたタイプではなく、アルカンヘルやミゲル・ポベーダのような、はりがありのびのある声なのだが、ケヒオ、嘆きの感じ、声をかすらせる感じや、声の強弱のコントロールなど、とてもとてもフラメンコ。
Archivo Fotográfico la Bienal de Flamenco, fotógrafo Antonio Acedo.

父は年をとってより味わい深く、より自由になったようだ。 
歌い回しなどは往年のままだが、前はきちんと通常の形の通り、あったけれど、今では好きなように歌っている。

Archivo Fotográfico la Bienal de Flamenco, fotógrafo Antonio Acedo.

まずは息子のソロはアントニオ・イゲロの伴奏で。
カディスのアレグリアスはゆっくりゆっくりていねいに歌う。パウサダ、しっとり落ち着いていて、なおかつカディスの香り高い素晴らしいうたいっぷり。しっとり歌われたことで、元気な曲というアレグリアスのかくれた魅力に出会った気分。あたたかみのある優しい曲なのだ。
 タンゴス・リブレスとプログラムにあったように、リズムにこだわらず、ファンダンゴ・ペルソナル風に、のばしたりしながら歌うタンゴ。ティエントぽくもあるのだが、でもやっぱりタンゴ。タンゴもカディスの曲だからか、これも見事。
ファンダンゴは立って。舞台前面にでてきて歌い上げる。
最後のブレリアも上等。
いや、これは本当によい歌い手であります。

お父さんはマラゲーニャをふたつ。そしてソレア、シギリージャ。
歌い方がかなり自由で若いギタリストには荷が重いかも。
そのシギリージャの前に、「チャノ・ロバートが、俺のことをアフリカのロバート・レッドフォードっていったんだよ」といい、会場は笑いにつつまれる。
続いて「ビバ!カハ・デ・アオロ」(信用金庫万歳)
会場大爆笑。
シリアスで悲劇的な曲であるシギリージャの前にこれですか、うそでしょ、という感じ。
が、ミゲル・サラドのギターでシギリージャ、レトラふたつ。古い響きでよいのであります。
ブレリア。息子もでてくるがまずは父がひとしきり歌って息子も歌うのか?という顔をするのがおかしい。
息子は終止父を気遣い、父をたてる。孝行息子。

ブレリアになるとヘレスの二人のギタリストも本領発揮でいきいきと。

いやいや良い夜でございました。
父のカンテ、子のカンテ。それぞれに味わいがあり魅力的。
フラメンコのかたちはひとつじゃなくて、それぞれ違ってそれがまたいい。
あったかいあったかいコンサート。聴くことができた人は幸せです。
Archivo Fotográfico la Bienal de Flamenco, fotógrafo Antonio Acedo.

2015年9月15日火曜日

セプティエンブレ・エス・フラメンコ6アナ・モラーレス「ロス・パソス・ペル ディードス」

H美しく、優雅で、繊細。でも芯の強さを感じさせるフラメンカ。
アナ・モラーレスの「ロス・パソス・ペルディードス」は観客全員が総立ちで惜しみない喝采をおくるすばらしい舞台だった。

バルセロナ出身だけどアンダルシア舞踊団のアトリエに学び、アンダルシア舞踊団を経てフリー、そして今またアンダルシア・フラメンコ舞踊団のソリストをつとめるアナ・モラーレス。これまでに「デ・サンダリア・ア・タコン(サンダルからハイヒールへ)」、「レシクラルテ」2作品を発表した彼女の三作目は振り付け、音楽だけでなく、効果にいたるまでよく考えられてつくられている。全編を貫く美意識。このうえもなく美しいフラメンコ作品だ。

Bienal. Foto ;Antonio Acedo
舞台前のライトに近づき扇であおぐ彼女のシルエットが大きく、後ろにそびえるドン・ファドリケの塔にうつしだされるオープニング。ダニエル・スアレスのパーカッションとのからみは前衛音楽/舞踊のようでもある。パブロ・スアレスのピアノでレクオーナのマラゲーニャ。それがミゲル・オルテガの歌うマラゲーニャへと。黒い、エレガントな衣装で踊る彼女のひとつひとつの動きの美しさ。セラーナをしっとり踊る。最後はピアノにつっぷす。

ミゲル・アンヘル・コルテスの演奏するハカラ。 舞台上の暗闇で衣装を変えるアナ。いつのまにかバタ・デ・コーラに着替え、ピアノ椅子の上に立つ。コーラが椅子をかくして巨人のようだ。白と黒の縞模様のこのバタ・デ・コーラの美しさ!

Bienal. Foto ;Antonio Acedo
 ソレア。バタ・デ・コーラの扱いも完璧で。みとれてしまう。

フアン・ホセ・アマドールが歌うマルチェーナのビダリータ。ミゲル・アンヘルの弾くサビーカスのファルーカはアバニコを使って。そしてタンゴ。アンダルシア・フラメンコ舞踊団「イマヘネス」ではバタ・デ・コーラで踊ったタンゴ・デ・マラガもここではふつうの衣装で、それもそのほかの二拍子系の曲と組み合わせながら。

踊るだけでなく、アイデアを形にする力があり、細部に至るまでこだわって丁寧に創り上げたアナに、彼女を支えたダビ・コリアに心から拍手
 





2015年9月13日日曜日

セプティエンブレ・エス・フラメンコ5ヘレス

満足、満足。
いい舞台でありました。
Archivo Fotográfico la Bienal de Flamenco, fotógrafo Antonio Acedo

オープニング、ディエゴ・デル・モラオとマヌエル・パリージャのギターでのブレリアのすばらしかったこと!これだけで終わっても満足なくらいによかったのであります。コンパス感、スピード感、ともに最高。歌がなくとも歌っているギター。小声で思わずオレ!
二人のパルマとパーッションもいかにもヘレス。

続いて登場したフアナ・デ・ラ・ピパ、ヘスース・メンデス、ドローレス・アグヘータはマルティネーテを歌い継ぐ。フアナのしゃがれ声、ヘスースの明快でよく響く声、ドローレスの父や祖父につながる声。三人三様。

そしてそこからは全員がクアドロのように舞台に大きな半円形で座るのだが、順に舞台中央に出て座り歌っていく。

フアナがティエント・タンゴをディエゴの伴奏で歌い、ドローレスはマヌエルの伴奏でシギリージャを。ヘスース・メンデスはアレグリアス。ディエゴは踊っているかのようにリズムで身体を動かしながらの伴奏。
フアナのソレアの伴奏はマヌエル。 ドローレスのファンダンゴ。ワイヤレスマイクをつけていることもあってか、最後はギタリストにむかって歌うのがほほえましい。自然体。

マヌエルのギターソロはシギリージャ。ヘレスらしい太い音。
ヘスースのソレアをはさんでディエゴのソロはブレリア。こんなに気持ちのよいブレリアはそんなにない。そこからフィン・デ・フィエスタに突入。順に歌い、パルメーロたちが踊り、ずっと座ったままのフェルナンド・ヒメネスもひと踊り。彼だけはずっと舞台に座ってパルメーロ扱いで、ちょっとかわいそうかな。

Archivo Fotográfico la Bienal de Flamenco, fotógrafo Antonio Acedo



でも本当、ギターがいいからすべてよかった一夜でございました。

2015年9月12日土曜日

セプティエンブレ・エス・フラメンコ4マカニータ、グイト、ポティート

アルカサル2日目。
昨日のアルカンヘルは満員で千人近い観客が入ったそうだが、おそらく今日はその半分。

ヘレスの歌い手マカニータ、マドリードのベテラン・ダンサー、エル・グイト、一時活動を休止していたセビージャの歌い手ポティート、の出演。彼ら3人が共演した舞台というのは記憶にないし、共通点というえばヒターノであることだけで、どんな舞台になるのか見当もつかなかったけど、結論からいえば3人がそれぞれのパートを30分ずつやるという、いわばジョイントコンサート的、というか、昔ながらの村のフェスティバル方式、というか、な形でありました。いや、村のフェスティバルにはつきものの全員でのフィン・デ・フィエスタもなかったし、3人でやる意味はまったくなかったも同然。

トップバッターは黒いレースの衣装のマカニータ。今のヘレスを代表するカンタオーラ。この人の声には伝説的なソレア歌いであるフェルナンダにも通じる味わいがある。歌う声は似ていないんだけど、音をのばした歌い終わりのところとか、ちょっといい具合にかすれてて本当に味があるムイ・フラメンコな声なのだ。マヌエル・バレンシアの伴奏でティエント〜タンゴ、ソレア、ブレリア。マヌエルの伴奏はふかふかのベッドのように心地よく響き決して歌を邪魔せず支える感じ。マカニータはファルセータが終わってないことなどおかまいなしにうたいはじめる。もっといえばギターが刻むコンパスの、はいここで入りますというところではなく、まるでギターをまったくきいていないかのように自由に歌い始める。あくまでも歌が主役。そんな勝手な感じもわるくない。彼女は昔からあまり変わらない。レパートリーも歌詞も。最後は立ってマイクを外して歌って踊るブレリア。だが今日はワイヤレスマイク付き。いまいち盛り上がらないか。そういえばこの同じ舞台でパケーラが歌ったことがあったなあ、と思い出してるうちに終了。

La Bienal.Antonio Acedo

二番目はグイトのはずが舞台には二脚の椅子。ミゲル・テジェスとラファエル・ペラル、二人の中堅ダンサーが椅子に座ってのサパテアードからのアレグリアス。イメージはかつてのグイトとマリオ・マジャ? かつてカナーレス舞踊団で活躍したペラルはなぜか芯が安定しない。テジェスはヘレス出身マドリード在住、マドリード勢の中で唯一、グイトやマノレーテの美しい姿勢をうけつぐ人だが、この会場でソロは少々荷が重い。そしてグイトの極めつけソレア。長いイントロ。歌ひとつが終わってようやく舞台に登場したグイト。1942年生まれというからもう73歳。最近はほとんど踊っていなかったように思う。マドリード郊外トーレロドーネスの町で教えているようだけど。この夜の彼は時折、ピラール・ロペス舞踊団黄金時代をガデスやマリオと生きた彼だからこその美しいポーズはみせたものの、本調子ではなく非常に残念。フェルナンダの引退直前のコンサートで、声が出ず音程が外れ、想像力でおぎなって鑑賞したことを思い出させる。ブレリアでは得意のゆっくりしたブレリアを歌いちょっとした振りをみせ終了。うーん。

La Bienal Antonio Acedo

最後はポティート。一時引退していたこともあり、大きな舞台で彼を聴くのは久しぶりだ。ソレア。シギリージャ。タンゴ。ブレリア。伴奏はホセ・カルロス・ゴメス。アルへシラス出身のギタリストで、スペイン国立バレエを経てニーニャ・パストーリのグループで活躍した人でソロアルバムもだしている人だけど、カンテ伴奏をこうした形でみるのははじめてかも。おそらくあまり一緒にやっていないとみえて、タンゴで昔のアルバムに入ってた曲など歌うとそれについていくのはちょっとたいへんそう、でありました。ソレアやシギリージャは本格純粋派の伝統的なかたち、というかむしろちょっと古い感じ。モデルノからの伝統回帰?いや、でも考えてみれば昔々、こどものときから彼はこんな感じで歌っていたな、と。トラバレングアという、ちょっとかんでしまいそうな早口な感じでの歌い方とか、声ののびとか。カニサーレス伴奏のアルバムとかあった(けっこう好きだった。今探したら「マカンデ」というアルバムでございます)し、それなりにテミータとよばれるような曲も歌ってはいたけどさ、てなことを考えながらみていたんだけど、終わったあとで友達と話していたら、二人も同じことを考えてたということが発覚。うん、マカニータといい、もともとのものから変わることはあんまりないのかも。そう考えるとやはり昨日のアルカンヘルはすごい、モレンテはもっとすごかった、と思ったり。

La Bienal Antonio Acedo


しかしこういう形での公演、もう少し手をかけて、アルティスタ同士のなんらかのつながりをつくるとか、場面でのつながりを意識するとか、なんかできないものですかね。その意味でも初日のガラ公演はよかったね。
今日はヘレスのアルティスタによる公演です。

2015年9月11日金曜日

セプティエンブレ・エス・フラメンコ3アルカンヘルとブルガリアン・ボイス

今日の会場はアルカサル。
ライオンの門から入って宮殿の中に入る手前のパティオにつくられた特設舞台。
これ以上はない美しい会場。日中はまだまだ暑いセビージャだが夜は涼しい。

今年のグラナダ国際音楽舞踊祭やコルドバのフラメンコの白夜などでも上演されたアルカンヘルとブルガリアン・ボイスの共演。

La Bienal. foto;Antonio Acedo

La Bienal. foto Antonio Acedo

8人の若い女性と舞台に上がったアルカンヘル。
彼女たちの声とアルカンヘルのフラメンコな声が交差する。
楽器で伴奏しているかのように響いたかと思うと、ソロで歌う人もいる。面白い。
彼女たちが去ってダニ・デ・モロンが登場。ソレア。
いつものことだけどアルカンヘルはその曲ごとの性格をうたいわけるのがうまい。

La Bienal. foto Antonio Acedo

イタリア人アコースティックギタリスト、アントニオ・フォルシオネ のパット・メセニー風のイントロからはじまるマリアナ〜タンゴス。
そのギターのとパーカッション、ベースとブルガリアン・ボイスでの一曲のあとはファンダンゴがあってアレグリアス。ティリティタンをブルガリアンボイスできけるとは思わずにっこり。
ブルガリアン・ボイスのソロ、これがよかった。その前のギターとのときなど、うーんこれはひょっとするとアマチュアかなあ、的な感想を抱いていたのでありますが 、彼女たちの伝統の歌はみごと。編曲が悪いのかもしれません。
アルカンヘルのカンテ・デ・レバンテ、モレンテがアルバム「オメガ」で歌った「アウロラ・デ・ヌエバ・ヨルク」。モレンテなんだけどちゃんとアルカンヘルになっているところがうれしい。
お話、メンバー紹介があって最後の曲はアントニオ作曲という「アルハンブラ」。いや、なんか違う。好みの問題かもしれないけど、ここはちゃんとフラメンコで、と思っていたら満員の観客総立ちの拍手に応えてアンコールは「レジェンダ・デル・ティエンポ」。
カマロンの名曲の歌詞の一部を彼女たちも歌うのが素晴らしい。
再び観客総立ちで閉幕したのでありました。

モレンテにカマロン。時代をつくった天才たちの遺産をちゃんと受け継ぎつつも自分のスタイルをつくり、現代音楽やバロックなどさまざまな音楽とも共演を続けるアルカンヘル。彼がモレンテから受け継いだのはその挑戦の姿勢なのかもしれません。





2015年9月10日木曜日

セプティエンブレ・エス・フラメンコ2パストーラ・ガルバン「モラタナ」

22時のトーレ・ドン・ファドリケでパストーラ・ガルバン。
この塔の下の貯水池の上に?つくられた仮設舞台は通常の劇場舞台が横長なのに対して縦長。また照明も真上からあてられないなど、いろいろ制約あり、であります。
にもかかわらず、の力作初演。
タイトルの「モラタナ」とは、モーラ、イスラム教徒とヒターナをあわせた造語。
イスラムの女の流れとヒターナの流れ。そのふたつをくんだ女、のことなのだろう。
パストーラがモラタナを踊る、ということなのだろう。

バックにもレブリハーノらと共演しているバイオリンのファイサルとアミン・オウドのウードとボーカル、アラブ語でも歌うアンヘリータ・モントージャ(ローレの妹)が、フアン・ホセ・アマドールの歌、ペドロ・シエラとペドロ・サンチェスのギター、ホセ・カラスコのパーカッションのほかにいてアラブムード全開。

なのだが、最初に登場したパストーラのピンクの衣装はアラブ風というよりインド風。
La Bienal. foto Antonio Acedo

ローレがアラブ語で歌ったタンゴをアンヘリータが歌い、パストーラが踊る。
金属製の小さなシンバルみたいなものを指につけてならすチンチンを使ってのサンブラ。

アラブとフラメンコ、がテーマになっているフラメンコ作品はこれまでにもいくつか作られており、たとえばラファエル・アギラール「ドゥケラ・デ・アルハンブラ」などがある。sそこから生まれたのがレコード「マハマホンダ」だし、この日、客席に姿をみせていたエル・レブリハーノもアラブ+フラメンコで何枚かアルバムをだしている。

ダンサモーラからファンダンゴ/セビジャーナス・コラレーラス。
激しく踊りまくっていたパストーラが最後、セビジャーナスを歌ったのにはびっくり。
アンヘリータのブレリアをちょいと踊って引っ込み衣装替え。

ルベン・オルモのソロ舞踊があり、ブレリアがあり、
La Bienal. foto Antonio Acedo

ヒターノたちのビデオでの歌があり、赤いバタ・デ・コーラのパストーラ のペテネラ。
バタつかいもマントンつかいもさすが。
La Bienal. foto Antonio Acedo


ルベンとパレハでのビートがよかった。二人とも闘牛士のような派手なジャケットにカスタネットで舞台狭しと踊りまくる。拍手!

La Bienal. foto Antonio Acedo


ギターソロでのアレグリアスからタラント。ピスタチオ色の衣装の裏地の華やかさ。
La Bienal. foto Antonio Acedo

最後はレブリハーノのダメ・ラ・リベルタ。


うーん、なんなんでしょうねえ。
個人的には不完全燃焼。いいものをもっているんだけどいかしきれていない感じ?
イスラムの雰囲気はあったけど、ヒターナぽくはなく、フラメンコらしくもない。
塔にうつされるビデオがいまいち安っぽく、ちょっと残念。







2015年9月9日水曜日

セプティエンブレ・エス・フラメンコ1ガラ・ヒラルディージョス

セプティエンブレ・エス・フラメンコがいよいよ開幕。
ビエナルが、ビエナルのない奇数年にもフラメンコを、ということで、
ビエナルよりも短い期間、少ない公演数で行われるフェスティバルで今年が第一回。

初日はヒラルディージョスのガラということで、昨年のビエナルに参加し、
ヒラルディージョ賞をもらったアルティスタたちが出演しました。

最初の場面は作品賞を受賞したアンダルシア・フラメンコ舞踊団。受賞作「イマヘネス」の最初の場面、マリオ・マジャに捧げたそのシーンを舞踊団員全員参加で再現した。
ラファエラの美しい、完璧な動き、かたちを満喫。いや、やっぱりこの舞踊団、レベルがめちゃくちゃ高いです。


La Bienal. foto Antonio Acedo

第二の場面はギター部門で受賞したミゲル・アンヘル・コルテス。 幕前でソレアを弾きはじめるとエスペランサが舞台脇のバルコニー席からサエタのように歌いかける、という演出。

La Bienal. foto Antonio Acedo
La Bienal. foto Antonio Acedo

幕が開くとビエナルでのミゲル・アンヘルの公演での共演者である、クラシック・ギタリスト、ホセ・マリア・ガジャルドがいて、弾き始めたのはアマルグーラ。今夜この場にいることができない、マエステリア賞のラファエル・リケーニへのオマージュ。
その美しさ。先のビエナルではリケーニとパコ・ハラーナらが一緒に演奏したアマルグーラはもともと聖週間の行進曲なのですが、それをリケーニがフラメンコギターで演奏したのはもう20年くらい前になりますでしょうか。もともとの曲も、もちろん美しいメロディなのですが、ギター演奏でそれがいっそう引き立ちます。フラメンコギターでの演奏でもそうですが、この日はホセ・マリアのクラシックギターの、フラメンコとは違う、細やかな音づかいも引き立って、よりいっそう美しく、感動的でした。
この写真ではわかりませんが、ホセ・マリアの隣にもうひとつ席があり、そこにギターがあました。演奏が終わるとそこへ挨拶。ラファエルへの暖かい気持ちが伝わります。そういえば、ホセ・マリアはCD「セビリア組曲」で共演し、一緒に公演していたこともありました。

La Bienal. foto Antonio Acedo
三番目の場面は名誉賞のレブリハーノとエンリケ・モレンテ。まずはエンリケの「エストレージャ」を、エンリケの次女、ソレアといっしょに。
La Bienal. foto Antonio Acedo
 続いてソレア。ベテランの熱唱にさかんな拍手がおくられていました。伴奏は甥っ子ペドロ・マリア・ペーニャ。
La Bienal. foto Antonio Acedo
そこに新人賞のマヌエル・バレンシアが加わりブレリア。
舞台に一人残ったマヌエルはシギリージャをソロで演奏。ヘレすらしい、重みと風格のある、伝統を感じさせる見事なシギリージャでした。

La Bienal. foto Antonio Acedo

そのマヌエルがつまびくギターにのせて下手からアントニオ・レジェスが登場。カラコール風のサンブラを歌います。続いてトリアーナのソレアとポロをアントニオ・イダルゴの伴奏で。
最後はファルキート。再びソレアです。
いつものギタリストに変わって、ラファエル・ロドリゲスが弾く太い音で、祖父ファルーコを彷彿とさせるゆったりとした登場。そして瞬発力。

La Bienal. foto Antonio Acedo


フィナーレは普段着になったアンダルシア舞踊団を始め出演者全員のあいさつ。そこでフィン・デ・フィエスタがはじまります。レブリハーノの歌で踊るファルキート。そして最後はラファエラとファルキートが一緒に踊って終演。

一流アルティスタがたくさん出演していながら、場面ごとのつながりもあって、作品的に仕上げたのはカナルスールのフラメンコ専門家、マヌエル・クラオ。
セプティエンブレ・エス・フラメンコ、まずはさいさきのいいスタートです。

La Bienal. foto Antonio Acedo


 追加!
こちらは主催者であるビエナルがアップした総括ビデオ。
記者会見からはじまり終演後まで。
残念なことにオリジナルの音ではありませぬ。

2015年9月7日月曜日

明日からセプティエンブレ・エス・フラメンコ


いよいよ明日からセプティエンブレ・エス・フラメンコ。
今日は開幕公演、ヒラルディージョのガラの記者会見がありました。

昨年のビエナルで作品賞をとったアンダルシア・フラメンコ舞踊団にはじまり、ギター賞のミゲル・アンヘル・コルテスはホセ・マリア・ガジャルドと。名誉賞のレブリハーノ、新人賞のマヌエル・バレンシア、カンテ賞のアントニオ・レジェス、そして舞踊賞のファルキートと豪華なメンバーが出演します。

その後もパストーラ・ガルバン、アルカンヘルと続きます。
公演の様子は明日からこちらでお知らせしますね。

2015年9月6日日曜日

フラメンコ・ホベン15enマドリード


マドリードでフラメンコ・ホベンという名前のフェスティバル?公演シリーズが9月23日から開催される。
初日はそのマドリナ、義理の親という位置づけでマドリード出身のベテラン、ラ・タティ。
二日目以降は20代のアルティスタ中心のプログラム。
上がつまっているのでなかなか活躍の場を得ることが難しい若手たちにスポットがあたるいい機会になることだろう。

◆フラメンコ・ホベン15
9/23(水)20時「ア・ミ・マネラ」
[出]〈b〉ラ・タティ
9/24(木)20時
[出]〈c〉ランカピーノ・チーコ。ダビ・デ・ハコバ、ソロ〈g〉アモス・ロラ、〈b〉へマ・モネオ
9/25(金)20時
[出]〈c〉へスス・コルバチョ、マリア・メスクレ、ソロ〈g〉ダビ・カルモナ、〈b〉ベレン・ロペス
9/26(土)20時
[出]〈c〉ホセ・エンリケ・モレンテ、トニ・フェルナンデス、ソロ〈g〉フアン・アビチュエラ・ニエト、〈b〉セルヒオ・アランダ
[場]マドリード コンデ・ドゥーケ劇場
[料]12ユーロ
[問]www.condeduquemadrid.es

2015年9月5日土曜日

マドリードでエストレマドゥーラのアルテを

マドリードのシルクロ・フラメンコ・デ・マドリードに9月17日、
エストレマドゥーラのアルティスタが出演。 
昔、映画「ベンゴ」にも出演していたラ・カイタをはじめ、数年前ビエナルで注目を集めた細身の老バイラオール、エル・ペレグリーノ、歌い手アレハンドロ・ベガらが出演。
絶対面白いことになること間違いなし。
会場はスペイン広場そばのタブラオ、ラス・タブラス。
会員以外も入場料を払えばみることができるが、要予約。


2015年9月2日水曜日

いよいよセプティエンブレ・エス・フラメンコ



いよいよ来週からセビージャでセプティエンブレ・フラメンコがはじまります!
その会場のひとつ、トーレ・ドン.ファドリケで、ここを会場に行われる公演を紹介する記者会見が9月2日、そのトーレ・ドン・ファドリケで行われました。

記者会見にはアナ・モラーレス、アントニオ・レジェス、ランカピーノ・イーホが出席。彼らの公演以外にもパストーラ・ガルバン、アンドレス・マリンも公演します。パストーラの公演はもう2ヶ月前から切符が売り切れているそうで.、アナ・モラーレスも売り切れだそうですが、まだほかの公演は切符があるので、セビージャにいらっしゃる方はぜひ。
入場券はこちらから

◆セプティエンブレ・エス・フラメンコ
9/8(火)20時30分「ガラ・デ・ヒラルディージョ」
[出]〈c〉エル・レブリハーノ、アントニオ・レジェス、〈g〉ラファエル・リケーニ、マヌエル・バレンシア、ミゲル・アンヘル・コルテス、〈b〉ファルキート、アンダルシア・フラメンコ舞踊団
[場]セビージャ ロペ・デ・ベガ劇場
[料]10~30ユーロ
9/9(水)22時「モラタナ」
[出]〈b〉パストーラ・ガルバン
[場]セビージャ トーレ・デ・ドン・ファドリケ
[料]25ユーロ
9/10(木)22時「エストゥルナ」
[出]〈c〉アルカンヘル+ブルガリアン・ボイス
[場]セビージャ レアル・アルカサル
[料]25ユーロ
9/11(金)22時
[出]〈b〉エル・グイト、〈c〉ポティート、ラ・マカニータ
[場]セビージャ レアル・アルカサル
[料]25ユーロ
9/12(土)22時「ヘレス」
[出]〈b〉〈c〉へスース・メンデス、〈g〉ディエゴ・デ・モラオ、マヌエル・パリージャ
[場]セビージャ レアル・アルカサル
[料]25ユーロ
9/13(日)22時「ロス・パソス・ペルディードス」
[出]〈b〉アナ・モラーレス
[場]セビージャ トーレ・デ・ドン・ファドリケ
[料]25ユーロ
9/14(月)22時
[出]〈c〉ランカピーノ、ランカピーノ・イーホ
[場]セビージャ トーレ・デ・ドン・ファドリケ
[料]25ユーロ
9/15(火)22時
[出]〈g〉アントニオ・レイ
[場]セビージャ トーレ・デ・ドン・ファドリケ
[料]25ユーロ
9/16(水)22時「カルタ・ブランカ」
[出]〈b〉アンドレス・マリン
[場]セビージャ トーレ・デ・ドン・ファドリケ
[料]25ユーロ
9/17(木)22時
[出]〈c〉ホセ・メネセ、アルヘンティーナ、〈b〉ミラグロス・メンヒバル
[場]セビージャ レアル・アルカサル
[料]25ユーロ
9/18(金)22時「フラメンコ・サクロ」
[出]〈c〉ホセ・デ・ラ・トマサ
[場]セビージャ レアル・アルカサル
[料]25ユーロ
9/19(土)22時
[出]〈c〉アウロラ・バルガス、パンセキート
[場]セビージャ レアル・アルカサル
[料]25ユーロ
9/20(日)20時30分「アイ!」
[出]〈b〉エバ・ジェルバブエナ
[場]セビージャ マエストランサ劇場
[料]22~40ユーロ
[問]www.labienal.com