2024年2月29日木曜日

ヘレスのフェスティバル6日目その2『エテルノ ピカソへのオマージュ』

 ピカソ没後50年を記念して制作された作品。

スペイン国立ダンスカンパニー監督のホアキン・ラ・ルス、サラゴサのホタの巨匠ミゲル・アンヘル・ベルナ、ウsペイン舞踊のマイテ・バホ、フラメンコのルピ、と豪華なゲストを迎えて、休憩を挟んでの一部と二部。

結論から言うと、二部は必要なかったと思う。

19世紀をイメージしたとルピが記者会見で語っていた一部で、ホアキンと元国立バレエ団のエステラ・アロンソが踊ったファンダンゴが白眉。あまりの美しさ、素晴らしさに涙涙。

エスクエラ・ボレーラはクラシックのバレエとテクニック的には共通するとは言っても、バレエとは違うちょっとした腕の形や首や体の傾げ方、音と動きとの関係などが特徴的で、バレエダンサーなら誰もが踊れると言うものではない。けれどホアキンは完璧以上!音の取り方、間合いの良さ、これはクラシックバレエを見ていてもスペイン人ダンサーの演技に時に感じる(例えばアンヘル・コレーラとか)ことではあるのだけど、音とピッタリあったうごき、細部まで木が配られた形の美しさとか、もう圧倒されまくりでございました。

©︎Esteban Abión/Festival de Jerez

©︎Esteban Abión/Festival de Jerez

©︎Esteban Abión/Festival de Jerez

エステラとのデュオも息が合っていてため息。美しすぎる。。。このシーンだけでこの作品をみた甲斐があったと思わせられた。

彼女の作品でヘレスで公演した時に比べ、すっきり痩せたルピのカラコーレスもムイ・フラメンコだったし、ベルナのホタもカスタネットもようございました。

音楽がなんか安っぽい映画音楽みたいな感じだったのは残念だし、舞踊学校のコンテンポラリーのクラスの発表会みたいな二部なしで、一部だけで終わった方が良かったけど、あのボレーラだけで私は幸せでございました。



Carlos Rodríguez Ballet Flamenco Company from Festival de Jerez Televisión on Vimeo.

ヘレスのフェスティバル番外編2『リオ・デ・フロンテーラ』

 Regalazo 

もしスペイン語でこの夜の記事を書くならそういう見出しをつける。とてつもなく大きなプレゼント、すごいプレゼントを受け取り、目撃した気分。 

公演そのものもすばらしく、それ自体が観客への最高の贈り物だったけど、ヘレスのアーティストたちが全身全霊を込めて小林亮をサポートしていたことも彼へのプレゼントだし、ひいてはヘレスのフラメンコたちからのフラメンコを愛するすべての人たちへのプレゼントでもある。アーティストたちにとっては気のおけない仲間たちとフラメンコを楽しむ機会が小林からのプレゼントだろうし、コンサートはこの企画を実現するために奔走した島村香と小林亮夫妻からヘレスの人たちへの贈り物でもあり、と言った具合の多層構造の大きなプレゼントなのであります。

で結論。素晴らしかった。私は東京でも見たのだけどそれ以上だった。小林自身も、フィン・デ・フィエスタでのブレリアの一振りに至るまで、よりヘレスにそまっているような感じだったし、へスース・メンデスもアンドレス・ペーニャもいつも以上に素晴らしかった。とくにアンドレスは神がかってた。昔ながらのフラメンコを最高の形で見せてくれる、というか、しっかりカンテにレトラに反応し、それに最適な振りが、絶妙な間合いで繰り出される。どんだけオレを叫んだことか。アネ・カラスコは場を引き締めリードし、マヌエル・カンタローテとディエゴ・モントージャのパルマがよりヘレスな空気感を醸し出す。

満員御礼、立ち見も出た会場を埋めた観客誰もが幸せな気分で会場を後にしたに違いない。







ヘレスのフェスティバル6日目ダニエル・ラモス『コントラクエルポ』

 バレエシューズをはき、バレエダンサーのような回転や跳躍を駆使し、カスタネットを使うなどして踊るエスクエラ・ボレーラ。ロマンチックバレエとも関係があり、フラメンコの源流でもあるスペインの古典舞踊

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

フラメンコシューズでのフラメンコ
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

そしてフラメンコや古典舞踊、民族舞踊などスペイン舞踊の技術を使って基本、純フラメンコ以外の音楽で踊るエスティリサーダ。
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez


その全てを得意とし、見事な技術とアルテで、ほぼ満員の観客を魅了し尽くしたのがダニエル・ラモス。
ファンダンゴに合わせ、腰に足首までの長いフレコのついた巻きスカートのようなベルトをつけて、バレエシューズでの、ピルエット、跳躍、細やかな足遣い、カスタネットで見せるボレーラでのオープニングから、ミラー使いの派手なジャケットを着て、帽子使いの工夫でも見せるユーモアのあるガロティン。クラブシーンのような場面で怒ったギタリストがギターを壊すところで客席から登場したミゲル・アンヘル・エレディアが舞台に上がり、歌うシギリージャ。

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

それを踊るダニエル。ミゲル・アンヘルの振り付けだというけれど、ところどころ得意な回転なども入れてムイ・フラメンコであると同時にムイ・エスパニョール。

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

フォリア?みたいな音楽で上半身裸で、マントンを使って踊る、その独特なマントン使い。そのテクニックの凄さ。

で、あっという間の1時間でございました。


©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

ダニエル・ラモスと言っても、日本では知っている人は少ないだろう。その彼のソロでの初めての作品をヘレスに持ってきてくれたフェスティバルに感謝。さすが世界で唯一のフラメンコとスペイン舞踊に特化したフェスティバルであります。


なお、ダニエルは現在、今年7月来日予定のアントニオ・ナハロ舞踊団やマヌエル・リニャンら男性舞踊手たちが全員女装で登場する話題作『ビバ』、で活躍する舞踊家。エスクエラ・ボレーラを得意とし、『ビバ』やナハロの『ケレンシア』でもエスクエラ・ボレーラの見事なソロをみせている、と言えば思い出す人もいるかもしれない。バレエダンサーのような、美しい回転や跳躍はおそらく現在、活躍するスペイン舞踊家のなかで屈指の存在。また、劇場公演の合間をぬってマドリードのタブラオでも踊ることもある。フラメンコもボレーラを含むスペイン舞踊も両方こなすので、これからも要注目であります。




ヘレスのフェスティバル5日目その2ルイス・モネオ『メタル・フンディド』



23時からはゴンサレス・ビアスのボデガでルイス・モネオの新譜発表記念公演。
ヘレスらしい歌を聴かせるベテラン。
元々ギタリストだったからか、フラメンコらしさだけでなく、音楽性というか、リズムをキープしていく感じとか、ちょっと独特。日本で舞踊伴唱で活躍するのもわかる気がする。

オリジナルのレトラでのロマンセ、ソレア・ポル・ブレリアとカルロス・グリロらパルマ隊といい感じですすみ、
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez



マルティネーテでは息子の嫁マリア・ホセ・フランコが踊ったけど、ない方が良かったかも。衣装もキラキラとか付いててナイトクラブみたいだし、リズムもうーんな感じで。

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

 ソレア、シギリージャは息子のギターだけでの伴奏で、

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

最後のブレリアでまた全員登場。


Luis Moneo from Festival de Jerez Televisión on Vimeo.

2024年2月28日水曜日

ヘレスのフェスティバル5日目ホアキン・グリロ『クチャロン・イ・パソ・アトラス』

ホアキン・グリロの新作は労働者へのオマージュ。
畑で働く農夫、鉱山で働く坑夫、そして鉄の仕事をする鍛冶屋。厳しい仕事に日雇いのような悪い条件のもと携わってきた人たち、世代が少し上の人々をイメージしての作品。

最初のブロックでは農夫のイメージで何かを刈る動作などやホタのパソが入ったり、

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

カンテラやカンテ・デ・レバンテで鉱山の雰囲気に包み、鉱山町の居酒屋であろうところでの荒くれ男たちの軋轢をホセ・バレンシアと対峙してみせ

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

マルティネーテで鍛冶屋と進み、
働く人たちへのオマージュをサエタでカルメンが歌う。

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

そして歌い始める。つらい仕事もあるけれど、仲間と歌って力強く生きていく

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez



©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

そしてタイトルの、クチャロン大きなおさじが登場する。

大きな器に入ったものを大さじですくって食べて一歩下がる。皆で同じ器から食べる、日本で言うなら同じ釜の飯を食う、と言う感じかも。
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

そして始まる宴では歌い手がギタリストが踊り、ホアキンが歌う。ブレリア三昧。




ホアキンも踊る。




うん、きっとフラメンコはこんなふうに、つらい仕事を忘れ、生きるためのものなんだな、とか考えつつ。
客席を通り、ロビーに抜けて歌い続けてさっていく彼らを見ながら思ったことでありました。

それにしてもホアキン。1時間半ほぼ踊り続けているのだけど、その間合いの良さ、靴音の色彩の豊富さはやはりダントツ。美しい、クラシックギター的に美しいギターの音色がサントラのように響き、存在感のあるカンテを引き立て、いやあ、本当に、良き舞台でありました。






Compañía Joaquín Grilo from Festival de Jerez Televisión on Vimeo.

ヘレスのフェスティバル5日目オフ・フェスティバル番外編/石川慶子、川本のりこ、フアン・ポルビージョ

 ヘレスのフェスティバルの開催時にはフェスティバルが主催する短期クラスや公演のほかに、外部が主催するクラスや公演、イベントもあります。
クラスならチキやセントロ・バイレ・ヘレスが昔からやっていますし、ライブではラ・グアリダ・デル・アンヘルというライブハウスが行っているフラメンコライブが今年で13年目。
ここには日本人アーティストも数多く出演しています。萩原淳子はもはや毎年恒例?
今年も27日にはフアン・ポルビージョと川本典子、石川慶子が出演しました。

タンゴでのプレゼンテーションに続いて
川本はソレア。
石川はマントンとバタでのカーニャ。カーニャだけどブレリアつき。バタもマントンもとても上手。



フアンはメリハリがきいたアレグリアス。



ギターはルーカス

歌はミゲル・ロセンドと

レジェス・マルティン。


フィン・デ・フィエスタのブレリアで盛り上がり幕。

今後も以下の日本人参加公演がありますよ。ストリーミングもあるようなのでよろしければ。
29日
17時[出]『ディアグノスティコ・フラメンコ、ラ・ノチェ』〈c〉中里眞央、フアン・デ・マリア、アントニオ・マレーナ、〈b〉佐藤浩希、〈g〉アントニオ・マレーナ・イーホ、〈コンパス〉ディエゴ・マレーナ/20ユーロ
3月4日
19時[出]『デ・ハポン・ア・ヘレス』〈b〉安井理紗、林結花、松下幸恵、荒濱早絵、宇根由佳、山下美、〈c〉エンリケ・エル・エストレメーニョ、〈g〉ニョニョ・サンティアゴ/12ユーロ
9日
19時[出]〈b〉萩原淳子/15ユーロ






2024年2月27日火曜日

ヘレスのフェスティバル4日目イレネ・ロサノ『プレセンテ』

翌日公演の準備のためビジャマルタ劇場公演がない日。
18時30分にサラ・コンパニアでイレネ・ロサノ。
マラガ出身で小島章司公演にも何度か出演している。確かスイスを経てマイアミ在住だったような。一昨年、ウニオンのコンクールで優勝。

©︎Esteban Abión/Festival de Jerez
 
確かによく動ける人だとは思うけれど、全体的に粗雑。サパテアードの音が大きいのは音響のせいもあったかとは思ったけど、強ければいいというものではないのではないかと思う。
マントンも同様。忙しくぐるぐる力任せに振り回してもオレとはならない。センティード、細やかな心を感じられるような丁寧な動きの方が美しいと私は思う。

アレグリアス、マラゲーニャ、カンテ・デ・レバンテ、シギリージャ、ソレア。
歌、ギター、パーカッションの3人にピアノも加わった編成。演出が、先日素晴らしい舞台をみせたホセ・マルドナードということでちょっと期待していたのだが、うーん。何か言いたいことがあったのかどうかもわからない。
こういう踊りを力強いとか情熱的とか思う人もいるかもだし、こういうのが好きな人もいるのだろうけど、私ははっきり言って苦手。

昨日のモネータのときも思ったけど、私がフラメンコ舞踊に求めるものは美しい形と、間合いの良さなのだと思う。コンパスはすごく微妙なもので、コンマ1秒とかのほんの小さな、微妙な間合いがオレ!を引き出すのでございます。



ヘレスのフェスティバル三日目その2モネータ『ビンクロス』

 現代スペインを代表する作曲家の一人で、フラメンコにも造詣が深いマウリシオ・ソテロの現代音楽で彩られたモネータの作品『ビンクロス』はこれが初演とのこと。


黒い衣装にベストという前半の衣装は黒なのに彼女を太めに見せてしまっていてちょっと残念。トナからのシギリージャ。

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

イスラエルとも長らく共演しているサックスのフアン・ヒメネスとの掛け合いも見事。

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

ちょっとかがむ感じというか、上体を前に倒してサパテアードする人、最近目につくんだけど、見た目が綺麗じゃないと思うのですが、ああすると足が強く聞こえるとかあるのかな。

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

ソレア。ベストを外して。

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

後半の赤い衣装は彼女にとても似合っていて、斜めのフレコも効果的で素敵だった。
ティエント、タンゴ、、、 タンゴもグラナダというよりトリアーナっぽい感じ。

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

ところどころ、チスパというか、キラッと光るところも。

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

Fuensanta 'La Moneta' (Vínculos') from Festival de Jerez Televisión on Vimeo.

2024年2月26日月曜日

ヘレスのフェスティバル三日目映画『パライソ・デ・クリスタル』

 アンダルシアのフラメンコでは、ヒターノと非ヒターノが平和に共存する、というイメージをドキュメンタリーとして描いた映画『パライソ・デ・クリスタル』。



メルセデス・デ・コルドバがフラメンコの中で、ヒターナじゃないからとかで差別を受けたことがない、と自分の体験を語り、彼女のカンパニーで歌うぺぺ・デ・プーラが登場し、闘鶏の鶏を世話しつつ自分の半生を語る…ホセ・バレンシアはレブリーハで、レブリハーノが歌った『ペルセクシオン(迫害)』を例に歴史的な迫害を語る。ヘレスの舞踊を学ぶ14歳の少女は自分の家族はどちらもいると話し、フィエスタに興じる。ギタリスト、マヌエル・バレンシアはアメリカの生徒にオンラインレッスンを行い、野原でバーベキュー、育ったアスンシオン地区の広場でギターをつまびく。

「ヘレスではヒターノじゃない人が曽祖父がとかなんかしらのつながりを口にするんだ。そんな所世界中でここだけじゃない?」と語るマヌエルの言葉で終わる。

フラメンコではヒターノが絶対という人もいるし、きれいごとばかりじゃないとも思うけど、たしかにこんな感じでもあるようにも思う。

個人的にはそれぞれの普段の様子のぞけるのがよかったかな。いうまでもないけれど舞台の上のフラメンコも生活と密接なわけであります。生活があってフラメンコがある、って重要。

  予告編はこちら

https://vimeo.com/780312443

なお、監督はオーストリア人で、オーストリアではヒターノの人種差別を含めた問題が大きく、それがこの映画制作のきっかけとのこと。ヒターノであることはフラメンコの中ではプラスにはたらくわけだけど、実際、ヒターノでも、日本人でも、結局は人なのだと感じます。


2024年2月25日日曜日

ヘレスのフェスティバル二日目その2ボリータ『フェルティル』

 18時半からはコンパニア、小劇場でのギターリサイタル。

ご当地へレスのギタリスト、ボリータ登場。パーカッションのパキート・ゴンサレスと第2ギターに息子ボリータ・チーコというトリオで。

ボリータはマリナ・エレディアやアルヘンティーナの伴奏やプロデュースで活躍するギタリスト。

ソレア、ロンデーニャ、

©︎Esteban Abión/Festival de Jerez

セビジャーナスは奥さんで昔アルバリスエラ舞踊団にいたエバが踊りやカスタネットで華を添えて、いい感じ。形が綺麗です。

©︎Esteban Abión/Festival de Jerez

ファリャの恋は魔術師や三角帽子のファルーカをメドレーで演奏。
©︎Esteban Abión/Festival de Jerez

そのほかにもアルゼンチンタンゴなど演奏。でもブレリアがなかったのは意外でございました。ヘレス出身なのに。

José Quevedo 'Bolita' (Fértil) from Festival de Jerez Televisión on Vimeo.

ヘレスのフェスティバル二日目その1カレン・ルゴ、ホセ・マルドナード、チクエロ『トレス・ピエサス』

いやあ、いいものを観せてもらいました。
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

踊り手二人にギタリスト。舞台の上には3人だけ。床を囲む照明、折り畳み椅子と絨毯。モノトーンの衣装。
大掛かりな舞台装置も華やかなムービングライトも衣装替えもないのだけど必要十分。
あ、途中で上に履いていたズボン脱いだりスカートとったりはするけど全部舞台の上。
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

グアヒーラ、ソレア。セビジャーナス、シギリージャ…
チクエロが奏でるフラメンコの素晴らしさ。奏でるだけでなく、舞台の上で動き、舞踊ともクロスする。歌はないけど歌心のある演奏だから物足りなさは感じない。
二人は一人で踊る時もあれば一緒に踊る時もある。時に鏡のように、時に対峙するように、時にパレハのように。
音楽をもとに精密に組み立てられているという感じ。三位一体。

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

踊る二人はこれぞフラメンコ!という瞬間もあれば、コンテンポラリー的な動きもある。デジタル的というか、カチカチという感じで動いたり、どこかピカソの絵のように見えたり。コンパスの妙、というか、間合いの良さに思わずオレをつぶやく瞬間がたくさん。

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

パズルのように細かく、精緻に組み上げられていて、凝った細部やひねりがたくさんあって目が離せない。 サパテアードでの会話でみせる音色の変化。

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez
椅子に座って、また椅子を回したり掲げたりとして踊る。椅子を三つ重ねてその間にギターを突っ込み反対側から弦を鳴らす。巻いたカーペットで踊り、広げたカーペットをマントのようにスカートのようにして踊る。ブレリアのソロ(絶品)を弾くチクエロの後ろに幕のように使ったかと思うと、最後は椅子にかけてソファのように使う。と、一つのものがさまざまな形で使われて、いやあもう、想像力創造力がすごすぎる。
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

アンコールでのガロティンはチクエロの弾き語り。
ユーモアに溢れていて最高、でございました。


©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez


二人とも、以前、小島ラトーレ作品に参加していたのでその才能は少しはわかっていたつもりだけど、いやあ、予想を超える素晴らしさでした。フラメンコにリミットを設けない、という意味ではイスラエルやロシオにも通じるのかな。
本当に素晴らしく、何度も観たいと思える作品でございました。13時の小劇場公演でもこういうすごいのがあるところがヘレスの良さですよね。