2013年2月28日木曜日

フラメンコ・フェスティバル2013アンヘレス・ガバルドン

イサベル・バジョンの興奮さめやらず
氷雨降るヘレスの町をサラ・コンパニアへ

アンヘレス・ガバルドンも新作「コン・コリエンテ」を。

白いブラウスに黒いスカートが
一時期はやったアマソナ(女性の乗馬服)風。
コルドベスを使ってのガロティン。
伝統的な帽子づかいからはじまって
帽子を横にもって帽子と踊るようにしたりのオリジナル性もみせる。

シギリージャは漆黒のバタ・デ・コーラにパリージョ。
Javier Fergo

金色のアバニコを使ったグアヒーラも最初のガロティン同様、
伝統的な使い方から彼女らしい個性をもみせる。

Javier Fergo
最後のアレグリアスは白いバタ・デ・コーラにマントンと
フラメンコの王道。
華やかにみせる。
Javier Fergo

Javier Fergo

イサベルの新作と
ダビ・ラゴスとロンドロという歌い手二人以外にも
共通する部分が多かったという印象。
伝統を探り、その中に自分の個性を見いだして行く、
とでもいうのか。

歴史に学び前進していく。
文学、音楽、演劇、サーカス…
コンテンポラリーやジャズ、ロック
他のジャンルの芸術との交流。
様々な試みで探していたものは
フラメンコそのものの歴史の中にあったのかもしれない。




















フラメンコ・フェスティバル2013イサベル・バジョン

結局フラメンコなのだ。

イサベル・バジョンの新作
「カプリチョス・デル・ティエンポ」
ビデオはこちら

ここ数年、演出家をたてて物語やプロットのある作品に挑んで来たイサベル。
今回は演出家も物語もない
素のフラメンコの舞台。



メトロノームのような時計の音で幕があくと
裸足のイサベル。
足にだけ光があたる。

舞台後方の椅子に座ってのサパテアードはマリオ・マジャ譲り。
Javier Fergo

ダビ・ラゴスとロンドロの絶品マラゲーニャから
アバンドラオ。
Javier Fergo
昔風のベルディアーレスの振りが入っていたりするが
全体としては現代的なスピード感のある振付けだ。
形の美しさに、フラメンコ性に思わずオレ!

ファルーカ
Javier Fergo

そしてグアヒーラ。
Javier Fergo

サビーカスの響きを古風にそして今風に

バジェーホのシギリージャが
生演奏のシギリージャに。


と、ここまでずっとイサベルは同じ衣装。
マントンやフリンジ、帽子などで変化をつけているだけだ。
同じ衣装でもこんなにも曲によって踊り手の身体の表情は変わるものか、
と思いつつも、衣装も変えてほしかったな、という気もしないではない。

舞台美術も何もない舞台。
唯一、ミュージシャンたちの椅子の位置で変化をつける。

いい踊り手、いい歌い手、いいギタリスト。
それだけでいい舞台はできるのだ。

最後はバタ・デ・コーラに着替えてアレグリアス。

Javier Fergo

マティルデ譲りの柔らかな、女性的な動きが
今の感覚で再構成されている感じ。
シレンシオの美しいギターの響きとゆっくりした動き。
エレガント!コケット!そしてフラメンコ!
バタさばきの素晴らしさ。

歌い手とギタリストも一緒に踊るという
最後もしゃれていて

極上のフラメンコに酔わせていただきました。
セビージャのフラメンコに乾杯!

Jvier Fergo

 それにしても
公演の間中、よだれ流しそうな笑顔になっていた私だけど
シンプルにいい!もの説明するのってすごく難しい。
イサベルのすごさは
ロシオ・モリーナの天才とはまたちがう。
難しい事を涼しい顔でいともやすやすとやってしまう
セビージャの香り高いフラメンコ
もっとみんなにみてもらいたい。


2013年2月27日水曜日

フラメンコ・フェスティバル2013マリア・ホセ・フランコ

アルカサルから早足でサラ・コンパニアへ。
21時から
マリア・ホセ・フランコ
「アブリエンド・プエルタス」

カディス生まれでアントニオ・エル・ピパの舞踊団で活躍、
このヘレス・フェスティバルでも何度かソロ公演を行っている中堅。
なのであるが。。。

下手にギター2、カンテ2、バイオリン、パーカッションと
ミュージシャンをまとめ
踊るスペースは下手より。
黒い衣装で横たわったマリア・ホセがおきあがり
シギリージャ。
Javier Fergo
コンテンポラリーのダンサーと
カディスのピアニスト、マノロ・カラスコの「ルフリア」の録音で踊る。
Javier Fergo


白い衣装でのブレリア。
バタ・デ・コーラでのナナ。
Javier Fergo
オレンジの衣装でのアレグリアス。
Javier Fergo
そしてソレア。

構成も考え、一人でよく踊ってはいるのだが
回転ひとつにしても基礎ができていない感じ。
頭がそのままくるっと回ってしまったり、
身体の芯が安定していないのだ。
サパテアードも利き足に頼り過ぎだ。
こうして写真をみていると美しいし、
たしかに長身ですっきりした美人なのだが。


また衣装も写真のように曲ごとにかえてくるのだが
バタ・デ・コーラのスカートは張りがまったくないので
美しい動きをみせることは不可能だったし
アレグリアスの衣装は膝上までぴったりしているので
足の動きが制限されるし
スカートを持ち上げるときもよいしょっとたぐるようにしていて美しくない。
ヘレスのフェスティバルにくるといつもいってるように思うが
衣装は大切。
見た目だけでなく、動きまで考えないと
せっかくの舞踊がいきてこない。




ヘレス・フェスティバル2013靴屋と大工

マイク、音響なしのリサイタル・シリーズは
アルカサル、ビジャビセンシオ宮殿で。
 Javier Fergo

トリアーナのカンテを得意とする
セビージャ郊外ビジャヌエバ・デ・アリスカルの歌い手
マルケス"サパテーロ”(靴屋、靴直し屋)、
モロンの歌い手カルピンテーロ(大工)
二人のベテラン歌手が登場。

まず舞台に上がったのはダニ・デ・モロン。
ギターソロで聴かせるロンデーニャ。
そのダニを真ん中に二人が舞台に上がり、
始まりはカルピンテーロのタンゴ。
Javier Fergo
オーソドックスな形を朗々と歌う。
ダニの伴奏も昔風で、同じモロン出身だけに息もぴったりだ。

83歳というサパテーロは
トマス・パボンのソレア・ポル・ブレリア。
Javier Fergo

年齢を感じさせない見事な声量。
こちらの伴奏も昔風に弾いているが、
まだぴったりあうとまではいかない。

カルピンテーロはアルボレア。
昨日の記者会見ではカンテヒターノが好きだと言っていたが、
発声、声質はその反対というか、美声タイプだ。
いかにもモロンな細部、
ちょっとした音の上げ下げなどがあったりするのも面白い。
ホセレーロ風というのかな。
タンゴでしめる。

サパテーロはスラケのソレア。
次々に繰り出すレトラの数々。
通常のそソレアのように
ひとつのレトラの部分を繰り返したり引っ張ったりせず、
次から次へと軽やかに、スピーディに歌いつないで行く。
トリアーナのソレア独特の、美しい節回しの、
バリエーションを堪能させてくれた。

それに対するカルピンテーロはアルカラのソレア。
声質が変わったかのような低音がきいている。
サパテーロはマラゲーニャ。
カルピンテーロはシギリージャ。
サパテーロはトリアーナのソレア・グランデ。
本人はソレア・アポラーと呼ばれているが、と言っていたけど、
アポラーとは似て否なるものだった。

アンコールはロンダ・デ・トナー。
歌い継ぐトナーの響きに香る伝統。

職業をほかにもちつつも
一生涯、歌い続けて来たフラメンコの伝統。

プロの磨き抜かれた技もいいが
こうして好きな歌をじっくり歌い続けて来た人たちに
フラメンコは多くのものを負っている。








2013年2月26日火曜日

マックス賞ノミネート

スペインの舞台芸術のアカデミー賞的存在の
マックス賞のノミネートが発表された。

舞踊部門でノミネートされたフラメンコ関係者は以下の通り。

舞踊作品
ロハス&ロドリゲス「恋は魔術師」
振付け
マヌエル・リニャン、ダニエル・ドーニャ「REW」
男性舞踊手
マヌエル・リニャン(「タシータ・ア・タシータ」)

受賞の発表は5月13日だ

ペーニャ・トーレ・マカレーナ応援フェスティバル


セビージャの老舗ペーニャ
トーレス・マカレーナ。
その隣人たちが騒音にクレームをつけ何度か警察がかけつける騒ぎがあった。
ペーニャから音がもれないようにする工事資金を集めるための
フラメンコ・フェスティバルが
3月1日金曜日
セビージャのアラメーダ劇場で開催される。

出演はポスターの通り、
カンテに
チケテテ、チョーサス、マヌエル・モリーナ、フェルナンド・デ・ラ・モレーナ、
マリ・ペーニャ、ホセ・マンサーノら、
バイレに
カルメン・レデスマ、ホセ・ガルバン、オルーコら
豪華な顔ぶれが並ぶ。


ヘレス・フェスティバル2013レオノール・レアル

ビジャマルタ劇場に初めてソロで出演のレオノール・レアル
ヘレス出身でフェスティバルのクルシージョを受けていたという彼女。
すでにサラ・ラ・コンパニアやサラ・パウルでソロ公演をしているが
演出家ビクトル・サンブラナと昨年の夏から
会合を重ねつくりあげた作品だというのだが。

「ナランハ・アマルゴ」
Foto;Javier Fergo

1時間強の上演中
フラメンコを感じることはなかった。

カーノの長いギターソロに始まり
ロシオ・マルケスが歌うレバンテで踊り始め
タランタ・タンゴそしてカーニャ、ブレリア、マラゲーニャ
たしかにフラメンコ曲を歌い弾いてはいるし
彼女はサパテアードをうち、回転し、かがみ…
だが、そのかたちはフラメンコには見えない。
フラメンコを踊っているというよりも
体操のような動きなのだ。

何が悪いのか。
それを考えながらみていた。
まず姿勢そして身体の使い方。
回転で軸がぶれる。
姿勢もどこかおかしい。
フラメンコ的なかたちをまねるところからはじめるべきで
アンドレス・マリン的なフラメンコの前衛を踊るにはベースが足りないようにみえる。
すっきりした衣装は彼女の身体をアスリートのそれにみせる。

タンゴを踊っていても
壷に入ればムイ・フラメンカな振りなどあっても
彼女が踊るとドライで
オレ!をよびこむことはない。

従来のフラメンコを壊したいのか?
壊す為にはまずフラメンコでなければ。
フラメンコは体操ではない。
動けばいいというものではない。
歌やギターに触発されてその人の奥底からでてくるものがなければ
フラメンコではない、と私は思う。
もしくはかたち。
多くの先達が残したフラメンコのかたち。
それをなぞり、自らの心を添わせる。
それもフラメンコだ。

これが彼女の個性だといわれればそうなのかもしれないが
少なくとも私が欲するフラメンコからはほど遠いものだった。

レオノールは
いったい何をわたしたちにみせたかったのだろう。










ジェルバブエナ特別公演セビージャ

2月28日21時から
セビージャのサン・フランシスコ広場で
エバ・ジェルバブエナの
アンダルシアの日特別ガラ公演が行われる。
入場料は15、25ユーロ。
前売りは
www.cajasolticket.com
です。

ちなみにヘレスでは3月9日閉幕公演をつとめる。

2013年2月25日月曜日

ヘレス・フェスティバル2013ハビエル・ラトーレ&ウーゴ・ロペス


リムスキー・コルサコフ「熊ん蜂の飛行」を
二人でサパテアードで聴かせるオープニング。
なんとも粋にはじまった師弟による公演。
フアン・サルスエラのカンテソロはコルドバのアレグリアス。

続くラトーレのソロはタラント。
その優雅なこと!
手首の回転がコンパスにきっちりあって気持ちがいい。
姿勢やかたちの美しさはためいきがでるほどだ。

タラントの悲劇的な重厚感ももちろんあるのだが
それよりなにより優雅なのである。
それも女性的な優雅さではなく
男性らしい優雅さ。


Javier Fergo


弟子のウーゴ・ロペスはシギリージャとファルーカをソロで踊る。
長身にもかかわらず回転もみごとなテクニックで
軸が全くぶれず安定感がある。
2年前だったろうか、
ハビエルの作品で踊ったソロから
ぐんと、目を見張るほどに上達している。

師譲りのかたちの美しさ。
きちんと勉強していることがよくわかる。

若いダンサーはパソを詰め込みすぎる事が多いのだが
彼はゆっくりカンテをマルカールすることを知っている。
落ち着いて曲に挑んでいるのがすばらしい。


Javier Fergo

最後の二人でのブレリアに至るまで
いやあ、みせてくれました。ありがとう!

ヘレス・フェスティバル2013アンダルシア舞踊団

ヘレス・フェスティバル3日目
昨年開幕を新作初演で飾ったアンダルシア舞踊団が登場。
昨年夏アルハンブラのヘネラリフェ劇場で初演し一ヶ月公演
ビエナルでも上演した
「ジャント・ポル・イグナシオ・サンチェス・メヒアス」
(イグナシオ・サンチェス・メヒアスへの嘆き)

初演、またビエナルでの公演時には
アントニオ・カナーレスが演じていたサンチェス・メヒアスの役が
舞踊団第一舞踊手のエドゥアルド・レアルが踊った。

これはロルカが
友人で、闘牛士で詩人のサンチェス・メヒアスが
1934年8月マンサナーレス闘牛場で亡くなったことを嘆き
闘牛士の親しい女友達、スペイン舞踊家ラ・アルヘンティーナにおくった、
同名の詩をもとに構成されている。

ロルカをルベン・オルモ、
サンチェス・メヒアスをエドゥアルド・レアル
その妻をパトリシア・ゲレロ
ラ・アルヘンティーナにサラ・バスケスという配役。

最初に上手から下手へと舞台を横切るルベンの
その、空中を歩くようなゆっくりとした歩き方に感嘆し
これは、と期待させられたのだが。



最初はフィエスタのシーン。
20世紀初頭のイメージの衣装に身を包んだ踊り手たちが繰り広げるフィエスタは
ブレリアではじまり
火祭りの踊りで闘牛士と踊り手の関係が示され
それに対抗するようにグラナダのタンゴを踊る妻
この妻、パトリシア・ゲレロが素晴らしい。
切れ味のいい、小気味いいタンゴをみせてくれる。
だが彼女の見せ場はここだけで
後は群舞の一人となってしまうのははなはだ残念。
パソドブレ、
そして子牛がはなたれるバキージャへ。
チャップリン映画の音楽をつかい映画のようにフラッシュでみせるのは
なぜだったのだろう。


Javier Fergo
闘牛場へと場面が代わり
カポーテをマントンのように舞わせて
ルベンが踊る。
彼のスタイルはスペイン舞踊といっても
最もクラシックバレエに近いテクニックのものだ。

Javier Fergo
闘牛のシーンでは
黒い衣装の男女の群舞で牛を表現していたのが面白い。

そこで牛にやられ医務室のシーンとなり
詩に歌われる“広がった血”は白いスカート姿の男女の群舞で現され

やはり詩の“そこにある身体”へと続く
白いミイラのような横たわる身体を前に踊るルベン。
趣味がいいとはいえない。

 ラファエル・リケーニの美しいギターの調べでの
ルベンとエドゥアルドのデュオ。

そして“そこにない魂”は全員の群舞で


詩をどう読んでどう構成していくかということなのだけど
最初のシーンで妻と愛人とを登場させながら
その後はロルカとサンチェス・メヒアスの二人だけになるのはなぜだろう。
二人の友愛にしぼるというなら最初の場面はよけいだろうし
あの場面があるならまたあとで二人も登場するべきなのでは?
牛を群舞で表現したのは面白いと思うが
そのほかの群舞はそれほど効果的ではなかったのでなかろうか。
結局、どこにしぼっていくかが中途半端な感じがある。

踊り手たちはレベルも高いが
パトリシア・ゲレロのような逸材を使いこなしていないのも残念。
エドゥアルド・レアルは悪くないが華がない。
これがカナーレスだったらと思いながら見続けた。
音楽もピアノとドラム、とくにドラムがチープな感じだったのも残念。

というわけでなんとなく消化不良な感じで劇場をあとにした。







ヘレス・フェスティバル2013ホルヘ・パルド


Javier Fergo

12時からはサラ・パウルでホルヘ・パルドのリサイタル。
ヨーロッパ最優秀ジャズミュージシャンに選ばれたばかりのホルヘ。
サックス、フルートで
フラメンコとジャズの世界を行ったり来たり。

Javier Fergo
アレグリアスではじまったコンサート、 
 共演のフアン・ディエゴも美しいソロを聴かせた。


2013年2月24日日曜日

ヘレス・フェスティバル2013ロシオ・モリーナ

今現在、最もすごいバイラオーラ、
それがロシオ・モリーナだ。
完璧なテクニック。
抜群の身体能力。
ミュージシャンのようなリズム感。
どれをとっても超一流で
今一番巧い踊り手に違いない。
そんな彼女の新作「アフェクトス」
ビデオはこちら
 Foto; Javier Fergo

出演は彼女のほか
歌い手のロサリオ・ラ・トレメンディータと
ウッドベース奏者のパブロ・マルティンの三人だけ。
演出は2009年の彼女の作品「石が飛ぶ時」のカルロス・マルケリエ。

裸の舞台。
下手にソファとギター。
舞台中央奥には洋服掛けと椅子、そしてギター
上手にはウッドベース

うすぼんやりとした照明にうかびあがる
ベースの響きで
椅子の上ギターと戯れるロシオ。
そのポーズのひとつひとつが完璧な形だ。

衣装といえるような衣装はなく
練習着のような胸をかくし後ろがシースルーの黒いTシャツと
黒の短いぴったりしたスパッツのようなもの。
その上にガウンをはおったり、スカートをはいたりで変化をつけるだけ。
 そのシンプルさがまたロシオの力をきわだてる。

ブエルタのバリエーションの多さ、そしてその完璧さ。
サパテアードの正確さ。
右足も左足も変わりなく見事に撃ちつける。
それも曲ごとのアクセントの置き方が絶妙で思わず悶絶。
すばらしいとしかいいようがない。


こもるような響きがやさしい
トレメンディータの歌と
火花のようなロシオの踊りがからみあう。
二人だけの親密な空間での
パルマとサパテアードの応酬のものすごさ。

彼女の姿をもっとはっきりみたいのに
照明はぼんやりのまま。

ぼんやりとした光や衣装、
作品の芯となるものもぼんやりとしていて
作品としては私の好みではない。
それでも
ロシオの圧倒的なバイラオーラ力の前にはひれふすしかない。

いくつものオレがこぼれでた。
彼女を冷たいという人もいるのだが
私にとっては熱いフラメンコなのである。

ヘレス・フェスティバル2013フラメンコと美術

ウナ・エクスペリエンシア・プラスティカ・コン・エル・フラメンコ 
なる公演/イベントは
22日深夜0時
サラ・パウルで開演。

生のフラメンコと美術美術家の共演で、
要はフラメンコを聴きながら絵を描いていくというもの。

舞台上手に一段高くなっていてそこに歌い手アンドレス・デ・ヘレスと
ギタリスト、カルロス・グリロ。
そうミゲル・ポベーダのパルメーロをつとめている、
ホアキン・グリロの弟はギターの腕前もプロ級なのだ。
二人の演奏をききながら
舞台中央に置かれた白いパネルに画家が絵をかいていく。

シンプルな、昔ながらのへレスのカンテが
円や線になり、ひとつの絵となって行く。
Foto Javier Fergo

面白い試みだ。
画家はあらかじめだいたいのアイデアを持っていたように見えたが、
共演は成功だろう。

2013年2月23日土曜日

ヘレス・フェスティバル2013開幕ガラ

今年もヘレスのフェスティバルがいよいよ開幕。

ビデオはこちら


初日の舞台を飾った開幕ガラ“シンコ・エスタシオネス”
ブランカ・デル・レイ
マルコ・フローレス
オルガ・ペリセ
ラウラ・ロサレン
メルセデス・ルイス
の5人が登場するというもの。
エスタシオンは駅。季節という意味もある。
5つの駅を旅するそんなガラ公演という意味だろう。

幕開きはラウラ・ロサレン。
古き良き時代、カフェカンタンテのクアドロにいたような
豊満な肉体をゆらし美しい腕の動きをみせる。
ゆっくり、ゆっくり。
フラメンコの創成期がよみがえる。
やがてペペ・マルチェーナのグアヒーラの録音に。
アバニコではなくうちわをもって
優雅にひらひらと。

続くオルガ・ペリセとマルコ・フローレスのデュオはカーニャ。
これもまた有名なピラール・ロペスのカーニャに想をえたようなところもありつつ
現代的な振付けも加えているのが興味深い。
オルガの鍛えられた根っからのダンサーといった感じと
マルコの女性的にもみえる柔らかさの対比が面白い。
この夜一番の出来だったろう。
Foto,Javier Fergo

ちなみにピラール・ロペスのカーニャはこちら。
フラメンコ踊る人は必見の古典です。


大御所ブランカ・デル・レイは
マントンは踊りたかったのだ、という詩で
十八番のマントンをつかって踊り始めソレアへ。
3年前一度は引退した彼女だが
マントンを自由自在にあやつる技は健在。
ただ落としてしまったところが何回かあり
往年のすごさを知る者としては少しさびしい。

続いて再びラウラが登場。
エル・ロンドロ(熱唱!)の歌うカラコール節、サンブラにあわせ踊る。
が、マルカへ、いわゆる歌ぶりが中心な彼女だけに
さっきの踊りとどうしてもにかよってしまう。

ご当地ヘレス出身、メルセデス・ルイスは黒いバタ・デ・コーラでシギリージャ。
Foto Javier Fergo

このバタが上体からお尻のところまでぴったりとしたデザインで
ときにパンタロン着用のようにもみえてしまうというもの。
シギリージャに黒は定番だがこの衣装はエレガントではないように思う。
カスタネットもつかっての熱演だが同じようなパソの繰り返しは残念。

オルガもバタ・デ・コーラでベルディアーレスからマラゲーニャへとすすむ。
Javier Fergo

この人は本当に身体の訓練がしっかりできていて
完璧なテクニックで美しい動きをみせてくれる。
だがなぜここでバタ?という感じはいなめない。

ここでコルドバのギタリスト、パコ・セラーノのソロでセラーナ。
なぜここで? 
コルドバ的、ビセンテ的な響きももつも、いささか古風か。

続くマルコはペテネーラ。
男性舞踊手のソロでみるのは初めて。
たいてい女性のソロ(バタやカスタネット付きでもありますね)
もしくは男女のデュオで踊られるような。。。
マルコの“かたち”が、いささか女性的であるせいもあるのだろうか
とくに違和感はなかったが。

そしてブランカとメルセデスによる学芸会の寸劇のような一曲。
Javier Fergo

若い女性メルセデスを死ブランカがつつんでいくというもの。
白い衣装のメルセデスと黒い衣装のブランカ。
クラシック曲で終わる。

サンティアゴ・ララのギターソロでブレリア。
そして最後はカンティーニャ。
ラウラからオルガ、
Javier Fergo

ブランカ、
そしてマルコとメルセデスのサパテアード共演。

こうして2時間半近い、長い長い開幕ガラは幕を閉じたのでありました。
踊り手たちの表情をきちんとみせてくれる
照明の美しさは印象に残るし、
ギタリストたちの位置をこまめに変えて舞台の変化をだすなどの構成も悪くない。
が、とにかく長過ぎた。
ガラとなうっているのだから
それぞれの得意曲を一曲+コラボレーションだけでもよかったのではないだろうか。







2013年2月21日木曜日

フラメンコ&シェリー・エクスペリエンス

ヘレス・フェスティバルは
一流舞踊家らによるクルシージョ
ビジャマルタ劇場でのメインのプログラム
サラ・コンパニアやビジャビセンシオ宮殿でのコンサート
ペーニャでの公演
などのほかにもイベントやオフとよばれる
ライブハウスなどでのコンサート等
プログラムは盛りだくさん。

プログラマ・コンプレメンタリア、
補足プログラムとよばれるイベントもいくつか。

そのひとつが
フラメンコ&シェリー・エクスペリエンス
ティオ・ペペで有名な
ゴンサレス・ビヤスのボデーガ(酒蔵)で
シェリーとフラメンコのマリアージュを楽しむもの。
ヘレスのラジオでフラメンコ番組をもつホセ・マリア・カスターニョと
ゴンサレス・ビヤスのワイン学者の案内で
フェルナンド・デ・ラ・モレーナの歌を
極上のヘレスと組み合わせるという試み。
2月28日の13時からで
料金は20ユーロ。

もちろん試飲付きですよん


2013年2月20日水曜日

ヘレスのフェスティバルのオフィシャルアプリ

今年も今週金曜からはじまる
ヘレスのフェスティバル。
そのオフィシャルアプリが
無料でリリースされている。

App Storeで
Festival de Jerezで検索すればすぐでてくる。

オフィシャルプログラム、
フラッシュモブの振り付けもあるオフィシャルウエブビデオ(TV)
クルシージョのプログラム、
ニュース、
切符前売りへのリンク
オフフェスティバル(非公式イベント)のプログラムなどのほか
ヘレスの地図や夏のクルシージョの案内など盛りだくさん。

ヘレスのフェスティバルに行く人はもちろん
行かない人も現地に行った気分になれる、
そんなアプリであります。

※アンドロイド用もあるそうです!

2013年2月19日火曜日

ビセンテ・アミーゴ新譜「ティエラ」発売!

日本でも人気の高いビセンテ・アミーゴの新譜「ティエラ」が
今日、2月19日、
iTunes Storeで発売になった。
スペインでは8.91ユーロだけど日本ではどうなのかな?
コレクションCDも近日発売予定だそうだけど
まずはデジタル版で。

なお現在スペインの日刊紙エル・パイスのウエブで
全曲試聴可能なので
まずはお試しできいてみてほしい。

名作「ポエタ」を思い起こすような響きもあちこちに
ビセンテ的なメロディアスなフラメンコに
ケルトの風がからむ。

ビセンテの歌声もたっぷり。
「カンシオン・デ・ラウラ」
ではシンガーソングライターぶりを発揮。
これは明るいけど重い曲もあるね。。。

プロモーションビデオは「ローマ」
これもどこか「ポエタ」につながっているような?


2013年2月18日月曜日

スペインのアカデミー賞、ゴヤ賞、チクエロに

スペインのアカデミー賞、ゴヤ賞の発表が2月17日夜行われ、
最優秀主題歌賞に選ばれた。

今年のゴヤ賞で圧倒的な強さを誇った映画「ブランカニエベス」
が最優秀映画、主演女優、新人女優、音楽など10部門で受賞。
主題歌のを作曲したチクエロも栄冠に輝いた。

ブランカニエベス、白雪姫の物語を
1920年代のスペイン南部を舞台におきかえ
闘牛やフラメンコたっぷりの
白黒の無声映画に。

七人の小人が闘牛士だったり
(スペインでは小人プロレスならぬ闘牛士がポピュラー)
曲も戦前の雰囲気たっぷりに仕上がっている。



なお発表のとき
先に違う曲をいってあわてて訂正するというハプニングも。
なおチクエロはイスラエル・ガルバンとパリ公演中で
代理でマネージャーのディエゴが彼の言葉をよみあげた。
一昨年亡くなった父や母や妻、子供たちとともに
フラメンコたちにも捧げている。

その様子はスペイン国営放送のホームページで確認できる。
http://www.rtve.es/alacarta/videos/programa/error-leer-goya-mejor-cancion-original-que-gana-blancanieves/1692804/


2013年2月16日土曜日

マリフェ・デ・トリアーナ逝く

2月16日
スペイン歌謡の大御所
マリフェ・デ・トリアーナが
癌のため
マラガ県ベナルマデナの病院で亡くなった。
76歳だった。

本名マリア・フェリサ・マルティネス・ロペス。
1936年セビージャ県ブルギージョで生まれ
1歳のときからトリアーナで育った。
9歳でマドリードに移り
11歳のときから歌手として近隣の村々を回ったという。

1956年に
「トーレ・デ・アレーナ(砂の塔)」で
レコードデビュー。
以後、歌手として女優として活躍した。


晩年を過ごしたコスタ・デル・ソルのトレモリノス市役所に
カピージャ・アルディエンテがおかれ
(弔問をうける遺体安置所、と辞書にはありますが
誰もが訪れることのできるお通夜のようなものです)
多くの人が別れを惜しんだ。

2007年マラガのビエナルの
パコ・デ・ルシアのコンサートにやってきてた彼女をおもいだす。
パコその人も彼女の歌唱力を高くかっていた。

2013年2月5日火曜日

メデア

1984年、マドリードのサルスエラ劇場で初演された「メデア」。
アントニオ・ガデス「血の婚礼」とならぶスペイン舞踊作品の最高峰だ。

初演時、メデアを踊ったのはマヌエラ・バルガス。美貌のカリスマ・バイラオーラはかつて映画「私の秘密の花」でホアキン・コルテスの母役を演じた人だがすでにない。
その相手役、野心家のイアソンは現在日本在住のアントニオ・アロンソだった。
その後、メデアは、メルチェ・エスメラルダ、ローラ・グレコ、アナ・ゴンサレス、マリベル・ガジャルドらによって、イアソンはホセ・アントニオ、アントニオ・マルケス、フランシスコ・ベラスコが演じてきた。そして昨年の秋、この舞踊家たちの系譜に新たな顔が加わった。
メデアのエステル・フラードとイアソンのマリアーノ・ベルナル。
国立バレエで頭角を現し、後、一時退団。エステルはホアキン・グリロやエル・ペレらと、マリアーノはジェルバブエナやクリスティーナ・オヨスらと共演を重ね、さらに幅の広い、さらにそして奥深いダンサーとして帰って来た。1
ベテラン二人、マリベル・ガジャルドとフランシスコ・ベラスコの名演(5日、6日)とともに、このフレッシュな二人による新しいメデアも楽しみなことである。

2013年2月3日日曜日

スペイン国立バレエ団

  
 
 
 
スペイン国立バレエ団Aプロのオープニング、フェリア。
華やかなオープニングで観客の心わしづかみ。
ナハーロ監督、群舞の動きのコントロールすごいです。
 
 
 
来週火水木はBプロ。
ホタとファルーカ、ボレロにメデア。
 
名作ボレロとメデア、みずしてスペイン舞踊を語るべからず。
伝統的なフラメンコのファルーカ
国立バレエとしては日本初登場のホタ
 
 
ぜひぜひおこしくださいませ。

2013年2月1日金曜日

スペイン国立バレエ団初日!

久々の来日となるスペイン国立バレエ団、きょうはいよいよ初日です。
1週間の渋谷、オーチャードホールでの公演。前半、Aプログラムでは、アントニオ・カナーレス振り付けのフラメンコ作品「グリト」とアントニオ・ナハーロ新監督振り付けの「セビリア組曲」。フラメンコを知らずとも誰もが楽しめる、エネルギッシュなスペイン舞踊の世界が垣間見られる、そんなプログラムです。
後半はかつて日本公演で莫大な人気を博した名作「メデア」、「ボレロ」、フラメンコのソロ「ファルーカ」、そして今回日本初演の民族舞踊「ホタ」と、スペイン国立ならではのプログラム。
フラメンコだけにとどまらないスペイン舞踊の多彩な魅力を堪能するまたとないチャンスだ。