マエストランサ劇場でのロシオ・モリーナ公演
「ボスケ・アルドラ 」はビデオではじまる。
深い森。湖。
その森を馬に乗り 狩猟犬とともに疾走するロシオ。
やがて湖に落ちるとスクリーンが上がり
そこには湖に落ちた姿勢と同じロシオが。
舞台も木がたちならび枯れ葉でおおいつくされたような森となっている。
この9月にリヨンのダンス・ビエンナーレで初演されたこの作品、
リヨンのほか、マルセイユやマドリードのダンス祭や
フランスのいくつかの劇場、そしてビエナルの共同制作。
これだけ沢山の協力を得られたのはロシオ・モリーナというダンサーの実力ゆえだろう。
彼女はフラメンコという枠組みをこえていく。
それを象徴しているのがこの作品だ。
サパテアードなどフラメンコのテクニックをつかっているものの
音楽自体もフラメンコはごく一部に使われているだけだし
コンパスも不在。
音楽はギターよりもトロンボーンとドラムス/パーカッションが中心。
Bienal. A. Acedo |
面を頭につけたロシオ。
森の中での動物の営みのようなダンス。
エドゥアルド・ゲレーロとフェルナンド・ヒメネス、
ジェルバブエナの「クアンド・ジョ・エラ」で闘鶏を踊った二人が
ここでも動物のように踊る。
そのみごとなテクニック。
トロンボーンは狐狩りの角笛のようでも猟犬のようでもある。
しっかりつくりこんだ質の高い作品だとは思うが
フラメンコ好きには敷居が高いというか、
薄明かりと単調さに眠気を誘われたのも事実だ。
最後になってソレアのメロディが登場し
最後にソレアを踊ってそれまでのシーンを忘れさせてしまうエバみたいになるかと思えば
ソレア自体も本格正統のソレアではなく換骨奪胎されたようなもので欲求不満。
それでもロシオの見事なテクニックは十二分に堪能できる。
機械のように打ち出すサパテアード。ものすごいのひとことだ。
最後は飛び出したロシオが高下駄の熊みたいなものに銃で撃たれておしまい。
ロシオの身体能力、テクニックはすごいけど
うーん結局何がいいたかったんだろう、と思っていた終演後
ロビーであったバイラオーラ、北島歩さんが教えてくれた
「もののけ姫だよ」
その瞬間、疑問氷解。
あ、これはロシオによる「もののけ姫」へのオマージュなんだ。
もしくはロシオ版「もののけ姫」
森をかける動物
昨夜はきづかなかったがこうしてみると髪型は阿修羅像のようでもありますね。
Bienal. A. Acedo |
なおセットもないので
たぶんリハーサル映像ではないかと思うがこんなビデオがありました。