ヘレスのフェスティバル開催時に行われる、ヘレス・オフ・フェスティバル。
第6回を迎え、今年も、アングスティア広場からポルベニル通りに入ってすぐのラ・グアリダ・デル・アンヘルで開催される。
開幕日には3人の日本人バイラオーラも出演するが、その他にも、フラメンコ舞踊教室から、第一線で活躍するアルティスタたちまでバラエティに富んだプログラム。
パコ・セペーロ、カプージョ、ルイス・エル・サンボ、フアナ・ラ・デル・ピパ、ドローレス・アグヘータら、ベテラン勢はもちろん、今注目のバイラオーラ、ヘマ・モネオらもできれば是非見ておきたい。
◇第6回ヘレス・オフ・フェスティバルenラ・グアリダ・デル・アンヘル
2/24(金)
17時[出]〈b〉スサナ・チャコン舞踊教室
19時[出]〈b〉萩原淳子
21時[出]〈b〉中田佳代子
23時[出]〈b〉大沼由紀
2/25(土)
17時[出]〈b〉マリア・モレーノ舞踊教室
19時[出]〈b〉マリア・デル・マル・モレーノ舞踊教室
21時[出]〈piano〉アルフォンソ・アロカ、〈b〉アベル・アラナ
22時[出]〈c〉アルフォンソ・カルピオ“ミヒータ・イホ”
23時30分[出]〈c〉マラ・レイ、ゲスト〈g〉アントニオ・レイ、〈c〉ホセ・レ0
2/26(日)
17時[出]〈b〉マリアン・ヒメネス舞踊教室
19時[出]〈b〉カルメン・エレラ舞踊教室
20時[出]〈c〉モモ・エレディア、〈g〉アロンソ・フローレス
21時[出]〈c〉エル・ペスカイージャ・デ・ヘレス
22時[出]〈c〉ホセ・モントージャ・カルピオ“エル・ベレンヘーノ”
23時[出]〈c〉ハイメ・カンディエ、〈g〉ラモン・トルヒージョ、ゲスト〈b〉ドミンゴ・オルテガ
2/27(月)
19時[出]〈b〉ラ・チキ・デ・ヘレス舞踊教室
21時[出]〈c〉ルイサ・ムニョス“バレンティア”、ゲスト〈g〉アントニオ・イゲーロ
22時[出]〈c〉サムエル・セラーノ、〈g〉パコ・レオン
23時30分[出]〈c〉ローレ・モントージャ
2/28(火)
17時[出]〈b〉フアン・ロレート、〈c〉フアン・ペーニャ、エバ・マリア、マヌエラ・フェルナンデス、〈g〉イサアク
19時[出]〈b〉マカレーナ・デ・ヘレス舞踊教室
21時[出]〈c〉フアニジョロ、〈g〉フアン・マヌエル・モネオ
22時[出]〈g〉ディエゴ・デル・モラオ、パケーテ、ホセミ・カルモナ
23時[出]〈c〉アントニオ・レジェス、〈g〉ディエゴ・デル・モラオ
3/1(水)
19時[出]〈b〉イレネ・オリバレス、ハイメ・カラ
21時[出]〈c〉ヘスース・カスティージャ
22時[出]〈c〉ホセ・アガラード・モネオ、〈g〉ヘスース・アガラード・モネオ
23時[出]〈b〉ヘマ・モネオ、ゲスト〈g〉ディエゴ・デル・モラオ
3/2(木)
19時[出]〈b〉メリサ・エリン・ピコン、シンディ・マジョルキン
21時[出]〈c〉ウニョ・デ・ヘレス、〈g〉アントニオ・ヘロ
22時[出]〈b〉パルミラ・ドゥラン、〈c〉ヘスス・フローレス、ホセ・トレメンド・イーホ
23時[出]〈b〉マカレーナ・ラミレス、〈c〉マイ・フェルナンデス、ヘスス・カスティージャ、〈g〉フアン・ホセ・アルバ
3/3(金)
17時[出]〈b〉ジェシカ・ブレア
19時[出]〈c〉カルメラ・デ・ヘレス
21時[出]〈c〉ポティート、〈g〉ディエゴ・デ・モラオ
22時[出]〈g〉フアン・ディエゴ・マテオス
23時[出]〈c〉ドローレス・アグヘータ
00時30分[出]カラスコ・ファミリー
3/4(土)
17時[出]〈b〉ダイリ・フゲ
19時[出]〈b〉フェルナンド・ガラン
21時[出]〈b〉マリアン・ヒメネス、アルバロ・オルティス“エル・サラビア”
22時[出]〈c〉エセキエル・ベニテス、〈g〉パコ・レオン、ゲスト〈b〉ロシオ・カラスコ
23時[出]〈b〉マリア・フェルナンデス
00時30分[出]〈c〉カプージョ・デ・ヘレス、マヌエル・デ・ペリキン
3/5(日)
17時[出]〈b〉ミゲル・アンヘル・エレデイア舞踊教室
19時[出]〈b〉マルタ・デ・トロジャ
21時[出]〈c〉グロリア・デ・ヘレス、〈g〉フアン・ディエゴ・デ・ルイサ
22時[出]「5フラメンコス」〈c〉フアン・ヌニェス・ペニャ
22時[出]「タブラス・パ・ティ」〈g〉ティアゴ・バスケス他
3/6(月)
19時[出]〈b〉アンヘル・モラレス舞踊教室
21時[出]〈c〉ルイス・バルガス“エル・モノ”
23時[出]〈c〉ティア・フアナ・デル・ピパ、〈g〉ディエゴ・デル・モラオ
3/7(火)
19時[出]〈g〉エル・カルボネロギター教室
21時[出]〈g〉パコ・セペーロ
22時[出]〈g〉ホセ・ルイス・バラオ
23時[出]〈b〉ルシア・ルイバル、〈g〉サンティアゴ・ララ
3/8(水)
19時[出]〈b〉パウラ・シエラ
21時[出]〈b〉ナタリア・デル・マル22時[出]〈c〉エル・アルメンドロ
23時[出]〈b〉ヘマ・モネオ、〈g〉ディエゴ・デル・モネオ
3/9(木)
17時[出]〈b〉ラウラ・ピッリ舞踊教室
19時[出]〈b〉フアン・ロレト、〈c〉ミゲル・ヌニェス、フアン・ペーニャ、エバ・マリア、マヌエラ・フェルナンデス、〈g〉イサアク他
21時[出]
22時[出]〈c〉トマス・ルビチ、〈g〉ドミンゴ・ルビチ
23時30分[出]〈g〉ペリキン・ニーニョ・ヘロ
3/10(金)
19時[出]〈b〉ビセンタ・ガルベス,〈c〉アナ・デ・ロス・レジェス、〈g〉アグスティン・デ・ラ・フエンテ他、ゲスト:ボー、ホセ・デ・ロス・カマロネス
21時[出]〈c〉マヌエル・アグヘータス
22時[出]〈c〉レラ・ソト、〈g〉ノノ・ソト、ゲスト〈c〉ビセンテ・ソト
23時[出]〈c〉ルイス・エル・サンボ、〈g〉ミゲル・サラド
3/11(土)
17時[出]〈b〉スサナ・チャコン舞踊教室
19時[出]〈b〉マリア・モレーノ
21時[出]〈c〉ヒターノ・デ・ブロンセ、ディエゴ,アグヘータス、〈g〉ドミンゴ・ルビチ
22時[出]〈c〉マテオ・ソレア、アナ・デ・ロス・レジェス、〈g〉アントニオ・マレーナ,イーホ
23時[出]トロバ・ヒターナ
[場]ヘレス ラ・グアリダ・デル・アンヘル
[問]https://www.facebook.com/La-Guarida-Del-Angel-792448067481305/
☎︎615601223 laguaridadelangel@gmail.com
2017年1月31日火曜日
2017年1月24日火曜日
ニーム・フラメンコ祭ビセンテ・アミーゴ
ニームのフラメンコ祭、閉幕を飾ったのはビセンテ・アミーゴ。
内容的にはビエナルとほぼ同じ感じ。
レバンテからのソレア、タンゴ。ルンバ、ブレリア、速いリズムのシギリージャ。
ブレリアではチョロが踊り大喝采。
なんだけど、セビージャで見たときのような、偉大さ、というか、すごさはあまり感じなかったのだよね、正直なところ。なんかキャッチーなメロディのルンバばっかりみたいな感じで。なんでだろう。
シギリージャはやっぱ面白いけれど。
そのシギリージャも収録した新譜もうすぐ発売だそうです。
Festival Flamecno de Nimes Jean Louis Duzert |
内容的にはビエナルとほぼ同じ感じ。
レバンテからのソレア、タンゴ。ルンバ、ブレリア、速いリズムのシギリージャ。
Festival Flamecno de Nimes Jean Louis Duzert |
ブレリアではチョロが踊り大喝采。
Festival Flamecno de Nimes Jean Louis Duzert |
シギリージャはやっぱ面白いけれど。
そのシギリージャも収録した新譜もうすぐ発売だそうです。
2017年1月22日日曜日
ニーム・フラメンコ祭ダビ・カルピオ
17時からの高校講堂でのリサイタルは、ダビ・カルピオ。
飛行機に乗り遅れたというマリア・テレモートの代わりに急遽舞台に立つこととなった。
というのも前日の、マヌエル・リニャンの舞台で伴唱していたから。
ニーム出身のギタリスト、アントニオ・モジャの伴奏で、ぶっつけ本番でリサイタルに挑む。
最初はトナー。しっかりと歌い上げる。
「本当は、もっと別の形でここの舞台に立ちたかったけど、これも入るべき時に入るべきところにいたということで」
と話し、続いてはマラゲーニャ。
講堂とは言っても、広めの教室のようなところで、マイクなしの舞台。
なので、微妙な節回しやニュアンスもしっかり伝わる。いいね。
アレグリアス/カンティーニャ、ジャーナリストたちに捧げたソレア、シギリージャ、そしてブレリア。
ヘレスの伝統をしっかりリスペクトしながらも彼流に噛み砕いて歌っている。いいね。
1975年ヘレス生まれ、というから、え、もう41歳?
若くしてヘレスから出て、舞踊団伴唱を長く務めていたという。
ヘレスに帰ってきてから、ヘレスの踊り手たちの伴唱を務めるようになり、それが今では他の、第一線の踊り手たちの伴唱も務め、またソロでもあちこちで歌っているし、CDも出している実力派。
いやいや、また是非聴きたい歌い手だ。
飛行機に乗り遅れたというマリア・テレモートの代わりに急遽舞台に立つこととなった。
というのも前日の、マヌエル・リニャンの舞台で伴唱していたから。
ニーム出身のギタリスト、アントニオ・モジャの伴奏で、ぶっつけ本番でリサイタルに挑む。
最初はトナー。しっかりと歌い上げる。
「本当は、もっと別の形でここの舞台に立ちたかったけど、これも入るべき時に入るべきところにいたということで」
と話し、続いてはマラゲーニャ。
講堂とは言っても、広めの教室のようなところで、マイクなしの舞台。
なので、微妙な節回しやニュアンスもしっかり伝わる。いいね。
アレグリアス/カンティーニャ、ジャーナリストたちに捧げたソレア、シギリージャ、そしてブレリア。
ヘレスの伝統をしっかりリスペクトしながらも彼流に噛み砕いて歌っている。いいね。
1975年ヘレス生まれ、というから、え、もう41歳?
若くしてヘレスから出て、舞踊団伴唱を長く務めていたという。
ヘレスに帰ってきてから、ヘレスの踊り手たちの伴唱を務めるようになり、それが今では他の、第一線の踊り手たちの伴唱も務め、またソロでもあちこちで歌っているし、CDも出している実力派。
いやいや、また是非聴きたい歌い手だ。
ニーム・フラメンコ祭講演ペドロ・ペーニャ
今年のニームのフラメンコ祭は昨年亡くなったレブリハーノに捧げられている。
そんなこともあって、今日の講演はペドロ・ペーニャ。聞き手には伝説のフラメンコ番組「リト・イ・ヘオグラフィア・デ・カンテ」の司会を務め、現在もラジオでフラメンコ番組を持つ、ホセ・マリア・ベラスケス。
最初にペドロの紹介があり、かつてのビデオを挟みながら、ペドロが書いた「ヒターノス・フラメンコス」という本に触れながら、フラメンコの思い出を、ヒターノを語る。
母ペラータを、なんとも言えない神秘的な痛みを持つ声、と評しつつ、ぐっと、言葉に詰まる場面も。
本で、「僕はフラメンコになったのではない、フラメンコとして生まれたのだ」と語るペドロ。ヒターノは、ビベンシア、その生活体験こそが重要なのだ、とも語っていた。さもありなん。
最後は、息子ペドロ・マリア・ペーニャのソレアをペドロが伴奏し、
ペドロの歌うシギリージャをペドロ・マリアが伴奏
心のこもった、真実あふれる歌に、演奏に、観客は盛んな拍手をおくっていた。
さて、これから飛行機に乗り遅れたマリア・テレモートの代わりに歌う、ダビ・カルピオを見に行ってきます。
夜はビセンテ・アミーゴ!
そんなこともあって、今日の講演はペドロ・ペーニャ。聞き手には伝説のフラメンコ番組「リト・イ・ヘオグラフィア・デ・カンテ」の司会を務め、現在もラジオでフラメンコ番組を持つ、ホセ・マリア・ベラスケス。
最初にペドロの紹介があり、かつてのビデオを挟みながら、ペドロが書いた「ヒターノス・フラメンコス」という本に触れながら、フラメンコの思い出を、ヒターノを語る。
母ペラータを、なんとも言えない神秘的な痛みを持つ声、と評しつつ、ぐっと、言葉に詰まる場面も。
本で、「僕はフラメンコになったのではない、フラメンコとして生まれたのだ」と語るペドロ。ヒターノは、ビベンシア、その生活体験こそが重要なのだ、とも語っていた。さもありなん。
最後は、息子ペドロ・マリア・ペーニャのソレアをペドロが伴奏し、
ペドロの歌うシギリージャをペドロ・マリアが伴奏
心のこもった、真実あふれる歌に、演奏に、観客は盛んな拍手をおくっていた。
さて、これから飛行機に乗り遅れたマリア・テレモートの代わりに歌う、ダビ・カルピオを見に行ってきます。
夜はビセンテ・アミーゴ!
2017年1月21日土曜日
ニーム・フラメンコ祭マヌエル・リニャン「レベルシブレ」
昨年のヘレスのフェスティバルで初演したマヌエル・リニャン「レベルシブレ」
オランダのビエナルに引き続き、ニームにも登場。この後、ロンドンのフラメンコ・フェスティバルにも行くというから、昨年のヘレスで初演された作品一のヒットといえるかもしれない。
黒いバタ・デ・コーラに黒いマントンのリニャンが踊るブレリアに始ま流。ロマンセ、パンデレータすなわちタンバリンのリズムで、紐を使ってのホセ・マルドナードとのデュオも絶品!
最初無伴奏で歌われるティエントもいいし、続くタンゴは現代的な超絶テクニックの中にグラナダの婆様たちのイメージが挟まれているのが面白い。
紐でリンクを作って、バタのピニョーナとリニャンが踊るアレグリアスはトロンボのレフェリーでの戦いのように。
勝利したと思ったらトロンボのパソを挟んでの2回戦ではピニョーナが男装、リニャンがバタで同じ振り。
女性がパンタロンで踊るなら男性がスカートはいたっていいじゃない?
男らしさ、女らしさ。それはそれぞれ魅力的な要素でもあるけれど、それに縛られ過ぎるのはどうなのかな、という問題提起か。
最後、再び、バタでのリニャンのソレアは、コロカシオンは男性的だけど、バタ。
その形が気持ちいい。
最後バタで舞台にまかれた赤い花を拾っていきスカートをあげるとこぼれるように花があふれる、という演出も面白い。
最後は観客が総立ちで拍手。よかったね。
オランダのビエナルに引き続き、ニームにも登場。この後、ロンドンのフラメンコ・フェスティバルにも行くというから、昨年のヘレスで初演された作品一のヒットといえるかもしれない。
Festival Flamecno de Nimes Jean Louis Duzert |
黒いバタ・デ・コーラに黒いマントンのリニャンが踊るブレリアに始ま流。ロマンセ、パンデレータすなわちタンバリンのリズムで、紐を使ってのホセ・マルドナードとのデュオも絶品!
Festival Flamecno de Nimes Jean Louis Duzert |
紐でリンクを作って、バタのピニョーナとリニャンが踊るアレグリアスはトロンボのレフェリーでの戦いのように。
Festival Flamecno de Nimes Jean Louis Duzert |
Festival Flamecno de Nimes Jean Louis Duzert |
女性がパンタロンで踊るなら男性がスカートはいたっていいじゃない?
男らしさ、女らしさ。それはそれぞれ魅力的な要素でもあるけれど、それに縛られ過ぎるのはどうなのかな、という問題提起か。
最後、再び、バタでのリニャンのソレアは、コロカシオンは男性的だけど、バタ。
その形が気持ちいい。
最後バタで舞台にまかれた赤い花を拾っていきスカートをあげるとこぼれるように花があふれる、という演出も面白い。
最後は観客が総立ちで拍手。よかったね。
ニーム・フラメンコ祭講演エンリケ・モレンテについて
ニームのフェスティバルは、公演だけでなく、映画上映や講演なども充実している。
20日12時半からはホセ・マヌエル・ガンボアによる、エンリケ・モレンテについての講演が、劇場のバーにおいて行われた。
ガンボアはフラメンコの歴史などの著書のあるフラメンコ研究家だが、スペイン著作権者協会のフラメンコの担当者でもあり、若き日はタブラオのギタリストでもあった、という人。だから、他のフラメンコ学者とは一味も二味も違った切り口で、フラメンコを語る。
前日はニームの高校で、フラメンコ・ギターについての講演を行い、これも好評だった。
フラメンコ・ギターの歴史をたどり、その変遷を平易な言葉で説明するのは彼ならでは。
このエンリケ・モレンテについての講演も、他の誰もが語ったことのない切り口で、エンリケの功績を述べた。
エンリケはアンダルシア中を回り、低アンダルシアとよばれる、カディス、ヘレス、セビージャなどのフラメンコと、東部のフラメンコの、タラントに代表される調を融合させたのだ。
それ以前に、エンリケはぺぺ・デ・ラ・マトローナをはじめ、ティオ・パリージャ、アウレリオ・セジェスなど、当時の長老たちの薫陶を受け、ヘレスやカディスにも足を運び、生のフラメンコに触れ、当時のカディス県のアルティスタたち、パコ・デ・ルシアやマノロ・サンルーカル、カマロン、ランカピーノ、フアニート・ビジャール、パンセキートらとも交流し、知見を高める。
そうするうちに、彼自身の、オリジナルのカンテが生まれてきたのだが、当時は、自分のオリジナルなどはもってのほか、という時代。ただ、彼より先に、カマロンがモレンテのスタイルで録音したように、知るひとぞ知る、であったのだ。
それがメキシコに滞在中、とやかく言う物知りなどの、しがらみから解放され、自由を勝ち取り、 その創造は花開いていくのだった。
講演の最初に、 ロシアの、スペイン語が全くわからない人が、エンリケのマラゲーニャを聞いて、その感想を述べると歌詞の内容は分からないはずなのに、エッセンスとしてしっかり受け止めている、というビデオを見せた。エンリケも、スペインの人たちが「外国ではカンテはわからなだろう」と言ったりすることを非常に嫌っていたというエピソードも、外国人である私には刺さる。
そういえば、エンリケに外国人扱いされたことは一度もなかった。いつでも、どんな初心者的な質問にも笑顔で答えてくれた。アフィシオンへのリスペクトを体現している人だった。
エンリケに会いたいなあ。
20日12時半からはホセ・マヌエル・ガンボアによる、エンリケ・モレンテについての講演が、劇場のバーにおいて行われた。
ガンボアはフラメンコの歴史などの著書のあるフラメンコ研究家だが、スペイン著作権者協会のフラメンコの担当者でもあり、若き日はタブラオのギタリストでもあった、という人。だから、他のフラメンコ学者とは一味も二味も違った切り口で、フラメンコを語る。
前日はニームの高校で、フラメンコ・ギターについての講演を行い、これも好評だった。
フラメンコ・ギターの歴史をたどり、その変遷を平易な言葉で説明するのは彼ならでは。
このエンリケ・モレンテについての講演も、他の誰もが語ったことのない切り口で、エンリケの功績を述べた。
エンリケはアンダルシア中を回り、低アンダルシアとよばれる、カディス、ヘレス、セビージャなどのフラメンコと、東部のフラメンコの、タラントに代表される調を融合させたのだ。
それ以前に、エンリケはぺぺ・デ・ラ・マトローナをはじめ、ティオ・パリージャ、アウレリオ・セジェスなど、当時の長老たちの薫陶を受け、ヘレスやカディスにも足を運び、生のフラメンコに触れ、当時のカディス県のアルティスタたち、パコ・デ・ルシアやマノロ・サンルーカル、カマロン、ランカピーノ、フアニート・ビジャール、パンセキートらとも交流し、知見を高める。
そうするうちに、彼自身の、オリジナルのカンテが生まれてきたのだが、当時は、自分のオリジナルなどはもってのほか、という時代。ただ、彼より先に、カマロンがモレンテのスタイルで録音したように、知るひとぞ知る、であったのだ。
それがメキシコに滞在中、とやかく言う物知りなどの、しがらみから解放され、自由を勝ち取り、 その創造は花開いていくのだった。
講演の最初に、 ロシアの、スペイン語が全くわからない人が、エンリケのマラゲーニャを聞いて、その感想を述べると歌詞の内容は分からないはずなのに、エッセンスとしてしっかり受け止めている、というビデオを見せた。エンリケも、スペインの人たちが「外国ではカンテはわからなだろう」と言ったりすることを非常に嫌っていたというエピソードも、外国人である私には刺さる。
そういえば、エンリケに外国人扱いされたことは一度もなかった。いつでも、どんな初心者的な質問にも笑顔で答えてくれた。アフィシオンへのリスペクトを体現している人だった。
エンリケに会いたいなあ。
2017年1月20日金曜日
ニーム・フラメンコ祭ミゲル・アンヘル・コルテス
Jean-Louis Duzert |
3台のギターが飾られた舞台に登場したミゲル・アンヘルはまずは真ん中のギターを手にとり、弾き始める。
前半はクラシックな感じ。実際、一緒に公演を行ったクラシックのギタリスト、ホセ・マリア・ガジャルドの作品だったり。 聖週間のマーチだったり。
続くサビーカスのファルーカは下手のギターで。アバニコを手にしたアナ・モラーレスが絡む。
Festival Flamenco de Nimes撮影Jean-Louis Duzert |
ああ、2015年秋セプティエンブレ・フラメンコで初演したアナの作品の中にあった曲だ。
アナは完璧な技術と優雅さで見せる。
同じ作品でも演奏していた17世紀のハカラも登場した。
こういう風に、アルティスタたちの間で曲が育まれ、育っていくのだなあ。
後半は上手のギターを手に、よりフラメンコな感じに。
Festival Flamenco de Nimes撮影Jean-Louis Duzert |
サンブラ、アレグリア、グラナダのタンゴ、ブレリア。
グラナダのタンゴで再びアナ登場。曲はミゲル・アンヘルの故郷グラナダバリバリなんだけど、踊りはそれほどグラナダを強調してはいない。というのも面白い。
ミゲル・アンヘルは、エスペランサ・フェルナンデスやアルカンヘルなど、主に伴奏で活躍しているけれど、ソロもいいし、いろんなことにトライしていく姿勢も素晴らしい。
スペインではどうもギターが前にあまり出てこないのだけど、外国では、カンテよりも受け入れやすいのかもしれないし、どんどん、あちこちのフェスティバルに出て行って欲しいと思う。 クラシックを聴き慣れている人にもなじみやすいと思うし。違うかな。
歌、というか、コーラスで、マカリネスとダビ・ボニージャが参加している。マカリネスの美しい声は気持ちが良いのだが、うーん、なんというか、こう言ったコーラス風のとか、以前はモデルノ、と言っていたような感じの構成が、今はちょっと古びた印象になってしまうような。正統派のカンテを持ってくると、そちらにどうしても主役がいってしまうから、こういう構成にしたのではないかと思い、それはもちろんありだし、正解なのだろうけど。色々難しいです。
2017年1月19日木曜日
ニーム・フラメンコ祭ヘスース・メンデス
10年ぶりでやってきました、ニーム。
デニムの由来になった、繊維産業街が盛んなこの街は、 フランスで最も古いローマ都市で、現在も闘牛やコンサートが行われるローマ時代の円形劇場や、神殿が残っている古都だが、今年で27回というフラメンコ祭もこの街の名物の一つ。
フランス観光局のホームページでもイベントの第1番に上げているほどだ。
今年のフェスティバルは12日、ロシオ・モリーナの新作「カイダ・デル・シエロ」で開幕。その後、ロシオやハビエル・バロンやミラグロス・メンヒバルをゲストに迎えたラファエル・ロドリゲスのコンサート、エストレマドゥーラの女性たちによる公演、そしてドランテス、アンドレス・ペーニャ&ピラール・オガージャと続いてきた。
セビージャからマルセイユ経由で劇場へ直行してみたのがヘスース・メンデス。
朗々と歌い上げるそれは見事なトナーに始まり、アレグリアス、グラナイーナ、バンベーラ、ティエント/タンゴ、ソレア、そしてシギリージャ、ブレリア。
プログラム自体は、ファンダンゴ・デ・ウエルバがなかっただけで、昨年のビエナルでのリサイタルと同じなのだが、ギターが、いつもの相棒、マヌエル・バレンシアだけだからか、かえってより落ち着いた、骨太の、見事なカンテ公演になった気がする。
マヌエルのギターにはモラオやパリージャ、パコ・セペーロ(ティエントの始まりとか)まで、ヘレスのギターの伝統が息づいていて、それが全部合わさって彼自身のものになっているのがいい。伝統を受け継いだ、真摯で美しい伴奏あってこそ、ヘスースの熱唱も生きると言えるだろう。
最後のブレリアではマイクなしで歌うのだが、パケーラ譲りのこの声量。全公演、マイクなしでもいけたかも、と思わせるほどだ。フラメンコなエコーがいつまでもこだましている、感じ。
観客も熱心な拍手を送っていた。
マノロ・バレンシアの伴奏も素晴らしく、ビエナルでの公演よりも全体的な印象が良かったのでありました。
デニムの由来になった、繊維産業街が盛んなこの街は、 フランスで最も古いローマ都市で、現在も闘牛やコンサートが行われるローマ時代の円形劇場や、神殿が残っている古都だが、今年で27回というフラメンコ祭もこの街の名物の一つ。
フランス観光局のホームページでもイベントの第1番に上げているほどだ。
今年のフェスティバルは12日、ロシオ・モリーナの新作「カイダ・デル・シエロ」で開幕。その後、ロシオやハビエル・バロンやミラグロス・メンヒバルをゲストに迎えたラファエル・ロドリゲスのコンサート、エストレマドゥーラの女性たちによる公演、そしてドランテス、アンドレス・ペーニャ&ピラール・オガージャと続いてきた。
セビージャからマルセイユ経由で劇場へ直行してみたのがヘスース・メンデス。
Festival Flamenco de Nimes撮影Jean-Louis Duzert |
朗々と歌い上げるそれは見事なトナーに始まり、アレグリアス、グラナイーナ、バンベーラ、ティエント/タンゴ、ソレア、そしてシギリージャ、ブレリア。
Festival Flamenco de Nimes撮影Jean-Louis Duzert |
Festival Flamenco de Nimes撮影Jean-Louis Duzert |
最後のブレリアではマイクなしで歌うのだが、パケーラ譲りのこの声量。全公演、マイクなしでもいけたかも、と思わせるほどだ。フラメンコなエコーがいつまでもこだましている、感じ。
Festival Flamenco de Nimes撮影Jean-Louis Duzert |
観客も熱心な拍手を送っていた。
マノロ・バレンシアの伴奏も素晴らしく、ビエナルでの公演よりも全体的な印象が良かったのでありました。
Festival Flamenco de Nimes撮影Jean-Louis Duzert |
2017年1月18日水曜日
リカルド・モドレーゴ逝く
ギタリスト、リカルド・モドレーゴが亡くなった。
1934年マドリード生まれ。スペイン国立バレエ団監督をも務めた舞踊家ナナ・ロルカの兄。1957年ピラール・ロペス舞踊団のギタリストとなり、後、マリエンマやグラン・アントニオ、ホセ・グレコらの舞踊団でも活躍した。
パコ・デ・ルシアと での録音で、広く世界に知られている。
冥福を祈ります。
1934年マドリード生まれ。スペイン国立バレエ団監督をも務めた舞踊家ナナ・ロルカの兄。1957年ピラール・ロペス舞踊団のギタリストとなり、後、マリエンマやグラン・アントニオ、ホセ・グレコらの舞踊団でも活躍した。
パコ・デ・ルシアと での録音で、広く世界に知られている。
冥福を祈ります。
2017年1月16日月曜日
フラメンコ・ビエネ・デル・スール プログラム発表
今年で20周年となる、アンダルシア州政府のフラメンコ公演シリーズ、フラメンコ・ビエネ・デル・スールの今年のプログラムが以下の通り、発表された。
かつては今は亡き、パケーラやチャノ・ロバート、パケーラ・デ・ヘレスラも出演したこの公演シリーズはセビージャのセントラル劇場に始まり、その後 各地に広がった。
現在では、セビージャ、グラナダ、マラガ、州の持つ三つの劇場で行われている。
◇フラメンコ・ビエネ・デル・スール
グラナダ
2/20(月)「レジェンダス」
[出]〈g〉パコ・セペーロ、〈c〉フアン・ビジャール
3/6(月)「タルドアンティグオ」
[出]〈c〉アントニオ・カンポス、〈g〉ぺぺ・アビチュエラ
3/13(月)「アル・トラスルス」
[出]〈b〉ルシア・グアルニド
3/20(月)「インマネンシア」
[出]〈b〉ハビエル・バロン、ラファエル・カンパージョ、アルベルト・セジェス
3/27(月)
[出]〈c〉ロシオ・マルケス、アントニオ・レジェス
4/3(月)「ラス・ペケーニャス・コーサス」
[出]〈b〉ウルスラ・ロペス、ゲスト〈c〉ヘマ・カバジェーロ
4/24(月)「デ・グラナダ」
[出]〈b〉アルバ・エレディア、クリスティーナ・アギレラ
5/8(月)「エスパニョーラ/ラ・パス」
[出]〈g〉ニーニョ・ホセーレ
5/15(月)「セビージャ」
[出]〈b〉ルイサ・パリシオ、ゲスト〈b〉エドゥアルド・レアル
[場]グラナダ アルハンブラ劇場
[問]www.teatroalhambra.com
3/7(火)「プーロ・ペレ」
[出]〈c〉エル・ペレ
3/14(火)「アル・ゴルペ/バホギア」
[出]〈sax〉ディエゴ・ビジェガス、〈perc〉アントニオ・モレーノ、ゲスト 〈b〉レオノール・レアル
3/21(火)「ウナ・ミラーダ・レンタ」
[出]〈b〉アナ・モラーレス、ゲスト〈b〉ダビ・コリア
3/28(火)「パ・フラメンコ・ジョ」
[出]〈b〉エル・フンコ、スサナ・カサス
4/4(火)「ロス・ビエントス・ケ・アキ・メ・トラエン」
[出]〈c〉アルヘンティーナ
4/25(火)「ゲレーロ」
[出]〈b〉エドゥアルド・ゲレーロ
5/9(火)「カホン・ツール」
[出]〈perc〉ルベン・ダンタス、ゲスト〈c〉ラ・スーシ
5/16(火)「デ・セピア・イ・オロ」
[出]〈b〉アンドレス・ペーニャ、ピラール・オガージャ
5/18(木)」第1回セビージャ国際フラメンコギターコンクール入賞者ガラ」
[出]〈g〉イアゴ・サントス、アルバロ・モーラ、マルセロ・パランコ
5/23(火)「2015年ラ・ウニオンのコンクール優勝者」
[出]〈c〉アントニア、コントレーラス、〈b〉アルバ・エレディア、〈piano〉アルフォンソ・アロカ
[場]セビージャ セントラル劇場
[問]www.teatrocentral.es
11/8(水)「トド・エル・ムンド・エス・フラメンコ」
[出]ワオ、プロドゥクシオネス
11/15(水)「エル・アルボル・コン・アラス」
[出]〈b〉アナ・ベローソ
11/16(木)「エル・アプレンディス」
[出]〈b〉ホセ・ガラン舞踊団
11/22(水)「フラメンコ・エントレ・ドス・オリージャス」
[出]ミロンガ、フラメンカ舞踊団
かつては今は亡き、パケーラやチャノ・ロバート、パケーラ・デ・ヘレスラも出演したこの公演シリーズはセビージャのセントラル劇場に始まり、その後 各地に広がった。
現在では、セビージャ、グラナダ、マラガ、州の持つ三つの劇場で行われている。
◇フラメンコ・ビエネ・デル・スール
グラナダ
2/20(月)「レジェンダス」
[出]〈g〉パコ・セペーロ、〈c〉フアン・ビジャール
3/6(月)「タルドアンティグオ」
[出]〈c〉アントニオ・カンポス、〈g〉ぺぺ・アビチュエラ
3/13(月)「アル・トラスルス」
[出]〈b〉ルシア・グアルニド
3/20(月)「インマネンシア」
[出]〈b〉ハビエル・バロン、ラファエル・カンパージョ、アルベルト・セジェス
3/27(月)
[出]〈c〉ロシオ・マルケス、アントニオ・レジェス
4/3(月)「ラス・ペケーニャス・コーサス」
[出]〈b〉ウルスラ・ロペス、ゲスト〈c〉ヘマ・カバジェーロ
4/24(月)「デ・グラナダ」
[出]〈b〉アルバ・エレディア、クリスティーナ・アギレラ
5/8(月)「エスパニョーラ/ラ・パス」
[出]〈g〉ニーニョ・ホセーレ
5/15(月)「セビージャ」
[出]〈b〉ルイサ・パリシオ、ゲスト〈b〉エドゥアルド・レアル
[場]グラナダ アルハンブラ劇場
[問]www.teatroalhambra.com
3/7(火)「プーロ・ペレ」
[出]〈c〉エル・ペレ
3/14(火)「アル・ゴルペ/バホギア」
[出]〈sax〉ディエゴ・ビジェガス、〈perc〉アントニオ・モレーノ、ゲスト 〈b〉レオノール・レアル
3/21(火)「ウナ・ミラーダ・レンタ」
[出]〈b〉アナ・モラーレス、ゲスト〈b〉ダビ・コリア
3/28(火)「パ・フラメンコ・ジョ」
[出]〈b〉エル・フンコ、スサナ・カサス
4/4(火)「ロス・ビエントス・ケ・アキ・メ・トラエン」
[出]〈c〉アルヘンティーナ
4/25(火)「ゲレーロ」
[出]〈b〉エドゥアルド・ゲレーロ
5/9(火)「カホン・ツール」
[出]〈perc〉ルベン・ダンタス、ゲスト〈c〉ラ・スーシ
5/16(火)「デ・セピア・イ・オロ」
[出]〈b〉アンドレス・ペーニャ、ピラール・オガージャ
5/18(木)」第1回セビージャ国際フラメンコギターコンクール入賞者ガラ」
[出]〈g〉イアゴ・サントス、アルバロ・モーラ、マルセロ・パランコ
5/23(火)「2015年ラ・ウニオンのコンクール優勝者」
[出]〈c〉アントニア、コントレーラス、〈b〉アルバ・エレディア、〈piano〉アルフォンソ・アロカ
[場]セビージャ セントラル劇場
[問]www.teatrocentral.es
11/8(水)「トド・エル・ムンド・エス・フラメンコ」
[出]ワオ、プロドゥクシオネス
11/15(水)「エル・アルボル・コン・アラス」
[出]〈b〉アナ・ベローソ
11/16(木)「エル・アプレンディス」
[出]〈b〉ホセ・ガラン舞踊団
11/22(水)「フラメンコ・エントレ・ドス・オリージャス」
[出]ミロンガ、フラメンカ舞踊団
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