2009年7月31日金曜日

カマロン トリビュート

カマロン・デ・イスラ。
この名前を一度もきいたことのないフラメンコ関係者はいないはず。(そうであることを祈ります)

いうまでもなく、1992年に肺癌で夭折した、20世紀後半を代表する天才カンタオール、であります。
カディス県はサン・フェルナンドという、カディスの町のちょっと手前の町に生まれ育ち、
こどものときから歌いはじめ…(中略)
パコ・デ・ルシアと出会って、現代フラメンコの基礎をつくった人であります。
もっと知りたい、という人はまずこのベスト盤3枚組CDでも聴いてみましょう。
百聞は一聴にしかず。
音程、リズム、フラメンコ性。どれをとっても文句のつけようのない歌い手でございます。

その彼の代表作のひとつに「レジェンダ・デル・ティエンポ」があります。
1979年に発表されたこのアルバム(当然レコードでした。。。)は、エレキギターやドラムス,キーボードなども取り入れたロックな1枚。
発表当時は、『邪道だ!」と純粋派に糾弾されたそうですが、今きくと、なんとも70年代なアレンジな中に、現代にも通じるフュージョンのめばえが感じられる、歴史的な1枚です。

で、今年はこのアルバム誕生から30周年、ということでトリビュート作品が初演されます。
音楽監督は日本でも、小島章司さん公演でおなじみのギタリスト、チクエロ。
歌は、こどものころ、カマロンに舞台にあげてもらい、またカマロンがその死の直前に彼の歌を聴けといったと伝えられる、ドゥケンデとシルビア・クルス。
さらにはバイレには、スタイリッシュなフラメンコをみせるラファエラ・カラスコが参加。
キーボードやドラム、エレキギターやベースも加わりにぎやかな舞台となりそうです。
初演は8月2日、カタルーニャきっての音楽祭 カステル・デ・ペララダです。
あー観にいきたい!

2009年7月30日木曜日

カルロス・サウラのフラメンコ・オイ

なぜかマドリードの夏はフラメンコ公演が多いのです。
まずは毎年恒例、マドリードの夏を彩るフェスティバル、ベラーノ・デ・ビジャ
これは音楽、ダンスなど多彩な催しがあるのですが,フラメンコだけでも

8/12〜16  フラメンコ サバティーニ庭園
(12ファルーコ&アントニオ・レイ、13アウロラ・バルガス&ルイサ・パリシオ、14カリスト・サンチェス&ミラグロス・メンヒバル、15カプージョ、16カルメン・リナーレス)
8/17〜19  サラ・バラス舞踊団「フアナ・ラ・ロカ」 サバティーニ庭園

やはり毎夏恒例のプラディージョ劇場でのフラメンコ公演
8/5〜8   カーノ(カニート) プラディージョ劇場
8/12〜8/15 ペパ・モリーナ舞踊団 プラディージョ劇場 
8/19〜29  マルーコス・ダンサ プラディージョ劇場

とありますし、ほかにも

7/2〜8/16 ドローレス・ヒメネス舞踊団 グラン・ビア小劇場
8/12〜23  スイテ・エスパニョラ舞踊団 ラティーナ劇場
8/20〜9/20 ラファエル・アマルゴ舞踊団 カナル劇場
・・・・・

セビージャは暑すぎて、みんな海に逃げてしまうせいか、フラメンコ公演、8月はほとんどないんですけどね。
マドリードは観光客も来るからかなあ。セビージャも来るけど観光的にはオフシーズンなんです。。。


で、そんな中でひときわ光り輝くプログラムがこれ、

アントニオ・ガデスとの「血の婚礼」「カルメン」「恋は魔術師」のフラメンコ三部作、「セビジャーナス」「フラメンコ」、アイーダ・ゴメス「サロメ」、「イベリア」など、フラメンコと関係の深い作品を多く世におくりだしている映画監督カルロス・サウラが、映画「フラメンコ」から14年。オイ、すなわち、今、現在のフラメンコを舞台作品にしたものでこれが初演。

振付にラファエル・エステベス、ナニ・パーニョの若手コンビ、アーティスティックアドバイザーにホセ・ルイス・オルティス・ヌエボ、音楽監督にチャノ・ドミンゲスを招き、今、現在、最高のフラメンコをみせてくれるというのです。
出演者がまたすごい。
ロシオ・モリーナ、パストーラ・ガルバン、コンチャ・ハレーニョら総勢18人の踊り手たちに加え、
ギターにアントニオ・レイ、カンテにダビ・パロマール、ヘスース・メンデス、ラ・トレメンディータ…。若手実力派が勢揃い、といった趣きです。
もちろん音楽監督のチャノ・ドミンゲスも自らのグループを率い参加、振付のラファエルとナニの二人も舞台に登場します。
さてさてどんな舞台になりますやら。わくわくした気分でまちこがれているのであります。

あ、これをもとに映画もつくるという話も。。。

2009年7月29日水曜日

ラ・ウニオン コンクールとフェスティバル

昨日は井上圭子さんが出場するラ・ウニオンのコンクールの舞踊部門の話をしましたが、
このコンクール、もともとはカンテ・デ・ラス・ミーナス、すなわち、ミネーラ、タランタ、カルタへネーラ、ムルシアーナなど、の復興/再評価のためにはじまったものです。
最初はコンクールもカンテだけでした。それが1988年にギター部門、1994年に舞踊部門が誕生し、今年からはその他の楽器部門も加わるようになったのです。
今年のコンクールは8月12日から。その前にはさまざまなアーティストが登場するフェスティバルが開催されます。プログラムは以下の通りです。

8月5日(水)前夜祭 ラ・ウニオンの日

8月6日(木)開会宣言/2008年優勝者(カンテ/ロシオ・マルケス、舞踊/アルフォンソ・ロサ)公演

8月7日(金)ニーニャ・パストーリ

8月8日(土)〈g〉カルロス・ピニャーナ、〈c〉アルカンヘル

8月9日(日)〈c〉ギジェルモ・カーノ、マリアーナ・コルネホ、カプージョ・デ・ヘレス

8月10日(月)〈c〉アルヘンティーナ、〈b〉ラファエル・アマルゴ

8月11日(火)〈g〉ビセンテ・アミーゴ

8月12日(水)コンクール準決勝

〈ピアノ〉アブドン・アルカラス、〈b〉シルビア・ロサーノ、エンカルナシオン・ロペス、〈c〉サラ・サラド、アナ・モチョン(なんと14歳!のグラナダッ子)、チュルンバケ・イホ、アロア・カラ、クリスティーナ・ソレール、〈g〉アントニオ・カセレス、

8月13日(木)コンクール準決勝

〈フルート〉ダニエル・ポルティージョ、〈b〉アナ・モラーレス、井上圭子、〈c〉コロライート、エバ・ルイス、エバリスト・クエバス、カルメン・フェルナンデス、ニーニョ・デ・アウロラ、チャト・デ・ベレス〈g〉ホセ・アンドレス・コルテス、カルロス・サラテ

8月14日(金)コンクール準決勝

〈ピアノ〉ボルハ・エボラ、〈b〉カルロス・カルボネル、マリア・カネア(18歳!)、〈c〉エステル・メリノ、ドミンゴ・エレリアス、ヘスース・コルバチョ、アントニオ・ホセ・メヒアス、アントニオ・オルテガ・イーホ、エル・カルピオ、〈g〉エル・フアニ

8月13日(土)コンクール決勝

なお、開演は全日22時45分から。

www.fundacioncantedelasminas.org


 こうしてみてみると、今年もまたギターが低調だったようですね。通常1日2人ずつ6人出場するのに今年は4人だけ。そのうち二人は昨年も登場したような。。。うち一人はなんでこれが予選通過?と首かしげざるをえない人で、もう一人もとても受賞者のレベルではなかったのですが、今年は上達したのでしょうか。。。去年は該当者なしだったのですがさて、今年は。。。

 14日登場するボルハはマノロ・サンルーカルの弟エボラの息子。さてどんな演奏をきかせてくっるのでしょうか。


2009年7月28日火曜日

井上圭子さん ラ・ウニオン準決勝進出!

うれしいニュースがとびこんできました。
井上圭子さんが、今年8月、ラ・ウニオンのコンクールの準決勝に出場します!

ラ・ウニオン、カンテ・デ・ラス・ミーナスのコンクールといえば,スペインでも屈指の歴史を誇るコンクール。
舞踊部門ができたのは1994 年。課題曲タラントともう一曲、自由曲を踊ります。
第一回の優勝者はハビエル・ラトーレでした。それから15年。
イスラエル・ガルバン、ラファエル・カンパージョ、イニエスタ・コルテス…そうそうたる顔ぶれが受賞者に名をつらねます。2003年のラ・モネータのように、ここでの優勝がジャンピングボードとなって活躍しはじめた人も。

ちなみに過去5年間の優勝者のビデオはここで観ることができますhttp://www.fundacioncantedelasminas.org/banco_datos/?cat=9

日本人の準決勝進出は、2003年の平富恵さん、南風野香さん以来6年ぶりです。
決勝進出は逃したものの、みごとなバタ・デ・コーラさばきで観客ばかりか、審査員をも魅了した先輩たちのように、8月13日 準決勝2日目にタラントと自由曲でアレグリアスを踊る、井上さんの健闘、活躍を祈ってやみません。

ちなみにそのほかの舞踊部門準決勝進出者は以下の通りです。
シルビア・ロサーノ(グラナダ)、エンカルナシオン・ロペス(コルドバ)、アナ・モラーレス(セビージャ)、カルロス・カルボネル(カディス)、マリア・カネア(ウエルバ)

2009年7月27日月曜日

イベント情報 ヘレスの夏のクラス

アンダルシアの夏は半端じゃなく暑いのです。今日も予報は最高気温41度。ひええ。
乾燥しているから日本のじっとりべったりの蒸し暑さはないものの気温が体温を越えるとやっぱりつらいです。なんで、セビージャのフラメンコ教室では8月は閉めるところも多いです。当然、だよね。。。
しかし、しかし、であります、この暑さにも関わらず!ヘレスでは毎年、多くの夏のクルシージョが開催されています。

-セントロ・デ・バイレ・ヘレス
ピラール・オガージャ、ラファエラ・カラスコ、フアン・オガージャ、マヌエラ・リオス

-エストゥディオ・フラメンコ・チキ・デ・ヘレ
ハビエル・ラトーレ、ドミンゴ・オルテガ、イスラエル・ガルバン、パストーラ・ガルバン
http://www.chiquidejere.com/

-アントニオ・エル・ピパ
http://www.antonioelpipa.com

どのクラスも午前中のみなので,午後はバスで近場の海にいく、というのもありですね。
これらに加えて今年は理論のクラスも開講するとのことです。
ヘレスのラジオの人気フラメンコ番組、ロス・カミノス・デル・カンテの司会者でフラメンコ研究家、ホセ・マリア・カスターニョが、5日間にわたってフラメンコ曲種を詳しく解説していくというクラス。こちらもなかなか面白そうです。カスターニョはラジオ番組だけでなく、カディス大学ヘレス・キャンパスで長年フラメンコ講座を開くなど、講師としても経験豊富。
曲の区別ができない!という人におすすめなクラスです。
http://www.loscaminosdelcante.com/i-curso-de-verano-de-los-caminos-del-cante/
講義はスペイン語で行われるのが、難といえば難なのかもしれないけれど。。。

2009年7月25日土曜日

スペイン公演情報 ヘレスのビエルネス・フラメンコ

毎年8月恒例の、ヘレスのビエネルネス・フラメンコのプログラムが発表されました。
今年で14年目。会場は例年通りフランコ通りのシネ・アストリアで22時開演。入場料は10ユーロです。出演は以下の通り()内は伴奏者です。
8月14日のレメディオス・アマジャをのぞきすべてがヘレスっ子。舞踊は若手が登場します。


8月7日 〈c〉アナ・デ・ロス・レジェス(ヘスース・アルバレス)、ヘスース・ソト“アル・アルメンドロ”(アルベルト・サン・ミゲル)、アントニオ・レジェス(アントニオ・イゲロ)、〈b〉フェルナンド・ガラン

8月14日 〈c〉アントニオ・ペーニャ“エル・トロ”(ホセ・イグナシオ・フランコ)、ホアキン“エル・サンボ”(ドミンゴ・ルビチ)、レメディオス・アマジャ(フアン・ディエゴ)、〈b〉エステファニア・アランダ

8月21日 〈c〉ナサレ・カラ(フェルナンド・モレーノ)、ルイス・モネオ(フアン・マヌエル・モネオ)、ディアマンテ・ネグロ(ヘスース・アルバレス)、〈b〉フェルナンド・ヒメネス

8月28日 〈c〉ホアキン・マリン“エル・キニ”(ペペ・エル・デ・モラオ)、マカレーナ・デ・ヘレス(フアン・マヌエル・モネオ)、フアン・モネオ“エル・トルタ”(フアン・マヌエル・モネオ)、〈b〉ヘマ・モネオ

個人的には21日のディアマンテ・ネグロが気になる。これって、あの「カンタ・ヘレス」に参加しているディアマンテ・ネグロの家族? まさか本人?

2009年7月24日金曜日

フラメンコな町;セビージャ1 アラメーダ・デ・エルクレス


セビージャの町の中心部からちょっと北に上がったところにあるアラメーダ・デ・エルクレス。長い間、工事中だった広場がやっと完成。きれいになりました。
カフェ・カンタンテとタブラオの時代の間に、クアルトの時代、つまり別室でプライベートな宴でフラメンコを楽しむ時代があり、ここはそのメッカともいえるところでした。また多くのフラメンコたちが住んでいたことでも知られます。
先日はルンブレラ通りに、この通りで生まれたカラコールの生誕百周年記念のプレートがとりつけられましたが、そこからすぐのアラメーダに、みっつの銅像がたっています。
手前からパストーラ・パボン“ニーニャ・デ・ロス・ペイネス”、マノロ・カラコール、闘牛士チクエロ。
昔このあたりに住んでいたパストーラの銅像は昔の、フラメンコ曲種がかかれた台の方が味があってよかったようにも思います。カラコールも昔はもっと高い台に乗って広場の南側にあったのですが。。。こうして銅像を並べてしまうセンスについてはともかく、フラメンコ好きならちょっとみてみたい気がするのではないでしょうか。
なお11月26日の12時から、パストーラとペペ・ピント夫妻の没後40周年の催しがここで開催されるそうです。
ちなみにこの銅像のななめ後ろにあるバルは昔ながらのタパが豊富。向かい側には今風のこじゃれたバルなどもあり、いにしえのフラメンコをしのびつつ一杯かたむけるには最適です。

2009年7月23日木曜日

はじめまして!

突然iWeb(mac用のホームページ作成ソフト)がクラッシュしてしまったので新たなウエブを立ち上げることにしました。(めげない奴…)

フラメンコの故郷、スペインの南、アンダルシアはセビージャから最新のフラメンコ情報を日々アップしていくつもりです。
こちらでもどうぞよろしくお願いいたします。

志風恭子
大阪生まれ。OL時代にアントニオ・ガデスでフラメンコと出会い、87年からスペイン在住。フラメンコ専門誌パセオ・フラメンコの通信員としてスペインからのニュースやインタビューをおくる傍ら、通訳コーディネーターとしてパコ・デ・ルシア、ホアキン・コルテス、サラ・バラスなど多数のスペイン人アーティスト来日公演に携わる。またCDや公演プログラムなど執筆。セビージャ大学院博士課程在学中の研究家でもある。