2023年9月29日金曜日

アルヘンティーナen Teatro Central


 2時間近い公演の間、ずっと考えていた。なぜ、大勢のお客さんがこんなに喜んでいるのに私には届かないのだろう、と。

音程がすごくいい。リズムを外すこともない。この日もブレリア、タンゴ、バンベーラ、シギリージャなどたくさん歌った。レパートリーは広いし、声はちょっと鼻にかかっているというか舌足らずみたいな感じもあるけど声量もないわけではないし、声の調子のコントロールをしていないわけでもない。でもオレ、と言いたくなるような要素が全くないのでありますはっきりいうとつまんない。

って、これ書くために過去の投稿を見ていたら、こう書いていた。

何を歌っても一緒。歌をスペイン語でいうマティサール、微妙なニュアンスを加味する、ということが全くできていない。

こんなのもあった。

音程もリズムもいい。声のコントロールもできている。上手いんだけどオレ!がほとんどかからない。どの曲も熱唱。みんな同じ感じなのだ。
フラメンコは曲種ごとの性格を表現するのも演者の役割だと思うのだけど、シギリージャもアレグリアも皆同じ顔、同じ表情で歌う。
技術はあるのだけど、それを曲の表現に、感情、心の表現に結びついていないのだ。

書いたこと忘れてたけど。結局そういうことなんだと思う。彼女も、私も変わってないな。

では、なぜ、彼女の歌を好きな一定の観客層がいるのでしょう。

それはフラメンコも歌謡曲のような歌として楽しみたいからなのではないか、と仮説。彼女の歌は歌詞が聞き取りやすい。深い感情を込めたりするようなところがないから、タメや間合いの微妙な変化はないので(私はそういうのが聴きたい)、リズムも一定で聞きやすいのではないだろうか。自分でも一緒に歌いたい人たち、と言ってもいいかもしれない。最後、ファンダンゴ・デ・ウエルバで、アロスノのファンダンゴはみんなで歌って、と彼女が促すと嬉しそうに歌っていた人が多かったのを見てそう思った。

ウエルバのファンダンゴはウエルバのファンダンゴで魅力があるし、パコ・トロンホのような個性的で、素晴らしい歌い手もいるのだけれど。フラメンコは幅広く奥深く多彩。内臓をさらけ出すような心の叫びのようなシリアスなものからユーモアあふれる軽妙なものまで、曲をどう表現するのか、また曲でどう表現するのか、ちょっとした間合いや声の調子、表情などで何をどう伝えてくれるのか、が私にとっては大切で、パコ・トロンホのファンダンゴにはそういうものも感じさせてくれるのだけど、往々にして、ファンダンゴからきたウエルバの歌い手は朗々と歌い上げる、熱唱するというタイプが多いような気もします。ま、人によって大切なものは違うわけで。ってことなんでしょうけど。

アンコールでベルナルダがブレリアで歌ったTodo el mundo nos separa 歌った時とか、ほんと、歌謡曲にしか聞こえない。ベルナルダとのあまりの違いにクラクラしたことでした。べるなるだが歌うと歌詞が親身になって、切なくて、その気持ちにこっちの心も寄り添い、グッと来るんだけどね。そう、それなんだよ、彼女の心が気持ちが見えない。全て平面的で平版。いや、あの音程だけでもすごいとは思うのよ、思うのだけど。

は〜。どっと疲れて終演後いつものようにバルには寄らずまっすぐ帰ったのでありました。


2023年9月28日木曜日

セビージャ、ギター祭

2010年に始まったセビージャのギター祭が今年も市の中心部にある市立ホール、エスパシオ・トゥリナを主な舞台として、開催されます。
当初はクラシックギターのみだけだったのが、第4回にヘラルド・ヌニェスが出演し、その後もダニ・デ・モロンやカニサーレスらも出演していますし、クラシックギターでは荘村清志や福田進一らも出演しています。またクラシックギターのコンクールでは2017年菅沼聖隆が優勝していますが、その前年、前々年と観客賞を受賞し3年目で見事優勝しているんですね。すごいな。
今年はフラメンコとクラシックのギタリストが一部二部で演奏する公演が多いのが特徴かもしれません。何度か見に来たこれまではフラメンコだけだったので、ちょっと新鮮。楽しみです。


 ◇セビージャ ギター祭※フラメンコ関係公演のみ

1012(木)20

『エテルナメンテ・バロッコ』[出]クラシック〈g〉マルコ・タマジョ、『ギタラ・ネグラ』[出]〈g〉パコ・フェルナンデス、〈ヴァイオリン〉グロリア・ワスメル

1013(金)20

『ロマンセロ・ヒタノop.152』『スイテ・ロルカ』コディセ合唱団、クラシック〈g〉アメリア・マリン、『オメナヘ・ア・ラ・ギターラ』〈g〉アレハンドロ・ウルタド

1014(土)20時『ラ・ギターラ・デ・ペドロ・ホセ・マリア・ペーニャ』

[出]〈g〉ペドロ・ホセ・マリア・ペーニャ、〈c〉ルイス・エル・サンボ

1018(水)20

『リターンズ』クラシック〈gPaul Cesarczyk 『カルテ・ブランチェ』〈g〉ダニ・デ・モロン

1019(木)20

『ア・アルマ・ド・チョロ』クラシック〈gFranz Halasz『エル・ポデル・デ・ロ・スティル』〈g〉ダニエル・カサレス

[場]セビージャ エスパシオ・トゥリナ、サラ・シルビオ

1021(土)1230cd『アルベニス・フラメンコ』発表

[出]〈g〉ミゲル・アンヘル・コルテス、クラシック〈g〉ホセ・マリア・ガジャルド・レイ

[場]セビージャ レアレス・アルカサレス カピージャ・ゴティカ

[問]https://www.guitartfestivalsevilla.com

ヘレスのフェスティバル プログラム発表

 来年のヘレスのフェスティバルの公演プログラムが発表になりました。

サラ・バラス新作で始まり、ファルキートを挟んで、マヌエラ・カラスコ引退ツアーで閉幕。ビジャマルタでは、他にも、アナ・モラーレス、ダビ・コリア、エステベス/パニョスら、今の舞踊シーンを引っ張っている面々に加え、モネータやファルキート、ご当地ヘレスのアーティストではメルセデス・ルイスとホアキン・グリロに加え、ベアトリス・モラレス/アグヘタ・チコ夫妻が初登場。他にもアンダルシア舞踊団監督だったウルスラ・ロペスのカンパニーや元ヌエボ・バレエ・エスパニョルのカルロス・ロドリゲスの舞踊団も登場。小劇場でも各地のコンクールなどで活躍した若手らの公演が多く行われるのも素晴らしいと思います。確実に世代交代も進んでいるなあ、と第1回から通い続けている私は思うわけであります。

入場券は10月19日から発売します。



◇第28 回ヘレスのフェスティバル

223(金)2030  新作

[出]〈b〉サラ・バラス舞踊団

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

224(土)13時『トレス・ピエサス』

[出]〈b〉カレン・ルゴ、ホセ・マルドナード、〈g〉チクエロ

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館

224(土)15

[出]〈b〉マリア・レジェス

[場]ヘレス ペーニャ・エル・ペスカエロ

224(土)15

[出]〈bルイス・モントージャ・フンケーラ

[場]ヘレス ペーニャ・ぺぺ・アルコンチェル

224(土)1830

[出]〈b〉ホセ・ケベド“ボリータ”

[場]ヘレス  サラ・コンパニア

224(土)2030分 新作

[出]〈b〉サラ・バラス舞踊団

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

225(日)12

ドキュメンタリー映画『パライソ・デ・クリスタル』

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館

225(日)1330分『ドミンゴス・デ・ベルム・イ・ポタヘ』

[出]〈c〉マウイ

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館 ドン・ホルヘ

225(日)15

[出]〈c〉マヌエル・モンヘ

[場]ヘレス ペーニャ・ブエナ・ヘンテ

225(日)1830分『テンロ・ポル・クエンタ』

[出]〈c〉ホセ・デ・ロス・カマロネス、ゲスト〈b〉マリア・デル・タンゴ、アレハンドロ・モリネーロ

[場]ヘレス ボデガ・ゴンサレス・ビアス

225(日)2030分『ビンクロス』

[出]〈b〉ラ・モネータ

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

226(月)1830分『プレセンテ』

[場]ヘレス サラ・コンパニア

2/26(月)2030分『アベ・デ・プラタ』

[出]〈b〉サラ・ヒメネス

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館

227(火)1830分『コンプリセス』

[出]〈b〉アラセリ・ムニョス、マヌエル、モンテス

[場]ヘレス サラ・コンパニア

227(火)2030分『クチャロン、イ・パソ・アトラス』

[出]〈b〉ホアキン・グリロ

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

227(火)23時『メタル・フンディオ』

[出]〈c〉ルイス・モネオ、特別協力〈b〉マリア・ホセ・フランコ

228(日)13時『アルパオラ』ワーク・イン・プログレス

[出]〈ハープ〉アナ・クリスマン、ゲスト〈c〉ヘスス・メンデス

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館 

228(日)15

[出]〈c〉フアン・エル・モレーノ

[場]ヘレス ペーニャ・ロス・セルニカロス

228(水)1830分『コントラクエルポ』

[出]〈b〉ダニエル・ラモス 

[場]ヘレス アタラジャ博物館

228(水)2030分『オメナヘ・ア・ピカソ。エテルノ』

[出]〈b〉カルロス・ロドリゲス舞踊団

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

229(木)1830

[出]〈g〉フアン・ディエゴ・マテオス、特別協力〈b〉マヌエラ、カルピオ

[場]ヘレス サラ・コンパニア

229(木)2030分『ペクリアル』

[出]〈b〉アナ・モラーレス

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

31(金)1830分『インフィニータ(コン・エル・アルマ・フエラ・イ・クエルポ・デントロ)ア・マルガ・ヒル・ロエセット』ワーク・イン・プログレス

[出]〈b〉メルセデス・デ・コルドバ

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館ドン・ホルヘ

31(金)2030分『アルテル・エゴ』

[出]〈b〉アルフォンソ・ロサ、パトリシア・ゲレロ

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

31(金)23時『ネルハ』

[出]〈g〉ラファエル・リケーニ

[場]ヘレス ボデガ・ゴンサレス・ビアス

32(土)13時『アンベルソ/レベルソ・デ・ロラ・フロレス』

[出]

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館ドン・ホルヘ

32(土)15

[出]〈c〉エスメラルダ・ランカピーノ

[場]ヘレス ペーニャ・ラ・ブレリア

32(土)15

[出]〈c〉マレナ・カラスコ

[場]ヘレス ペーニャ・ティオ・ホセ・デ・ラ・パウラ

32(土)1830分『ザ・ゲーム』

[出]〈c〉ロシオ・ルナ

[場]ヘレス パラシオ・ビジャビセンシオ

32(土)2030分『デ・シェヘラザード』

[出]〈b〉ファルキート、フアン・エル・モレノ、ゲスト〈b〉カリメ・アマジャ、アウシ・フェルナンデス

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

32(土)23時『レロホ・デ・アレナ』

[出]〈c〉エル・ペレ

[場]ヘレス ボデガ・ゴンサレス・ビアス

33(日)13時『アトラパダス』

[出]〈c〉インマ・ラ・カルボネラ、アナ・サラサール、〈b〉エル・ペロン、〈g〉パコ・イグレシアス

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館

33(日)1830

[出]〈b〉イレネ・モラレス、パウラ・サラサル

[場]ヘレス サラ・コンパニア

33(日)2030分『ロス・バイレス・ロバーダス』

[出]〈b〉ダビ・コリア

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

34(月)1830

[出]〈c〉ペドロ・モントージャ“チャンキータ”、ベルナルド・ルビチ

[場]ヘレス パラシオ・ビジャビセンシオ

34(月)2030分『デ・ラ・ナトゥラレサ・デル・アモル』

[出]〈b〉ベアトリス・モラレス、〈c,g〉アグヘタス・チコ

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

35(火)1830分『バイランテ』

[出]〈b〉ダビ・ロメロ、〈g〉ハビエル・コンデ

[場]ヘレス サラ・コンパニア

35(火)2030分『モスカス・イ・ディアマンテス』

[出]〈b〉フランシスコ・イダルゴ

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館

36(水)1830

[出]〈c〉ヘスス・コルバチョ

[場]ヘレス パラシオ・ビジャビセンシオ

36(水)2030分『コメディア・シン・ティトゥロ』

[出]〈b〉ウルスラ・ロペス舞踊団

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

37(木)1830分『ロカス・ムヘレス』

[出]〈b〉シンシア・カノ

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館

37(木)2030分『フラメンカ391

[出]〈b〉エステベス/パニョス舞踊団

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

38(金)15

[出]〈c〉マヌエル・デ・カンタローテ

[場]ペーニャ・フェルナンド・テレモート

38(金)1830分『ベルテブラド

[出]〈b〉フアン・トマス・デ・ラ・モリア

[場]ヘレス サラ・コンパニア

38(金)2030分『ロマンセロ・デル・バイレ・フラメンコ』

[出]〈b〉メルセデス・ルイス、ゲスト〈c〉ダビ・ラゴス、〈b〉ホセ・マルドナド

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

39(土)15

[出]〈c〉エンリケ・レマチェ

[場]ペーニャ  ペーニャ・ルイス・デ・ピカ

39(土)15

[出]〈c〉マヌエル・デル・モジャ

[場]ペーニャ・ラ・スア

39(土)17時『ハビエル・ラトーレ振付工房ファイナル』

[出]ハビエル・ラトーレのクラス受講者他

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館

39(土)1830分『カミノ』

[出]〈b〉フェルナンド・ヒメネス、特別協力〈c〉フェリパ・デル・モレノ、ゲスト〈c〉ヘスス・メンデス

[場]ヘレス サラ・コンパニア

39§   (土)2030分『シエンプレ・マヌエラ、ヒラ・デ・デスペディダ』

[出]〈b〉マヌエラ・カラスコ、ゲスト〈c〉ヘスス・メンデス

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

[問]https://www.festivaldejerez.es

2023年9月25日月曜日

ダニ・デ・モロン、デュオ

ダニ・デ・モロンはパーカッションのアグスティン・ディアセラとのデュオでのリサイタル。


スペインではギターソロのリサイタルはカンテやバイレに比べて少なく、今年のセントラル劇場での公演シリーズでも唯一。

フラメンコギターのリサイタルは、自作の曲を演奏するのが基本。最近は過去の巨匠たちの作品を演奏することもあるけれどその場合はちゃんと断るから、今回も自作だったのでしょう。

ちょっと不思議な感じでした。

三拍子系は三拍子系で、二拍子系は二拍子系で、と言った感じの、曲種を色々集めたような、弾いている本人以外にはよくわからないような曲。通常のフラメンコ曲から引き算したような感じ。現代音楽風? ジャズ風? ブラジル風? そのどれでもありそうでどれでもないような。私はカニサレスが始めたと思っている、伝統的なものとは違う和音での演奏。それに加えて、曲としての起承転結のようなものもなくてわかりにくい。わかる人にはわかるのかな。ギターも好きでいろんな人の公演、これまでにも色々聞いてきたけど、このコンサートは個性的というか、ユニークというか、正直いうと、よくわからなかったのであります。いやね、ギタリストとして一級なのも上手いのもわかるし、ところどころ、アタックとかかっこいいし、おお、ってなった瞬間もあったけど、うーん。なんというのか、雰囲気は作るんだけど、何か足りない感じ。歌が聞こえてこない。踊りは見えるかも。特にパーカッションが抜けたファルーカとシギリージャのソロは、彼のギターで踊る、パトリシア・ゲレーロを舞台上に想像してました。ひょっとすると彼のような、雰囲気は作るけど、従来のような、口ずさみたくなるようなメロディのある、起承転結のあるまとまった曲というのとは違う、新しいコンセプトなのかも? とかも色々考えたけどわかりません。うーん。

時々ある、ファルセータをつなげるだけで、曲としてのまとまりも流れもコンセプトも何もない、ギターソロとは違うのはわかるのだけど、ちょっと似ている気もする。練習を見せられたような、というか。

今度は違う公演聴いてみたいです。





2023年9月24日日曜日

ダビ・ラゴス『デル・シレンシオ』


いやあ、良きコンサートでありました。


 ダビ・ラゴスは今、最高の時期なのかもしれない。完璧な音程、声量、歌に込める心/方向性。

共演はピアノ/クラヴィコードのアレハンドロ・ロハス・マルコスとサックス/角笛のフアン・ヒメネス。三人だけの舞台。

トリージャ/マルティネーテ、ソレア・アポラー、マラゲーニャ/アバンドラオ、シギリージャ…フラメンコ曲だけど伴奏はギターではなくピアノとサックス。それも現代音楽的というのか、フラメンコとは全く関係ないように聞こえる演奏を奏でたかと思うと、クラヴィコードがマラゲーニャのギター伴奏を完コピして、そこにサックスで歌のメロディが、メリスマも含めて完璧に再現される。それに続いて今度はダビが歌う。それだけでは全くフラメンコには聞こえない音たち、それでも歌はその中をまっすぐ、脇に逸れることなく本筋で、カンテを歌い続ける、という感じ。この三人の組み合わせの妙が絶品。パーカッションはいないのだけど、ピアノの弦の上に置いたものものやサックスがパーカッションのような効果も作りつつ、三人、いや楽器は二人だけなのに、オーケストラがいるような、そんな気分になるくらい立体的で厚みがある。

ダビが歌うのはアナーキストとされて処刑された農夫の話やマラガで起きた避難民への空爆というゲルニカにも匹敵する惨状などなど、歴史の話。忘れてはいけない、ついこの間の話。記憶がなければ私たちはからっぽ、と歌うダビ。イデオロギーに囚われてしまった人たちが起こした過ち、悲劇。どのイデオロギーが悪いというわけではなく。

モレンテの影を感じたのは、歌ったメロディのせいばかりではないだろう。アルカンヘルラトは違う形で、モレンテの志を継いでいるという印象。フラメンコを、すでにあるものを再現していくものとしてではなく、フラメンコを自分の考えやメッセージを伝える言語として使っていくこともできるのだ、と言っているというのか、新しい試みでフラメンコをより豊かなものにしている、という感じ。長年共演を続けているイスラエル・ガルバンの影響もあるだろう。実際、アレハンドロやフアンとはイスラの作品で出会っている。イスラの作品『ロ・レアル』の影響もあるだろう。

で、これを書く前に新聞に出た評を読んでいて気がついた。昨年のビエナルでやっていたじゃないかと。なぜ思い出さなかったのだろう。歌の内容が聞いたことあるな、と思ったのだけど『オディエルノ』という前作のコンサートだろうと思っていた。いやいやまじ記憶力がヤバいっす。昨年の公演ではギターやパーカッション、さらに踊りなどゲストも加わっていたのだが、今回トリオ、三人になったことで、研ぎ澄まされ、メッセージ性がより明確になったような。

フラメンコの凄さと可能性を改めて感じさせてもらったことでした。





2023年9月22日金曜日

マドリードのフェスティバル、スーマ・フラメンカのプログラム

マドリード州が主催する大規模なフラメンコ・フェスティバル、スーマ・フラメンカのプログラム。今年で第18回ということですが、ビエナルやヘレスのフェスティバルに匹敵する規模のフェスティバルの割には日本ではあまり知られていないような気もします。

今年もカナル劇場の三つのホールを中心に、たくさんの公演が行われます。中ホールでの、マイテ、マルティンやアルカンヘルのカンテリサイタルで始まり、小ホールでのギターソロなどのコンサート、そして大ホールでのリニャンやエバの公演で幕を閉じます。
その間にも市内の文化センターやエスコリアルなど州内各地の劇場での公演もあります。
また、写真展や講演もあります。

すでに他のフェスティバルなどで上演されている作品も多いのですが、充実したプログラムには違いありません。

 


◇第18スーマ・フラメンカ2023

1017(火)20時『テルセル・シエロ』

[出]〈c〉ロシオ・マルケス、ブロンキオ

1018(水)20時『フラメンコ・インティモ』

[出]〈c〉マイテ・マルティン、〈g〉ホセ・ガルベス

1019(木)20

[出]〈c〉アルカンヘル、〈g〉ミゲル・アンヘル・コルテス、〈palmas〉ロス・メジス

1020(金)20時『マス・ケ・バイレ』

[出]〈b〉アナ・モラーレス、フェルナンド・ヒメネス、アンヘル・ファリーニャ、〈c〉フアン・ホセ・アマドール、アントニオ・カンポス、〈g〉フランシスコ・ビヌエサ、〈ドラム〉ダニエル・スアレス

1021(土)20時『ラ・コンフルエンシア』

[出]〈b〉エステベス&パーニョス、ヘスス・ペローナ、アルベルト・セジェス、ホルヘ・モレラ、〈c〉ファロ、〈g〉クラウディオ・ビジャヌエバ、〈perc〉イバン・メジェン

1022(日)1830分『カレテーラ・ウトレーラ/ヘレス』

[出]〈b〉レオノル・レアル、〈c〉ペラーテ、〈g〉アルフレド・ラゴス、プロジェクト・ロルカ(サックスとパーカッション)

[場]マドリード カナル劇場 サラ・ベルデ

 

1018(水)1930分『コン・ヘラルキア』

[出]〈c〉ホセ・バレンシア、〈g〉フアン・レケーナ、〈palmas〉マヌエル・バレンシア、フアン・ディエゴ・バレンシア、ダニ・ボニージャ

1019(木)1930分『マエストロス・デル・アルテ・クラシコ・フラメンコ』

[出]〈g〉アレハンドロ・ウルタド

1020(金)1930分『50アニョス』

[出]〈c〉ホセ・デ・ラ・トマサ、ガブリエル・デ・ラ・トマサ、〈g〉ホセ・ガルベス、ジョニ・ヒメネス

1021(土)1930分『フレンテ・アル・シレンシオ』

[出]〈b〉ラ・モネータ、〈g〉ハビエル・パティノ、〈c〉ヘロモ・セグーラ、〈perc〉アグスティン・ディアセラ、〈クラリネット〉ディエゴ・ビジェガス

[場]マドリード アバディア劇場 サラ・フアン・デ・ラ・クルス

 

1020(金)20時『カンテ・エン・アルモニア』

[出]〈c〉ダビ・ピノ・〈g〉アレハンドロ・ウルタード、〈g〉ホセ・トマス

1021(土)20時『サンブラ・バラガン』

[出]〈g〉ペドロ・バラガン、〈c〉グレゴリオ・モジャ、トマス・ガルシア

1022(日)19時『フィエスタ・コン・エンリケ・パントーハ』

[出]〈b〉エンリケ・パントーハ、カルメン・ラ・タレゴナ、ラケラ・オルテガ、〈c〉イサベル・ソト、エル・モニ、〈g〉アンドレス・エレディア、ヘスス・ロサダ

[場]マドリード ピラール・ミロ文化センター

 

1021(土)19時『ア・ミ・マネラ2.0』

[出]〈b〉エステラ・アロンソ、〈c〉ロベルト・ロレンテ、〈g〉ビクトル・マルケス“トマテ”、〈violin〉ビクトル・グアディアナ、〈palmas〉クリスティアン・ガルシア

[場]マドリード圏コルメナル・デル・アロージョ エル・コラリソ・スポーツ文化センター

 

1024(火)19時『サクロモンテ』

[出]〈g〉フアン・アビチュエラ・ニエト、〈perc〉フアン・カルモナ、〈violin〉ダビ・モレイラ

1025(水)19時『ライス・スレステ』

[出]〈fl〉トリニダ・ヒメネス、〈c〉デシレ・パレデス、パストーラ・アンドラデス、、〈g〉フリアン・オリバレス、〈perc〉エピ・パチェコ、ボルハ・バルエタ

1026(木)19時『チャラべアンド』

[出]〈ウッドベース〉ハビエル・コリーナ、〈g〉ホセミ・カルモナ、〈ハーモニカ〉アントニオ・セラーノ

1027(金)19時『ラヒラ』

[出]〈g〉ラモン・ヒメネス、ヘスス・デル・ロサリオ、ルキ・ロサーダ、〈c〉フアニャレス

1028(土)19時『レコルダンド・ア・マルチェーナ』

[出]〈c〉サンドラ・カラスコ、〈g〉ダビ・デ・アラアル

1029(日)18

[出]〈b〉ニノ・デ・ロス・レジェス、〈c〉カニート、〈g〉イスラエル・セレドゥエラ、〈perc〉ルキ・ロサーダ

[場]マドリード カナル劇場 サラ・ネグラ

 

1027(金)20時『エンクエントロ・エン・バジェカス』

[出]〈c〉ラ・ファビ、エル・トゥリー、〈g〉フェルミン・フェルナンデス、クーロ・カラスコ、〈palmas〉サンブージョ、フアン・グランデ、ロベル・エル・モレノ、ナノ・コルテス

1028(土)20時『フイ・ピエラ』

[出]〈c〉ラファエル・デ・ウトレーラ、〈g〉ぺぺ・フェルナンデス、〈palmas〉ハビ・ペーニャ、ラファエル・ウセロ

11/3(金)20

[出]〈c〉ジェジェ・デ•カディス、カルメン・デ・ラ・ハラ、〈g〉アントニオ・カリオン

114(土)20時『カスティサ』

[出]〈b〉バネサ・コロマ、〈c〉アナ・サラサール、〈g〉フアン・カンパージョ

[場]マドリード パコ・ラバル文化センター

 

1027(金)19時『セール、ニ・コンミゴ・ニ・シン・ミ』

[出]〈b〉メルセデス・デ・コルドバ、〈g〉フアン・カンパージョ、〈c〉ぺぺ・デ・プーラ、ヘスス・コルバチョ、〈perc〉パコ・ベガ

1028(土)19時『エセンシア』

[出]〈b〉ぺぺ・トーレス、マヌエラ・バルガス、〈c〉マヌエル・タニェ、エル・ペチュギータ、マヌエル・デ・ラ・ニナ、〈g〉ラモン・アマドール、

113(金)19時『ティエラ』

[出]〈b〉ガブリエル・マティアス、アドリアナ・ビルバオ、〈g〉アントニオ・ゴンサレス、〈c〉ロベルト・ロレンテ、エレサル・セレドゥエラ

114(土)19時『ア・ミ・マネラ2.0』

[出]〈b〉エステラ・アロンソ、〈c〉ロベルト・ロレンテ、〈g〉ビクトル・マルケス“トマテ”、〈violin〉ビクトル・グアディアナ、〈palmas〉クリスティアン・ガルシア

[場]エル・エスコリアル レアル・コリセオ・カルロスIII

 

1028(土)19時『ア・ミ・マネラ2.0』

[出]〈b〉エステラ・アロンソ、〈c〉ロベルト・ロレンテ、〈g〉ビクトル・マルケス“トマテ”、〈violin〉ビクトル・グアディアナ、〈palmas〉クリスティアン・ガルシア

[場]マドリード圏オジョ・デ・マンサナーレス 市立ラス・シグエニャス劇場

 

1029(日)1330分『インティモ』

[出]〈g〉メルセデス・ルハン

[場]マドリード圏ラスカフリア レアル・モナステリオ・デ・サンタ・マリア・デ・エル・パウラル

 

1031(火)2030分『エストレージャ&ラファエル』

[出]〈c〉エストレージャ・モレンテ、〈g〉ラファエル・リケーニ、〈palmas〉アンヘル・ガバーレ、アントニオ・カルボネル

111(水)2030分『ビバ』

[出]〈b〉マヌエル・リニャン、マヌエル・ベタンソス、ジョナタン・ミロ、ミゲル・アンヘル・エレディア、ウーゴ・ロペス、ダニエル・ラモス、ジョエル・バルガス

112(木)2030分『O../O../O/O./O.

[出]〈b〉マリア・モレーノ、〈c〉アンヘレス・トレダノ、〈g〉エドゥアルド・トラシエラ、〈サンフォーニャ〉ラウル・カンティサノ

113(金)2030分『ラ・レオナ』

[出]〈b〉オルガ・ペリセ、〈g〉ホセ・マヌエル・レオン、アルフレド・メサ、〈ベース〉フアンフェ・ペレス、〈perc〉ロベルト・ハエン、〈ヴォーカル〉イスラエル・モロ

114(土)2030分『ハルディン・インプーロ』

[出]〈c〉アンドレス・マリン、〈c〉ホセ・バレンシア、セグンド・ファルコン、〈g〉サルバドール・グティエレス。〈perc〉ダニ・スアレス

115(日)19時『ジェルバブエナ』

[出]〈b〉エバ・ジェルバブエナ、〈g〉パコ・ハラーナ、〈c〉ミゲル・オルテガ、アルフレド・テハーダ、セグンド・ファルコン、エル・トゥリー、〈perc〉オルーコ、ダニ・スアレス

[場]マドリード カナル劇場 サラ・ロハ

 

113(金)20時『ライセス』

[出]〈b〉レベカ・オルテガ、〈g〉アントニア・ヒメネス、〈c〉ナタリア・マリン、アフリカ・グラナドス

114(土)20時『モトリル』

[出]〈g〉カルロス・デ・ハコバ、〈c〉ダビ・デ・ハコバ、〈perc〉ルキ・ロサーダ

[場]マドリード圏ラ・カブレーラ セントロ・コマルカル・デ・ウマニダデス・シエラ・ノルテ

[問]http://www.madrid.org/sumaflamenca/2023/programacion.html