2014年3月31日月曜日

カプージョenセビージャ






今秋の日曜日、
セビージャのトルネオにある
サラ・マランダールで
カプージョのライブがあります。
開場は20時とありますが
さて開演は?
 


★カプージョ・デ・ヘレス
4/6(日)20時開場
[出]〈c〉カプージョ・デ・ヘレス、ホアキン・デ・ソラ
[料]15ユーロ(前売り12ユーロ)
[場]セビージャ サラ・マランダール
[問]https://www.facebook.com/SalaMalandar 前売りhttps://www.ticketea.com

2014年3月28日金曜日

ヘレスのフェスティバル新人賞

今年のヘレスのフェスティバルの新人賞に決定したのは
アルベルト・セジェスとサラ・カレーロ

アルベルトは1991年サン・フェルナンド生まれ
2008年にウエルバのペーニャのコンクールで優勝し
奨学金をもらいクリスティーナ・ヘーレン財団フラメンコ芸術学校で学び
2010年には自分の作品をサン・フェルナンドの劇場で公演し、
2月25日にサラ・コンパニアで上演した
「ラス・カンパナス・デル・オルビド」が第二作。
Javier Fergo

 サラ・カレーロは1983年マドリード生まれ。
2006〜10年にスペイン国立バレエ団在籍した実力派。
開幕公演の「ファトゥム!」にも出演したが
評価されたのは3月2日サラ・コンパニアでの公演「ミラダ・デ・ラ・マハ」
Javier Fergo


なおこの賞のスポンサーはヘレスの老舗バル
アーティチョークの煮込みが名物。
ヘレスにお越しの際はぜひ!

2014年3月25日火曜日

王立マリエンマ舞踊専門学院舞踊団公演

先のヘレスのフェスティバルでも
 マリエンマ舞踊専門学院舞踊団が
本拠地マドリードでも公演する。

スペイン国立バレエ団などに数々の人材をおくりこんでいる、
コンセルバトリオの学生たちによる舞台。
あまりみることができない
エスクエラ・ボレーラやスペイン舞踊を堪能できる機会だ。

会場は王立高等演劇学院。
王立劇場のそばにある。


★マドリード王立マリエンマ舞踊専門学院舞踊団"ラレアル"
4/3(木)〜6(日)20時
[出]〈b〉マドリード王立マリエンマ舞踊専門学院舞踊団
[場]RESAD (Av.de Nazaret, 2. Madrid)
[問]http://www.eter.es/dn/actualidad/noticia.php?id=16854

2014年3月21日金曜日

マドリードのギター・コンサート


 スペイン著作権者協会財団での
フラメンコ・ギター・コンサート。

3/28(金)21時は
アモス・ロラ、トマティート・イーホ.
アモス・ロラは1999年マドリ生まれの14歳。
トマティート・イーホはもちろん
トマティートの長男でおそらく1998年生まれ。
二人の若いギタリストの競演だ。

3/29(土)21時は
マドリのギタリスト、エル・エントリの息子のヘスースと
パコ・デ・ルシアの甥でそのトリオやグループで活躍したホセ・マリア。
ヘスース・デル・ロサリオとホセ・マリア・バンデーラ。
二人ともかつてサラ・バラスの伴奏をし作品の音楽を担当したことがある。

3/30(日)21時は
アントニア・ヒメネスとマルタ・ロブレス。
二人の女性ギタリスト。
マルコ・フローレスらの伴奏で活躍中のプエルト・デ・サンタ・マリア出身のアントニア、
 セビージャ音楽院でクラシックギターを専攻し
後アムステルダムの音楽院でフラメンコを学んだマルタ。
まだまだ少数派の女性ギタリストにはがんばってほしい。

なお入場料は5ユーロとお手軽です。

2014年3月17日月曜日

ヘレスのフェスティバル各賞

ヘレスのフェスティバルでは毎年
観客が選ぶ観客賞
ペーニャ協会が選ぶ最優秀伴唱歌手賞
批評家が選ぶ批評家賞(作品賞)
批評家/記者が選ぶ新人賞
と各賞がありますが、そのうち前者2つの賞の受賞者が発表されました。

観客賞はビジャマルタ劇場での公演が対象で
劇場で配られるアンケートに10点満点で採点してもらい終演後に回収。
それを平均してだした点数により順位をつける。
9.62で今年の観客賞に輝いたのは
アンドレス・ペーニャ 「オルダゴ・ア・ラ・グランデ」
なお時点は9.6のマヌエル・リニャン「ノマダ」
3位はドミンゴ・オルテガだったそう。

伴唱 歌手賞はミゲル・オルテガが受賞。
オルガ・ペリセ「ピサダス」
アンダルシア・フラメンコ舞踊団
アンヘル・ムニョス「アンヘル・デ・ブランコ・ア・ネグロ」
マヌエル・リニャン「ノマダ」
の4公演で活躍したのが認められたかたち。

新人賞、作品賞はさて誰に?

2014年3月15日土曜日

ベティ先生おめでとう!

3月14日発表になった
メダジャ・デ・オロ・アル・メリト・エン・ラス・ベジャス・アルテス
(芸術功労金章)

フラメンコ関係でも
ラ・ウニオンのカンテ・デ・ラス・ミーナス国際フェスティバルが受賞しているが
もう一人とても大切な人が。

ベティ先生としてフラメンコ/スペイン舞踊界に親しまれている、
ビクトリア・エウヘニアが受章したのだ。

1933年マドリード生まれ。
本名ベニタ・ハバト・ムニョス
王立舞踊学院卒業後
20歳でグラン・アントニオ舞踊団に入団。
5年に渡り活躍した。
結婚で、舞台からは引退し
後進の指導と振付けにあたる。
小松原庸子、小島章司、岡田昌巳氏らもベティ先生の教え子にあたる。
1980年には国立バレエ団に舞踊教授/キャラクターダンサーとして参加。
93年から98年まではスペイン国立バレエ団の共同監督を務めた。

代表作にはアイーダ・ゴメスが踊った「ア・ミ・アイレ」
マリベル・ガジャルドが踊った「チャコナ」などがある。

2014年3月14日金曜日

フエベス・フラメンコ/エステベス、パーニョ、ルス「ダンサ 220V」

カハソル財団主催のフエベス・フラメンコが今年も開催中。
3月14日セビージャのカハソル文化センター、
ホアキン・トゥリーナ・ホールで行われたのは
「ダンサ 220V」
 ラファエル・エステベス、バレリアーノ・パーニョのコンビと
コンテンポラリーダンサーのアントニオ・ルス
エレクトリック・ミュージックのアルトマティコ。
カンタオーラ、サンドラ・カラスコ。

この5人がほとんどインプロで行っているのがこの公演。
といっても全体の構成は決まっていて
 シギリージャ、ロマンセ、トナ、サエタ、とすすんでいくのですが
そのサエタもアロスノの古いサエタだったり
トナもプエブラ・デ・グスマンのお祭りのときのものだったり
Macによるエレクトリックなリズムだったり
サンドラ美しい声によるカンテソロだったり
で、通常のフラメンコ公演とは全く違う。

音に反応して動く身体。
音をきいて動く身体。
動きに反応して動く。
 それぞれがそれぞれの言語でそれぞれの物語を語る。


アントニオのコンテンポラリー
バレリアーノのスペイン舞踊
ラファエルのフラメンコ


アントニオが踊り始めたのはフラメンコからだったりするように
おたがいがおたがいの言語を知っており
まったくちがう言葉ではない。
舞踊という共通語にアクセントがつくという感じくらい?


それぞれの動きが共鳴していく


規則から解き放れたフラメンコ
自由を謳歌する
ある意味最も純粋


ところで。
リヨン・オペラ座バレエ団やスペイン国立ダンスカンパニーで活躍したアントニオ・ルスの
コンテンポラリーならではの自在な動きをみていて思った。
フラメンコで通常のフラメンコ舞踊と違う動きをすると
すぐコンテンポラリーだというけど
本物のコンテンポラリーとはやっぱりちがう。
コンテンポラリー的な動きとはいえても
コンテンポラリーとは絶対いえない。
様々なアーティストが自らの表現をさがすうち
コンテンポラリー的なものに自分を託す場合もあるけど
形だけでなくああいった身体の使い方をつかっても面白いかもしれない。
(あ、ダニエル・ドーニャとか、わりとそうかもしれない?)

2014年3月13日木曜日

ホセ・ウエルタスenバレンシア

元アントニオ・ガデス舞踊団で、
アントニオ・ガデスが舞台引退後、アントニオの役を踊っていた
ホセ・ウエルタスがたちあげた
コンパニア・フラメンカ・イ・ダンサ・エスパニョーラ・メディタラネア、
地中海フラメンコスペイン舞踊団の公演が
3月13日から23日まで
バレンシアのプリンシパル劇場で行われる。

アントニオ・ガデス引退及び逝去後、
幾人もの人が彼の役に挑んで来たが
顔も、姿も、一番アントニオに似ていたのがホセ・ウエルタス。

 バレンシアはフラメンコ・ファンにはあまりなじみがない土地だが
吹奏楽もさかんだし、舞踊家も輩出しているところ。
そんな町でどんな舞台をみせてくれているのか、
気になるところである。

2014年3月12日水曜日

カルメリージャ・モントージャ、レメディオス・アマジャ「トリアーナ・カンタ・イ・バイラ」

カルメリージャとレメディオス・アマジャ
1962年セビージャ生まれの二人のアルティスタ。
その二人の共演する舞台
「トリアーナ・カンタ・イ・バイラ」が
3月11日セビージャのロペ・デ・ベガ劇場で上演された。

舞台にはいつくばったカルメリージャが
ラモン・エル・キラテが詩を朗読し
次第に起き上がるオープニング

レメディオス・アマジャが歌うソレアを踊りはじめるカルメリージャ
病を克服し昔通りのソレアをみせてくれた

この後もレメディオス・アマジャがヘレスのときとおなじように
カルタへネーラなどを歌ったものの
主役はカルメリージャ。
彼女をあたたかい拍手がつつむ。
客席にはトリアーナのフラメンコたちや
アルティスタたちもたくさん。

プログラムにもその名がなかったので
土壇場での?と思われるゲスト、
アマドール・ロハスのシギリージャはさかんに客席をわかせたけれど
私的には?
背をまるめた品格のない踊りにしかみえなかった。
なぜ彼がここに? わからない。

レメディオスのタンゴ
そしてブレリア

最後はハレオだったと思ったのに気づいたらブレリア。

ヘレスでいろいろ作品見続けてきたせいか
作品としての弱い部分もいっぱい気になったけど
(暗めの照明で顔に影ができるとかね)
カルメリージャのバイレと
レメディオスのエッセンスを味わえた公演でございました。

ちなみにこの二人の40年前のお姿がこちらのビデオに
 
私としてはこんな感じに二人がまっこうから組んでやってほしかったんだけど
ま、それはしょうがない。

2014年3月11日火曜日

ファルキートenセビージャ

 
ファルキート公演が
セビージャの中心部、クーナとおりにあるキンテーロ劇場で開催される。

日程は
3/20(木)〜22(土) 21時、23(日)20時
入場料は35ユーロ


2014年3月10日月曜日

ヘレスのフェスティバル2014総括

2月21日から3月8日までの16日間に渡って開催された
第18回ヘレスのフェスティバル。
クラスや記者会見なども含めた総イベント数は134

そのうち公演数はビジャマルタ劇場が13公演
サラ・コンパニアとサラ・パウル、パラシオ・デ・ビジャビセンシオ等での公演が
全部で24公演。
うちビジャマルタ劇場でのエバ・ジェルバブエナ「アイ!」と
ダビ・ラゴスなどのサラ・コンパニアでの4公演が満員御礼。
+ペーニャ公演も軒並み満員とのこと。

43のクラスも94%参加とほぼ満員。
クラスの参加者は例年通り
日本からの参加者が述べ158人でだんとつトップ。
フランスの85人、ドイツの83人、スペイン81人がそれに続き、後、
ブラジル、アメリカ、メキシコ、カナダ、イタリア、スイス、オランダ、チェコ、
イギリス、アルゼンチン、中国、スエーデン、フィンランド、オーストリア、台湾、
ベルギー、ノルウエー、スロベニア、オーストラリア、ポーランド、ロシア、ウクライナ、
ポルトガル、韓国、ニュージーダンド、マルタ、ベネスエラ、ルーマニア、
南アフリカ、ギリシャ、アラブ首長国連邦、スコットランド、
ルクセンブルグ、デンマークと38カ国から参加。 


というわけで、今年も成功のうちに幕を閉じた、といえるだろう。

ドミンゴ・オルテガやアリシア・マルケスのように
ビジャマルタ劇場の舞台に初登場したアルティスタもいたし
マドリードのマリエンマ王立舞踊学院生による公演など
新しい試みもあった。

中堅たちの活躍。
アルベルト・セジェスら新人たちの台頭。

でも全体のイメージとしては
エバ・ジェルバブエナをはじめ
とにかく黒一色もしくは黒を基調にした舞台が多かった。
フラメンコは黒のイメージ?
いやいや、そればかりではないはずだ。
スペインの不況の影響で皆がくらいイメージ?
 黒のバックで黒い衣装をみせるためには照明が鍵。
エバはさすがの美しい照明だったが
アリシア・マルケスなどは暗すぎてせっかくのバタ・デ・コーラがよくみえない。
舞台づくりでは照明の重みは大きい。
オルガ・ペリセやアンダルシア舞踊団を輝かせたグロリア・モンテシノ
マルコ・フローレスやマヌエル・リニャン、アンヘル・ムニョスらを
魅せたオルガ・ガルシア。
スペインは女流照明家がいい。

今年はまたオフ・フェスティバル、
すなわち公式イベント以外のコンサートも盛況だったようだ。
その反面、夜、アフターフェスティバルの店はあまり人がいない。
不況の影響?
タクシーも今年は例年よりも少ないとなげいていた。
毎年やってくる人も多いから土地勘できてタクシー利用が減ったのかも?


  来年はどんなフェスティバルになるのだろうか。
2月20日から3月7日
今から楽しみなことであります。

2014年3月9日日曜日

ヘレスのフェスティバル2014最終日ホアキン・グリロ「ミス・コシータス」

ホアキン・グリロの公演は
これまでのどの公演ともちがっていた。
舞踊作品というよりもコンサート、リサイタル。
昨夜、舞踊は音楽だった。
ホアキンは踊りでたしかに歌っていた。

一人で靴で飾られた台の上で踊っているときも
Javier Fergo

レメディオス・アマジャの深い深い、心の叫びのようなカンテに踊るときも
Javier Fergo

ドランテスのピアノと遊ぶように踊るときも。
Javier Fergo

 マカリネスのセビジャーナスで闘牛士になっているときも。
 

最後にフアン・モネオ“エル・トルタ”に捧げたレトラ
そして
パコ・デ・ルシアに捧げ
ギターを高くかかげる。
Javier Fergo

彼の気持ちがびんびんと伝わってくる。




ビデオはこちら

来年またヘレスで会いましょう。







2014年3月8日土曜日

ヘレスのフェスティバル2014十五日目アルフォンソ・ロサ「バイラオーレス」

夜12時からのサラ・ラ・コンパニアでは
アルフォンソ・ロサの新作「バイラオーレス」
先達の踊り手たちに捧げた作品なので
出演するのが一人でも複数形のバイラオーレス、なのだそう。

アルフォンソ・ロサはマドリード出身の踊り手で
コルドバやラ・ウニオンのコンクールでも優勝している実力派。
©Festival de Jerez Javier Fergo


タラント
カンテソロのマルティネーテからシギリージャ
ファルーカ、ソレア

速くて強いサパテアードが特徴的で
グイト譲りの姿勢などもかっこいい。
昔はひたすらサパテアードのイメージだったけど
きちんととまってマルカールして歌をリスペクトするところもいい。
歌のマヌエル・タニェ、サンブジョがいいからよけいにはえる。

サパテアードはあまりに速すぎて(?)時にきれいにきこえないのが残念。
ファルーカはバストンつかってはじまって
男っぽくておお、と思ってたらなぜか回転多用。
回転はそんなに上手ではないのだから
(昨日のダビのお手本のような回転みたあとではよけいそう思う)
いっそのことファルーカを途中で話さずきっかり正統派でつくってくれればいいのに。
などと勝手におもいをはせる。

 知り合いはファルキート風と評したが
私にはファルキートとはまったく別のスタイルに思えます。
マドリード風?


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ヘレスのフェスティバル2014十五日目アンヘル・ムニョス「アンヘル」

2011年のフェスティバルで初演した作品の再演。
初演はサラ・ラ・コンパニアだったが今回はビジャマルタ劇場
前回みてる?ときかれて全く覚えてなかったのでありますが、
みていました(汗)
 そのときのブログがこちら
 「決して悪い踊り手ではない。
なんでもきちんとこなしても
アクセントが不足している、とでもいおうか、
ためやアクセントがないので
平板な印象が残念。」

独り舞台をつとめるにはプラスαがほしい、
とは贅沢だろうか。
で今回の感想も前回にきわめて近い。
というかほぼ同じ。

©Festival de Jerez Javier Fergo
心臓の鼓動のような音にはじまり
マルティネーテ、シギリージャ、サックスでのタラント、ファルーカ、
グアヒーラ、ハーモニカではじまるアレグリアス、そして鼓動のような音。

スタイリッシュではあるものの平板。
唯一印象が変わったのはサックス、フルート。
フラメンコの歌をサックスやフルートで、というのはこれまでもあったが上手。
この3年で私の耳が変わったのか、彼の演奏が上達したのかは不明。

今年のビジャマルタ劇場には
ドミンゴ・オルテガ、アリシア・マルケス、そしてこのアンヘル・ムニョスと
中堅どころが初登場したがいずれも目の肥えた観客を満足させたとは言い難い。

大劇場ならではの舞台作りを考えて
ゲストをよぶとかもう少しなにかあってもよかったのではないだろうか。
一人だけで大舞台をいっぱいにできるアルティスタは限られている。

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2014年3月7日金曜日

ヘレスのフェスティバル2014十四日目ダビ・コリア「エスピラル」

スペイン国立バレエ団やラファエラ・カラスコ舞踊団で活躍し
現在、アンダルシア・フラメンコ舞踊団のソリストをつとめるダビ・コリア。
そのソロ作品「エスピラル」も初演。
こちらは夜中の12時からサラ・ラ・コンパニアで。

©Festival de Jerez Javier Fergo
マラゲーニャやタランタ、ロンデーニャが次々に登場するかと思うと
タンゴ・デ・マラガがガロティンやファルーカに変化し

ソレアからカンティーニャ
そして最後はセビジャーナスとファンダンゴ。
ふつうのフラメンコ公演とはひと味もふた味も違う。
フラメンコ一曲をしっかり踊るのではなく曲たちの中をさまよい歩くという感じかな。

ゲストの、アンダルシア・フラメンコ舞踊団のソリストであるアナ・モラーレスも
スタイリッシュにみせる。


がやはりダビ!
この人はバイラリン、バレエダンサー的身体能力をもちつつも
フラメンコ性もしっかりあるという類い稀な人。
すがた形の美しさといったらない。
足をすっと横に伸ばした姿の美しさにはアントニオ・ガデスを思い出す。
回転のバリエーションの豊富さ、その美しい身のこなし。
教科書にしたいくらい。
これからどんな世界をみせてくれるのか期待大であります。

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ヘレスのフェスティバル2014十四日目マヌエル・リニャン「ノマダ」

マヌエル・リニャンの新作「ノマダ」初演。
前回の「タウロ」がよかっただけに期待は高まる。

始まりは超速のカーニャ
©Fetival de Jerez Javier Fergo

女3男3の群舞の中にリニャンもいるのだが
いつも真ん中で踊っているとかではなく完璧に群舞の一員として踊っている。
これって滅多にないことだよね。
でその振付け。
カーニャなんだけどブレリアですか、ってくらいに
かつてないくらいのものすごいスピード。
カーニャの情緒もあったもんじゃない。
めっちゃ細かいフラメンコらしい仕草にあふれているんだけど
まあとにかく忙しい。
これはもう全体を通してで、見終わった印象は
世界陸上か五輪かってくらいに速い。
くるくるくるくる。
フォーメーションをかえサパテアードしてポーズをきめて。
忙しくせわしない。
そういや国立バレエへの振付けでもこれと同じように椅子をつかって
忙しい振付けだったよな、と思い出した。

群舞でのソレア。

リニャンのソロのシギリージャでは
歌みっつを続けて2個半まではひたすらマルカールだけという掟破り。

でもその後またスピードアップしちゃうわけでございます。

タンギージョは女の子たちがラップのように歌い男の子たちが踊るかと思うと

リニャン登場。
歌い手/ギターグループによるカディスのタンギージョと交互にみせる。
それがやがてサパテアードへとなり
アバニコつかって5人の群舞

ラモン・モントージャのロンデーニャをリニャンが踊り

ベルディアーレスへ。

ファンダンゴ・デ・ウエルバ
バタ・デ・コーラとマントンの華やかなアレグリアス・デ・コルドバ。
バタはデザイナーもののような感じでおしゃれだけどちょっと踊りにくそう?

タラント/タランタ/グラナイーナも
歌にかまわず速いリズムで。

最後はベレン・マジャの公演で踊ったのと全く同じカラコーレス。
赤いバタ・デ・コーラに黒のマントン。

唯一白いTシャツが黒に変わっただけという。。。
自分の作品にもこれをいれたかったんだろうけど
同じフェスティバルで全く同じ人の同じ振付けを2回みるのは変な感じだ。

リニャンらしいセンスの良さもみられたし
はっとするような瞬間もあった。
照明は美しく魅せてくれた。
でも、でも、である。

若さ、なのかなあ。
ギタリストも若い人は早弾きで音を詰め込む。
静寂も音楽。
間合いをうまく取る方がずっとアルテだ。
と私は思います。
もう少し止まることができたならもっとずっといいのに。



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2014年3月6日木曜日

ヘレスのフェスティバル2014十三日目ラレアル舞踊団「フラメンコ、エスクエラ・ボレーラ、スペイン舞踊振付選」

ラレアル舞踊団は
マドリードのレアル・コンセルバトリオ・プロフェッショナル・デ・ダンサ
王立マリエンマ舞踊専門学院の最終学年の生徒+卒業生による公演。
(記者会見で監督は全員が生徒といってましたが
ソロ2曲を踊ったビクトル・マルティンは昨年卒業しているそうです)

ホセ・アントニオ振付けのエスクエラ・ボレーラ/スペイン舞踊の作品
「アイレス・デ・ビジャ・イ・コルテ」で開幕。
 カスタネットにサパティージャ(バレエシューズ)
回転、跳躍などバレエ的な動きをよくこなしている。
 写真でわかる通り東洋系の女性二人(Hsue Yu .Hsien, Sou Jung Youn)も熱演。
そのうちの顔の小さい女性は首のおきかたとか形がとてもきれい。
東洋系ががんばっているのはうれしい。

続くソロは開幕公演「ファトゥム!」 にも出演していたビクトル・マルティン。
「ファトゥム!」でもグランフェッテをみせていた彼だが
ここでも美しい回転と跳躍のスペイン舞踊を堪能させてくれた。
 かつてアイーダ・ゴメスが踊った
マリエンマ振付けのファンダンゴ・デ・カンディルも器用にこなし
スペイン舞踊の実力をみせてくれたのだが
 フラメンコとなると残念ながら弱い。
コンパスもサパテアードも。
 民族舞踊も無難にこなすんですけどね。
ま、1、2、3、と数えているのがきこえてきそうではありましたが。

スペイン舞踊は難しい。
ボレーラ等バレエの技術は一朝一夕には身に付かない。
でもフラメンコも難しい。
1、2、3だけじゃないものが要求されるから。

それでも17歳から21歳の若い才能たちが
きちんとした姿勢で舞台に立っているのはほんとうによろこばしい。

2014年3月5日水曜日

ヘレスのフェスティバル2014十二日目アリシア・マルケス&ラモン・マルティネス「ロス・イロス・デル・ティエンポ」

セビージャ出身のアリシア・マルケスと
マラガ出身のラモン・マルティネス
かつてアンダルシア舞踊団で活躍した二人による作品。

で今日も黒です。
黒が流行?
スペイン不況だから?

二人のデュオで始まり
アリシアが母に捧げる詩を踊り
ラモンはソレア
 アリシアはマントンとバタ・デ・コーラのシギリージャ
マティルデ門下だけにさすがのバタつかいなんだけど
黒いバックに黒い衣装の場合、照明がかなりきちんとしてないとみえない。
非常に残念。

ラモンが詩を語り踊りうたうブレリア
踊り手が歌うってのも流行なんでしょうか。

デュオがもひとつあって
最後はアレグリアス

やっと少し色があってほっ。

2014年3月4日火曜日

ヘレスのフェスティバル2014十一日目アンドレス・ペーニャ「オルダゴ・ア・ラ・グランデ」

アンドレス・ペーニャの新作「オルダゴ・ア・ラ・グランデ」
大きい方に全部賭ける!
というカジノでの決まり文句をタイトルにした作品。
最初に踊ったビダリータはエバ・ジェルバブエナの振付けという。
椅子をつかったあれこれ。
コンテンポラリー風の動きなど
エバの作品「アイ!」と対をなすようにもみえる。
アンドレスはエバの舞踊団旗揚げのときのオリジナルメンバー。
そんなこともあってのことだろうか。

ただ私が思うにアンドレスは(エバもそうだけど)フラメンコの踊り手で
コンテンポラリーの踊り手ではない。
フラメンコにコンテンポラリー的な動きを取り入れることはもちろんありだけど
それにはそれなりの勉強も必要だし向き不向きもあると思うのだ。
私にはアンドレスにこういったタイプはあわないように思われる。
フラメンコを踊っているときのように生き生きしていないのだ。

シギリージャ、カンテだけのアレグリアス、ファンダンゴ、
タンゴス、カーニャ、 アバンドラオ、ソレア、ブレリア
ヘスース・ゲレーロのギターと
ロンドロ(この夜も絶好調)、ミゲル・ラビ、ダビ・カルピオ、ホセ・アニージョ
4人の歌い手たちをバックに踊る彼は素晴らしい。
サパテアードやニュアンスにフラメンコのエッセンスを感じる。

 最後はアンドレスが舞台に横たわって歌うナナ。
寝て歌う子守唄ははじめてみた。

真っ黒いバックに黒い衣装でエバのような作品になったがその演出こそが彼の敵。
彼の良さがいきてこない。
音響もバランスが悪く、照明も黒をきちんとみせていない。
衣装もそうだ。
なぜシャツでなくぴったりしたTシャツのようなものなのだろう。

せっかくのアンドレスの魅力を殺してしまった演出だが
彼と奥さんのアイデアで演出家がいないのでこれは自業自得?
それにしても惜しい。
あまりにも惜しい。

マリア・バラ逝く



3月2日ヘレスで歌い手マリア・バラが亡くなった。
79歳。

故マヌエル・ソト“ソルデーラ・デ・ヘレス”の妹。
結婚してアルティスタとはならなかったが
1999年に録音されたモライートのアルバム「モラオ・モラオ」に参加。
その後地元へレスで舞台に上がることもあった。
カルロス・サウラ監督の映画「フラメンコ・フラメンコ」ではサエタを歌っている。
冥福を祈ります。

2014年3月3日月曜日

ヘレスのフェスティバル2014十日目マルコ・フローレス「ラベリンティカ」

ヘレスの隣町アルコス・デ・ラ・フロンテーラに1981年、生まれたマルコ。
昨年マラガで初演した作品をビジャマルタ劇場にもってきた。

薄暗い照明
黒っぽい衣装。
写真をみてみると衣装にも細かい工夫がいろいろあるようだけど
大劇場の客席からはまーったくわからない。

ミリタリー風の、でも裾がスカートのようにひるがえるジャケットを着た5人の男たちが
舞台をかけまわるオープニング。
このスカート風にみえるジャケットはちょっと面白い。

 
©Festival de Jerez Javier Fergo
そこからタラントへ。
3人のカンタオーラは誰もレバンテ系は得意じゃないようだ。
マルコの踊りをみるたびにアントニオ・エル・ピパを思い出すのだが
これはそうではなかった。もう少し男っぽいというか。


タンゴ、サンブラ、ソレア・ポル・ブレリア、モダンなカーニャ、ペテネーラ
どの場面も同じイメージ。
作品としての統一性をより大事にしたのだろうが
もう少し変化があってもよかったのでは?

男二人のデュオは

BLですかぁ?とききたくなるような振りでうーん。
昔ホアキン・コルテスがマルコ・ベリエリとデュオで踊った
「ラモン・シヘスに捧げる」などは美しかったんだけどなあ。
マリオ・マジャとグイトのも男らしくてかっこ良かったし。
男二人だからだめってことではなくて
あくまで踊り方ではないかと。

マルコが踊りまくるブレリアは
やっぱピパ風だった。
 つまりブラソがマティルデ・コラルというか
マカローナというか
女性的なのでございます。

 ま、女性が男性のようなサパテアードをするんだから
男性が女性のようなブラソをして悪いはずもないのであります。

それよりも作品全体のトーンとかがだめで
ん〜な顔で客席を後にしたのでありました。
でスペインのプレス仲間もだいたいそんな感じで
 やっぱそーだよね、と話していたのですが
そこにやってきた20代現役ばりばりの踊り手二人が
どちらも良かった〜〜〜っといってでてきたので
ひょっとすると年寄りの感覚ではわからない
若者ならではの感覚なのだろうか、とかも思ったことでした。
ちゃんちゃん。

2014年3月2日日曜日

ヘレスのフェスティバル2014九日目トマティート公演中止

パコの死でショックを受けたトマティートは
3月1日のコンサートを中止した。

パコの背中をみて育って来たトマティート。
たくさんの録音やたくさんの宴
共に過ごした時間が長ければ長いほど
濃ければ濃いほどに
哀しみは深いはず。
彼の痛みが消えるまで
そっと静かにしてあげたい。

2014年3月1日土曜日

ヘレスのフェスティバル2014八日目アンダルシア・フラメンコ舞踊団

コルドバで初演されたアンダルシア・フラメンコ舞踊団の
「エン・ラ・メモリア・デル・カンテ1922」
セビージャでの1週間の公演など
アンダルシア各地での公演を経て
より充実した出来になっている。

詳しい内容については初演のレポートで述べたのでここでは簡単に。

コンクールのゲスト、
アントニオ・チャコン、ニーニャ・デ・ロス・ペイネス、マヌエル・トーレを
ダビ・コリア、アナ・モラーレス、ウーゴ・ロペスが踊り
©Festival de Jerez Javi Fergo

ヘスース・トーレスが見事に弾く
ラモン・モントージャのロンデーニャを舞踊団員がギターの6弦となって彩る。
 
ウーゴ・ロペスのシギリージャ
グラナダ伝統のサンブラで
伝統曲が次々と踊られ


アナ・モラーレスはニーニャ・デ・ロス・ペイネスのサエタを
ダビはチャコンのマラゲーニャを
そして最後はマカローナになったラファエラ・カラスコのカンティーニャ

ラファエラらしい洗練されたフラメンコ作品
3人のソリストはもちろん
舞踊団員のレベルも高くオススメです