今年も例年通り、2月下旬から3月にかけて開催される、ヘレスのフェスティバル。世界で唯一のフラメンコ舞踊とスペイン舞踊のフェスティバルです。フラメンコのフェスティバルではなく舞踊主体のフェスティバル。だから歌やギターのコンサートは少なくて、大半が舞踊公演。そして第一線で活躍する舞踊家たちによるクルシージョが行われ、クルシージョ参加者には劇場公演の切符もらえるという、コルドバのギター祭をお手本にしたシステムも功を奏し、早くから、世界中のフラメンコ付きがやってくるイベントとなりました。生徒として参加する日本人も数多く、コロナ前までは常に国別参加者数のトップでした。
一方、公演では2004年、鍵田真由美/佐藤浩希舞踊団の『曽根崎心中』が史上初の日本人アーティストの公演。サラ・ラ・コンパニアのあの小さい舞台に大道具も立ち上げて、スペイン語の語りを入れて物語を説明するなどスペイン公演用の工夫も凝らしての公演は好評でありました。2013年も同劇場でスペイン歌謡の名曲で綴った『アモール、アモール、アモール』を上演。この時もあの小さな舞台でバタ・デ・コーラのダイナミックな群舞を見せるなど華やかな舞台で満員の観客を圧倒しました。
その後、2011年、小島章司舞踊団が『ラ・セレスティーナ』をビジャマルタ劇場で上演。ピカソ、ネルーダ、カサルスという3人のパブロへのオマージュをスペインの古典文学作品の物語でという意欲作も大成功。それを受けてセビージャのビエナルでも上演されました。また、その後も小島は、スペイン人アーティストたちと舞台制作を続け、2014年『ファトゥム』、2016年『ア・エセ・チノ・ノ・カント』2018年『フラメンコナウタ』、2020年『ロルカxバッハ』と同劇場で公演しています。
そして今年2023年、小島はこれまでの作品の振り付けを手がけたハビエル・ラトーレや『フラメンコナウタ』に出演していたメキシコ人ダンサー、カレン・ルゴ、ブラジル人ガブリエル・マティアス、今枝友加、アナ・ラトーレらと『トダ・ウナ・ビダ』という作品を上演します。会場はムセオ・アタラジャ。サンティアゴ街そばの元酒蔵を改造したイベントスペースの特設舞台での公演です。
3/1(水)18時30分『トダ・ウナ・ビダ』
[出]〈b〉小島章司、ハビエル・ラトーレ、カレン・ルゴ、ガブリエル・マティアス、今枝友加〈c〉ロンドロ、ミゲル・ラビ、〈g〉チクエロ、〈perc〉ペリーコ・ナバーロ
一方、佐藤浩希は、フェスティバルの非公式プログラムとして数年前からつづいていオフ・フェスティバルの終盤、3月9日、歌い手アントニオ・マレーナのカンテリサイタルのゲストとして出演予定。このオフフェスティバルには他にも、毎年のように出演している萩原淳子をはじめ、セビージャ留学中の瀬戸口琴葉ら何人かの踊り手たちも出演します。
◇オフ・フェスティバル2022
2/24(金)
23時[出]〈b〉セルヒオ・アランダ、梶山彩沙/15ユーロ
2/27(月)
19時[出]〈b〉ベタニア・バロス、野上裕美/12ユーロ
3/1(水)
19時[出]〈b〉フェルナンド・ヒメネス、萩原淳子/15ユーロ
21時[出]『アルマ・フラメンカ』〈b〉瀬戸口琴葉、岸田瑠璃、 山本秀子、黒須信江、〈c〉ジョナタン・レジェス、ゲスト〈c〉エンリケ・エル・エストレメーニョ、〈g〉ニョニョ・サンティアゴ/15ユーロ
3/9(木)
23時[出]〈b〉佐藤浩希、〈c〉アントニオ・マレーナ/18ユーロ
なお、オフ・フェスティバルにはこれまでにも、中田佳代子や松彩果ら、たくさんの日本人が出演しています。また、オフィシャルのフェスティバルにもセビージャ在住ピアニストの松村未英や、メルチョーラ・オルテガ公演の伴奏でヘレス在住のピアニスト、菊池舞が出演したりもしています。