2025年1月31日金曜日

エンペニャドス、セビージャのペーニャ公演

セビージャ市による、セビージャのペーニャでのフラメンコ公演シリーズが2月から始まります。

そのプログラムが1月29日、ペーニャ・トーレス・マカレーナで発表されました。

いずれの公演も入場無料とのことです。



◇エンペニャドス・ポル・セビージャ

21(土)21

[出]〈c〉マリア・ホセ・ペレス

[場]セビージャ ペーニャ・トーレス・マカレーナ

22(日)1230

[出]〈c〉へスス・コルバチョ

[場]セビージャ ペーニャ・ラ・プラスエラ

27(金)21

[出]〈c〉パキ・リオス

[場]セビージャ ペーニャ・ラ・ポレア

28(土)20

[出] 〈c〉ロラ・エシハ

[場]セビージャ ペーニャ・アサルバアス

29(日)14

[出]〈ccarmen サラ・コレア

[場]セビージャ ペーニャ・エル・カルボネリージョ

213(木)20

[出]〈c〉カルメン・カルモナ

[場]セビージャ ペーニャ・カリスト・サンチェス 

215(土)1430

[出]〈c〉フロレンシオ・ヘレナ

[場]セビージャ ペーニャ・フモサ

216(日)1330

[出]〈piano〉ミリアム・メンデス

[場]セビージャ ペーニャ・ラ・プラスエラ

220(木)20

[出]〈b〉ジョランダ・ロレンソ

[場]セビージャ ペーニャ・カリスト・サンチェス

222(土)12

[出]〈c〉ジョニ・トーレス

[場]セビージャ ペーニャ・アイレス・フラメンコス

31(土)15

[出]〈c〉ラ・ジジャ

[場]セビージャ ペーニャ・ラ・フラグア

32(日)1330

[出]〈b〉アロア・バレア

[場]セビージャ ペーニャ・ラ・プラスエラ

37(金)

[出]〈b〉マカレーナ・ロペス

[場]セビージャ ペーニャ・ラ・ボレア

314(金)20

[出]〈violin〉セリア・ビセンテ

[場]セビージャ ペーニャ・アサルバアス

320(木)2030

[出]〈g〉カルメロ・ピコン

[場]セビージャ ペーニャ・カンテス・アル・アイレ

322(土)15

[出]〈c〉ラケル・サラス

[場]セビージャ ペーニャ・ラ・トナ

327(木)20

[出]〈b〉ジョランダ・ロレンソ

[場]セビージャ ペーニャ・カリスト・サンチェス

3/28(金)21

[出]フアン・マルティン

[場]セビージャ ペーニャ・セロ・デル・アギラ

329(土)12

[出]〈c〉ぺリコ・パニェロ

[場]セビージャ ペーニャ・アイレス・フラメンコス

46(日)1330

[出]グラシア・ロドリゲス

[場]セビージャ ペーニャ・ラ・プラスエラ

412(土)15

[出]〈b〉アンヘレス・ガバルドン

[場]セビージャ ペーニャ・ラ・フラグア

413(日)14

[出]〈b〉ホセ・オルコ

[場]セビージャ ペーニャ・エル・カルボネリージョ

426(土)16

[出]〈c〉ハイロ・ベラ

[場]セビージャ ペーニャ・アサルバアス

516(金)21

[出] 〈c〉マルセロ・ソウサ

[場]セビージャ ペーニャ・エル・セロ・デル・アギラ

518(日)14

[出]〈c〉ヘスス・コルバチョ

[場]セビージャ ペーニャ・エル・カルボネリージョ

524(土)12

[出]〈b〉ヤイサ・トリゴ

[場]セビージャ ペーニャ・アイレス・フラメンコス

525(日)1430

[出]〈b〉カルメン・イニエスタ

[場]セビージャ ペーニャ・エル・チョサス

529(木)2130

[出]〈c〉ルビト・イホ

[場]セビージャ ペーニャ・カリスト・サンチェス

67(土)2130

[出]〈fl〉アウロラ・レゲラ[

[場]セビージャ ペーニャ・トーレス・マカレーナ

611(水)20

[出]ミゲル・アンヘル・リベロ

[場]セビージャ ペーニャ・アイレス・フラメンコス

6/14(土)

[出]〈c〉ラウラ・ロマン

[場]セビージャ ペーニャ・フモサ

627(金)21

[出]〈c〉マリア・ポルティージョ

[場]セビージャ ペーニャ・エル・セロ・デル・アギラ

628(土)15

[出]〈b〉カルメン・エスピノサ

[場]セビージャ ペーニャ・ラ・トナ

[料]無料

[問]https://www.labienal.com/noticias/se-presenta-el-ciclo-flamenco-201cempenados-por-sevilla




 

2025年1月28日火曜日

ミゲル・ペレスに!


1月26日、セビージャの市立アラメーダ劇場でミゲル・ペレスへのオメナヘ、オマージュ公演が行われました。

もともとは昨年秋のビエナルでぜひ、と多くのアーティストが動いていたのですが、すでに全部プログラムが決まっているのでビエナルでは不可能だが、その後の実施には協力するということで、劇場を提供してもらったようです。

         

        

アンダルシア舞踊団でミゲルの同僚だったギタリスト、ハビエル・コンデの美しいソロにフアン・ホセ・アマドールの歌声が重なり、黒い衣装のミゲル・ペレス夫人エレナ・マルティンが黒の大判のマントンで、彼の不在を嘆き語りながら舞うオープニング。

続いて娘二人が登場、バックには子供の頃からのミゲルの写真が映し出され、その歩みや人となりを語る。途中、言葉を詰まらせ、袖からエレナ夫人も登場。

続くファルーカは、ルベン・ロメロ伴奏、クリステイナ・トバル伴唱で、フェルナンド・ヒメネス、アルベルト・セジェス、ダビ・ヒメネス、フアンマ・スラノ、フアン・フェルナンデスという五人の男性舞踊手によるナンバー。普段はソロで踊ることが多い彼らがフォーメーションを変え、それぞれに見せ場も作ってみせる群舞の素晴らしさ。フェルナンドの回転の素晴らしさが特に印象に残りますが、同じ振りを踊るとそれぞれの特性?個性みたいなものも自然に見えてくる感じ。

しみじみ沁みるサルバドール・グティエレスのソロ。

続くアレグリアスはヘスス・ロドリゲス伴奏、インマ・リベロ、ロサリオ・アマドール、クリスティナ・トバル伴唱でアレグリアス。ラウラ・サンタマリアと萩原淳子、ベアトリス・サンティアゴの三人。ここでもフォーメーションなども考えられていて、ずっと同じ振りではなく、ちょっとずつずらしたりして、ちゃんと群舞になっているのはさすが。曲に相応しく明るくフレッシュな感じ。最後、歌い手たちも一緒にちょっと踊ってさっていくのも素敵。

ビデオでのミゲルについてのコメントがあり、続くロンデーニャはギターにフアン・カンパージョ、ラモン・アマドール、歌にフアン・デ・マイレーナ、マヌ・ソト。踊るのはマヌエル・ベタンソスとアンドレス・ペーニャ。プログラムにはアンドレスの奥さん、ピラール・オガージャの名前もあったけど、舞台には出ませんでした。ロンデーニャのリズムをくっきりと際立たせるようなアンドレスの足がいいなあ、と思ってると、ソロになった時の、ベタンソスの柔らかな身体表現もいいなあ、と、ここでもまたそれぞれの個性を改めて感じことができました。

バタ・デ・コーラのパトリシア・ゲレーロとアナ・モラーレスが絡むようにしてはじまるファンダンゴは、クリスティアン・デ・モレのエレキギターでの弾き語り。二人の、伝統的なだけでなく、コンテンポラリー的な要素も入った、身体をうまく使った動きなんだけど、でもすごくフラメンコな感じで、またもちろんバタ捌きも見事で感動。いつまでもみていたい、そんな感じ。なんだろう、今、一番熱い、最高のフラメンコを見ている、って実感。


で、思い出した。昔、ベレン・マジャが言ってたこと。誰かと一緒にやりたいといろんな人に声かけたけど断られてばかりだと。今回、普段はソロで踊ってタブラオなどに出ている面々が群舞やデュオ、トリオで踊ったけど、このためには振り付け/フォーメーションを考えて、皆の予定を合わせての練習も必要なわけで、それだけの時間もとられるし手間もかかる。それでも皆、やりきった。一人でいつもの、得意な曲を踊る方が楽だろうし、自分を出せるはず。それでも皆が、慣れない群舞に挑戦したのは、やはりミゲルゆえだろう。ミゲルのために何かをしたい、ミゲルに届けたい。ミゲルゆかりのアーティストは皆今回の公演にでたかったはずだし、他の仕事などの関係で出れなかった人もいただろうし、仕事をキャンセルして出た人もいただろう。客席でも何人かのアーティストの顔を見た。みんなをミゲルが結んでいるのだ。

ミゲルと同年代、仲も良かったラファエル・ロドリゲスのソロ。「僕をマノロ・マリンの教室伴奏やロス・ガジョスに紹介してくれたのがミゲル」とちょっと話して演奏し始めたサンブラ(プログラムにはシギリージャと書いてあったけど)を聴きながらいろんなことを思い出した。コルドバのフラメンコの白夜での日本人公演の稽古の時、みんなに的確なアドバイスをしていたこと。東日本大震災後の日本支援公演でラファエルと二人で楽しそうに演奏してくれていたこと。 トリアーナで出会うたび、あの人懐っこい笑顔でおしゃべりしたこと。写真を整理している時、思いがけないような人の伴奏もしていたりして驚かされたこと…


©︎ Kyoko Shikaze

ルイサ・パリシオ、スサナ・カサス、ジョランダ・オスナのバタ、マントンでのソレア。ルイサが、昔のミニ・ミラグロス的面影から脱却して彼女らしい踊りが花開いた感じ。エレガントで、すっとした洗練されたアルテをみせる。スサナの方がミラグロスぽいというか、よりまろやかな感じ、で存在感がある。みんな違ってみんないい、ですね。ギターはエウヘニオ・イグレシアス(もう一人のギターは名前がわかりません、ごめんなさい。でもオスカル・ラゴじゃない)歌にぺぺ・デ・プーラ、モイ・デ・モロン、ヘスス・コルバチョ。

最後はエスペランサ・フェルナンデスから始まるフィン・デ・フィエスタ。モリート、アントニオ・ガメス、ラファエル・ロドリゲス、エウヘニオ・イグレシアスとギタリストが並び、その横にはピクオ、ガジ、ヘスス・コルバチョにぺぺ・デ・プーラ。舞台前には真ん中にエスペランサ。両脇にフアン・ホセとエストレメーニョ。下手にカルメン・ゴンサレスとイサベル・バジョンが座り、その後ろにラモン・マルティネスとラファエル・カンパージョ、上手にイニエスタとマルケシータ。後ろにアンドレス・ペーニャ。次々に歌い踊っていく。イニエスタはやっぱ今もどこかオヨスぽさがあるなあ、とか、ラファとアンドレスはリズムで遊ぶというところは一緒だけど取り方が全然違うなあとか、ここでもみんな違ってみんないい、だな、と。でもやっぱイサベルが圧巻だった。異次元。地に足がついた異次元。柔らかで力強く、優雅な貴婦人かと思うといたずらな小悪魔に、と様々な顔をみせる。バックにこれまでの出演者たちもお揃いのTシャツを着て並び、最後はバックに映し出されたミゲルにみんなで歌いかける。

客席も含めみんなが一つになってミゲルを想った、そんな2時間。ミゲルへの愛に溢れ、フラメンコの家族が一体となった2時間でありました。エゴも忘れた2時間。

よくあるオマージュ公演のようにそれぞれがソロをしてたら3日あっても足りなかっただろう。これだけの人数をうまくまとめて見せたのは演出のルシア・ラ・ピニョーナの腕前。最高のオメナヘをありがとう。ミゲルもきっとあの最高の笑顔をみせてくれているに違いない。

夫人と娘さんたち



ルシアも最後に挨拶だけ









 

2025年1月25日土曜日

ホセ・ルイス・デ・ラ・パスに捧げる

 マイアミにて創成したギタリスト、ホセ・ルイス・デ・ラ・パスへのトリビュートとしての公演が開催されます。こんなに早くなくなるとは思わずに企画されたものでしたが、集まったお金は遺族におくられるのでしょう。

豪華な面々が顔をそろえます。



◇ホセ・ルイス・デ・ラ・パスへのトリビュート

21(土)20

[出]〈c〉カルメン・リナーレス、マリナ・エレディア、エル・ペカス、フアン・ホセ・アマドール、エンリケ・エル・エストレメーニョ、ホセ・メンデス、ダビ・ラゴス、ヘスス・コルバチョ、マヌエル・ガゴ、ペペ・エル・マリスメニョ、アナ・デ・カロ、アルカンヘル、〈g〉フアン・カルロス・ロメロ、ホセ・アントニオ・ロドリゲス、ダニ・デ・モロン、フランシス・ゴメス、パコ・クルサド、マヌエル・デ・ラ・ルス、パコ・イグレシアス、パコ・ハラナ、〈b〉イスラエル・ガルバん、エバ・ジェルバブエナ、エル・フンコ、シウディ・ガリード、

[場]ウエルバ グランテアトロ

[問]https://entradas.huelva.es





2025年1月23日木曜日

コルドバのフラメンコ

今週、マドリードで観光/旅行の見本市が開催中で、これに合わせて各地のフラメンコ祭のプログラムなども少しずつ発表されています。

昨日はコルドバのフラメンコの白夜のプログラムが発表されました。

エバ、アウロラ、ペレと純フラメンコの大物もいるのだけど、準フラメンコというか、フラメンコ系ポップやフュージョン系が多めなような。一般のお客さん的には全部ひっくるめてフラメンコなんだろうけれど、アフィシオナード的にはもやるかも。

それより先に、プログラムの一部が発表されたギター祭も、フラメンコ公演が例年より少ない感じ?まだ一部というから他にも増えていくのかな。


◇第16回フラメンコの白夜

621(土)

2230分[出]〈b〉エバ・ジェルバブエナ[場]コルドバ テンディージャス広場

23時[出]〈c〉アウロラ・バルガス[場]シネ・コリセオ・サン・アンドレス

23時[出]フラメンコ・デ・ベルダ[場]カラオラ

24時[出]〈c〉ロシオ・ルナ、ラファ・デル・カジ[場]サン・アグスティン広場

24時[出]〈piano〉チコ・ペレス[場]オレンジの中庭

622(日)

1時[出]〈c〉エル・ペレ、[場]コンデ・デ・プリエゴ広場

130分[出]〈g〉メルセデス・ルハン[場]シネ・フエンセカ

2時[出]〈g〉ライムンド・アマドール[場]コレデーラ広場

3時[出]グループ/アラア・ソウイテン[場]サン・フランシスコ広場

330分[出]歌手ラ・チスパ[場]ポトロ広場

5時[出]グループ/カリファト3/4[場]アルカサル庭園

[問]https://nocheblancadelflamenco.cordoba.es




 

◇コルドバ ギター祭

7/1(火)〜11(金)※フラメンコ関係のみ

73(木)2030分『ラ・マテリア。Cap.II.ラ・レオナ・ア・ラ・インベンシブレ』

[出]〈b〉オルガ・ペリセ、ダニエル・アブレウ

[料]1024ユーロ

[場]コルドバ グラン・テアトロ

78(火)2230分『オリヘン』

[出]〈b〉アンダルシア舞踊団

[場]コルドバ アセルキア野外劇場

[料]2030ユーロ

7/10(木)2030

[出]〈g〉ヘスス・ゲレロ

[問]https://teatrocordoba.es/festival-guitarra-cordoba/







2025年1月21日火曜日

ギリホンド祭 プログラム発表

 

セビージャ郊外の町で開催される、スペイン以外の国出身のアーティストたちにフィーカスしたギリ・ホンド祭、昨年2024年は日本をオマージュし、萩原淳子らが出演しましたが、今年はフランスが主役。

フランス出身の踊り手、ルカス・エル・ルコや歌い手クリスト・コルテス、ギタリスト、アントニオ・モジャらが出演します。
また昨年もギターソロで出演したオランダ人ギタリスト、ティノが踊り手オルーコ、歌い手アレハンドロ・ビジャエスクサと共演する『パジョ、ギリ、ヒターノ』なども。
最終日はアルカンヘルとサンドラ・カラスコ、ウエルバを代表する二人の歌い手が出演す流そうです。



◇第3回ギリホンド祭

521(水)〜24(土)

521(水)2115

[出]〈b〉ルカス・エル・ルコ

22

[出]〈g〉ラウル・エル・ルコ、ゲスト〈c〉ルビオ・デ・プルーナ

522(木)

1930分講演 ホセ・マヌエル・ガンボア『最初のカンテのアンソロジー』

21時講演ホセMフェルナンデス『セーヌとグアダルキビル』

2215分『ミ・ティエラ』

[出]〈c〉マリ・ペーニャ、〈g〉アントニオ・モジャ

523(金)

20時会話パトリック・ベジード/マノロ・ボルケス

21時『エル・パジョ、エル・ギリ、イ・エル・ヒターノ』

[出]〈g〉ティノ・バン・デル・スマン、〈c〉アレハンドロ・ビジャエスクサ、〈b〉エル・オルーコ

22時『ソニャンド・エル・カンテ』

[出]〈c〉クリスト・コルテス、〈g〉アントニオ・モジャ

[場]セビージャ県パロマーレス・デル・リオ カルロス・アルバレス・ノボア劇場

524(土)22

[出]〈c〉アルカンヘル、サンドラ・カラスコほか

[場]セビージャ県パロマーレス・デル・リオ バニョ・アラベ

[問]https://www.guirijondo.com

EN MI CUERPOMANDO YO プレゼンテーション

 セビージャを代表するペーニャといえば、セビージャに留学してた人はきっと必ず一度は行っているだろう、トーレス・マカレーナ。

イベントが多く、そのほとんどが会員以外でも入場料に当たる寄付金10ユーロ前後で入場できるのと、舞踊公演も多いのは、他のペーニャにはあまりない特徴かも。


先週も舞踊公演2つ、カンテ公演1つ、と盛りだくさん。

でも私が出向いたのは日曜日のお昼に行われた書籍のプレゼンテーション。


詩人でフラメンコ研究家、 ビエナルの生みの親でもある、ホセ・ルイス・オルティス・ヌエボによるレトラ集。男女同権をテーマにしています。


フラメンコの歌詞も時代の鏡で、今の時代にそぐわない、女性蔑視のものや、女性に暴力をふるうのが当然、といった歌詞も多いのですが、そうではなく、女性も男性の奴隷ではなく、自分自身をもって行く、といった感じのものが多いのが特徴。

その歌詞を実際に、カルメン・ガルシアのギター伴奏でサラ・オルガドが歌いながら進んでいきます。入場無料で満員。カンテ・デ・レバンテやバンベーラ、シギリージャなどに乗せて歌われるのでありますが、発音がはっきりしていて歌詞がわかりやすいのが、こういう企画にぴったり。譜面台を前にしてるのは歌い慣れていないだろうレトラを間違えずに歌うためだろうけど、メロディもまるで楽譜があるかのようにポピュラーなメロディに正確な感じでありました。ギター伴奏は、基本を押さえた上で繊細さを生かしている感じ。



ビデオもちょっとだけ。バンベーラです。



Entre sábanas de Holanda
yo te lo quiere decir
Que si m´acuesto contigo 
Es porque así soy feliz
 
オランダのシーツにくるまり
あなたに言いたい
あなたと寝るのは
それが私の幸せだから

No quiero fidelidades 
Fragiles y quebradizas
Prefierolas lealtades
y el abrazo de tu risas.

貞節はいらない
壊れやすくて脆いもの
誠実の方がいい
あなたの笑顔の抱擁がいい



拙い訳でごめんなさい。
フラメンコは女性も男性も同じように表現できる、楽しめるアートなのだと思います。

2025年1月16日木曜日

さよならホセ・ルイス・デ・ラ・パス

 1月14日、マイアミ在住のギタリスト、ホセ・ルイス・デ・ラ・パス、本名ホセ・ルイス・ロドリゲスが亡くなった。57歳。

©︎ Kyoko Shikaze


1967年セウタ生まれ 3歳からウエルバ育ち。地元ウエルバでギターをはじめ、9歳からペーニャで学ぶ。後、15歳からセビージャでマリオ・エスクデーロに師事。1990年ビエナルのヒラルディージョのコンクールに出場。翌年、マノロ・マリン舞踊団に、1995年からはクリスティーナ・オヨス舞踊団のギタリストとして活躍。1995、1997、 2002年の日本公演にも参加している。オヨス舞踊団では音楽監督として、作品『ティエラ・アデントロ』(2002年)『イエルマ』(2003年アンダルシア舞踊団)などを作曲。また、ベレン・マジャやイサベル・バジョンを始め多くの舞踊家を伴奏した。

 

2009 en Sevilla©︎ Kyoko Shikaze

2010年頃にアメリカにわたり、ソロ活動を中心に、彼の地の踊り手たちとも共演していた。

11月、胃の手術のため入院したところ、進行した腎臓がんが見つかりそのまま入院、闘病中だった。病院費用は入っていた保険で賄えたものの、仕事ができないということで、アメリカのフラメンコ舞踊家シウディ・がリードが立ち上げたクラウドファウンディングを昨日、見かけたばかりだった。


心からご冥福をお祈りします。


追記

2月1日に彼へのトリビュート公演が行われるそうです。



2025年1月10日金曜日

ミゲル・オチャンド亡くなる

 1月10日明け方、グラナダのギタリスト、ミゲル・オチャンドが亡くなった。

1965年生まれというから、まだ五十代。早すぎる。

本名ミゲル・モリーナ・マルティネス。グラナダ、レアレホ地区の生まれ。まだ10歳になるかならないかという時に、地元のペーニャ、ラ・プラテリアで演奏。1984年にはラ・ウニオンのコンクールで準優勝。

その後は、エンリケ・モレンテやカルメン・リナーレスなど主に歌伴奏で活躍していました。

知る人ぞ知る、伴奏の名手だったといえると思います。

Málaga en Flamenco 2007 ©︎ Kyoko Shikaze 

カルメン・リナーレスと。Málaga en Flamenco 2007 ©︎ Kyoko Shikaze 



マリア・ホセ・ペレスと。Málaga en Flamenco 2007 ©︎ Kyoko Shikaze 

1983年のフラメンコとアラブ音楽の出会いの作品『マカマホンダ』やマリオ・マジャの作品にも参加。2007年にはニーニョ・リカルドやサビーカスなど先人たちの名曲を演奏したソロアルバムも発表している。

早すぎる旅立ちをまだ信じられない。

追悼エル・グイト

 1月8日夜9時、マドリード郊外コジャード・ビジャルバの病院で、踊り手エドゥアルド・セラーノ“エル・グイト”が亡くなった。82歳だった。

1942年マドリードの下町、ラストロ地区の生まれ。幼い頃から踊り、映画に出演。


1952年公開の映画『エル・マセテーロ』から

ラ・キカやアントニオ・マリンに学び、1957年、14歳でピラール・ロペスのスペイン舞踊団ロンドン公演でデビュー。アントニオ・ガデスやマリオ・マジャとともに世界の舞台で活躍した。

70年代にはマリオ・マジャ、カルメン・モーラとトリオ・マドリードとして活躍。

この、マドリードのタブラオ、カフェ・デ・チニータスでのデュオの動画は有名ですよね。



その後は、ソロで、マドリードはもとより、ビエナルやヘレスのフェスティバルで各地のフェスティバル、ファルーコらと共演したアメリカでの作品「フラメンコ・プーロ」などで活躍。マノレーテと組んだ舞台もあったように記憶している。

また1978年スペイン国立バレエ団創立時、アントニオ・ガデスに招かれメンバーとなり、その後ガデス舞踊団で、映画『血の婚礼』にも出演している。


黒っぽいつばのある帽子をかぶって茶色の上下を着ているのですが、わかるかな。

また、マドリードのスタジオ、アモール・デ・ディオスでも長らく、後進の指導にあたってきた。

日本にも1987年に小松原庸子の招きでコンクールのゲストとして,来日したのをはじめ、同年8月のは真夏の夜のフラメンコにも出演。また2001年には阿藤久子の招きで、2005年にはフラメンコ・フェスティバルで、と4回来日している。

20222年に発売されたホセ・マヌエル・ガンボアによる伝記には「ラ・カベサ・デル・フラメンコ!」と副題がついている。フラメンコの頭!というのはかしら、ボスという意味も含んでいるだろうが、その揺るぎない、完璧な頭の位置のことなのだ。

コロカシオン、姿勢。あるべきところにそれぞれのパーツがあるだけで美しい。

グイトは舞台に立っているだけで美しい。かっこいい。

柔らかで華やかな女性舞踊と対極の、抑制された、男性舞踊の粋。フラメンコらしいフラメンコ。




1996年カナルスールのフラメンコ番組でのファルーカ。


2003年、スペイン国立バレエの25周年ガラ公演でのソレア。遠くからの撮影で表情が見えないのが残念だけど構成、振り付けはよくわかると思う。


アントニオ・ガデス、マリオ・マジャ、ファルーコ、マノレーテ…グイトが亡くなり、確実に一つの時代が終わったということがじわじわと実感されてきている。ご冥福をお祈りします。


2025年1月6日月曜日

ラ・チュンガ逝く


2025年、フラメンコ界は悲しいニュースで幕を開けました。

1月3日、ミカエラ・フローレス・アマジャ“ラ・チュンガ”がなくなったのです。
87歳でした。

1938年フランスはマルセイユでスペイン人ヒターノの両親のもと生まれ。1歳でバルセロナへ。子供の時から踊り始め、 道端で踊る裸足の舞姫として注目され、画家ダリら、カタルーニャのインテリたちのミューズとなったそう。
映画にも出演しました。


これはグラン・アントニオと共演した映画のワンシーン。




マドリードのタブラオ、カフェ・デ・チニータスのフィグーラ、看板スターとして長年活躍し、筆者も見ています。ぼんやりとした写真ですが、赤い衣装がチュンガ、その人です。
カルメン・アマジャの後継者のように見られたこともあるようですが、カルメンのようにたくさんのレパートリーを持つわけでも、正統派フラメンコの舞踊家というわけでもなく、ルンバやブレリアを持ち前の激しい気性、テンペラメントで見せる、という感じだったと記憶しています。ただその彼女ならではの雰囲気がすごい、というタイプ。




 その後、画家として個展を開くなどもしていました。

国営放送のニュースのリンクを貼っておきますね。

ご冥福を祈ります。