2022年11月28日月曜日

ヘレスのフェスティバル2023、プログラム発表

 


来年のヘレスのフェスティバルのプログラムが発表されました。

ジェルバブエナ、イスラエル、ピニョーナ、パトリシア・ゲレーロ、パウラ・コミトレ、オルガ・ペリセなどビエナルで初演/上演された作品も多いので、見逃した方にはいい機会かも。国立バレエの旧作再演やマリア・パヘスなど大作もありますよ。



◇第27回ヘレスのフェスティバル

224(金)2030分『 エル・ロコ』

[出]〈b〉スペイン国立バレエ団

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

224(金)18時『リトゥルヒア』

[出]〈b〉ホセ・マジャ、〈c〉ファロ、サンドラ・カラスコ、ディエゴ・アマドールjr

[場]ヘレス サンティアゴ教会

224(金)23時『カンテを通しての旅カディス、セビージャ、ヘレス』

[出]〈c〉ビセンテ・ソト“ソルデーラ”

[場]ヘレス ボデガ・ゴンサレス・ビアス

225(土)13時『オリヘン』

[出]〈b〉マルコ・バルガス、クロエ・ブルーレ、エル・ペレグリーノ、ラ・モネータ、〈g〉ミゲル・バルガス

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館

225(土)1830分『トゥリン国際フラメンコ舞踊コンクール入賞者ガラ』

[出]

[場]ヘレス サラ・コンパニア

225(土)2030分『セグンダ・ピエル』

[出]〈b〉ヘマ・モネオ、

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

225(土)23時『エスペランサ・フェルナンデス、音楽と40年』

[出]〈c〉エスペランサ・フェルナンデス

[場]ヘレス ボデガ・ゴンサレス・ビアス

226(日)13時『レベルソ』

[出]〈b〉ソラジャ・クラビホ、ゲスト〈c〉アンヘリータ・モントージャ

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館

226(日)17時『フラメンコ&クラシカ』

[出]〈g〉ホセ・ルイス・モントン

[場]ヘレス サラ・コンパニア

226(日)1830分『トレス・ゴルペス』

[出]〈c〉ペラーテ

[場]ヘレス ボデガ・ゴンサレス・ビアス

226(日)2030分『ノクトゥルナ』

[出]〈b〉ラファエラ・カラスコ

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

227(月)1830分『2020年トゥリン・デ・ラ・フロンテーラのコンクール優勝者ガラ』

[出]〈b〉カルメン・ヤング、イバン・オレジャーナ

[場]ヘレス サラ・コンパニア

2/27(月)2030分『ソタ、カバージョ・イ・レイナ』

[出]〈b〉マルコ・フローレス

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

227(月)23時『エスペランサ・フェルナンデス、音楽と40年』

[出]〈c〉ぺぺ・デ・プーラ、ミゲル・アンヘル・ソト“ロンドロ”

[場]ヘレス ボデガ・ゴンサレス・ビアス

228(火)13時『シカノ・パワー』

[出]〈b〉イハストロス/アメリカン・フラメンコ・レパートリー・カンパニー

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館

228(火)1830分『ペジスコ』

[出]〈b〉イバン・バルガス、特別協力〈b〉ナサレ・レジェス

[場]ヘレス サラ・コンパニア

228(火)2030分『アレゴリアス』

[出]〈b〉パウラ・コミトレ

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

31(水)1830分『トダ・ウナ・ビダ』

[出]〈b〉小島章司、ハビエル・ラトーレ、カレン・ルゴ、ガブリエル・マティアス、今枝友加〈c〉ロンドロ、ミゲル・ラビ、〈g〉チクエロ、〈perc〉ペリーコ・ナバーロ 

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館

31(水)2030分『インサシアブレ』

[出]〈b〉ラ・ピニョーナ

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

32(木)1830

[出]〈b〉アゲダ・サアベドラ

[場]ヘレス サラ・コンパニア

32(木)2030分『フラメンコ、エスパシオ・クレアティボ』

[出]〈b〉エドゥアルド・ゲレーロ、ゲスト〈c〉マリア・テレモート、アンヘレス・トレダーノ、

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

32(木)23時『ヘラルド・ヌニェス、舞台生活45年』

[出]〈g〉ヘラルド・ヌニェス

[場]ヘレス ボデガ・ゴンサレス・ビアス

33(金)1830分『アディオセス』

[出]トリオアルへ、カニート

[場]ヘレス サラ・コンパニア

33(金)2030分『ブレ、フラクシオン』

[出]〈b〉エバ・ジェルバブエナ

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

33(金)23時『テレモート、ウン・シグロ・デ・カンテ』

[出]〈c〉ラ・マカニータ、ゲスト〈piano〉ラ・レイナ・ヒターナ

[場]ヘレス ボデガ・ゴンサレス・ビアス

34(土)13時『ラ・フィニトゥ』

[出]〈b〉サラ・カレーロ

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館

3/4(土)1830分『ザ・ゲーム』

[出]〈b〉ヘスス・カルモナ、〈c〉ホセ・バレンシア、〈g〉フアン・レケーナ

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館ドン・ホルヘ

34(土)2030分『デ・シェヘラザード』

[出]〈b〉マリア・パヘス舞踊団

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

35(日)13時『エレクトロ・フラメンコ3.0

[出]アルトマティコ〈b〉フロレンシア・オス

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館ドン・ホルヘ

35(日)1830分『カスティサ』

[出]〈b〉バネサ・コロマ

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館

35(日)2030分『ラ・レオナ』

[出]〈b〉オルガ・ペリセ

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

36(月)1830分『エル・パジョ、エル・ギリ・イ・エル・ヒターノ』

[出]〈b〉エル・オルーコ、〈c〉アレハンドロ・ビジャエスクサ、〈g〉ティノ・バン・デル・スマン

[場]ヘレス サラ・コンパニア

36(月)2030分『バイラール・パラ・セール』

[出]〈b〉マリア・ホセ・フランコ、ゲスト〈piano〉ドランテス、〈c〉ダビ・バルール、ルイス、モネオ

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

 

37(火)1830分『ラス・トレス・オリージャス』

[出]〈g〉マヌエル・バレンシア、ゲスト〈c〉ダビ・カルピオ、〈b〉エル・チョロ

[場]ヘレス サラ・コンパニア

37(火)2030分『アナイレイン』

[出]〈b〉アルベルト・セジェス

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館

38(水)1830分『ウン・ルセロ』

[出]〈b〉ルシア・カンピージョ

[場]ヘレス サラ・コンパニア

38(水)2030分『セイセス』

[出]〈b〉イスラエル・ガルバン

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

39(木)1830分『エントルノ』

[出]〈b〉ラファエル・ラミレス

[場]ヘレス サラ・コンパニア

39(木)2030分『デリランサ』

[出]〈b〉パトリシア・ゲレーロ

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

310(金)1830分『ロス・バイレス・ロバードス

[出]〈b〉ダビ・コリア、フロレンシア・オス、ラファエル・ラミレスほか

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館

310(金)2030分『O../O../.O/O./O. (SOLEÁ)

[出]〈b〉マリア・モレーノ

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

311(土)17時『ハビエル・ラトーレ振付工房ファイナル』

[出]ハビエル・ラトーレのクラス受講者他

[場]ヘレス サラ・コンパニア

311(土)1830分『エン・タジェーレス』

[出]〈b〉レオノール・レアル、〈perc〉アントニオ・モレーノ

[場]ヘレス ラ・アタラジャ博物館

311(土)2030分『バイラオラ、ラ・トラディシオン・エチャ・バングアルディア』

[出]〈b〉マリア・デル・マル・モレーノ、ゲスト〈b〉アンドレス・マリン

[場]ヘレス ビジャマルタ劇場

[問]https://www.festivaldejerez.es

2022年11月15日火曜日

野村眞里子『アンダルシア夢ututu』


 バイラオーラ、プロデューサー、フランス語講師そして近年はフラメンコとダンスと詩のミュージアムをオープンしたエルスール財団で若手に賞をおくるなど多彩な活躍を続ける野村眞里子がフラメンコを多角的にとらえた著書の出版を記念してインスティトゥト・セルバンテスで開催。

主宰する財団がおくる賞の受賞者など若手中心の公演でしたがこれがよかったよかったよかった。奥行きのない小さい舞台での公演には勿体無いクオリティの高いものでした。

遅れて到着したのでオープニングと歌のブレリアは見ることができなかったのですが、とにかく若手たちが素晴らしくこれで日本のフラメンコも安心と思ったことでした。

出水宏輝のカーニャはカーニャらしいしっとりさには欠けていたものの、舞台での存在感がしっかりあって、細部にフラメンコらしさがあふれていて、観るのが楽しい。続く伊藤笑苗のファルーカは伝統的なイメージをフレッシュに。伝統のポーズも多く使っているのだから衣装も伝統的な男装やアマソナの方が良かったようにも思うけれど、どんな曲を踊ってもしっかり自分らしさも出してこなせるのはすごい。鈴木敬子のアレグリアスはピンクのマントンをアレンジした素敵なバタ・デ・コーラで。登場してきただけでセビージャが香る。首の位置など形がきれい。

徳永兄弟と大山勇実、北岸麻生、4人のギタリストによるパコ・デ・ルシアの『シルヤブ』もそれぞれのソロで個性が見えて面白い。ベースをもっとしっかり太さを出すとより良くなるだろう。ぜひまた近い将来に聴いてみたい。小谷野宏司はブレリアフェステーラ。アルカラにちなんだ歌詞でフェステーラというよりロマンせぽい。本人に確認したところアントニオ・マイレーナのレコードで学んだそう。すごいアフィシオンですね。永田健のマルティネーテはバストンで。魅せるポイントを絞ってもう少し短くした方がよいかも。この日の主役野村は出水とアレグリアス。ベテランの品格で若手をサポート。こうして日本のフラメンコの流れは繋がっていくのだろう。ここでものびのびと踊っている出水がいい。腕の広げ方などいかにもアレグリアス!

最後はメルセデス・デ・コルドバが来日中に振り付けたというタンゴの群舞。椅子をもっての移動の繰り返しで始まるのが、舞台作品のオープニング的な感じなのだがなぜそうなのかがよくわからない。世代の違うアーティストたちの共演は楽しいし、オレ!なポイントもあったけれど。

若手の力、パワー、ポテンシャル、エネルギーを感じさせてくれた公演でした。若手がんばれ!













2022年11月14日月曜日

Pasión 2 Abriendo puertas

  久保田晴菜が若手フラメンコ・アーティストたちと作り上げた舞台。彼女の故郷、沼津での第1回公演を経て、新しいメンバーも加わっての第二弾は東京、高円寺での公演。その映像を配信で拝見。ライブをそのまま収録したものではなく、ライブ映像に配信用に自由にカメラが動けるようにして収録したパフォーマンスを組み合わせているから、通常の配信ビデオとは一味違う見ごたえのある映像となっている。

今回は群舞を中心に構成。普段はそれぞれ独自に活動しているこれだけの人数が予定を合わせ練習を重ねるのは大変なことだったろう。まずはそのことに敬意を表したい。目標に向かって一緒に汗を流した仲間たちの一体感のようなものも感じられるいい舞台となっていると思う。

細かいことを言えば、最初のアレグリアスで、ギターに敬意を表してなのか前の方に座らせているけど、踊りが見えにくい位置なんじゃないか、とか、タラントでトラへ・コルトってどうよ、タラントなら普通のシャツとパンタロンでしょ、コルトならファルーカとかの方が良くない?(三人のコンビネーションとかいいだけに衣装で減点は残念)など、ちょこちょこあるけれど、それぞれの曲を、フォーメーションを工夫しつつ上手にまとめているなと思いました。欲を言えば、この曲で何を表現したい、というところまで見えてくるともっといいのでは。曲を表現する、場合でもその曲のどこにポイントを置くのか、その曲をどうイメージしているのか。群舞はフォーメーションやポーズなどいろいろ工夫しているのはいいのだけど、見ているうち、このメンバーでベテランの振付家の振付で見てみたいな、という気持ちになったのも正直なところ。いつかスペインから振付家をよぶ、なんてことができたらいいね。

とにかく若い世代の力を感じられる公演でした。これからの日本のフラメンコは、フラメンコの未来は彼ら次第。頑張ってほしいです。




2022年11月10日木曜日

工藤朋子『時と血と地と』

 面白かった。そして考えさせられた。

なぜフラメンコなのだろう、と。なぜ私たちはフラメンコを追いかけるのか。フラメンコが好きなのか。日本にもいいものがたくさんあるのになぜフラメンコだったのだろう。きっと、これという答えはないのだけど、その答えのない問いが頭の中をぐるぐる。ひょっとすると工藤もそんな思いを持っていて、そこからこの作品が生まれたんじゃないかと妄想。

たくさんの要素がある。フラメンコが生まれる前のスペインやアフリカの音楽。それが宣教師らの手で日本に渡ったこと。工藤の故郷、青森や日本の他の地方の音楽、リズム。民謡。お祭り。フラメンコ。フラメンコと和の出会い。それらが、ランダムに登場してくる感じ。それを整理して順序立てて、物語のように、というか、起承転結的に構成することも可能だったんだろうけどあえてそれを避けているような気もする。いろんな要素を提示して、こっちに考えるきっかけを与えているような感じ。

いわゆる純フラメンコは前半のトナだけで、あとはガロティンと長持唄を合わせたり、フォーリアを踊ったり、じょんがら節など、民謡や三味線、リコーダーで踊ったり。最後はシギリージャなのだけど、これはフラメンコ・フラメンコな、カンテを踊るシギリージャではなく、自分を、自分の思いを伝えるために踊る振り先行のシギリージャのように私には見えた。

根っからの踊り手なんだなあ、と感じさせる工藤の、形の美しさ!コンテンポラリー的なものやムイ・フラメンコなもの、そして日本の踊りからのもの、いろんな要素を自分で咀嚼して踊っているのもいい。

そして共演の浅野祥の素晴らしさ!。声の力。音の力。津軽三味線の腕は知っていたけど、歌もうまい。声がすごい。民謡の力。こんなすごいもんが日本にあるのに、なんで私らはスペインでフラメンコ追っかけてんだろう、という疑問が自然に湧いてくる。二人だけのシーンの素晴らしさ。ゾクゾクっとした。個人的には浅野と二人だけの舞台も見てみたいかも。三味線とフラメンコの共演は何も今に始まったことではなく、大昔にもフラメンコギターとの共演とか何度か見たし、91年にセビージャで行ったイベントでも、確かカナーレスが三味線でタンゴで踊ったり、カニサーレスと三味線の共演とかやってたようにうっすらと記憶している。

遠いようで近い、近いようで遠い。

なお、タイトルの"時"はじ、と読むのだそうだ。場内アナウンスで知った。じとちとちと、じとじとじと。時を経て再び出会うもの、血の中で唸るもの、大地から生まれたもの。

いろいろとグジグジ考えてしまうこともあるけれど、フラメンコはすでにフラメンコを愛する私たちのアイデンティティーでもあるのでは? 悩んでないで一歩前に出ろ、と励まされているような気にもなってきた。

ねぶた祭でのように跳ねる工藤と重心を落としてフラメンコを踊る工藤。どちらも自然で美しい。


あと、作品における歌詞についてもちょっと色々考えさせられた。フラメンコでは歌詞の内容そのものを踊るわけではないけれど、作品の場合、内容に合わせる、方向性を一致させるということはよく行われているし、そのための歌詞を作ることも少なくない。日本語の歌も入ったせいか、余計にその歌詞の内容と、作品の流れとの関係を考えざるをえない。長持唄でのガロティンのお椀のような笠はガロティンの帽子からなのだろうけど、そんな結婚の儀式があるのかな? ガロティンには結婚の要素はポピュラーな歌詞でもなかったよな、とか考え出したり。うーん、深い。色々考えが止まらない。そんなきっかけをくれてトモちゃん、ありがとう。

2022年11月9日水曜日

AMI "SOLO BAILAR"

 10月に来日し、一ヶ月にわたり、恵比寿のサラ・アンダルーサを舞台に、数多くの踊り手たちと共演するとともに、カンテリサイタルも数回開催し好評を博したエンリケ・エル・エストレメーニョ。その名の通りエストレマドゥーラ出身で長らくセビージャを本拠に、ソロアルバムも複数リリースするなど活躍しているベテラン。特に舞踊伴唱には定評があり、特にマヌエラ・カラスコの舞台には欠かせない存在。深みと熱。幅広い知識とレパートリー。舞台での存在感。何を撮っても一流そのもの。現在も第一線で活躍する彼が日本に来て、多くの日本人アーティストと共演したのは、イベリアの蒲谷社長との長年の信頼関係あってこそのことなのだろう。

何人かのアーテイストが並ぶ公演などもあったようですが、私が見ることができたのはAMIとの共演。私がスペインに渡ったのは87年9月なのでありますが、そのすぐ




後にスペインへ留学してきた一人がAMI。私は踊るわけじゃないけれど、同時期にスペインで出会った踊り手やギタリスト達には同期意識みたいな感じがちょっとある。長い間会わなくても、その空白を感じさせない存在というか。長くセビージャに住んでいたAMIに対しても勝手にそんな気持ちを抱いている。セビージャを離れてもうかなり立つはずなのだけど、今も彼女の踊りにはセビージャが香る。

オープニングはタラント。そのイントロダクションのエンリケがもうすでに素晴らしく、うるっとくる。AMIは美しい。姿かたちだけでなく、動きが美しい。止まったかたちが綺麗。表情がいい。ふとした仕草が美しい。彼女の踊りには品格がある。中でもマノ、手の美しさは特筆もの。こんなに美しく手を動かす人は他に知らない。腕や手の優雅で雄弁なこと。もし、あなたが踊り手で、手の動きを強化したいと思っているなら必見。踊り手は足を重視しがちだけれど、踊らない一般の観客は、足よりも上体や腕の動きや姿勢、佇まいの美しさなどに感動したりするものなのでありますよ。

その後、男装でのアレグリアスでは真面目で厳格に見えるけど実はすごくお茶目で可愛いところがあるAMIちゃんらしさがよく出ていたと思う。なんで男装、とも思ったけれど、一人で3曲踊ることから、ワンパターンにならないよう変化をつけたかったのかな。長めのジャケット、最近男性舞踊家でも着る人がいるけど、ちょっとスカートを持つみたいな使い方もできるし、優れものでございますね。

最後はソレア。その前のカンテソロがアバンドラオで、短かったせいもあり、踊り手が舞台袖にくる前に歌い始めるというアクシデント?もあったけど、美と品格の百戦錬磨、ベテランはしっかり踊り抜いたのでありました。ソレアはエンリケのおはこだし、本人的にはもっとこうしたかったとか、きっとあったのだろうけど。

見栄を切るかのような客席をパッと見るその見方など、細部に時々登場するミラグロス・メンヒバルの面影などもあるけれど、それも既にAMIの個性だなあ、と思ったことでした。

次はまた、あの絶品バタも見せてね。