2018年12月1日土曜日

ルベン・オルモとエドゥアルド・レアル「アルタノ」

カハソル財団のフエベス・フラメンコス。
セビージャの中心、市役所のあるサン・フランシスコ広場に面したチカレーロ通りから入る小さな劇場というか、講堂での公演。
スペイン国立バレエ団出身でアンダルシア舞踊団監督をも務めたルベンとアンダルシア舞踊団で活躍したエドゥアルド。公私にわたるパートナーである二人による、初めての二人だけでの公演。スペイン舞踊も得意なルベンだが、今回はフラメンコのみ。

シギリージャでのオープニング、プレセンタシオンからアレハンドロ・クルスのピアノソロ。エドゥアルドのソレア、アンダルシア舞踊団時代の作品からのパドドゥ、ルベンのタラント、二人での曲「ミ・アンビシオン・エス・カンタール」というアンヘリータ・モントージャの曲のカンタールをバイラールに変えた一曲というシンプルな構成。
舞台は小さく、照明も最低限。だから踊りそのものがクローズアップされる。

早いテンポで始まる男二人パレハでのシギリージャは黒と赤の衣装で、同じ振りを一緒に踊るだけでなく、二人が違う振りで会話するように踊ったりするのがいい。

エドゥアルドのソレアも早いテンポで始まり、後、ゆっくりに。怒涛の足。
なのだが、ふとしたところにフラメンコらしい味わいがある。
残念なのは歌もギターもイマイチであること。特にギターは音程が?

パーカッションのソロに続いて、パドドゥ。
詩人ロルカの闘牛士で詩人、イグナシオ・サンチェス・メヒアスへの哀歌を、ロルカのルベンとサンチェス・メヒアスのエドゥアルドが、闘牛で使う布ムレタを使って踊る。

ルベンのタラントは、上体をずっと前傾させているのが気になるものの、ムイ・フラメンコ。と、かんじさせるのはその間合い。
スペイン舞踊をも得意とし、バレエのような身のこなしや美しい回転や跳躍で知られるルベンだが、こんなにもフラメンコなんだ、と目からウロコ。
タンゴはグラナダぽい感じで、これも良かった。
金色のようなフレコのついたベスト?かマントン?のようなものをつけた衣装はうーん、だったけど。
状態前傾は細身で華奢な彼がサパテアードを力入れて打つためなのかな?でも美しくない。
特に横向きが多かったからそう思ったのかも。

最後の二人での、マントンを使ってのパレハがこの日最高の瞬間。
女性がパンタロンを着ることで解放されたように、マントンも男性の手にも至ることで解放されているのかも。
男性の力強さゆえか、マントンの飛翔もキレがある。
途中、エドゥアルドのフレコが絡まることもあったが、うまく収めた。

最後はルベンの、アンダルシア舞踊センターでの生徒だという18歳の女の子二人もブレリアを踊ってしめ。

男性同士のパレハ、男性のマントン、マヌエル・リニャンのようなバタ・デ・コーラもそうだが、女性が男性顔負けのサパテアードをみせるだけでなく、男性も元々女性の領域とされていたところに進出するのも男女同権。というだけでなく、アルテの可能性を広げることだなあ。





2018年11月18日日曜日

森田志保「はな9」

一軒家の大きな居間のような、小さな会場で、
とてつもなく大きな、すごいものを見てしまった。
森田志保の「はな9」

杉並の、閑静な住宅街にある会場、ソノリウム。
マイクはない。
観客の間を通って前に出た森田は白いブラウスに黒いスカート。
スカートの上にエプロンのようなものを後ろ前につけている。
三つ編みに結った髪を後ろに垂らしているその姿は、メキシコ風のようでもあり、三つ編みのせいか、ネイティブアメリカンのようにも見える。

彼女がふっと見上げると、そこには天へと続く空が広がっていくようだ。
すっと手を伸ばすとそれは永遠へと繋がっていく。
なんなんだろう、この感じ。

物売りの口上の歌、プレゴンを歌いながらダビ・ラゴスが登場。
息遣いや、声の細やかなビブラートまで間近に感じられる。
空気が震える。
言葉の一つ一つがはっきりと耳に入っていく。
声の力。

タラント。

声に、歌に呼応するように動く森田。
その動きは、すごく日本的でもある。
だけどムイ・フラメンコなのだ。
森田にしか踊ることができない、彼女だけのフラメンコ。

歌を踊る。
歌を聴いて、すぐさまそれに反応して、応えるようように踊る。
歌のセンティードを明確に捉え、その通りに踊っていくのだ。
それがどれだけすごいことであるか。

スペイン人だって誰もができるわけじゃない。
いやプロだって、できない人が大半だ。
なんだってそれを彼女はこんなにたやすく、自然にやってのけるのだ?

グラナダなど、いろんなエッセンスを感じさせるタンゴで締める。
タラントのタンゴらしい、それまで抑圧されていた感情の解放、
アレグリア、嬉しさや、コラへ、悔しいようなやるせない気持ち、などがカタルシスへと繋がっていく。
緩急自在。
どんどん引き込まれていく。

シギリージャ、ブレリア、ブレリア・ポル・ソレア。

朗々と歌い上げられるロマンセ。

時としてカンテやギターのリサイタルにもみえるのは
主役は踊りだけではなく、フラメンコそのものだからなのだろう。

彼女の踊りに呼応して、歌もギターもどんどん凄みを増していく。
スペイン人一流アルティスタたちに火をつけてしまう。
音と音の間にスペースをとって弾くアルフレドのギターの美しさ。
ダビの伝統に学び現代を生きる暖かな声。
その二人が森田の踊りに夢中になっている。

アレグリアス!
ブラソが描く軌跡の美しさ。強さと優しさ。
胸を開き、風を胸に、宇宙とつながる。

白い羽。
詩的であり、哲学的であり、
でもシンプルにフラメンコだ。
濃厚で、極上のフラメンコだ。

これはもう、本当に、スペインでスペイン人たちに見てもらいたい。
いいものはいいんだ。
わかる人にはわかるはず。

フラメンコの日である11月16日にふさわしい、美しく感動的な公演でありました。
















2018年11月15日木曜日

第8回ヘレス・オフ・フェスティバル

ヘレスのフェスティバル開催時に、開かれるオフ・フェスティバル。
本家ヘレスのフェスティバルはフラメンコとスペイン舞踊のフェスティバルなので、手薄になりがちなカンテのコンサートを始め、地元ヘレスのフラメンコ学校の生徒達や先生の公演、日本人アルティスタ達の公演なども行われています。
今年はディエゴ・カラスコに捧げられ、ご本人の公演や息子アネ、甥マロコの公演も。


◆第8回ヘレス・オフ・フェスティバル“ディエゴ・カラスコに捧げる”
2/22(金)『日本の日』
                  17時[出]〈b〉ベアトリス・モラーレス舞踊学校
      19時[出]〈b〉松本真理
      21時[出]〈b〉金子文乃
      23時[出]〈c〉キナ・メンデス
      01時[出]〈perc〉アネ・カラスコ
2/23(土)17時[出]〈b〉カルメン・エレーラ舞踊学校
      19時[出]〈b〉マリアン・ヒメネス
      21時[出]〈b〉マリア・フェルナンデス
      23時[出]〈c〉サムエル・セラーノ
      01時[出]〈c〉マロコ・ソト
2/24(日)17時[出]〈b〉マカレーナ・デ・へレス舞踊学校
      19時[出]〈b〉萩原淳子、松彩果
      21時[出]〈b〉ホセ・ガルバン
      23時[出]〈c〉ルイサ・ムニョス
2/25(月)17時『タブラオ・フラメンコ』
      19時[出]〈b〉フアン・ポルビージョ
      21時[出]〈c〉エルー・デ・へレス
      23時[出]〈c〉ナタリア・デル・マル“ラ・セラータ”
2/26(火)17時[出]〈b〉へレス・プーロ舞踊学校
      19時[出]〈b〉タティアナ・コエジョ 
      21時[出]〈b〉コンチ・マジャ、ハイロ・バルール
      23時[出]〈c〉エセキエル・ベニテス
2/27(水)17時『タブラオ・フラメンコ』
      19時[出]〈b〉フアン・ポルビージョ
      21時[出]〈g〉アントニオ・レイ
      23時[出]〈b〉マカレーナ・デ・ヘレス
      01時[出]〈c〉カプージョ・デ・ヘレス
2/28(木)17時[出]〈b〉ヘレス舞踊センター
      19時[出]〈b〉タティアナ・ルイス
      21時[出]〈c〉アナ・ペーニャ、カルメン・グリロ、ウトレーラのクチャーラ一家
      22時30分[出]〈c〉アントニオ・アグヘータス
      23時30分[出]〈c〉ドローレス・アグヘータス
3/1(金)17時[出]〈b〉チキ・デ・ヘレス、タティアナ・ルイス舞踊学校
      19時[出]〈b〉ラファエル・カンパージョ
      21時[出]〈b〉フェルナンド・ガラン
      23時[出]〈b〉マカレーナ・ラミレス
      01時[出]〈c〉ディエゴ・カラスコ
3/2(土)17時[出]〈b〉マリアン・ヒメネス舞踊学校
      19時[出]〈b〉ダビ・ニエト
      21時[出]〈b〉ファビオラ・バルバ
      23時[出]〈c〉ルイス・エル・サンボ
      01時[出]〈c〉アントニオ・アグヘータス・チーコ
3/3(日)17時[出]〈b〉カルメン・エレーラ舞踊学校
      19時[出]〈b〉ホセ・ガルバン舞踊学校
      21時[出]作品『ローラ』
      23時[出]ソニオス・デ・ウン・バリオ
3/4(月)  17時『タブラオ・フラメンコ』
      19時[出]〈b〉アレハンドロ・ロドリゲス
      21時[出]〈b〉ナタリア・デル・マル“ラ・セラータ”
      23時[出]〈g〉ペリキン“ニーニョ・ヘロ”
3/5(火) 17時[出]〈b〉エステル・アランダ舞踊学校
      19時[出]〈g〉アルバ・エスペルト
       21時[出]ラ・ルナーレス
       23時[出]〈b〉マヌエラ・リオス
3/6(水) 17時『タブラオ・フラメンコ』
      19時[出]〈c〉マラ・ファネガ
      21時[出]Yugフラメンコ劇団
      23時[出]〈c〉ティア・フアナ・ラ・デル・ピパ、〈g〉ディエゴ・デル・モラオ
3/7(木) 17時[出]〈b〉メルセデス・ルイス生徒
      19時[出]〈b〉マルタ・デ・トロジャ
      21時[出]作品「ナヘラ・フラメンコ」
      23時[出]〈c〉ウィロ・デル・プエルト
3/8(金)17時[出]〈b〉ソラジャ・クラビホ舞踊学校
      19時[出]〈b〉カルロス・カルボネル
      21時[出]〈b〉ソフィア・デル・リオ、アドリアン・ブレネス
      23時[出]〈b〉マリア・フンカル
      01時[出]〈c〉モンセ・コルテス
3/9(土)17時[出]〈b〉スサナ・チャコン舞踊学校
      19時[出]〈b〉ロシオ・ロメーロ、マヌエル・デ・マレーナ
      21時[出]〈b〉ビセンタ・ガルベス
      23時[出]トリアンド
      01時[出]ムーショ・ヒターノ
[場]へレス ラ・グアリダ・デル・アンヘル
[問]http://laguaridadelangel.es/festival-off-flamenco/
 https://www.facebook.com/laguaridadelangel/


2018年11月5日月曜日

ヘレスのフェスティバル2019

来年のヘレスのフェスティバルのプログラムが発表された。
最終日に上演されるイスラエル・ガルバンの新作「恋を魔術師」を始め、なかなか充実のプログラム。
マリア・パヘス、ジェルバブエナ、アンダルシア舞踊団、レオノール・レアル、パトリシア・ゲレーロ、モネータなど、先のビエナルで上演された作品も多いが、ヘスース・カルモナやコンチャ・ハレーニョ、マルコ・フローレス、ダビ・コリアらのビジャマルタ劇場公演を始め、初めてリーダー作品を上演するクリスティアン・ロサーノやアナ・ラトーレなど、小劇場公演も面白そうなものがたくさん。アドリアン・サンタナやバネサ・コロマら、マドリー組なども。

また地元ヘレスのアルティスタも、ホアキン・グリロ、マリア・デル・マル・モレーノ、メルセデス・ルイスのビジャマルタ組以外にも、マリア・ホセ・フランコ(生まれはカディスだけど)、ベアトリス・モラーレス、ジェシカ・ブレアらや、歌のレラ・ソト、フェリパ・デル・モレーノ、ギターのボリータ、ハビエル・パティーノ、ぺぺ・デル・モラオなどなど。
こうしてみると、世代交代が確実に進んでいるのを感じます。

◆第23回ヘレス・フェスティバル 
222(金)21時「ラ・カジェ・デ・ロス・スエニョス」
[出]〈b〉ホアキン・グリロ舞踊団
[場]ビジャマルタ劇場
222(金)24
[出]〈c〉アルヘンティーナ
[場]ボデガ・ゴンサレス・ビヤス
223(土)19時「トゥリン、フラメンコ・プーロ舞踊国際コンクール
[場]サラ・コンパニア
223(土)21時「ウナ・オダ・アル・ティエンポ」
[出]〈b〉マリア・パヘス舞踊団
[場]ビジャマルタ劇場
223(土)24時「ミ・エレンシア・カンタオーラ」
[出]〈c〉レラ・ソト、ゲスト〈c〉ビセンテ・ソト、エンリケ・ソト、ホセ・ソト、〈g〉リカルド・モレーノ
224(日)19時「8コディゴス」
[出]〈c〉ホセ・デ・ラ・トマサ、ペリーコ・パニェーロ
[場]ボデガ・ゴンサレス・ビヤス
224(日)21時「クエントス・デ・アスーカル」
[出]〈b〉エバ・ジェルバブエナ舞踊団
[場]ビジャマルタ劇場
225(月)19時「トレンカディス、パシオネス・デ・ガウディ」
[出]〈b〉クリスティアン・ロサーノ、ゲスト〈c〉フアン・ホセ・アマドール
[場]サラ・コンパニア
225(月)21時「レシタル・フラメンコ」
[出]〈b〉コンチャ・ハレーニョ舞踊団、ゲスト〈g〉カニート
[場]ビジャマルタ劇場
226(火)19時「フラメンクロリカ」
[出]〈b〉バネサ・コロマ、演出ミゲル・アンヘル・ロハス
[場]サラ・コンパニア
226(火)21時「アマトール」
[出]〈b〉ヘスース・カルモナ
[場]ビジャマルタ劇場
227(水)19時「シエルぺ」
[出]〈b〉バネサ・アイバル
[場]パラシオ・デ・ビジャビセンシオ
227(水)21時「ソンブラ・エフィメラ」
[出]〈b〉エドゥアルド・ゲレーロ
[場]ビジャマルタ劇場
227(水)24時「ヘレサネアンド」
[出]〈c〉フェリパ・デル・モレーノ、音楽監督ルイス・デ・ペリキン、ゲスト〈b〉フアナ・アマジャ、ゲスト〈piano〉レイナ・ヒターナ
[場]ボデガ・ゴンサレス・ビヤス
228(木)13時「フラメンコ・キッチン」
[出]〈c〉アナ・サラサール、インマ・ラ・カルボネーラ、〈b〉イニエスタ・コルテス、アンヘレス、ガバルドン、演出フアナ・カサード
228(木)19時「ノクトゥルノ」
[出]〈b〉レオノール・レアル
[場]サラ・パウル
228(木)21時「フラメンコロルキアーノ」
[出]〈b〉アンダルシア舞踊団
[場]ビジャマルタ劇場
31(金)19時「デハ・ケ・テ・ジェベ」
[出]〈g〉ハビエル・パティーノ、ゲスト〈c〉サルモネーテ、ヘマ・カバジェーロ
[場]サラ・コンパニア
31(金)21時「シン・ペルミソ」
[出]〈b〉アナ・モラーレス
[場]ビジャマルタ劇場
31(金)24時「エンブラ・アルファ」
[出]〈b〉ベアトリス・モラーレス舞踊団、特別協力〈c〉アグへータス・チーコ
[場]サラ・コンパニア
32(土)19時「カオティコ・レデュー」
[出]〈g〉ホセ・ケベド“ボリータ”
[場]サラ・パウル
32(日)21時「タウロマヒア」
[出]〈b〉メルセデス・ルイス舞踊団
[場]ビジャマルタ劇場
32(土)24時「ボルベール」
[出]〈b〉マリア・ホセ・フランコ舞踊団、ゲスト〈c〉ルイス・モネオ
33(日)19
[出]〈b〉ホセ・マルドナード、ゲスト〈b〉ハビエル・ラトーレ、カルメン・コイ
[場]サラ・パウル
33(日)21時「パセ・アルテルナ」
[出]〈b〉マルコ・フローレス舞踊団、ゲスト〈b〉サラ・カーノ
[場]ビジャマルタ劇場
34(月)19時「シンビオシス」
[出]〈b〉アドリアン・サンタナ、ゲスト〈b〉アゲダ・サアベドラ
[場]サラ・コンパニア
34(月)21時「オラス・コンティーゴ」
[出]〈b〉ルベン・オルモ舞踊団
[場]ビジャマルタ劇場
35(火)19時「レイバ・ジョ・ア・コンタール」
[出]〈b〉アナ・ラトーレ、ゲスト;ダニエル・ガルシア
[場]サラ・パウル
35(火)21時「ディストピア」
[出]〈b〉パトリシア・ゲレーロ舞踊団
[場]ビジャマルタ劇場
36(水)19
[出]〈c〉アルフレド・テハーダ
[場]パラシオ・デ・ビジャビセンシオ
36(水)21時「グラナダ」
[出]〈b〉フエンサンタ・ラ・モネータ、ゲスト〈g〉パコ・コルテス
[場]ビジャマルタ劇場
37(木)19時「クーナ」
[出]〈b〉パロマ・ファントバ、演出アンヘル・ロハス、ゲスト〈c〉フアナ・ラ・デル・ピパ、〈b〉アンヘリータ・ゴメス
37(木)21時「アノニモ」
[出]〈b〉ダビ・コリア、特別協力〈c〉ヘマ・カバジェーロ
[場]ビジャマルタ劇場
38(金)19
[出]〈c〉フアン・デ・マイレーナ
[場]パラシオ・ビジャビセンシオ
38(金)21時「メデア」
[出]〈b〉マリア・デル・マル・モレーノ舞踊団[場]ビジャマルタ劇場
38(金)24
[出]〈b〉ジェシカ・ブレア、フェルナンド・ヒメネス
[場]サラ・コンパニア
39(土)19
[出]〈c〉マヌエル・タニェ
[場]パラシオ・ビジャビセンシオ
39(土)21時「恋は魔術師」
[出]〈b〉イスラエル・ガルバン
[場]ビジャマルタ劇場
39(土)24
[出]〈g〉ぺぺ・デル・モラオ、特別協力〈g〉ディエゴ・デル・モラオ、ベルナルド・パリージャ
[問]http://wwwwww.festivaldejerez.es


AMI「Mensaje〜伝言〜Mi Sentir」

Amiのリサイタルは11月4日、座・高円寺で。
踊りにダビ・ペレス、歌にダビ・ラゴス、ギターにアルフレド・ラゴスをスペインから招き、歌のエル・プラテアオと、中嶋朋子、小久保旬子、仁田友美が踊りで加わった少数精鋭の舞台。

第一部は7つのエピソードから成る。タイトル通り、Mensajeメッセージをテーマにした7つの場面で、それぞれの場面のつながりはない。スケッチ集、デッサン集みたいな感じ。
最初の場面「幸せの便箋」はAMIのソロでのグアヒーラ。手紙に翻弄させられる女性を踊る。
1995年コルドバのコンクールでこの曲を踊ってアルヘンティニータ賞を受賞した、いわばAMIの代表曲。表情豊かに、予感、期待、驚き、喜び、失望、怒り、悲しみ…様々な感情を、ユーモアも織り込みつつ、演じてみせる。
エピソード2はダビ・ペレスの「とんでもない知らせ」。客席から転がるように飛び出してきて、体をコントロールして、コンテンポラリー風に踊る。
エピソード3「ご注意を」は、男、アルフレド・ラゴスとやり取りをしていた(おにぎりを渡そうとして断られる、っていったい?)AMIを見ていた、中島ら3人のバイラオーラたちが、アレグリアス/カンティーニャスのリズムに乗って、ユーモラスに踊る。セリフが聞こえてきそうな感じ。面白い。実力がある3人だからこそ。
4はダビ・ペレス「父となる時は」は、娘の誕生を知らされた父をタンゴス・デ・マラガで踊る。
空港を思わすアナウンスで始まる5「旅人それぞれ」は、セレブ風、ヒッピー風、貧乏旅行風など、様々な格好の踊り手たちがすれ違い、タンゴやブレリアで。ダビが三又男を踊る6「男が残した言葉たち」はファンダンゴで、AMIの7「心が伝わるのは」はセラーナからのシギリージャで。
フラメンコで、フラメンコを言葉のように使って、様々なシチュエーションを演じてみようという試みの集大成という感じ。
フラメンコを演じるのではなく、フラメンコで、ということにこだわっているのかな。
フラメンコを踊る、の次の段階に行こうとしているようにも見える。
フラメンコをきちんと踊れるからこそのトライのように思える。
フラメンコの可能性の追求。


休憩なしでの第2部では、素のままのフラメンコを。
ダビ・ラゴスのプレゴン。これ聴くのはヘレスのブレリア祭、イサベル・バジョン公演、ビエナルのイスラエル・ガルバン公演に続いて今年四回目だが、何度聴いてもいいものはいい。拍手。アルフレドのギターの響きの奥深さ。
ダビ・ペレスのアレグリアス。顔の振り付けもしてる?ってくらいに表情豊か。ちょっと長いけど、色々小技も繰り出してくる熱演で、スプリンクラーのように汗が飛び散る。
AMIのソレアは茶に金のレースの豪華なバタ・デ・コーラで優雅に華麗に重厚に、そして何よりフラメンコに。
姿勢、首の位置がこんなに綺麗な人は日本では珍しい。目線、顔の傾け方までちゃんとしている。
すっと伸ばした腕の、指の先まで思いがこもっている。一つ一つの動きに意味がある。


前回公演では伝えたい物語が前面に出てきていて、AMIのフラメンコが見たい!という気持ちになったファン(私も含む)を大満足させる内容。

スペイン時代から常に謙虚だった彼女だが、今回も、スペイン人アルティスタたちをたてていたのが印象的だ。
前日までイスラエルと公演していたダビとアルフレドの、のびのびと、楽しんでいるような演奏も心地よく、良き公演でありました。





2018年11月3日土曜日

井上圭子スペイン舞踊教室エストゥディオ・ラミジェーテ第5回発表会

ひょっとすると初めてかもしれない、発表会を見たのは。
お昼の西日暮里アルハムブラは満員御礼。

小松原舞踊団で活躍した井上圭子は、フラメンコだけでなく、クラシコ・エスパニョールもこなすスペイン舞踊家だ。その、かたちの美しさで抜きんでている。


生徒とデュオで踊ったオープニングのクラシコ・エスパニョール、「バイレ・デ・ルイス・アロンソ」から、全員の挨拶の後での井上の小粋なガロティンまで、ギターソロを含め全11曲。
大きな家族のような一体感のある会だった。

一部だけでなく、二部のオープニングもカスタネットを使ったクラシコ(「ラ・ビダ・ブレベ」)である事や、フラメンコの伝統をきちんと伝えようとする、バタ・デ・コーラとマントンのアレグリアス、バタ・デ・コーラとアバニコのロメーラなどが、井上の志を感じさせる。群舞のシギリージャやファルーカ、アンダ・ハレオは、舞台作品のような構成で、井上の舞台経験の豊富さを思い出させる。

出演者は皆、綺麗にモーニョを結って、花飾りや飾り櫛をつけている。
モーニョの美しさは特筆もの。
セビージャ風のきちんとした装いは、それだけで踊りの格をあげる。
姿勢もいい。が、うつむき気味が長くなる人もいるのは残念。顔の位置は難しい。
表情も重要。
また動きに気持ちをつけていくのも大切。

最後に登場した井上のガロティン。
最初のブラソだけでノックアウトされるくらい美しい。
ドーニャ・ペルフェクタ。

大人数ではない、少数精鋭の教室だからこそ、先生の思いも直接伝わるのかもしれないね。







2018年10月21日日曜日

今枝友加「Más Vueltas」

今年、ヘレスのフェスティバルとフィエスタ・デ・ブレリアと言う、フラメンコのメッカ、ヘレスを代表する二大フェスティバルに、歌い手として出演した今枝友加。
先日、カンテライブも行ったばかりの彼女の、踊り手としてリサイタル。

個人的にすごく色々納得できた舞台でありました。

歌い手である今枝友加は踊り手である今枝友加なしにはありえないし、反対に踊り手である今枝友加は歌い手である今枝友加なしにはありえない。
彼女のフラメンコは、二つがあってのものなのですね。

プレセンタシオンはガロティン。帽子の扱いも結構凝ってる楽しい一曲。
他の日本人舞踊家にはなかなか真似のできない、いいデテールがいっぱいで、
もうほんと、そんなに足とか、何もやらなくてもいい、という感じ。
デテール、言葉で表現するのは難しいけど、ちょっとした間合いや仕草、目線。
コンパスと動きの関係などでございます。

その後ゲストのロベル・エル・モレーノのブレリアの後に見せたアレグリアスでも、
二部でのソレアでもそうなのだけど、一つ一つの動きにセンティード、意味がきちんとある。うわべだけを真似しているのではなく、ここはこういう気持ちを込めて、ここはこのレトラ、このメロディに反応して、これ、っていう感じがあるのだ。
彼女は振り付けをなぞっているのではなく、フラメンコを踊っている。
自分のフラメンコなんだよね。

それは彼女が歌う事と無縁ではないだろう。

細かいことを言えば、正面向くとき、少しはすに構えた方が奥行きが出て、もっとかっこよくなるとか、前半、髪がほどけてざんばらになっちゃったのはちょっと残念、とか、ソレアの衣装で胸元締めすぎて首が短く見えるのは損、とかあるけれど、そんなことは些細なことで、肝心要の大元がちゃんとしている。でもだからこそ、細部を色々気をつけるともっともっとよくなると思う。

今度はスペインで踊りも是非!