2018年11月15日木曜日

第8回ヘレス・オフ・フェスティバル

ヘレスのフェスティバル開催時に、開かれるオフ・フェスティバル。
本家ヘレスのフェスティバルはフラメンコとスペイン舞踊のフェスティバルなので、手薄になりがちなカンテのコンサートを始め、地元ヘレスのフラメンコ学校の生徒達や先生の公演、日本人アルティスタ達の公演なども行われています。
今年はディエゴ・カラスコに捧げられ、ご本人の公演や息子アネ、甥マロコの公演も。


◆第8回ヘレス・オフ・フェスティバル“ディエゴ・カラスコに捧げる”
2/22(金)『日本の日』
                  17時[出]〈b〉ベアトリス・モラーレス舞踊学校
      19時[出]〈b〉松本真理
      21時[出]〈b〉金子文乃
      23時[出]〈c〉キナ・メンデス
      01時[出]〈perc〉アネ・カラスコ
2/23(土)17時[出]〈b〉カルメン・エレーラ舞踊学校
      19時[出]〈b〉マリアン・ヒメネス
      21時[出]〈b〉マリア・フェルナンデス
      23時[出]〈c〉サムエル・セラーノ
      01時[出]〈c〉マロコ・ソト
2/24(日)17時[出]〈b〉マカレーナ・デ・へレス舞踊学校
      19時[出]〈b〉萩原淳子、松彩果
      21時[出]〈b〉ホセ・ガルバン
      23時[出]〈c〉ルイサ・ムニョス
2/25(月)17時『タブラオ・フラメンコ』
      19時[出]〈b〉フアン・ポルビージョ
      21時[出]〈c〉エルー・デ・へレス
      23時[出]〈c〉ナタリア・デル・マル“ラ・セラータ”
2/26(火)17時[出]〈b〉へレス・プーロ舞踊学校
      19時[出]〈b〉タティアナ・コエジョ 
      21時[出]〈b〉コンチ・マジャ、ハイロ・バルール
      23時[出]〈c〉エセキエル・ベニテス
2/27(水)17時『タブラオ・フラメンコ』
      19時[出]〈b〉フアン・ポルビージョ
      21時[出]〈g〉アントニオ・レイ
      23時[出]〈b〉マカレーナ・デ・ヘレス
      01時[出]〈c〉カプージョ・デ・ヘレス
2/28(木)17時[出]〈b〉ヘレス舞踊センター
      19時[出]〈b〉タティアナ・ルイス
      21時[出]〈c〉アナ・ペーニャ、カルメン・グリロ、ウトレーラのクチャーラ一家
      22時30分[出]〈c〉アントニオ・アグヘータス
      23時30分[出]〈c〉ドローレス・アグヘータス
3/1(金)17時[出]〈b〉チキ・デ・ヘレス、タティアナ・ルイス舞踊学校
      19時[出]〈b〉ラファエル・カンパージョ
      21時[出]〈b〉フェルナンド・ガラン
      23時[出]〈b〉マカレーナ・ラミレス
      01時[出]〈c〉ディエゴ・カラスコ
3/2(土)17時[出]〈b〉マリアン・ヒメネス舞踊学校
      19時[出]〈b〉ダビ・ニエト
      21時[出]〈b〉ファビオラ・バルバ
      23時[出]〈c〉ルイス・エル・サンボ
      01時[出]〈c〉アントニオ・アグヘータス・チーコ
3/3(日)17時[出]〈b〉カルメン・エレーラ舞踊学校
      19時[出]〈b〉ホセ・ガルバン舞踊学校
      21時[出]作品『ローラ』
      23時[出]ソニオス・デ・ウン・バリオ
3/4(月)  17時『タブラオ・フラメンコ』
      19時[出]〈b〉アレハンドロ・ロドリゲス
      21時[出]〈b〉ナタリア・デル・マル“ラ・セラータ”
      23時[出]〈g〉ペリキン“ニーニョ・ヘロ”
3/5(火) 17時[出]〈b〉エステル・アランダ舞踊学校
      19時[出]〈g〉アルバ・エスペルト
       21時[出]ラ・ルナーレス
       23時[出]〈b〉マヌエラ・リオス
3/6(水) 17時『タブラオ・フラメンコ』
      19時[出]〈c〉マラ・ファネガ
      21時[出]Yugフラメンコ劇団
      23時[出]〈c〉ティア・フアナ・ラ・デル・ピパ、〈g〉ディエゴ・デル・モラオ
3/7(木) 17時[出]〈b〉メルセデス・ルイス生徒
      19時[出]〈b〉マルタ・デ・トロジャ
      21時[出]作品「ナヘラ・フラメンコ」
      23時[出]〈c〉ウィロ・デル・プエルト
3/8(金)17時[出]〈b〉ソラジャ・クラビホ舞踊学校
      19時[出]〈b〉カルロス・カルボネル
      21時[出]〈b〉ソフィア・デル・リオ、アドリアン・ブレネス
      23時[出]〈b〉マリア・フンカル
      01時[出]〈c〉モンセ・コルテス
3/9(土)17時[出]〈b〉スサナ・チャコン舞踊学校
      19時[出]〈b〉ロシオ・ロメーロ、マヌエル・デ・マレーナ
      21時[出]〈b〉ビセンタ・ガルベス
      23時[出]トリアンド
      01時[出]ムーショ・ヒターノ
[場]へレス ラ・グアリダ・デル・アンヘル
[問]http://laguaridadelangel.es/festival-off-flamenco/
 https://www.facebook.com/laguaridadelangel/


2018年11月5日月曜日

ヘレスのフェスティバル2019

来年のヘレスのフェスティバルのプログラムが発表された。
最終日に上演されるイスラエル・ガルバンの新作「恋を魔術師」を始め、なかなか充実のプログラム。
マリア・パヘス、ジェルバブエナ、アンダルシア舞踊団、レオノール・レアル、パトリシア・ゲレーロ、モネータなど、先のビエナルで上演された作品も多いが、ヘスース・カルモナやコンチャ・ハレーニョ、マルコ・フローレス、ダビ・コリアらのビジャマルタ劇場公演を始め、初めてリーダー作品を上演するクリスティアン・ロサーノやアナ・ラトーレなど、小劇場公演も面白そうなものがたくさん。アドリアン・サンタナやバネサ・コロマら、マドリー組なども。

また地元ヘレスのアルティスタも、ホアキン・グリロ、マリア・デル・マル・モレーノ、メルセデス・ルイスのビジャマルタ組以外にも、マリア・ホセ・フランコ(生まれはカディスだけど)、ベアトリス・モラーレス、ジェシカ・ブレアらや、歌のレラ・ソト、フェリパ・デル・モレーノ、ギターのボリータ、ハビエル・パティーノ、ぺぺ・デル・モラオなどなど。
こうしてみると、世代交代が確実に進んでいるのを感じます。

◆第23回ヘレス・フェスティバル 
222(金)21時「ラ・カジェ・デ・ロス・スエニョス」
[出]〈b〉ホアキン・グリロ舞踊団
[場]ビジャマルタ劇場
222(金)24
[出]〈c〉アルヘンティーナ
[場]ボデガ・ゴンサレス・ビヤス
223(土)19時「トゥリン、フラメンコ・プーロ舞踊国際コンクール
[場]サラ・コンパニア
223(土)21時「ウナ・オダ・アル・ティエンポ」
[出]〈b〉マリア・パヘス舞踊団
[場]ビジャマルタ劇場
223(土)24時「ミ・エレンシア・カンタオーラ」
[出]〈c〉レラ・ソト、ゲスト〈c〉ビセンテ・ソト、エンリケ・ソト、ホセ・ソト、〈g〉リカルド・モレーノ
224(日)19時「8コディゴス」
[出]〈c〉ホセ・デ・ラ・トマサ、ペリーコ・パニェーロ
[場]ボデガ・ゴンサレス・ビヤス
224(日)21時「クエントス・デ・アスーカル」
[出]〈b〉エバ・ジェルバブエナ舞踊団
[場]ビジャマルタ劇場
225(月)19時「トレンカディス、パシオネス・デ・ガウディ」
[出]〈b〉クリスティアン・ロサーノ、ゲスト〈c〉フアン・ホセ・アマドール
[場]サラ・コンパニア
225(月)21時「レシタル・フラメンコ」
[出]〈b〉コンチャ・ハレーニョ舞踊団、ゲスト〈g〉カニート
[場]ビジャマルタ劇場
226(火)19時「フラメンクロリカ」
[出]〈b〉バネサ・コロマ、演出ミゲル・アンヘル・ロハス
[場]サラ・コンパニア
226(火)21時「アマトール」
[出]〈b〉ヘスース・カルモナ
[場]ビジャマルタ劇場
227(水)19時「シエルぺ」
[出]〈b〉バネサ・アイバル
[場]パラシオ・デ・ビジャビセンシオ
227(水)21時「ソンブラ・エフィメラ」
[出]〈b〉エドゥアルド・ゲレーロ
[場]ビジャマルタ劇場
227(水)24時「ヘレサネアンド」
[出]〈c〉フェリパ・デル・モレーノ、音楽監督ルイス・デ・ペリキン、ゲスト〈b〉フアナ・アマジャ、ゲスト〈piano〉レイナ・ヒターナ
[場]ボデガ・ゴンサレス・ビヤス
228(木)13時「フラメンコ・キッチン」
[出]〈c〉アナ・サラサール、インマ・ラ・カルボネーラ、〈b〉イニエスタ・コルテス、アンヘレス、ガバルドン、演出フアナ・カサード
228(木)19時「ノクトゥルノ」
[出]〈b〉レオノール・レアル
[場]サラ・パウル
228(木)21時「フラメンコロルキアーノ」
[出]〈b〉アンダルシア舞踊団
[場]ビジャマルタ劇場
31(金)19時「デハ・ケ・テ・ジェベ」
[出]〈g〉ハビエル・パティーノ、ゲスト〈c〉サルモネーテ、ヘマ・カバジェーロ
[場]サラ・コンパニア
31(金)21時「シン・ペルミソ」
[出]〈b〉アナ・モラーレス
[場]ビジャマルタ劇場
31(金)24時「エンブラ・アルファ」
[出]〈b〉ベアトリス・モラーレス舞踊団、特別協力〈c〉アグへータス・チーコ
[場]サラ・コンパニア
32(土)19時「カオティコ・レデュー」
[出]〈g〉ホセ・ケベド“ボリータ”
[場]サラ・パウル
32(日)21時「タウロマヒア」
[出]〈b〉メルセデス・ルイス舞踊団
[場]ビジャマルタ劇場
32(土)24時「ボルベール」
[出]〈b〉マリア・ホセ・フランコ舞踊団、ゲスト〈c〉ルイス・モネオ
33(日)19
[出]〈b〉ホセ・マルドナード、ゲスト〈b〉ハビエル・ラトーレ、カルメン・コイ
[場]サラ・パウル
33(日)21時「パセ・アルテルナ」
[出]〈b〉マルコ・フローレス舞踊団、ゲスト〈b〉サラ・カーノ
[場]ビジャマルタ劇場
34(月)19時「シンビオシス」
[出]〈b〉アドリアン・サンタナ、ゲスト〈b〉アゲダ・サアベドラ
[場]サラ・コンパニア
34(月)21時「オラス・コンティーゴ」
[出]〈b〉ルベン・オルモ舞踊団
[場]ビジャマルタ劇場
35(火)19時「レイバ・ジョ・ア・コンタール」
[出]〈b〉アナ・ラトーレ、ゲスト;ダニエル・ガルシア
[場]サラ・パウル
35(火)21時「ディストピア」
[出]〈b〉パトリシア・ゲレーロ舞踊団
[場]ビジャマルタ劇場
36(水)19
[出]〈c〉アルフレド・テハーダ
[場]パラシオ・デ・ビジャビセンシオ
36(水)21時「グラナダ」
[出]〈b〉フエンサンタ・ラ・モネータ、ゲスト〈g〉パコ・コルテス
[場]ビジャマルタ劇場
37(木)19時「クーナ」
[出]〈b〉パロマ・ファントバ、演出アンヘル・ロハス、ゲスト〈c〉フアナ・ラ・デル・ピパ、〈b〉アンヘリータ・ゴメス
37(木)21時「アノニモ」
[出]〈b〉ダビ・コリア、特別協力〈c〉ヘマ・カバジェーロ
[場]ビジャマルタ劇場
38(金)19
[出]〈c〉フアン・デ・マイレーナ
[場]パラシオ・ビジャビセンシオ
38(金)21時「メデア」
[出]〈b〉マリア・デル・マル・モレーノ舞踊団[場]ビジャマルタ劇場
38(金)24
[出]〈b〉ジェシカ・ブレア、フェルナンド・ヒメネス
[場]サラ・コンパニア
39(土)19
[出]〈c〉マヌエル・タニェ
[場]パラシオ・ビジャビセンシオ
39(土)21時「恋は魔術師」
[出]〈b〉イスラエル・ガルバン
[場]ビジャマルタ劇場
39(土)24
[出]〈g〉ぺぺ・デル・モラオ、特別協力〈g〉ディエゴ・デル・モラオ、ベルナルド・パリージャ
[問]http://wwwwww.festivaldejerez.es


AMI「Mensaje〜伝言〜Mi Sentir」

Amiのリサイタルは11月4日、座・高円寺で。
踊りにダビ・ペレス、歌にダビ・ラゴス、ギターにアルフレド・ラゴスをスペインから招き、歌のエル・プラテアオと、中嶋朋子、小久保旬子、仁田友美が踊りで加わった少数精鋭の舞台。

第一部は7つのエピソードから成る。タイトル通り、Mensajeメッセージをテーマにした7つの場面で、それぞれの場面のつながりはない。スケッチ集、デッサン集みたいな感じ。
最初の場面「幸せの便箋」はAMIのソロでのグアヒーラ。手紙に翻弄させられる女性を踊る。
1995年コルドバのコンクールでこの曲を踊ってアルヘンティニータ賞を受賞した、いわばAMIの代表曲。表情豊かに、予感、期待、驚き、喜び、失望、怒り、悲しみ…様々な感情を、ユーモアも織り込みつつ、演じてみせる。
エピソード2はダビ・ペレスの「とんでもない知らせ」。客席から転がるように飛び出してきて、体をコントロールして、コンテンポラリー風に踊る。
エピソード3「ご注意を」は、男、アルフレド・ラゴスとやり取りをしていた(おにぎりを渡そうとして断られる、っていったい?)AMIを見ていた、中島ら3人のバイラオーラたちが、アレグリアス/カンティーニャスのリズムに乗って、ユーモラスに踊る。セリフが聞こえてきそうな感じ。面白い。実力がある3人だからこそ。
4はダビ・ペレス「父となる時は」は、娘の誕生を知らされた父をタンゴス・デ・マラガで踊る。
空港を思わすアナウンスで始まる5「旅人それぞれ」は、セレブ風、ヒッピー風、貧乏旅行風など、様々な格好の踊り手たちがすれ違い、タンゴやブレリアで。ダビが三又男を踊る6「男が残した言葉たち」はファンダンゴで、AMIの7「心が伝わるのは」はセラーナからのシギリージャで。
フラメンコで、フラメンコを言葉のように使って、様々なシチュエーションを演じてみようという試みの集大成という感じ。
フラメンコを演じるのではなく、フラメンコで、ということにこだわっているのかな。
フラメンコを踊る、の次の段階に行こうとしているようにも見える。
フラメンコをきちんと踊れるからこそのトライのように思える。
フラメンコの可能性の追求。


休憩なしでの第2部では、素のままのフラメンコを。
ダビ・ラゴスのプレゴン。これ聴くのはヘレスのブレリア祭、イサベル・バジョン公演、ビエナルのイスラエル・ガルバン公演に続いて今年四回目だが、何度聴いてもいいものはいい。拍手。アルフレドのギターの響きの奥深さ。
ダビ・ペレスのアレグリアス。顔の振り付けもしてる?ってくらいに表情豊か。ちょっと長いけど、色々小技も繰り出してくる熱演で、スプリンクラーのように汗が飛び散る。
AMIのソレアは茶に金のレースの豪華なバタ・デ・コーラで優雅に華麗に重厚に、そして何よりフラメンコに。
姿勢、首の位置がこんなに綺麗な人は日本では珍しい。目線、顔の傾け方までちゃんとしている。
すっと伸ばした腕の、指の先まで思いがこもっている。一つ一つの動きに意味がある。


前回公演では伝えたい物語が前面に出てきていて、AMIのフラメンコが見たい!という気持ちになったファン(私も含む)を大満足させる内容。

スペイン時代から常に謙虚だった彼女だが、今回も、スペイン人アルティスタたちをたてていたのが印象的だ。
前日までイスラエルと公演していたダビとアルフレドの、のびのびと、楽しんでいるような演奏も心地よく、良き公演でありました。





2018年11月3日土曜日

井上圭子スペイン舞踊教室エストゥディオ・ラミジェーテ第5回発表会

ひょっとすると初めてかもしれない、発表会を見たのは。
お昼の西日暮里アルハムブラは満員御礼。

小松原舞踊団で活躍した井上圭子は、フラメンコだけでなく、クラシコ・エスパニョールもこなすスペイン舞踊家だ。その、かたちの美しさで抜きんでている。


生徒とデュオで踊ったオープニングのクラシコ・エスパニョール、「バイレ・デ・ルイス・アロンソ」から、全員の挨拶の後での井上の小粋なガロティンまで、ギターソロを含め全11曲。
大きな家族のような一体感のある会だった。

一部だけでなく、二部のオープニングもカスタネットを使ったクラシコ(「ラ・ビダ・ブレベ」)である事や、フラメンコの伝統をきちんと伝えようとする、バタ・デ・コーラとマントンのアレグリアス、バタ・デ・コーラとアバニコのロメーラなどが、井上の志を感じさせる。群舞のシギリージャやファルーカ、アンダ・ハレオは、舞台作品のような構成で、井上の舞台経験の豊富さを思い出させる。

出演者は皆、綺麗にモーニョを結って、花飾りや飾り櫛をつけている。
モーニョの美しさは特筆もの。
セビージャ風のきちんとした装いは、それだけで踊りの格をあげる。
姿勢もいい。が、うつむき気味が長くなる人もいるのは残念。顔の位置は難しい。
表情も重要。
また動きに気持ちをつけていくのも大切。

最後に登場した井上のガロティン。
最初のブラソだけでノックアウトされるくらい美しい。
ドーニャ・ペルフェクタ。

大人数ではない、少数精鋭の教室だからこそ、先生の思いも直接伝わるのかもしれないね。







2018年10月21日日曜日

今枝友加「Más Vueltas」

今年、ヘレスのフェスティバルとフィエスタ・デ・ブレリアと言う、フラメンコのメッカ、ヘレスを代表する二大フェスティバルに、歌い手として出演した今枝友加。
先日、カンテライブも行ったばかりの彼女の、踊り手としてリサイタル。

個人的にすごく色々納得できた舞台でありました。

歌い手である今枝友加は踊り手である今枝友加なしにはありえないし、反対に踊り手である今枝友加は歌い手である今枝友加なしにはありえない。
彼女のフラメンコは、二つがあってのものなのですね。

プレセンタシオンはガロティン。帽子の扱いも結構凝ってる楽しい一曲。
他の日本人舞踊家にはなかなか真似のできない、いいデテールがいっぱいで、
もうほんと、そんなに足とか、何もやらなくてもいい、という感じ。
デテール、言葉で表現するのは難しいけど、ちょっとした間合いや仕草、目線。
コンパスと動きの関係などでございます。

その後ゲストのロベル・エル・モレーノのブレリアの後に見せたアレグリアスでも、
二部でのソレアでもそうなのだけど、一つ一つの動きにセンティード、意味がきちんとある。うわべだけを真似しているのではなく、ここはこういう気持ちを込めて、ここはこのレトラ、このメロディに反応して、これ、っていう感じがあるのだ。
彼女は振り付けをなぞっているのではなく、フラメンコを踊っている。
自分のフラメンコなんだよね。

それは彼女が歌う事と無縁ではないだろう。

細かいことを言えば、正面向くとき、少しはすに構えた方が奥行きが出て、もっとかっこよくなるとか、前半、髪がほどけてざんばらになっちゃったのはちょっと残念、とか、ソレアの衣装で胸元締めすぎて首が短く見えるのは損、とかあるけれど、そんなことは些細なことで、肝心要の大元がちゃんとしている。でもだからこそ、細部を色々気をつけるともっともっとよくなると思う。

今度はスペインで踊りも是非!


2018年10月10日水曜日

プレミオナショナルはオルガ・ペリセとアントニオ・ルス

2018年のプレミオ・ナショナル・デ・ラ・ダンサは、クリエーター部門がアントニオ・ルス、演者部門がオルガ・ペリセに決定した。

アントニオ・ルスは1976年コルドバ生まれ。コルドバでフラメンコ、スペイン舞踊、クラシックバレエを学び、92年にマドリードに上京。ビクトル・ウジャテのバレエ団を経て、2001年からはジュネーヴやリヨンのバレエ団で活躍。06年にスペインに戻り、国立ダンスカンパニーに在籍した。
フラメンコ好きなら、「春の祭典」など、ラファエル・エステベス&ナニ・パーニョのカンパニーへの協力、客演などで知っているかもしれないが、コンテンポラリーのダンスカンパニーとの共演や、自らのカンパニーでの公演で活躍中の新進気鋭のダンサー/振付家なのである。
昨年初演したスペイン国立バレエ団の「エレクトラ」の振り付けでも知られる。

その「エレクトラ」のフラメンコパートで、アントニオをサポートしたオルガ・ペリセは1975年コルドバ生まれ。コルドバの専門舞踊学院でスペイン舞踊を学び、後、マドリードに出て、ラファエル・アマルゴやラファエラ・カラスコ、ヌエボ・バレエ・エスパニョールなどで活躍。またマヌエル・リニャンやマルコ・フローレス、ダニエル・ドーニャらと組んで、作品を作るなどした。
2010年には、ベレン・マジャと共演した「バイレス・アレグレス・パラ・ペルソナス・トゥリステス」でヘレスのフェスティバルの新人賞を受賞。翌年には初のソロ作品を発表しMAX賞にもノミネートされた。
Bienal Oscar Romero

コルドバのほぼ同級生、おめでとう!



2018年10月4日木曜日

マヌエル・リオス・ルイス逝く

10月3日、詩人でフラメンコ研究家のマヌエル・リオス・ルイスがマドリードの病院で亡くなった。

1934年ヘレス生まれ。
1972年に国家文学賞を受賞するなど、詩人として名高いが、アフィシオナードたちにとっては、フラメンコ百科事典の共著者としてや、ラジオ番組の司会、ABCやディアリオ・デ・セビージャでのコラムなどでおなじみだった。ヘレスのフラメンコ学会の創設メンバーでもある。

温厚で暖かい人柄で、個人的にも、最初に買ったフラメンコの本が、彼のカンテ入門という本だったということもあり、ヘレスのフェスティバルでもいつも、ニコニコ接してくれた。

ご冥福を祈ります。



ビエナル総括記者会見

「次回のビエナルは2020年9月4日から10月4日まで」

30日間!

記者会見の最後に、アントニオ・ソイド監督続投とともにその発表があった瞬間、ため息をついたのは私だけだろうか。
24日間にわたる公演で述べ42725人の観客を集め、85.26%の動員率。798450ユーロの売り上げを記録したというビエナル。

2年後はより良いフェスティバルでありますように。


2018年10月3日水曜日

ビエナル2018総括33の公演から

なんかちょっといつもと違うビエナルだった。
25日間、全61公演のうち、33公演を見ただけだけど、疲れました。

いいものも観ることができたし、楽しかった瞬間もいろいろ。
前半は割と平板で、
イスラエル・ガルバン、ファルキートと天才が続き、わ、という瞬間はあったものの、
Bienal Oscar Romero

彼らを何度も見ている者にとっては最高の夜ではなかったし、アルカサルの夜は残念至極。
パコ・ハラーナ、アルフレド・ラゴスのギターソロは良かったしいい企画だけど、

Bienal Oscar Romero

前半終わって一番良かったのがレブリーハのオテル・トリアーナでの公演って、個人的にも意外。
Bienal Oscar Romero

でもその後はロシオ・モリーナ、トマス・エル・ペラーテで盛り返す。


両方とも問題作で、ロシオの、自分の妊娠をテーマにした公演は賛否両論だったけど、私には女性全体へのオマージュのようにも見えて高評価。トマスも現代音楽のパーカッション奏者との共演に拒否反応を示す批評もあったけど、いや、よかったです。元の歌も、絡む方もしっかりしているからだな。これに限らず、フラメンコも現代アートだなあ、と思わせる公演。そういえば、サンプラーやパソコンも今やすっかりフラメンコの楽器の一つでございます。
もう一個の超問題作、ニーニョ・デ・エルチェも、



音域広いし、音程もコンパスもいいし、フラメンコにおふざけは許せない、という人以外は楽しめたのではないかと。いろんなフラメンコ、あっていいじゃん?
後半はラファエラ・カラスコ、
Bienal Oscar Romero

アナ・モラーレス、

Bienal Oscar Romero
エバ・ジェルバブエナ、
Bienal Oscar Romero
イサベル・バジョンといい公演が続いたのが嬉しい。

Bienal Oscar Romero

一曲あげるなら、ラフィの公演に出てたハビエル・バロンのソレア!コンセプトや物語も何もない、普通のフラメンコだけど、それをすごくよく踊っている。結局、これが一番かも。
他にも立ち上がって歌い踊るしかないトマシートの公演、ソロギターならではの凄みのある音を聞かせてくれたヘラルド・ヌニェス、
Bienal Oscar Romero

ソリストではないけど熱いギターを聞かせてくれたラファエル・ロドリゲス(ロシオ・モリーナとのグアヒーラの素晴らしかったこと!)とギターも充実。
Bienal Oscar Romero

歌では、イスラエル公演でのダビ・ラゴス、トマティート公演でのドゥケンデ、ランカピーノ・チーコらが印象に残る。


しかし疲れました。
年のせいももちろんあるだろうけど、うーん、まず開演時間設定に無理がある。
19時、20時半、23時。で会場から会場までが徒歩圏とはいえない。
なので、19時からのギターリサイタルを最後まで見ると、20時半からには間に合わない。
なので、グリロやグラナイーノはパス。
20時半のを見るときはアンコールも見ずに走ってタクシー確保。ふう。
28日は市民ナイトマラソンが開催されていたので劇場から劇場まで徒歩40分。ありえん。
ちなみにヘレスのフェスティバルだと19時、21時、24時で会場は徒歩圏。その気になれば3本はしごも可能です。

監督が、前回、前々回のクリストバルから、初代監督のホセ・ルイス・オルティス・ヌエボへと変わったかと思うとまた直前にアントニオ・ソイドに変わり、バタバタしたこともあったのか、プログラムに一貫性やポリシーは感じられない。とっちらかってる感じ。
次回は監督も変わるだろうから変わるかな?

どういう形にせよ、結果にせよ、フラメンコの故郷、セビージャで世界最大のフラメンコ祭が開催されるの意味がある。願わくば、量だけではなく質も最高となりますように。


2018年10月1日月曜日

ドランテス「ラ・ロダ・デル・ティエンポ」

ビエナル最終日はセビージャ港でのコンサート。
セビージャ港?

はい、セビージャにも港があるのです。町はずれに税関もある港が。
なんでトリアーナ地区のはずれにある地下鉄駅から特別運行されるバスに入場券見せて乗って、10分ほど。
Bienal Óscar Romero
コンテナやクレーンが並ぶ殺風景なところで、川も見えない。
クレーン使って作った舞台は面白いけどね。フラメンコと言う感じじゃないけど。
こんなところでなぜ?と思って聞いてみたら、マゼランの世界一周の出発が1519年セビージャからだったことで、その500周年記念を兼ねて、とのことだった。ふーん。
当時の港ここじゃなかったろうけどね。

で、ドランテス。
Bienal Óscar Romero
そのコンサートもテーマになるのはマゼランの航海で、航海の準備、大西洋横断、反乱、太平洋横断とマゼランの死、帰着という5つのパートからなる大曲で、オーケストラにコーラス、ドラムとパーカッション、という大編成。
ソロに始まり、パーカッション奏者によるコンテナ叩いての演奏やコーラスが入ってのタンギージョ、オーケストラとの共演、アレグリアス、シギリージャ、ブレリア…

Bienal Óscar Romero


 叔父レブリハーノの、大陸発見500周年記念アルバム「ティエラ」を思い出させる、フラメンコ叙事詩。
でもコーラスによる歌詞は言葉として一向に聞こえてこないのでもやもや。

Bienal Óscar Romero
と言いつつ、これでビエナルはおしまい。疲れました。









2018年9月30日日曜日

イサベル・バジョン「ジョ・ソイ」

23時からセントラル劇場ではイサベル・バジョン。
祖母、母、自分と3世代の女の人生を描く。
Bienal Óscar Romero

爆弾が落ちる音がして幕が開く。
子守唄、バストンを鉄砲のように使い暗い時代を表現したビデオ。
ファンダンゴ、アバンドラオ。
黒いバタでのペテネーラ。

ラジオのコンクールに出演が決まった、という話の後、サンドラ・カラスコが歌う「ドス・ガルデニアス」。昔風の衣装と髪型、上から降りてくるマイク。
サンドラが素晴らしい! 昨年の国立バレエの時も

セビジャーナス。タンギージョ風ラップ、ラップ風タンギージョ?を歌い踊るイサベル。
ソレア。マイレーナ?の録音でのブレリア。

Bienal Óscar Romero
「ピラールの肘、頭は位置にきちんとして、カンティーニャのブラソ、ソレアのブラソ、腰、腰」と、マティルデも教えを繰り返してからのタンゴ。

黄色い帽子がいくつも飛んで出て、ガロティン。
帽子つながりでマイケル・ジャクソンからのマンサニータやパコが出てくるルンバ、タンゴ。

とにかくセンスよく、ユーモアたっぷりにフラメンコづけにしてくれた。
ユーモアもフラメンコの大切な要素。しかめっつらだけがフラメンコじゃないんだよね。
踊りはどれもそつなく、バタのあしらいでもなんでも楽々としているから、そお凄さ見えないかも。でもやっぱりタンゴの色気が一番かも。
体は細いがエネルギーいっぱい。

演出家の助けをえて、シンプルにフラメンコをうまく生かした舞台を作ってくれた。
最高!
エバといい、イサベルといい、昨日のアナといい、今年のビエナルは後半がよかった、と言えるような。


説Bienal Óscar Romero


エバ・ジェルバブエナ「クエントス・デ・アスーカル」

エバが日本から奄美の島唄の歌い手、里アンナを招いて、作り上げた作品「クエントス・デ・アスーカル」、砂糖の物語。

なぜ?という疑問は瞬く間に消えていった。里の澄んだ、天から降りてくるような歌声は、心に直接響くのだ。心が動かされ、エバとアンナの物語が始まったのに違いない。

黒い衣装のエバが、黒子のように後ろに控えるフェルナンド・ヒメネスと二人羽織のようにして踊る幕あき。前作「アパリエンシアス」からの流れを感じる。

そこに黒留袖のように、裾に絵が入った黒いガウンを来た里が姿を見せ歌うのは奄美の子守唄。
奄美の言葉で歌っているので、ほとんど意味はわからないのだが、心にしみる。

エバのバタ・デ・コーラでのカーニャ。見事。
バタを開いたり閉じたり、なども面白い。

Bienal Oscar Romero
里の送り節。切ない感じ。踊るようにして袖に入っていく。

体操じみたブラソの印象的なカルタヘネーラは、フェルナンドとのデュオにつながり、
フェルナンドのソロに。そこをお魚の風船を持って歌いながら横切る里。
それまで並べられていた、円を縁取る銀色の飾りを蹴散らすフェルナンド。
Bienal Oscar Romero
やがて島唄はタンゴと交わりアレグリアスでのフィエスタに
Bienal Oscar Romero
最後はエバとアンナがお茶?お酒を酌み交わし終わる。
遠くて近い二つの世界が出会い、一つに溶け込んでいく。

テンポがいいので、最後まで息をつかせずに展開していく感じ。

この作品のため、エバは夫でギタリストのパコ・ハラーナと奄美まで行っていろいろ研究したというだけのことはある。
異文化への敬愛によって生まれた美しい作品。
日本でもぜひ見られますように。




2018年9月29日土曜日

アナ・モラーレス「シン・ペルミソ。カンシオネス・パラ・エル・シレンシオ」

20時30分からロペ・デ・ベガ劇場。
アナ・モラーレスの新作は、彼女らしい作品だった。
鍛えられた肉体による、細やかな神経が行き届いた完璧なテクニック。
ひとつひとつの動きが美しい。回転、アラベスク、カンブレ…
特にブラソが素晴らしい。腕を伸ばすとそのまま手が伸びていくような、手の先にこっちの心も持っていかれそうな、そんな感じ。
きっちりしたコンパスなのだが、時にそれをすっと放すような感じにも唸らされる。
踊りは言葉だなあ、と改めて感じさせられた。

Bienal Óscar Romero
一瞬裸かと思わせる肌色の総タイツ。馬の顔にかける飾りのような黒いもので顔を覆っている。足にも飾り。海を連想させる電子音楽が流れる中、外套とバタ・デ・コーラを手に登場。

カーノのギターでのペテネーラ。
ホセ・マヌエル・アルバレスと二人でのコンパス合戦。

フアン・ホセ・アマドールが弾き語るセラーナへ。
バタ・デ・コーラの扱いも完璧。バタの滞空時間も長く、コントロールも素晴らしい。
 とここまでは今年、ほぼヘレスで見た通り。
Bienal Óscar Romero
 水玉の布を丸めたものでのサッカーする男たち。
ボールを開いたスカートでセビジャーナスとルンバ。

再びの電子音楽とパルマで始まるシギリージャ。
男のジャケットを、ズボンを裏返してきて踊る。
Bienal Óscar Romero
最後はまた外套を着て…

コンテンポラリー的な文法で作られている感じだが、フラメンコがないがしろにされているわけではなく、フラメンコを自分の言葉として使って
プログラムも読まずに見ても楽しめたが外套や、殻にこもっている表現など、きっといろんな意味があるんだろうなあ、と思っていたのが、後で、プログラムを読むと、バルセロナ生まれの彼女が見ないようにしていたセビージャ生まれの亡き父の思い出と向き合って生まれた作品で、外套は父だったんだなあ、と。なるほど。

それにしても今回のビエナル、コンピューターやサンプラーなども、すっかりフラメンコに馴染んできましたな。面白い。


市民ナイトミニマラソンが行われていたので、徒歩40分でアラメーダへ。
人気の新進歌手ロサリアのリサイタル。
声がきれいです。
グアヒーラ、タンギージョ、ファンダンゴ。なんでも上手に歌うけど、フラメンコ的な味わいは皆無。
この人フラメンコ好きじゃないなあ、って思わせるくらい。
昔ながらのタンギージョとか、メロディ微妙に間違ってるし。

ギター伴奏もえ、っと思うくらいダメでびっくり。
チューニング、コンパスも変だし、歌い手の音をすぐにとっての歌伴奏もできてない。慣れてないからとかじゃないよ、このレベル。
以前は彼女をアルフレド・ラゴスが伴奏してたこともあったんだよね、確か。
なんでアルフレドでやらなかったんだろう。残念。
お客さんは喜んでたけどね。

Bienal Óscar Romero



2018年9月28日金曜日

モネータ「グラナダ・ソロ・ティエネ・サリーダ・ポル・ラス・エストレージャス」

ビエナルも終盤。疲れもピークでございます。
23時からセントラル劇場でモネータ、グラナダは星々からのみ出口がある、とでも訳すのかな? グラナダ出身のシンガーソングライター、故カルロス・カーノの歌の一節だそうな。その前には、グラナダは自身に囚われている、とある。そこからインスパイアされた、モネータ的グラナダを表現する作品。
Bienal Óscar Romero


そのカルロス・カーノの曲に始まり、のっけからブレリア。
続いて、ゲストのパコ・コルテスのギターソロからのアレグリア。
カンテソロのアバンドラオ、バタ・デ・コーラのソレア。
そして最後はグラナダ名物タンゴ。

シンプルな構成? 
でも一曲が長いのだ。それも同じようなことを繰り返す。
タンゴのグラナダらしいパソはさすが、なんだけど、長い。飽きる。
最初、お、と思っでも長すぎると、飽きてくるのは自然の理。

サルバへ、野生ぽい、感じのフラメンコが好きな人は好きなのかな。
Bienal Óscar Romero
舞台、一人でやろうとしないで、誰かいい歌い手と組むとか、踊り手と組むとかするといいんじゃないかな、と思ったりしたことでした。
踊り手としての実力はあっても、誰もが一人で1時間以上の舞台を作るだけの能力があるわけではないのに、毎年のように新作作るって、やっぱ絶対無理がある。


20時30分からはマエストランサで「ヒターナス」。
フアナ・アマジャ、レメディオス・アマジャ、フアナ・ラ・デル・ピパ。
Bienal Óscar Romero








2018年9月27日木曜日

ラファエラ・カラスコ「エル・サロン・デ・バイレ」

いよいよビエナルもラストスパート。
期待のラファエラ・カラスコはハビエル・バロン、ルベン・オルモ、タマラ・ロペス、ダビ・コリアと四人のスペイン国立バレエ出身者との舞台。

サロン・デ・バイレとは、フラメンコの草創期、外国からの観光客らに踊りを見せたサロンのことで、今のタブラオの元祖ともいえるところで、カフェ・カンタンテより前にあったもの。
その存在にインスパイアされて、プログラム当時の雰囲気で作られている。
とは言ってもフラメンコ考古学の実証ではないので、時代設定などはすごくざっくりしているし、学者的にはこの時代はそれはないだろう、と突っ込みどころもありまする。

Bienal Óscar Romero
オープニングは彼ら5人と歌い手ギタリスト、そして室内楽団のメンバーが全員黒い衣装で舞台に立ち、そこから無伴奏で踊りが始まります。モダンなフラメンコ。


Bienal Óscar Romero
そこからラファエラ、ルベン、ダビらのセビジャーナス
バレエシューズに履き替え、スカートをつけたタマラやルベンのエスクエラボレーラ風。
ボレーラは斜めというか、首や体をちょっとかしげる感じが、特徴だと思うのだけど、それがあんまりない。ルベンの跳躍や回転はバレエダンサーみたいですごい。

その後のハビエル・バロンのソレアの素晴らしさ!!!
直球ストレート。シンプルでまっすぐなソレア。歌をマルカールし、足を入れ、コンパスと戯れる。なんて気持ちがいいんだろう。
同じパソを繰り返したり、カンテの所で強い足入れてい歌を消すようなこともない。
ここまでのフラストレーションが全て消えていく。

全員でのポロはフォーメーションの変化も楽しい。

ミゲル・オルテガとアントニオ・カンポが互いに伴奏しつつのマラゲーニャ。
アントニオのマラゲーニャ、あれれな出来でした。

ヒリアーナと呼ばれていた頃のソレア。
タマラはマンティージャで、ラファエラはマントンで。
ダビのアレグリアス、と言いつつロメーラ歌うのね。
ルベンは髪が乱れるのが気になる。

ラファエラのガロティンはコルドベスをかぶりマントンを体に巻きつけた昔のバイラオーラのような格好で。

照明は美しいし、みんな上手だし、言うことないんだけど、完璧主義で美しい作品を作り続けているラフィの作品の中では中くらいかも。
なんかちょっとモヤモヤ。

23時からはダビ・ラゴスがアラメーダ劇場で。
Bienal Óscar Romero



2018年9月26日水曜日

ニーニョ・デ・エルチェ「アントロヒア・デル・カンテ・フラメンコ・エテロドクソ」

ある意味ビエナルでもっとも注目されていた公演かもしれない。
ニーニョ・デ・エルチェの「異端フラメンコアンソロジー」
その名の通り、エルチェ出身の歌い手が、イスラエル・ガルバンのブレーンとしても知られるペドロGロメロの助けを得て、フラメンコの異端を再現・創造したCDのプレゼンテーションも兼ねたコンサート。


客席の電気も点いたままTシャツにスニーカーで現れた彼は、黒いスーツ、白いシャツ、黒の革靴に着替え始める。
舞台で着替えるダンサーたちへのオマージュまたは皮肉?
日常から非日常へ。スーツは仕事着。

西部劇の様な伴奏(ラウル・カンティサーノ)でのファルーカ。
ずっとガシャガシャ同じフレーズを続ける伴奏ギターでのシギリージャ。
壊れたラジオ、音飛びのするレコード。そんな感じ。
キーボードが教会のオルガンの様に伴奏するメジーソのマラゲーニャ。
確かにグレゴリオ聖歌の影響があるとか言われているけどね。
モチュエロのサエタとマリアーナも、モチュエロという歌い手がサエタを歌う時歌詞を忘れたかなんかでマリアーナを歌ってしまってブタ箱行きになったという昔のエピソードからの発想だろう。
Bienal Óscar Romero

フラメンコで遊んでいる、そんな感じ。
音程、声のコントロール、コンパス、基礎がきちんとしているから、嫌な感じは全然しない。
そしてしゃべるしゃべる。
この劇場に出るのは2回目だ、ビエナルも2回目だとか、この劇場で出るのは最後だろう、とか、しゃべってる時間と歌ってる時間、どっちが長かったろう。
スペインにはモノロゴという漫談というか、一人でおかしい話をする芸人がたくさんいるんだけど、そんな感じでもあり、パフォーマンスというか、歌い手を演じているようなきもするという意味で演劇的でもある。
マキタスポーツみたいな感じ?

ビエナル初日、闘牛場でやったエウヘニオ・ノエルの反フラメンコ、反闘牛の文をまたも暗唱。
それを踊るのは金髪長身のエドゥアルダなるバイラオーラこと、イスラエル・ガルバンであります。
女性にしては肩ががっしりしてるけど、いやいや腕の動きとかいつものイスラエルよりずっと女性的に見えたのは錯覚?

Bienal Óscar Romero

 ティム・バックリィのディープソングはロック。
客席に降りて歌ったぺぺ・マルチェーナのファンダンゴ。
ビセンテ・エスクデーロのマルティネーテとデブラは、男装というか、女装じゃない、いつものイスラエルの踊りが入る。すごいの一言。
ビセンテ・エスクデーロはガデスも慕った、フラメンコ男性舞踊の先駆者。
ビデオでしか知らないが、いかにもエスクデーロな感じ。
ナティ・ミストラルというおばさま歌手風となうってのタンゴ。
パソドブレ伴奏のカーニャ。これ、元ネタはラファエル・ロメーロがパリで歌ったカーニャでございます。

Bienal Óscar Romero
最後は大音響でルンバ。

伝統をなぞるだけでは飽き足りず、
「ここに俺がいるぞ」というために
人とは違うフラメンコをやってます、という感じ。

きっとカンテのイスラエル・ガルバンになりたいのだろう。
イスラエルとは全然違うような気もするが、自分の表現を探そうとする、というところは同じなのかな。
伝統のフラメンコを愛する人には毛嫌いされ、その発言がいろいろ問題視されるのもわかるけど、これも一つのやり方。
ベースはあるし、ただめちゃくちゃにふざけているのではなく、理由のあるおふざけ、というか。
私は楽しめました。


23時からはマリア・モレーノ「コンセプシオン」。
でも劇場から出たのが開演15分前で諦めました。ヘレスでやんないかなあ。

Bienal Óscar Romero

2018年9月25日火曜日

アンダルシア舞踊団「フラメンコロルキアーノ」

アンダルシア舞踊団がこの夏、グラナダ、アルハンブラの中の野外劇場で毎年行われる「ロルカとグラナダ」公演のために制作した作品。
ロルカの特定の作品を取り上げるのではなく、
ロルカの歩みと作品からインスピレーションを受けて構成されている。

Bienal Óscar Romero
生まれ故郷のグラナダをイメージしてグラナイーナなどが歌われる最初の場面、
ダリやルイス・ブニュエルと知り合ったマドリードの大学寮時代をホタなど民族舞踊のパソも取り入れてコンテンポラリー的に見せる場面、
ニーニャ・デ・ロス・ペイネスのイメージでゲストのマリア・テレモートがソレアを歌い、
早世した舞踊家アルヘンティニータ、その作品「カジェ・デ・カディス」のイメージ。彼女が踊ったアレグリアスのビデオの完コピ再現。マントン、バタ・デ・コーラ。
代表作「ジプシー歌集」のイメージでマリア・テレモートが歌うティエント/タンゴを監督のラファエル・エステベスが踊る。
「ジプシー歌集」収録の「アントニオ・カンボリオの死」をロマンセのメロディーで歌い、男たちが踊る。
「スペイン民謡集」からトレス・モリージャス・デ・ハエンを三人の女性が踊り、
ラ・タララへ。
アメリカ、キューバへの旅をイメージした「ニューヨークの詩人」の詩をグアヒーラで歌い踊り、違うメロディで歌われるソロンゴは男たちが踊る、といった具合。
他にも彼の作品の登場人物をイメージさせる人物が登場したり、ロルカに詳しければ詳しいほど楽しめるだろう。

よく考えられて作られているし、前作よりはわかりやすくなってはいるのだけど、黒が基調でおしゃれなんだけど、暗いイメージ。内戦の時に殺されるからかな?
でももっと色あってもいいのでは?
振りも繰り返しが多い。もっと整理すればよりテンポよく進められるのでは?

コンテンポラリー調なのはコンテンポラリーの舞踊家フアン・クルスが協力してるからなのだろう。

ロルカのように、ピアノを弾き、カンテも歌うホセ・ルイス・ペレス=ベラの存在が面白い。


Bienal Óscar Romero
 23時からはアラメーダでヘラルド・ヌニェス!
Bienal Óscar Romero
最初の音からして違う。
ソリストとして若い頃から活躍してきたギタリストの実力、底力。
音を止める時も、前の音の響きが残っているから、など理由があり、弾いていない時もコンパスが回っているのが感じられる。比べちゃかわいそうだが、昨日のアントニオ・レイとの違いは明らかだ。
Bienal Óscar Romero

スエーデンのジャズギタリストとの共演。
懐かしいテーマが蘇り、ジャズギタリストの鋭いパッセージが曲に新しい命を与える。

パコ・デ・ルシアがジャズミュージシャンの中で手探りで演奏していた時代から数十年。
ジャズギタリストが、フラメンコの中に入ってくる時代が来たんだなあ、と感慨無量。
パコに聴かせたい。