2018年11月5日月曜日

AMI「Mensaje〜伝言〜Mi Sentir」

Amiのリサイタルは11月4日、座・高円寺で。
踊りにダビ・ペレス、歌にダビ・ラゴス、ギターにアルフレド・ラゴスをスペインから招き、歌のエル・プラテアオと、中嶋朋子、小久保旬子、仁田友美が踊りで加わった少数精鋭の舞台。

第一部は7つのエピソードから成る。タイトル通り、Mensajeメッセージをテーマにした7つの場面で、それぞれの場面のつながりはない。スケッチ集、デッサン集みたいな感じ。
最初の場面「幸せの便箋」はAMIのソロでのグアヒーラ。手紙に翻弄させられる女性を踊る。
1995年コルドバのコンクールでこの曲を踊ってアルヘンティニータ賞を受賞した、いわばAMIの代表曲。表情豊かに、予感、期待、驚き、喜び、失望、怒り、悲しみ…様々な感情を、ユーモアも織り込みつつ、演じてみせる。
エピソード2はダビ・ペレスの「とんでもない知らせ」。客席から転がるように飛び出してきて、体をコントロールして、コンテンポラリー風に踊る。
エピソード3「ご注意を」は、男、アルフレド・ラゴスとやり取りをしていた(おにぎりを渡そうとして断られる、っていったい?)AMIを見ていた、中島ら3人のバイラオーラたちが、アレグリアス/カンティーニャスのリズムに乗って、ユーモラスに踊る。セリフが聞こえてきそうな感じ。面白い。実力がある3人だからこそ。
4はダビ・ペレス「父となる時は」は、娘の誕生を知らされた父をタンゴス・デ・マラガで踊る。
空港を思わすアナウンスで始まる5「旅人それぞれ」は、セレブ風、ヒッピー風、貧乏旅行風など、様々な格好の踊り手たちがすれ違い、タンゴやブレリアで。ダビが三又男を踊る6「男が残した言葉たち」はファンダンゴで、AMIの7「心が伝わるのは」はセラーナからのシギリージャで。
フラメンコで、フラメンコを言葉のように使って、様々なシチュエーションを演じてみようという試みの集大成という感じ。
フラメンコを演じるのではなく、フラメンコで、ということにこだわっているのかな。
フラメンコを踊る、の次の段階に行こうとしているようにも見える。
フラメンコをきちんと踊れるからこそのトライのように思える。
フラメンコの可能性の追求。


休憩なしでの第2部では、素のままのフラメンコを。
ダビ・ラゴスのプレゴン。これ聴くのはヘレスのブレリア祭、イサベル・バジョン公演、ビエナルのイスラエル・ガルバン公演に続いて今年四回目だが、何度聴いてもいいものはいい。拍手。アルフレドのギターの響きの奥深さ。
ダビ・ペレスのアレグリアス。顔の振り付けもしてる?ってくらいに表情豊か。ちょっと長いけど、色々小技も繰り出してくる熱演で、スプリンクラーのように汗が飛び散る。
AMIのソレアは茶に金のレースの豪華なバタ・デ・コーラで優雅に華麗に重厚に、そして何よりフラメンコに。
姿勢、首の位置がこんなに綺麗な人は日本では珍しい。目線、顔の傾け方までちゃんとしている。
すっと伸ばした腕の、指の先まで思いがこもっている。一つ一つの動きに意味がある。


前回公演では伝えたい物語が前面に出てきていて、AMIのフラメンコが見たい!という気持ちになったファン(私も含む)を大満足させる内容。

スペイン時代から常に謙虚だった彼女だが、今回も、スペイン人アルティスタたちをたてていたのが印象的だ。
前日までイスラエルと公演していたダビとアルフレドの、のびのびと、楽しんでいるような演奏も心地よく、良き公演でありました。





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