2021年12月30日木曜日

芸術金章にマリベル・ガジャルド、マイテ・マルティンらに

12月28日、2021年度のスペイン文化省芸術金章の受章者が発表されました。

俳優ハビエル・バルデムら31人の受章者の中にフラメンコ関係者も何人か。

歌い手マイテ・マルティン、



そしてスペイン国立バレエのマリベル・ガジャルド、

 ©️Ballet Nacional de España


フラメンコの写真でも知られる写真家コリータが受賞しました。




おめでとうございます

2021年12月19日日曜日

サラ・バラス『アルマ』


サラの新作はラテンバラード、ボレロをモチーフにした『アルマ』。
スペイン語圏の人なら誰もが知っているような、ボレロのスタンダードナンバーがフラメンコのリズムに乗って歌われたり、フラメンコの歌い回しで歌われたり。

ナイトクラブの雰囲気。
ボレロ歌手たちへのオマージュなのか、マイクを使っての群舞はボレロのリズムで。


フレコというのか、糸状の幕の後ろにサラが登場し、踊り始める。





タイトな、首まで詰まった、大きな幾何学水玉のドレス
ちょっと踊りにくそう。


ルビオ・デ・プルーナの歌うボレロが

ダビ・デ・ハコバの歌うシギリージャと混ざり合い

やがて曲もシギリージャへ。





と、ここまでは前日のプレスセッションで写真があります。

続く女性の群舞のガロティンは黒のコルドベスで。
4曲目のランカピーノ・チーコによる『アルゴ・コンティーゴ』の歌唱は素晴らしかったです。ゆっくり目のブレリアで、サラと女性、男性の三人による踊り。
今回はこのランカピーノ・チーコの他、3曲が事前録音での演奏。それでも素敵ではあるけれど、生で聴いてみたかったなあ。

ミュージシャンたちだけでのルンバ『コンティゴ・アプレンディ』、群舞のカーニャ『テ・エクストラーニョ』はサラが始めた、広がるスカートで肩にかけたりも。

ボレロやフアナ・ラ・デル・ピパがソレア・ポル・ブレリアで歌う『トダ・ウナ・ビダ』の録音を挟んで、黒のフリンジの衣装でサラが踊るソレア『レモリノ』、前作までこのカンパニーの歌い手だったイスラエル・フェルナンデスが録音で歌う『アドロ』、そして最後はブレリア。

ここまででざっと1時間、これまでの作品に比べると絶対的に短いですね。それも良き。

サラはいつもながらに全身全霊で舞台に取り組み、あのクリアなサパテアードも、誰をも虜にするあの微笑みも健在。
スペイン語圏の人にお馴染みの曲を使っていることもあって、フラメンコを知らない年配の人にもきっと入りやすい作品なのではないでしょうか。



なお、最後に、最近のアーティストや作品では珍しく、しっかりフィン・デ・フィエスタをやってくれ、ダビ、アントニオ、ハーモニカやサックス、フルートのディエゴ・ビジェーガス、パーカッションのアントンと踊りついでいくのがとても楽しく、昔ながらのフラメンコもいいよね、とか思ったことでありました。



初演ということなので、これからまた変わっていくのかもですね。


2021年12月18日土曜日

ラ・ピニョーナenトリアーナ


クリスマスシーズンのセビージャ、街中でのイベント、アルンブラ・セビージャの一環として、ラ・ピニョーナがトリアーナのアルトサーノ広場で踊りました。
 


ギターはダビ・カロ、歌はへスース・コルバチョ。



コンパネも敷いていない、石敷きの広場。
踊るの、大変だったはず。

ビエナルのポスター発表の流れで来ていたマヌエラ・カラスコとエバ・ジェルバブエナがハレオをかけ、パルマで参加という豪華さ。








その後はビエナルの事務所もあるトリアーナ陶器博物館でコパ。

主役たち

スタッフと主役たち


便乗した人も


ビエナル2022ポスター発表記者会見


 


ビエナル2022のポスターが発表されました。

もともとはカルメン・アマジャなどの写真で知られるコリータに依頼しようとしたのだけれど引退してるということで断られ、彼女に若い写真家の候補の中から選んでもらって作戦開始。選ばれたのはアントニア・モレーノというカディス県出身の写真家。

コリータがバル・ピントでアントニオ・マイレーナを撮影した1枚をモチーフに、四人の男性歌手が四人の女性ダンサーにとって変わったという形。今やバイレ中心となった大規模フェスティバル、フラメンコの移り変わりをも意味しているわけで。

メイキングオフはこちらで見られます。

他の写真もいいのでぜひこれ、見てほしい。vimeoです。

マヌエラ・カラスコ、そして彼女にも学んだだろうマヌエラの次世代エバ・ジェルバブエナ、そしてそれに続くエバ舞踊団出身マリア・モレーノとパトリシア・ゲレーロという四人が主役。それを選んだのは写真家。

撮影場所はプマレホ広場のボデガ・カマチョというバル。昔ながらの内装が気にってのこと。

マイレーナのポスターは40年前からそこにあるものですが、右上のコリータ撮影カルメン・アマジャはこの撮影のために掲げたものだそう。

記念写真的ポスターで、ちょっとインパクトは弱いかな。

兎にも角にも来年のビエナルが無事開催されますように。


2021年12月17日金曜日

サラ・バラス新作『アルマ』記者会見

 13時からはサラ・バラス新作『アルマ』記者会見はマエストランサ劇場。

この劇場で新作を初演するのは久しぶり。


お母さんの影響でフラメンコを踊り始めたサラ、今回の新作は父が好きなボレロをモチーフにしたもの。ボレロと言ってもラヴェルじゃありません。
ラテンバラード。
中南米とスペインのジャズスタンダードみたいな感じ。




フラメンコとボレロという組み合わせは何も目新しいことではなく、sp時代からフラメンコの歌い手がボレロを歌っていたりしてるし、ビセンテ・アミーゴもボレロ演奏してるよね。

マイテ・マルティンやシガーラもボレロのアルバム録音してるし。

さてさて。

アントニオ・カンポス新譜発表記者会見

グラナダ出身で、ラファエラ・カラスコなど舞踊伴唱で活躍する歌い手アントニオ・カンポスの新譜『インーフィニトゥ』発表記者会見はインスティトゥート・アンダルース・デ・フラメンコ、アンダルシア・フラメンコ機関で。





自らがギターを弾き、自分の家で録音したという4曲が録音されたEPレコードは150枚のみの限定販売

記者会見では2曲を歌いました。


ギターもすごく良くて、彼のフラメンコ愛がダイレクトに伝わってきます。


2021年12月13日月曜日

リトゥルヒア・アンダルーサ

 12日、セビージャはトリアーナのサン・ハシント教会で行われた不思議な公演はリトゥルヒア・アンダルーサ、アンダルシアの典礼というタイトル。

ちょっとミサ・フラメンカのようで、実際、ミサの順番になっているそうなのだけど、ミサではなく、歌詞は基本、昔ながらの伝統的なものだし、詩人マチャードの詩をシンガーソングライターが歌って一般にも広く知られる「サエタ」が入ったり、うーん、ちょっと中途半端かなあ。

グレゴリオ聖歌風の最初のコーラスの感じからフラメンコのマラゲーニャに移っていく感じとかは悪くなかったんだけど。



あかりは蝋燭のみで、踊りは後ろからはほぼ見えない。マイクも付けてるみたいだけど声も聞こえたり聞こえなかったり。特にサンドラの細い声での細かな歌い回しとかがあまりよく聞こえなかったのは残念だなあ。伴奏のチェロはよく響くのだけど、歌は向かっている方向にしか声が届かない感じ。

出演の歌い手ファロ、サンドラ・カラスコ、踊って歌ホセ・マジャ、パーカッションと歌のディエゴ・アマドールJrとチェロのホセ・ルイス・ロペス(ラファエラ・カラスコの公園などでも見かける、フラメンコをよく知っている人であります)と、出演者は熱演好演。
踊り、あまり見えないんだけど、サパテアードとかの音でオレは出ます。見えない前提で作ってるのかなあ、これ。

もう少し照明と音響を工夫して、歌詞ももっとちゃんとセレクトし、これ用に作るなどするとかもして、ってしたらよかったのなあ、とか思ったことでした。



2021年12月9日木曜日

ファミリア・ファルーコのクリスマス作品

ファミリア・ファルーコのクリスマス作品の公演が今年もスペイン各地で開催されます。 その記者会見がセビージャでありました。


普段はそれぞれソロで活動している3兄弟が母と共に勢揃い。さらにはファルーの娘やファルキートの息子も参加しているそう。

楽しい公演になるのに違いありません。




◇ファルーコス・イ・フェルナンデス、ナビダ・エン・ファミリア

[出]〈b〉ファルー、ファルキート、ファルーカ、エル・カルペータ、〈c〉ソレア

12/10(金)21時

[場]アルバセーテ シルコ劇場

[料]35、40ユーロ

[問]https://culturalalbacete.es/eventos/farrucos-y-fernandez/

12/11(土)

[場]アリカンテ

[問]https://www.vbspaces.com

12/12(日)

[場]デニア コンダード・クルブ

]https://condadodenia.com

12/13(月)21時、20(月)21時

[場]マドリード ヌエボ・アポロ劇場

[料]37.8〜48.6ユーロ

[問]https://butacaoro.com/espectaculo/farrucos-y-fernandez-navidad-en-familia/

12/15(水)

[場]カディス ファリャ大劇場

[問]http://laciudad.cadiz.es/programacion-gran-teatro-falla.asp

12/17(金)21時

[場]セビージャ カルトゥーハセンター

[料]30〜50ユーロ

[問]https://cartujacenter.com

12/18(土)

[場]マラガ県トレモリノス アウディトリオ・プリンシペ・デ・アストゥリアス

[問]https://torremolinoscultura.es/edificiosculturales/detail/auditorio-municipal-principe-de-asturias

12/19(日)21時

[場]バダホス ロペス・デ・アジャラ劇場

[料]35〜45ユーロ

[問]https://teatrolopezdeayala.es

12/21(火)20時30分

[場]バルセロナ BARTS

[料]32〜45ユーロ

[問]https://www.barts.cat


それにしてもみんな喋るのも上手だなあ。





2021年12月4日土曜日

エスペランサ・フェルナンデス『セ・プロイべ・エル・カンテ』

 エスペランサ・フェルナンデスの新譜『セ・プロイベ・エル・カンテ』発表記者会見。


アルバムは2019年、スペイン各地でのペーニャでの録音を集めたもので、スタジオ録音にように何度も録り直しをしたりせずに、生のフラメンコの魅力を集めたもの。すでにSpotifyやYouTubeMusicなどで配信中でCDも来週には発売とか。

トマティート、ミゲル・ポベーダ、マリナ・エレディア、ロシオ・マルケすら、ゲストも豪華です。

記者会見でのエスペランサの2曲。

CDではロシオ・マルケスと歌っているグアヒーラと


CDではミゲル・ポベーダと歌っているタンゴ。

タンゴではCDにも参加しているクーロお父さんのオレ!が聞こえます。

CDはこの他にマリナ・エレディアとのマリアーナ、アルカンヘルとのファンダンゴ、ホセ・バレンシアとのトナ、父クーロとのセラーナ、ヘスース・メンデスとのブレリア、トマティートとのタランタなど全12曲収録。


なお、CDの発売元は来日したこともあるギタリスト、アルベルト・ロペスのレコード会社です。

2021年12月2日木曜日

ペドロ・バラガン『チニータス』発表コンサート

ペドロ・バラガンのデビューアルバム『チニータス』発表記念コンサート。

繊細で 独創的なリサイタルでありました。

最初に女優インマ・ラ・ブルハが、彼という人となりを、知り合った経緯から共演してのエピソードなどを芝居ぽく語る。その来歴ではなく、あくまでも彼女が直接見知ったことを語るのが新鮮。


始まったコンサートはかつてないほどオリジナリティあふれるものでした。


フラメンコギターのリサイタルというと、普通はソレア、アレグリアスなど一曲ずつ演奏していくわけですが、今回は全てがずっとつながっている、大きな一曲のような感じ。


もちろん、ソレアやアレグリアス、ブレリア、グアヒーラなど、フラメンコもあるのですが、クラシック曲のようなものもあったり。


アンドレス・マリンや

エル・オルーコとの掛け合い(とても楽しそう!)もあり、また彼自身が声を出したり、ギターの胴の上を叩いたり。

繊細な美しい音。でもそれだけではない。
ギターという楽器を熟知してさまざまな音で作っていく世界。
自分を、自分の世界をしっかりと持っていて、それに沿って回っていく感じ。
視覚的で、揺れるバタが見えるようなモチーフがあったり、街の喧騒が垣間見えるような瞬間があったり。


一本の映画をみた、という感じ。
最初の紹介で、映画好きだといっていたせいもあるかもしれないけれど、どこか映画音楽のようでもある。
強烈な個性、というのではないけれど、静かに体に染みていくような、そんなギターでありました。



2021年11月28日日曜日

ニームのフラメンコ・フェスティバル

フランスはニームのフラメンコ・フェスティバルのプログラムについての記者会見が、セビージャのビエナルの事務所があるトリアーナの陶器博物館で行われました。



 現在、ビエナル監督を務めるチェマ・ブランコが就任前、アーティステックディレクターを務めていた関係もあるのでしょう。

プログラムは伝統系はペドロ・エル・グラナイーノとイネス・バカンだけで、それ以外は前衛、とか、モダンとか、その場にいた記者にも言われていたけど、うーん、21世紀でもまだそういうふうに見るんだ〜、と思ったことでした。

いやね、確かにコンテンポラリー系優位かもだけど、フラメンコじゃん? フラメンコをベースにそれぞれの表現を追求しているだけで、フラメンコは歴史を振り返ってみても、そうすることで進化発展してきたんじゃないのかな、とか思ってしまうのだよ。

ロシオのフラメンコ性を疑う人っている?
©︎Oscar Romero


ジャマイカとガーナの血を引くロンドン生まれのジンカ、めちゃフラメンカだよ。

カナダ出身のクロエはトリアーナ出身で日本でもお馴染みのマルコと組んで長年素晴らしい作品を発表してくれている。

  • ©︎Francisco Reina

チリ出身でアンダルシア舞踊団で活躍したフロレンシアは今年ヘレスで美しい作品見せてくれたし

©︎Javier Fergo

そう、フラメンコってスペイン人の専売特許じゃないんだよ。それって昔からなんだけどね。フラメンコはそれを愛するみんなのもの。

昔ながらのヒターノのフラメンコ、って言ったって、昔のフラメンコとは色々変わってきているわけで。

好みは色々。で、イネスしか愛せない、人がいたってもちろんいい。でもさ、個人的にはストライクゾーン広げると楽しいことも増えるよ、って思うわけですよ。食わず嫌いはやめて、一回は見ようよ、それで嫌ならもう行かなくていいからさ。

なお今回気になるのはジンカの作品と、アナ・モラーレスの制作途中の作品、そして最終日のダニ・デ・モロンの一人っきりでのリサイタル。楽しみ。行けるかな?

©︎José Ángel Vidal

◇ニーム・フラメンコ・フェスティバル

113

113(木)、14(金)20時『アル・フォンド・リエラ(ロ・オトロ・デル・ウノ)』

[出]〈b〉ロシオ・モリーナ、〈g〉エドゥアルド・トラシエラ、ジェライ・コルテス

[場]フランス ニーム ベルナデット・ラフォン・ホール

[料]1132ユーロ

115(土)18

[出]〈b〉ジンカ・エシ・グラベス、〈g〉ラウル・カンティサノ、〈c〉ロサリオ・アマドール、〈drums〉レミ・グラベス

[場]フランス ニーム オデオン・ホール

[料]816ユーロ

115(土)21時『グラナイーノ・ホンド』

[出]〈c〉ペドロ・エル・グラナイーノ、〈g〉アントニオ・デ・パトロシニオ・イーホ

[場]フランス ニーム ベルナデット・ラフォン・ホール

[料]922ユーロ

116(日)16時『フニオ』

[出]〈cg〉マリア・マリン

[場]フランス ニーム ロマニテ博物館オーディトリウム

[料]816ユーロ

116(日)18時『モレ(ノ)モレ』

[出]〈b〉マリア・モレーノ、〈g〉オスカル・ラゴ、フアン・レケーナ、〈c〉ペペ・デ・プーラ、イスマエル・デ・ラ・ロサ、〈perc〉ロベルト・ハエン

[場]フランス ニーム ベルナデット・ラフォン・ホール

[料]922ユーロ

118(火)20時『蝶の呪い』

[出]〈b〉アンダルシア舞踊団

[場]フランス ニーム ベルナデット・ラフォン・ホール

[料]1132ユーロ

119(水)20時『ロス・クエルポス・セレステス』

[出]〈b〉マルコ・バルガス、クロエ・ブルーレ、じんか・エシ・グラベス、ヘロ・ドミンゲス

[場]フランス ニーム ベルナデット・ラフォン・ホール

[料]922ユーロ

120(木)18時『アンティポダス』

[出]〈b〉フロレンシア・オス、〈チェロ〉イシドラ・オリアン

[場]フランス ニーム オデオン・ホール

[料]816ユーロ

120(木)21時『オリへネス』

[出]〈c〉イネス・バカン、〈g〉ドミンゴ・ルビチ

[場]フランス ニーム ベルナデット・ラフォン・ホール

[料]1132ユーロ

121(金)19時『エン・タジェーレス』

[出]〈b〉レオノール・レアル、〈perc〉アントニオ・モレーノ

[場]フランス ニーム オデオン・ホール

[料]922ユーロ

121(金)21時『ビスト・エン・エル・フエベス』

[出]〈c〉ロシオ・マルケス、〈g〉カニート

[場]フランス ニーム ベルナデット・ラフォン・ホール

[料]922ユーロ

121(金)21時『マニフィエスト』

[出]〈c〉アルバロ・ロメーロ、〈電子音楽〉トニ・マルティン

[場]フランス ニーム オデオン・ホール

[料]922ユーロ

122(土)18

[出]〈b〉アナ・モラーレス、エル・チョロ、〈音楽〉ミゲル・マリン

[場]フランス ニーム オデオン・ホール

[料]816ユーロ

21時『カルタ・ブランカ』

[出]〈g〉ダニ・デ・モロン

[場]フランス ニーム ベルナデット・ラフォン・ホール

[料]1132ユーロ

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