2011年2月28日月曜日

ヘレス・フェスティバル3 小島章司「セレスティーナ」

正直な話、しょせん、日本人のフラメンコじゃないか、
などと思ってた人もいただろう。
世界になだたるフラメンコ好きである日本人のフラメンコ?
それも70歳のバイラオールだって?
と、興味はあっても期待はされていなかったにちがいない

が、緞帳が上がり
金色の町の広場での華やかな群舞を目にして
姿勢を正したのではあるまいか。

写真;Javier Fergo

ヘレス・フェスティバル、第3日目は小島章司舞踊団の「セレスティーナ」

2009年11月東京で初演されたこの作品が
ヘレスのフェスティバルでこれほどまでの評判をとるとは
誰が予想しただろう。

写真;Javier Fergo


最後は観客総立ち
スタンディングオーベーションで
アンダルシア風に三拍子の拍手がなりやまない。

大喝采をおくったのは観客だけではない。
口うるさい批評家たちもそろってこの作品を高く評価した。

ヘレス・フェスティバル15年の歴史の中で、初めての、
スペイン以外の国からの舞踊団によるビジャマルタ劇場公演。
日本人公演としては2004年の鍵田真由美/佐藤浩希フラメンコ舞踊団による
「曾根崎心中」以来のもの。

写真;Javier Fergo

チクエロの音楽、
ハビエル・ラトーレの振り付け
堀越千秋の美術
一流のスタッフが、
超一流のフラメンコ舞踊家コジマと
踊り手たち、ミュージシャンたちをバックアップし
すばらしい作品をつくりあげた。


スペインの古典「ラ・セレスティーナ」は
これまでにも多くのスペイン舞踊家が取り上げている。
私もスペイン国立バレエ団版と
2004年同じくヘレスで上演されたカルメン・コルテス版をみている。
が、コジマの「ラ・セレスティーナ」
メリベアに恋したカリストが
売春など悪行の総元締で魔女的存在の老女セレスティーナの手引きで
恋を実らすが悲劇に終わる、という物語を
シンプルに舞踊だけで語る、
ハビエル・ラトーレの振り付けの素晴らしさ。
とくにメリベアとカリストの愛のパ・ド・ドゥ、
ファルーカの美しさは鳥肌のたつほどだ。
初演に引き続きカリストを踊るクリスティアン・ロサーノは
スペイン国立バレエ団出身でしっかりしたテクニックと
豊かな表現でカリストをみごとに演じきったし、
相手役メリベアを踊ったエスメラルダ・マンサーナスは
マドリード王立舞踊学校出身で現在ハビエル・ラトーレ門下。
国立バレエ団ソリストのタマラ・ロペスのあとをうけ
これまたみごとに魅惑的な乙女を踊りあげた。
小島舞踊団の踊り手たちも練習の成果を
見事に舞台に昇華した。

写真;Javier Fergo


そしてその音楽のすばらしさ。
最初から最後までいっときもたえることなく続く
チクエロ監督のもとに演奏されるのは
タラントやタンゴ、ブレリアといったフラメンコ曲だけでなく
バッハのサラバンダだったりパウ・カサルスの「鳥の歌」だったり
リト・イグレシアスのチェロとオルビド・ランサのバイオリンの美しさ。
そしてカンテのヘスース・メンデスとロンドロ、モニカ・ナバロの
フラメンコな声。

老女セレスティーナを踊るコジマのタラントのすごみ
ドラマティックさ。
演技の要素もあるゆえか
能の狂女や舞踏のようにみえる瞬間もあるが
そのブラソのフラメンコなことといったらない
誰の真似をしているというのではなく
今までの人生で彼がみてきた全ての名バイラオーラたちの記憶が
そのままにじみでてきたようで
どこかなつかしくムイ・フラメンコなのである。
若手とのからみでみせる
その風格も
フラメンコのために、そしてフラメンコを生きてきたコジマならではのものだろう。



終演後
「最高だった!」
とヘレスのテレビ局オンダ・ヘレスのフラメンコウエブ、カナル・フラメンコのクルー、
「彼の事はまったく知らなかったけど感動したよ。
振り付け、衣装、照明、美術なにをとっても最高だ」
と、地元ディアリオ・デ・ヘレスのカメラマン、フラメンコの写真集もだした
ミゲル・アンヘル・ゴンサレス。朝刊を彼の美しい写真が飾った。
「日本のマエストロがビジャマルタを驚嘆させた」との記事


小島のフラメンコがヘレスを驚嘆させたのだ


2011年2月27日日曜日

ヘレス・フェスティバル2 ファルーカ

写真;Javier Fergo


いやあ、久々に正真正銘、血統書付き
由緒正しい本物の、正統なフラメンコを堪能した、
っていう気分でめちゃくちゃ幸せ。

ヘレス・フェスティバル2日目はファルーカ。
「オメナへ・ア・ロス・グランデス」、
巨匠たちへのオマージュと題した新作で、
ティンティンをつかったフェルナンダ・ロメーロへのオマージュであるタラントに始まり
末息子カルペータによる、叔父ファルキート(今のファルキートではなく、ファルーコの夭折した息子)に捧げるアレグリアス、
ファルーカのマティルデ・コラルへのカンティーニャ、
カルペータとファルーカによるカルメン・アマジャを忍ぶシギリージャ、
チョコラーテに歌うペドロ・エル・グラナイーノのファンダンゴス、
ペドロの歌にファルーカがからむサンブラ
そしてファルーカの父ファルーコへのソレア

どれをとってもフラメンコ以外のなにものでもない
純粋で深く、粋で、力強く…
カルペータのアレグリアス。
ただ歩くだけでもさまになる
ちょっとした顔の動きひとつがアルテそのもの。
オレ!を叫ばずにはいられない。
兄ファルキートやファルーに負けないアルテをもっている。
単なるこどもの踊りじゃないよ。
大人の男の踊りだよ。

写真;Javier Fergo

ファルーカはマティルデとはまったくちがうタイプだと思うのだが
それが見事にマティルデの、伝統的な足をゆったりとみせるその優雅さ
かと思うと男装の白い衣装ではカルメン・アマジャへと変化し
バタ・デ・コーラでローラ・フローレスへと変わる.
全く違う個性のアルティスタだが、それぞれの偉大さが、
それぞれへの敬意が彼女の中にあるのだ。
シギリージャで机をたたく、ファルーカに、カルペータに、
カルメンの熱い思いは受け継がれているのだ。

最後に写真がうつしだされなくとも
フラメンコ好きなら誰へのオマージュかということがすぐさまにわかるはず。

そしてその踊りを支えた歌い手たち、そしてギターのフアン・レケーナ。

シンプルで、熱いフラメンコ。
これこそがわたしたちの求めているものなのかもしれない。

2011年2月26日土曜日

ヘレス・フェスティバル1アントニオ・エル・ピパ


今年で15周年のヘレス・フェスティバルの初日は
ご当地出身、アントニオ・エル・ピパ。
一時は毎年のように出演していたが最近は2年に1度くらいか。
それでもこのフェスティバルの最多出場者の一人にちがいない。

今回はフアナ・アマジャをゲストに迎えて
新作「ダンサカリ。ダンサール・デ・ロス・ヒターノス」を上演。

アントニオ・ガデス「血の婚礼」での、乗馬のパソで
馬に乗ってやってくる流浪の民をイメージしたオープニングから
森での野営、
若い二人(アントニオとフアナではなく舞踊団の若手)の結婚式という
ロマン主義的ジプシーのイメージでの舞台を
自らもジプシーであるアントニオがつくったというのは興味深い。
社会学的検証ができそうだ。

森や青空、また抽象的な模様がバックにうつしだされる。
ギターやバイオリンなどのミュージシャンたちを奥にかくし
踊るスペースを大きくとった舞台構成。
ロマン主義的な衣装にアラブ風味を加えた衣装。
あるときはマノロ・サンルーカル風、
あるときはセラットのサエタ風、
またあるときはトルタの「コロール・モレーノ」風といった音楽はフアン・ホセ・アルバ。

フアナとのパレハで踊るロンデーニャ「出会い」、
若い二人のアレグリアスやファルーカ、
フアナの娘ナサレ・レジェスのタラント(母そっくり)、
フアナのシギリージャ、
アントニオのバンベーラ/ソレア/ブレリア、
アントニオと舞踊団でのカスタネットをつかったビジャンシーコ
と盛りだくさんな内容なのだが肝心の舞踊がものたりない。

アントニオは立ち姿とマルカへに定評があったと思うのだが
今回はなぜかすこし猫背気味で長身をいかしきれていない。
ブレリアでみせるマルカへはさすが、というところだが
あれはフィエスタの踊りであって舞台での舞踊とはべつものだ。
お決まりの、叔母フアナ・デ・ラ・ピパの肩をだいてのひっこみとか
彼のファンにはいいのだろうが、正直、また同じか、という感想を否めない。
フアナはなぜか照明があたらず(踊る場所の問題?)
また伴唱のキニが白いシャツで前にでてくることもあって主役がどちらかわからない。

というわけで、うーん、私的にはなんだかなあ、な公演であったのでありました。

2011年2月25日金曜日

ヘレス・フェスティバル期間中のアンダルシア・フラメンコ・センター

いよいよ、今日25日から開催のヘレス・フェスティバル。
この期間中、ヘレスにあるアンダルシア・フラメンコ・センターは
フェスティバル目的でやってくる内外のアフィシオナード、練習生たちのために
開館時間を以下の通り延長する。

月〜金 9時〜18時30分
土、日、祭日(28日はアンダルシアの日で祭日) 10時〜18時30分
3月12日 10時〜14時30分

なお、同センターではフェスティバル期間中、
伝説のバイラオール、ビセンテ・エスクデーロに関する展覧会、
「ヘルンディーノ・エン・ラ・カジェ」
のほか、

フラメンコ・アーティストとの公開対談
3/1(火)17時 ホセ・デ・ラ・ベガ
3/7(月)17時 ロス・ヒタニージョス・デ・カディス
3/10(木)17時 ロメリート・デ・ヘレス

ドキュメンタリー「エル・カンテ・ブエノ・ドゥエレ」上映
3/8(火)17時

ファウスティーノ・ヌーニェスによるこどもむけのクラス
「曲種の違いをききわけよう」
パルマのクラス(事前申込者のみ)
など催しも盛りだくさん。

2011年2月24日木曜日

第26回“フラメンコを知る”公演シリーズ

セビージャの銀行、カハソルがその前身、エル・モンテ時代から行っている、
アンダルシア各地のペーニャをめぐるフラメンコ公演シリーズ、
“フラメンコを知る”が2月23日からはじまった。

今年の出演はバイレがミラグロス・メンヒバル、
カンテがイトリ・デ・ロス・パラシオス、
ギターがミゲル・アンヘル・コルテスと
3つのジャンルのグループによる公演。

詳細は以下の通り。
グループ1
[出]〈b〉ミラグロス・メンヒバル、〈g〉ラファエル・ロドリゲス、〈c〉マノロ・セビージャ、フアン・レイナ
2/25(金)21時30分
[場]セビージャ県ウトレーラ ペーニャ・フラメンカ・クーロ・デ・ウトレーラ
3/4(金)21時
[場]セビージャ県カサリチェ テルトゥリア・カンテ・ホンド・マヌエル・エレーラ
3/12(土)22時
[場]セビージャ県アルカラ・デ・グアダイラ ペーニャ・ラ・ソレア
3/18(金)22時
[場]セビージャ県レブリーハ ペーニャ・ペペ・モンタラス
3/19(土)22時
[場]セビージャ県マルチェーナ ペーニャ・フラメンカ・デ・マルチェーナ
3/25(金)22時30分
[場]ウエルバ県ウエルバ ペーニャ・フラメンカ・デ・ウエルバ
3/31(木)21時
[場]カディス県カディス セントロ・ムニシパル・デ・アルテ・ラ・メルセ

グループ2
[出]〈c〉ホセ・サンチェス“イトリ”、トニ・フェルナンデス、〈g〉ホセ・ルイス・ポスティーゴ

2/25(金)21時30分
[場]ウエルバ県イスラ・クリスティーナ ペーニャ・フラメンカ・ラ・イゲリータ
3/6(日)13時
[場]セビージャ県モンテジャノ ペーニャ・フラメンカ・エル・マドロニェーロ
3/11(金)22時
[場]セビージャ県パラーダス ペーニャ・フラメンカ・ミゲル・バルガス
3/12(土)22時
[場]セビージャ県ドス・エルマナス ペーニャ・フラメンカ・フアン・タレガ
3/13(日)13時30分
[場]セビージャ県モロン・デ・ラ・フロンテーラ ペーニャ・フラメンカ・エル・ガジョ
3/19(土)22時
[場]カディス県エル・プエルト・デ・サンタ・マリア ペーニャ・フラメンカ・トマス・エル・ニトリ
3/25(金)21時30分
[場]アルメリア県アルメリア ペーニャ・エル・タラント
4/1(金)20時
[場]カセレス県ナバルモラル・デ・ラ・マタ カサ・デ・クルトゥーラ

グループ3
[出]〈g〉ミゲル・アンヘル・コルテス、ニーニョ・マルティン、マキ・フェルナンデス
3/5(土)20時30分
[場]グラナダ県グラナダ ペーニャ・フラメンカ・ラ・プラテリア
3/9(水)19時
[場]コルドバ県コルドバ 大学労働科学学部
3/11(金)22時
[場]セビージャ県ロス・パラシオス テルトゥリア・フラメンカ・エル・ポソ・デ・ラス・ペーナス
3/12(土)20時30分
[場]セビージャ県ラ・プエブラ・デ・カサージャ ペーニャ・フラメンカ・フランシスコ・モレノ・ガルバン
3/18(金)20時30分
[場]マラガ県ベナルマデナ・コスタ ビルビル城
3/25(金)22時
[場]カディス県サンルーカル・デ・バラメーダ ペーニャ・フラメンカ・プエルト・ルセーロ
3/31(木)20時
[場]ウエルバ県ウエルバ ウエルバ大学カルメン・キャンパス 法学部講堂

[問]www.cajasol.es



2011年2月23日水曜日

ビエナル表彰式

2月22日、セビージャのロペ・デ・ベガ劇場で
2010年第16回ビエナルのヒラルディージョ賞の表彰式が行われた。

ヒラルディージョ賞はもともと、
ビエナルのコンクールの優勝者におくられる賞で
80年カリスト・サンチェス、82年マリオ・マジャ、84年マノロ・フランコ、
86年チョコラーテ、88年ハビエル・バロン、90年ニーニョ・デ・プーラが受賞。
そう、90年までは毎回歌、舞踊、ギターと中心になるものが決まっていたのだ。

92年セビージャ万博の年にそれがなくなり
その年のすばらしいアルティスタや作品におくられるようになったのはいつからだったろう。
以前は記者らの投票で選出していたが
現在は大学教授らからなるビエナルの評議員によって選出されている。

今年の受賞者の発表についてはこちらに記した
授賞式では
新人賞のダビ・カルモナが師マノロ・サンルーカルに謝意を述べたのにはじまり
革新賞のパストーラ・ガルバン、振り付け賞のルベン・オルモ、
伴奏賞のラモン・アマドール、アントニオ・カリオンらが次々と壇上に上がる。
魔法の瞬間賞のコンチャ・バルガスは日本滞在中でその姉妹が代理で
アンドレス・マリンと賞を受け取った。
ほかにも特別賞のミゲル・ポベーダはソニアが、
名誉賞のパコ・デ・ルシアはペペ・デ・ルシアが、と兄弟や
音楽賞のルノー・ガルシアのように共演のドランテが、代理で受け取った。
マエステリアのモライートは健康上の理由でマネージャーが代理。
最後は作品賞の「ドゥーナ」で、
日本公演から帰ったばかりのマリア・パヘスがシディ・ラルビ・シャルカウイと
舞台に上がった。

なお、この授賞式の模様は2月24日カナルスール2で放映されるとのこと。


休憩をはさんで、初代ビエナル監督で、
ビエナルの生みの親とでもいうべき存在、
ホセ・オルティス・ヌエボが芝居仕立てで
若手アーティストを相手にビエナルのはじまりや意味を話す作品
「マス・アジャ・デ・ラス・ソンブラス・ペルミティダス」
が上演。
ふだんはスペイン歌謡中心の活躍をしているマヌエル・ロンボがいい。
フアナ・アマジャとクリストバル・レジェスの娘、ナサレ・レジェスの火花、
ダニ・デ・モロンのしっかりしたギター演奏などを組み込んでいるのだが
ちょっととっちらかった印象。
「昔は昔のことしか話さなかった。今はまちがってもなんでも前進している」
とビエナルの意義を再検証。

たしかにビエナルはフラメンコの流れを変えた。
絶え間なく登場する新人、若手アーティスト。
これまでの30年はこれからのフラメンコの礎となっていくことだろう。

なお2012年ビエナルは9月7日から10月6日の予定である

2011年2月22日火曜日

ホセ・アニージョ新譜発表


カディス出身のカンタオール、
「ロス・バルコネス・デ・ミ・スエニョ」
発表記者会見が2月21日、
セビージャのアンダルシア・フラメンコ振興公社で開催された。

写真は左からフラメンコ批評家でアルバムに推薦文を執筆したフアン・ベルヒージョ
ホセ・アニージョ
振興公社職員でもある歌い手のセグンド・ファルコン、
CDでホセを伴奏しているラファエル・ロドリゲス。

1978年生まれのホセは
17歳でマヌエラ・カラスコの伴唱でデビュー
以後、クリスティーナ・オヨス、ホアキン・グリロ、
ベレン・マジャ、イスラエル・ガルバン、アンドレス・マリン、
ラファエル・カンパージョ、ファルキートなど
数々の舞踊家を伴唱してきた。

妹エンカルナ・アニージョのCDをプロデュース、
楽曲をほかのアルティスタに提供するなど
マルチな活躍をしている彼の初CDは
折からのCD業界不況もあって自主制作。

その苦労もあったのか記者会見では感極まって涙ぐむ場面も。

続いて
エンリケ・モレンテも絶賛したという
マラゲーニャを熱唱



お世辞でもなんでもなく
最近きいたカンテの中でだんとつの出来

この若きベテランが
CDをきっかけにソリストとしても活躍するようになることを
願ってやまない

2011年2月21日月曜日

フスティシア・パジャ

「フスティシア・パジャ」
出演はマヌエル・モリーナとその娘、アルバ・モリーナ、
アルバの叔母アンヘリータ・モントージャと
その従姉妹カルメリージャ・モントージャ

リカルド・バルバストロの脚本を
テレビのフラメンコ番組を制作したこともある映画監督、
ピラール・タボラが演出。

3/30(水)〜4/10(日)
[場]マドリード ハーゲンダッツ・カルデロン劇場
4/13(水)〜24(日)
[場]バルセロナ アルテリア劇場
4/27(水)〜5/1(日)
[場]ビルバオ カンンポス・エリセオス劇場
[問]http://arteria.com

2011年2月20日日曜日

アントニオ・ナハッロ「セビージャ組曲」初演

2月19日、マドリードから電車で20分、
進行邸宅街といったおもむきのポスエロ・デ・アラルコンの
ミラ劇場で行われた、アントニオ・ナハッロ新作初演。
闘牛士姿のアントニオのポスターが飾られた、
モダンな劇場だが、先週はミゲル・ポベーダが歌い、
来週はホセ・メルセ公演があるなどフラメンコづいている。
雨模様の天気にも関わらず客席は満員。
そして公演はその観客総立ちのオーベーションで終了した。

セビージャ組曲はラファエル・リケーニと
クラシックギタリストのホセ・マリア・ガジャルドの作品で
1993年に発表されたもの。現在は廃盤となっているが、
このアルバムの曲を取り上げた作品ということで
録音を使うのかと思っていたのだがなんと演奏は生!
ギターはミゲル・リベラ。アレンジはフルート奏者のオマール・アコスタ。
だが、このアレンジ/演奏があまり魅力的ではなかったのは残念。
自己主張しすぎのパーカッション。歌い手は音程を外しつづける熱唱で
ギターも前面にでてこない。
これならいっそのこと、録音の方がよかったのでは?などと考えてしまう。

はじまりは「フェリア」。カスタネットでの群舞。
幕を1mばかりだけあけてみせる、というのは流行なのかな?
続く「地獄の道」という曲はボレーラのソロ。
ちなみに地獄の道は、フェリア会場の遊園地への道のことであります。
「アルファルファ」は聖週間の輿をかつぐ格好をした男たちと
黒いレースのマンティージャの女たちの群舞。
男たちはときにキリスト像へ、女たちは聖母像へと姿をかえる。
闘牛士の上着がよくにあうアントニオと闘牛のデュオは
スパニッシュコンテンポラリーとでもいえる曲。
赤のシャツに黒いズボンの男性舞踊手たちによる「バイラオール」
短めのバタ・デ・コーラの女性舞踊手たちによる「トリアーナの港」
音楽ソロをはさんだ月のもとでの男女のデュオは美しい。
再び群舞で「フェリアのフラメンコ」そしてアントニオの「エスプランテ」
音楽ソロをはさんでフィナーレ。
このフィナーレの、ホタ的なものなど民族舞踊の香りがする振り付けが
斬新でよかった。タイトルの「フビロ」歓喜にふさわしい盛り上がりだ。


舞台はこれまで、ジャズやアルゼンチンタンゴをスタイリッシュにみせてきた
アントニオが、スペイン的なものに真っ向から取り組んで
フェリア、セマナ・サンタ(聖週間)、闘牛、と
お土産物屋さんの店先的なモチーフを取り上げてはいるのだが
それも彼ならではのスタイリッシュな感覚によって、
単なる“典型”におちいることをまぬがれている。
カスタネットを多用し、いわゆるクラシコ・エスパニョール的な、
靴はフラメンコ靴でもリフトやジャンプ、回転なども多用した
振り付けが中心で フラメンコというよりもスペイン舞踊的。

華やかな衣装。
舞台中央の白い大きな円が
あるときは闘牛場になり、あるときは月になり、という
映写による美術はたいへん効果的。
せっかくセビージャといっているのだから、
もう少しセビージャ的なものをいれてもよかったようにも思うが
これは好みだろう。

群舞を多用し、13曲中、ソロは3曲のみ。
シルビア・ピニャールのエスクエラ・ボレーラと
アントニオとエステバリス・バロソの闘牛士と闘牛のデュエット、
アントニオのソレアがそれだ。
アントニオ自身が舞台に登場するのも、上の2曲と
最後、フィナーレの群舞だけというのはちょっとさびしいようにも思うが
彼のスター性でおしていくのではなく、群舞の美しさ/迫力を
アピールしていくタイプのカンパニーなのかもしれない。

フラメンコのコアなファンに、というよりも
一般の観客にアピールする要素を多くもっている作品、舞踊団だと思う。
アントニオ・マルケス舞踊団やヌエボ・バレエ・エスパニョール、
古くはラファエル・アギラールの系列にならびつつも、
独自の方向性を見いだしていく、そんな感じである。

2011年2月19日土曜日

エストレージャ・モレンテが歌うアニメ“Chico & Rita”

バルセロナ五輪のマスコット、コビのデザインでも知られる
スペインを代表するクリエーター、マリスカルと
映画「ベルエポック」やフラメンコも登場するジャズ映画「カジェ54」などで知られる
フェルナンド・トゥルエバが組んだアニメーションの音楽映画
「チーコ&リタ」
革命にゆれるキューバからシカゴ、ラス・べガスへと舞台はうつり

音楽はベボ・バルデスだが
彼がマリスカルのインスピーレションの源となったそう。
エストレージャ・モレンテも参加。

監督も
「エストレージャは21世紀のプリンセスだ」
と大絶賛とのこと。

トリポラール

アンダルシア政府主宰のフラメンコ公演シリーズ、
フラメンコ・ビエネ・デル・スール。
今年で14年目!となるこのシリーズの幕開きを飾ったのは
クロエ・ブルールとマルコ・バルガスの舞踊コンビに
歌い手フアン・ホセ・アマドールが加わった作品
「トリポラール」

セビージャ、セントラル劇場。
客席に入ると舞台は裸のまま。
つまり袖幕も奥のホリゾントも
なーんにもない舞台で
奥にはつかわれてない照明機材が並んでいる。

客席がくらくなってもそれは変わらず
キャットウォークというのか、
舞台の上の回廊を懐中電灯片手に歩く人影が
舞台の上に箱を落として行く

箱 箱 箱 箱 箱
やがて舞台に現れたマルコとクロエは
箱をあちらこちらに移動する


マルコとクロエは
フラメンコ+コンテンポラリーな作品をいっしょに発表し続けている。
今回もオープニングはコンテンポラリー
フラメンコ的な動きもあまりつかわず
で、観客の頭に?が浮かぶ頃
フアン・ホセが現れても、最初はベッドに寝ているだけで
そのまわりを小鬼のような二人が飛び回るだけ

がそのフアン・ホセが起きると
一気に舞台をフラメンコに染める
録音のルンバにはじまり
歌い弾き踊り
(ギタリストの物真似は抱腹絶倒もの)
芝居する

二人ともいい踊り手だし
彼らのインキエトゥー、
ひとところにおちつかず次々と新しい試みにトライする精神も
大好きなのだが
うーん 今回は私と波長があわなかったような。
伝わってくるものがなにもない
これは受け手であるこっち側の問題?

コンテンポラリーもいい
でもコンテンポラリーの専門家にはかなわない
その、コンテンポラリー風を長々と見せられるのはかなわない。
なにを伝えたいのだろう

いやそんなことはわからなくても
とにかく酔える舞台ならそれもいい
が今回はそうでなかった。少なくとも私には。

二人がひとつの身体であるかのように
お互いの身体を叩きあい
パズルのように組み、解いて、踊るのは面白い
でもそれは遊びの域をでない

もう一歩前進! 
がほしいと思ってしまうのは私だけなのだろうか

2011年2月18日金曜日

第6回カンテ・フラメンコ祭en マイアミ

今日、
アメリカはマイアミ、Adrienne Arsht Center
第6回カンテ・フラメンコ祭が開催。
このフェスティバルは
スペイン人ギタリスト、パコ・フォンタ
その妻で踊り手のセリア・フォンタ(シカゴ出身)がはじめたもの。

2月は18日から20日まで
同センターのカーニバル・ストゥディオ劇場で「カフェ・カンタンテ」が開催。
出演はカンテにホセ・デ・ラ・トマサの息子、ガブリエル・デ・ラ・トマサ、
マカレーナ・デ・ヘレス、ルイス・バルガス、
そしてパコとセリアのフォンタ夫妻ら。

これにさきがけ、17日にはヘレス在住のアメリカ人フラメンコ研究家、
エステラ・サタニアの講演が行われ、
19日にはガブリエル・デ・ラ・トマサのカンテ、
マカレーナ・デ・ヘレスのブレリアの
マスタークラスもそれぞれ行われる。

なお、同劇場では
24日から26日までスペイン国立バレエ団も公演予定。

2011年2月17日木曜日

第7回シクロ“アモノス・パル・フラメンコ”

世界遺産の町、ハエン県ウベダのフラメンコ公演シリーズ、
シクロ“アモノス・パル・フラメンコ”が今年も開催される。
会場は旧サンティアゴ病院の音楽堂。
今年はエンリケ・モレンテの思い出に、とのサブタイトル。


公演予定は以下の通り。開演は全て21時。
3/4(金)
[出]〈c〉ギジェルモ・カーノ、伴奏〈g〉ヘスース・サリアス
3/11(金)
[出]〈c〉ビルヒニア・ガメス、伴奏〈g〉クーロ・デ・マリア
3/18(金)
[出]〈c〉ヘマ・ヒメネス、伴奏〈g〉エドゥアルド・レボジャル
3/26(土)
[出]〈c〉マイテ・マルティン、伴奏〈g〉フアン・ラモン・カロ
4/1(金)
[出]〈b〉ラ・ルピ
4/8(金)
[出]〈c〉インディア・マルティネス
4/15(金)
[出]〈g〉ビセンテ・アミーゴ
4/23(土)
[出]〈c〉バルデラマ
4/29(金)
[出]〈c〉アルカンヘル、伴奏〈g〉ミゲル・アンヘル・コルテス
5/13(金)
[出]〈c〉マリア・トレド、伴奏〈g〉ヘスース・ゲレーロ
[場]ハエン県ウベダ サンティアゴ病院音楽堂
[問]flamencoactivoubeda@yahoo.es

若手からベテランまでバラエティにとんだプログラムだ。

2011年2月16日水曜日

クルセータ・フラメンコ マドリード公演

何度か来日し、
新宿“エル・フラメンコ”の舞台に立っていたこともあるので
日本でもご存知の人もいるだろう、バイラオール、マリアーノ・クルセータ。
彼が率いる舞踊団、クルセータ・フラメンコ
3月マドリードで公演する。

会場はマドリード北部にある、マドリード劇場
3/4(金)、5(土)それぞれ20時半開演。
演目は「ラ・コンフィデンシア」
ブレリア、ファルーカ、サパテアード、
アレグリアス、シギリージャなどフラメンコ曲を踊る。
相手役はペパ・サンス。
昨年、フラメンコ短編映画コンクールで入賞した作品「インベルナデロ」も上映される。

この舞踊団の音楽を担当するのはキャロライン・プランテー
カナダ人女性であるというだけでも注目なのに
ソロアルバムもリリースしている実力派。
彼女のHPではマリアーノのバイレ入りのビデオも公開中。
スカートで足を組むのが色っぽいというか、なんというか。。。

なおカンテはマヌエル・ガゴとラファエル・ヒメネス“ファロ”

なお、3月10日からはカナダに渡り、
バンクーバーのダンス・フェスティバルに出演予定。

2011年2月15日火曜日

アルメリア市カンテ・フラメンコ普及公演シリーズ

第8回アルメリア市カンテ・フラメンコ普及公演シリーズが、
2月11日、アルメリアのアポロ劇場ではじまった。

初日のこの日は若手の特集で
まだわずか15歳というマリア・アンヘレス・マルティネスが
パコ・コルテスの伴奏でカラコーレスなどを歌ってはじまり、
ダビ・カロ伴奏のダニ・エル・モリネーロで続き、
3人目はイサベル・ドゥラン(マヌエル・アンヘル・カラオロ)

次回は2月18日21時からで
カリスト・サンチェスがカンテとその難しさについて最初に講演し
その後マノロ・フランコの伴奏で歌う予定。
2月25日は「巨匠に捧げる」と題したバルデラマの公演。
伴奏はダニエル・カサレス。

いずれも入場無料!

なお3月4日には「フラメンコ・ビエネ・デル・スール」の一環での
カルメン・リナーレスのリサイタル。
こちらは入場料10ユーロ。

2011年2月14日月曜日

ハイロ・バルールのクルシージョ

モロン出身のバイラオール、ハイロ・バルール。
そのブレリアのクルシージョが
3月14日から19日までセビージャで開催されます。
場所はセビージャの中心地区にあるcastelar通りの52番。
中上級対象で、足のテクニックと振り付け。
時間は18時30分から19時30分です。

申し込み、問い合わせはメール
info@jairobarrull.com
まで。

2011年2月13日日曜日

アンダルシア・フラメンカ

マドリードの国立音楽堂、アウディトリオ・ナショナルでの
フラメンコ公演シリーズ、“アンダルシア・フラメンカ”が今年も開催。

初日2月18日金曜日はグラナダ出身、美貌のカンタオーラ、
マリーナ・エレディアがヘレスのギタリスト、ボリータの伴奏で出演する。

以後の予定は下記の通り。
3/11(金)
[出]〈g〉ダビ・カルモナ
4/29(金)
[出]〈g〉ビクトル・モンへ“セラニート”
5/20(金)
[出]〈c〉エスペランサ・フェルナンデス

開演はいずれも19時半
入場料は10ユーロだが通し券だと4公演で28ユーロとさらにお得に。
前売はこちら

なお大きなシンフォニーホールではなく
室内楽向けの小ホールの方での公演

2011年2月12日土曜日

ラファエル・アマルゴがカタルーニャ・フラメンコ舞踊団監督に

ラファエル・アマルゴがカタルーニャ・フラメンコ舞踊団監督に就任する。

カタルーニャ・フラメンコ舞踊団は
バルセロナ郊外コルネジャ・デ・ジョブレガに
舞踊スタジオを主宰するパカ・ガルシアの
プロジェクトとして2009年に発足したもの。
アマルゴは「パカとの友情で引き受けた名誉職で名付け親のようなもの」
とコメントしている。

同舞踊団は15〜20人の団員をこれからオーディションで選抜
アマルゴのマスタークラスのあと
秋にはジョアン・ミロに捧げた作品「ミロテラネオ」を初演予定。
振り付けはルベン・オルモ。

2011年2月11日金曜日

プレミオ・マックス候補

スペインのアカデミー賞がゴヤ賞なら
マックス賞はスペインのトニー賞かな
舞台芸術に対しておくられる賞。
演劇作品、ミュージカルなどとならんで
舞踊作品賞、振り付け賞、最優秀男性/女性舞踊家賞などというのもありまして
フラメンコ関係者も毎年候補にあがる。

今年の候補のうちフラメンコ関係者は次の通り。

舞踊作品部門
−アリエリートス「カルメン」
振付け部門
−クリスティーナ・オヨス「血の婚礼」
男性舞踊家
−イスラエル・ガルバン「ラ・ルチャ・リブレ・ブエルベ・アル・プリセ」
−マヌエル・リニャン「タウロ」


結果発表は5月9日!

2011年2月10日木曜日

マノロ・バルガス逝く

2月8日 メキシコシティーでスペイン舞踊家マノロ・バルガスが亡くなった。
享年98歳。

本名ホセ・アランダ・バラデス。
1912年8月15日メキシコ西部タラの生まれ。
グアダラハラで舞踊を学びはじめ後、メキシコシティーに移り、
国立舞踊学校でスペイン舞踊とバレエを学ぶ。
という説と、
メキシコシティーではガソリンスタンドなどで働いていたのが
レバノン人舞姫とニューヨークに移住し
ナイトクラブで踊っていたのをみそめられた、という説がある。

1930年代に舞踊家ホセ・グレコのすすめでフラメンコを学び
1942年ラ・アルヘンティニータの舞踊団で
カーネギーホールでデビュー。
アルヘンティニータが若くしてなくなった後は
その妹ピラール・ロペスの舞踊団で活躍した。

1955年にはやはりメキシコ出身の舞踊家ロベルト・ヒメネスとコンビを組み
フラメンコ舞踊団を結成。
日本公演をも行った。
そのときのプログラムでは


マドリード生まれで
こどものときから伝説の巨匠たちに習ったと紹介されている。

晩年は故郷で後進の指導にあたり
死の1週間前までもクラスを行っていたという。

冥福を祈る

2011年2月9日水曜日

miercOLE!セビージャ大学のフラメンコ公演

セビージャ大学主催のフラメンコ公演ミエルコレ!
水曜日という意味のミエルコレスにオレ!をかけたタイトルのこの公演、
毎月1回水曜日の開催。
場所はセビージャの中心地、デパート、エル・コルテ・イングレスのある、
ドゥーケ広場にあるドゥーケ劇場。
1月19日、マリア・モレーノで開幕した。

今後のプログラムは
2/16(水)[出]〈b〉アンドレス・ペーニャ
3/16(水)[出]〈b〉カルメン・イニェスタ
4/13(水)[出]〈b〉マリベル・ラモス
5/18(水)[出]〈b〉レオノール・レアル

なかなかの実力派が登場。
小さな劇場だが、それだけに熱気が感じられるというところ。

開演は全日21時。入場料は12ユーロ。
セビージャ大学の学生は学生証をみせれば5ユーロ。

2011年2月8日火曜日

アンダルシア舞踊団の未来

1994年、コンパニア・アンダルーサ・デ・ダンサ、
として誕生したアンダルシア舞踊団。
マリオ・マジャ、後、マリア・パヘス、ホセ・アントニオが
監督をつとめ、たこの舞踊団が
2006年、クリスティーナ・オヨスの監督就任で
バレエ・フラメンコ・デ・アンダルシアと名前を変えて5年。

オヨス舞踊団メンバーがそのまま入っていたりしたことや
アンダルシア舞踊団の名前よりもオヨスの名前が大きいなどなど
いろいろ問題をかもしだしてきたが
このたびクリスティーナ・オヨスは解任され
アンダルシア・フラメンコ振興公社のもとで
心機一転、はじまることになりそうだ。

先だっての「フラメンコ・ビエネ・デル・スール」のプログラム発表時に
アンダルシア文化長官、パウリーノ・プラタがあきらかにしたもの。
が、まだオヨス本人との調整がすんでいないということで
次の監督は発表になっていない。

スペイン国立バレエ団も
現在監督を公募中。

今年はふたつの公立舞踊団に大きな変動がおきそうだ。

2011年2月7日月曜日

ピラーニャのクラス


パコ・デ・ルシアのグループで
パーカッションを担当するピラーニャ。

彼のクラスが
マドリードにある、兄パケーテのギター店
ギタレリア・デ・パケーテで毎週木曜日に開講中とか
クラスは1時間半で月謝は120ユーロとのこと

問い合わせ、申し込みは
paquetemete@yahoo.es
まで 


2011年2月6日日曜日

ファルキートがマドリードで!

マドリードのカサ・パタといえば
マドリードの旧市街にあるスペイン料理のレストランバルで
その奥の部屋の舞台には
かつては通がうなるような
フラメンコの名人たちや
新進気鋭の若手アーティストたちが週末日替わりで登場した。
タブラオとはひと味違ったライブハウスだった。

チョコラーテ、レメディオス・アマジャ、アントニオ・カナーレス、
フアン・ラミレス、サラ・バラス…

客席にはペドロ・アルモドバル監督が女優たちと来ていたりした。

レストランがちょっと遅くまであいていることもあって
劇場公演後、遅めの夕食を食べにやってくるアルティスタも多く
ここに行けば誰かに会えた
そしてそのまま道を下ってバル、カンデーラへと流れるのが定番だった。
90年頃の話である。

が、その後パタはフラメンコ人気にのっかって
週代わりで主に若手アルティスタが登場する
タブラオとなってしまい、かつての通好みのたまり場的香りはなくなった。

でもときどき、おっ!というアルティスタが登場する。
はい。マドリードの皆様お待たせしました。
ファルキートがゲスト出演します。

2/11(金)と12(土)の週末、24時から
フアン・ホセ・アマドール“エル・ペッレ”(息子の方です)が登場し、
そのゲストとしてファルキートがやってくる!というのであります。

ファルキートはバイラオールの中のバイラオールで
すごみのあるあのバイレに魅了されてるのは私だけではなかろうが
いやいや、あの彼をカサ・パタの小さな空間でみることができるなんて
これは神様のお恵みにちがいない。。。
って、主役のフアン・ホセも、どんどんのびている実力派。
ソングライターとしてもあちこちからひっぱりだこだし、
うん、マドリにいるならこれはみなくちゃ、でしょ。

2011年2月5日土曜日

バルセロナでの講演

1月24日から
バルセロナのカイシャ・フォーラムで
フラメンコの歴史に関する講演シリーズ
「セレブラシオン・デル・フラメンコ」が開講されています。
詩人でフラメンコに関する著作もあるフェリクス・グランデのコーディネートによるもので
1/24の初回は彼自身による講演でした。

次回は
2/7(月)でアルメリア在住フラメンコ学者でギタリストのノルベルト・トーレスによる
「フラメンコギターの歴史と進化」

以後、

2/14(月)19時
ムルシアのフラメンコ学者アントニオ・パッラによる
「エル・バイレ・ホンド人間の美の記憶」
この日のみ、引き続き20時30分から舞踊公演があります。
バルセロナ出身で一昨年ラ・ウニオンのコンクールで優勝した、
アナ・モラーレスのバイレ公演。ギターにヘスース・ゲレロとオスカル・ラゴ、歌はもイ・デ・モロンです。

2/21(月)19時
フランシスコ・イダルゴによる「フラメンコとカタルーニャ。百年以上の関係」


いずれも入場料が2ユーロかかります。前売はこちら

2011年2月4日金曜日

フラメンコ・ビエネ・デル・スール

 アンダルシア自治政府文化庁フラメンコ振興公社による
アンダルシアでのフラメンコ公演シリーズ
“フラメンコ・ビエネ・デル・スール”
その2011年のプログラムが2月3日
セビージャのセントラル劇場で発表になりました。

いいお天気すぎて写真ではよくわからないかもですが
たくさんのアルティスタがかけつけて
文化長官(真ん中のスーツ姿)と記念撮影

14年目の今年はアンダルシア8県で
2月18日セビージャのセントラル劇場での幕開きから
6月2日カディス、ファリャ劇場での閉幕まで
33作品44公演が行われます。
プログラムは舞踊、ギター、カンテソロと
バラエティにとんでいて
新作もあれば数年前の旧作もあり
なかなかの充実振りです。

入場料もセビージャ、マラガ、グラナダ、カディスの
アンダルシア州立の劇場では15ユーロとお手軽。
ほかにも学生や年金生活者、失業者割引があったり
全部見る人にはパック割引あったり

まずは2/18のマルコとクロエの新作、
楽しみです


●セビージャ
2/18(金)、19(土)「トリポラル」
[出]〈b〉マルコ・バルガス、クロエ・ブルーレ、〈c〉フアン・ホセ・アマドール
3/4(金)、5(土)「Questcequetudeviens?」
[出]111舞踊団(フラメンコ/現代舞踊)
3/15(火)「プーロ・ペレ」
[出]〈c〉エル・ペレ
3/22(火)「12クエルダス」
[出]〈g〉ダニ・デ・モロン、アルフレド・ラゴス ゲスト〈b〉パストーラ・ガルバン
3/29(火)「レジェンダ・ペルソナル」
[出]〈b〉ホアキン・グリロ舞踊団
4/12(火)「リサイタル」
[出]〈c〉カルメン・デ・ラ・ハラ、エセキエル・ベニテス
4/26(火)「ギター・コンサート」
[出]〈g〉チクエロ、ゲスト〈c〉ドゥケンデ
5/10(火)「デル・プリメル・パソ」
[出]〈b〉ロサリオ・トレド
5/27(金)「オメナへ・ア・ロス・グランデス」
[出]〈b〉ラ・ファルーカ
[場]セビージャ セントラル劇場

●グラナダ
2/26(土)「トリポラル」
[出]〈b〉マルコ・バルガス、クロエ・ブルーレ、〈c〉フアン・ホセ・アマドール
3/7(月)「Questcequetudeviens?」
[出]111舞踊団(フラメンコ/現代舞踊)
3/14(月)「ライセス・デル・アルマ」
[出]〈c〉エエスペランサ・フェルナンデス
3/21(月)「ラ・グロリア・デ・ミ・マレ」
[出]〈b〉ラ・チョニ
4/4(月)「ラ・ムシカ」
[出]〈g〉フアン・カルロス・ロメーロ
4/11(月)「トランキーロ・アルボロト」
[出]〈b〉ルベン・オルモス舞踊団
4/25(月)「デル・キビル」
[出]〈b〉アンヘレス・ガバルドン
5/9(火)「トレス・モビミエントス、トレス・プニャレス」
[出]〈g〉ペドロ・シエラ
5/16(金)「アイ!アラメーダ」
[出]〈b〉アンドレス・マリン舞踊団
[場]グラナダ アルハンブラ劇場

●マラガ
3/5(土)「トリポラル」
[出]〈b〉マルコ・バルガス、クロエ・ブルーレ、〈c〉フアン・ホセ・アマドール
[場]マラガ サラ・ガデス
3/10(木)「Questcequetudeviens?」
[出]111舞踊団(フラメンコ/現代舞踊)
3/16(木)「デスデ・ラ・メモリア」
[出]〈c〉アルカンヘル
3/23(水)「ギターコンサート」
[出]〈g〉サンティアゴ・ララ、ハビエル・コンデ
4/6(金)「ウン・ビアへ・ポル・エル・カンテ」
[出]〈c〉アルヘンティーナ
4/13(金)「ロンボ・フラメンコ」
[出]〈c〉マヌエル・ロンボ、ゲスト〈b〉チョニ
4/27(水)「リサイタル」
[出]〈c〉アントニオ・レジェス、ボネラ・イーホ
5/4(水)「アンダルシア青少年コンクールガラ」
[出]〈b〉モイセス・ナバッロ、〈g〉フランシスコ・レオン、〈c〉タマラ・アギレラ
5/11(水)「リサイタル」
[出]〈c〉マリアナ・コルネホ、チュルンバケ・イホ
5/18(水)「ポエマ・シンフォニコ2番」
[出]〈b〉アナベル・ベローソ舞踊団 ゲスト〈b〉ハビエル・ラトーレ
[場]マラガ カノバ劇場

●アルメリア
3/4(金)「ラ・ポエシア・エン・エル・カンテ」
[出]〈c〉カルメン・リナーレス
4/29(金)「デ・サンダリア・ア・タコン」
[出]〈b〉アナ・モラーレス舞踊団
5/6(金)「ア・ティエンポ」
[出]〈c〉ラ・トレメンディータ
[場]アルメリア アポロ劇場

●カディス
5/6(金)「リサイタル」
[出]〈c〉マヌエル・ロンボ、カルメン・デ・ラ・ハラ
6/2(火)「トランキーロ・アルボロト」
[出]〈b〉ルベン・オルモ舞踊団
[場]カディス ファリャ劇場

●コルドバ
3/25(金)「リサイタル」
[出]〈c〉ホセ・メネセ
4/30(土)「トランキーロ・アルボロト」
[出]〈b〉ルベン・オルモ舞踊団
5/13(金)「ロンボ・フラメンコ」
[出]〈c〉マヌエル・ロンボ、ゲスト〈b〉パストーラ・ガルバン
[場]コルドバ グラン・テアトロ

●ウエルバ
3/11(金)「ウン・カント・ア・ラ・リベルタ」
[出]〈c〉パンセキート
4/8(金)「エクストレモ・ホンド」
[出]〈b〉フエンサンタ・ラ・モネータ
4/29(火)「マリナ」
[出]〈c〉マリナ・エレディア
[場]ウエルバ グラン・テアトロ

●ハエン
3/17(木)「リサイタル」
[出]〈c〉ホセ・メネセ
5/20(金)「タン・ソロ・フラメンコ」
[出]〈b〉イサベル・バジョン舞踊団
5/27(火)「ウン・カント・ア・ラ・リベルタ」
[出]〈c〉パンセキート
[場]ハエン インファンタ・レオノール劇場





2011年2月3日木曜日

フラメンコ衣装の見本市SIMOF開催

2月3日から6日まで
セビージャのパラシオ・デ・エクスポシシオン・イ・コングレソ(見本市会議場)
通称FIBES
サロン・インテルナシオナル・モーダ・フラメンカ(フラメンコ・ファッション国際サロン)通称SIMOFが開催されます。

90のスタンドが立ちならび、
29のファッションショーが開催予定。
ショーの詳細はこちらもありますが
ショー1回ごとに入場料がいるそうでそれが10ユーロ
不況の時代にけっこう強気?


フラメンコ・ファッションとはいっても
もちろん主役はフェリア用の衣装
民族衣装、お祭り用の衣装が
ここ20年でぐっとモード、ファッションの世界へ接近
毎年新しいデザイン、流行が展開されています

ここ数年主流のボディラインにぴったりそった衣装では
動きも制限されてしまうし、
フラメンコ舞踊衣装にはそのまま、
とはいかないデザインも多いけれど
こちらの流行はやはり舞踊衣装にも反映されてますね

さて今年の流行は???

2011年2月2日水曜日

さよならヌエボス・メディオス

ヌエボ・フラメンコを世におくりだした
レコード会社ヌエボス・メデイォスが閉鎖されることになった。

11月、創業者の一人で社長、プロデューサーで
ミュージシャンたちのポートレートなど
カメラマンとしても知られたマリオ・パチェーコが亡くなり、
折からのレコード業界不況もあって、この決定となったもの。


ペペ・アビチュエラのソロ・アルバムにはじまり、
ケタマのデビュー盤やアフリカのコラと共演したソンガイ。
ラファエル・リケーニ、トマティート、カニサーレス。
パタ・ネグラ、ライ・エレディア、バルベリア・デル・スール、
ディエゴ・カラスコ。エンリケ・モレンテ。
ホルヘ・パルド、カルラス・ベナベン、ティノ・ディ・ジェラルド、
ディエゴ・アマドール、トマシート、カニサーレス、
インディオ・ヒターノ、ラモン・ポルトゥゲス、グアディアナ、
ホセ・エル・フランセス、タブレトン、サンティアゴ・ダンディ…

こうしてヌエボス・メディオスゆかりのアルティスタたちの名前を連ねていくだけで
ひとつの時代がみえてくるようだ。

ヌエボス・メディオスがささえた
フラメンコのひとつの道は、大きく広がっていった。
役目をおえて去り往く?
時代が変わった?

時の流れはもう戻らないけど
記憶のなかに思い出はいつまでも残るし
なによりもこのすばらしいアルバムの数々は歴史の中でも残っていくことだろう

2011年2月1日火曜日

アントニオ・ナハロの新作「セビージャ組曲」


2月19日、20時30分より
マドリード郊外、ポスエロ・デ・アラルコンの
ミラ劇場において
アントニオ・ナハロ舞踊団の新作、
「セビージャ組曲」
が初演されます。

ビセンテ・アミーゴの「ポエタ」をつかった
フィギュアスケートの振付けで
日本でも知られているようですが
スペイン国立バレエ団出身で
アイーダ・ゴメスの相手役などもつとめた実力派。

今は自らの舞踊団で世界を舞台に
「ジャジング・フラメンコ」「タンゴ・フラメンコ」
「フラメンコ・オリエンタル」などの作品で活躍中。
その彼の新作は
セビージャ出身のギタリスト、
ラファエル・リケーニらの音楽をフューチャーしたものとなる模様。

楽しみです!


ところで
ここでは書ききれない、
スペイン生活のあれこれなどを書き留める
スペイン生活ブログはじめました
題して
こちらの方もどうぞよろしく