2011年2月28日月曜日

ヘレス・フェスティバル3 小島章司「セレスティーナ」

正直な話、しょせん、日本人のフラメンコじゃないか、
などと思ってた人もいただろう。
世界になだたるフラメンコ好きである日本人のフラメンコ?
それも70歳のバイラオールだって?
と、興味はあっても期待はされていなかったにちがいない

が、緞帳が上がり
金色の町の広場での華やかな群舞を目にして
姿勢を正したのではあるまいか。

写真;Javier Fergo

ヘレス・フェスティバル、第3日目は小島章司舞踊団の「セレスティーナ」

2009年11月東京で初演されたこの作品が
ヘレスのフェスティバルでこれほどまでの評判をとるとは
誰が予想しただろう。

写真;Javier Fergo


最後は観客総立ち
スタンディングオーベーションで
アンダルシア風に三拍子の拍手がなりやまない。

大喝采をおくったのは観客だけではない。
口うるさい批評家たちもそろってこの作品を高く評価した。

ヘレス・フェスティバル15年の歴史の中で、初めての、
スペイン以外の国からの舞踊団によるビジャマルタ劇場公演。
日本人公演としては2004年の鍵田真由美/佐藤浩希フラメンコ舞踊団による
「曾根崎心中」以来のもの。

写真;Javier Fergo

チクエロの音楽、
ハビエル・ラトーレの振り付け
堀越千秋の美術
一流のスタッフが、
超一流のフラメンコ舞踊家コジマと
踊り手たち、ミュージシャンたちをバックアップし
すばらしい作品をつくりあげた。


スペインの古典「ラ・セレスティーナ」は
これまでにも多くのスペイン舞踊家が取り上げている。
私もスペイン国立バレエ団版と
2004年同じくヘレスで上演されたカルメン・コルテス版をみている。
が、コジマの「ラ・セレスティーナ」
メリベアに恋したカリストが
売春など悪行の総元締で魔女的存在の老女セレスティーナの手引きで
恋を実らすが悲劇に終わる、という物語を
シンプルに舞踊だけで語る、
ハビエル・ラトーレの振り付けの素晴らしさ。
とくにメリベアとカリストの愛のパ・ド・ドゥ、
ファルーカの美しさは鳥肌のたつほどだ。
初演に引き続きカリストを踊るクリスティアン・ロサーノは
スペイン国立バレエ団出身でしっかりしたテクニックと
豊かな表現でカリストをみごとに演じきったし、
相手役メリベアを踊ったエスメラルダ・マンサーナスは
マドリード王立舞踊学校出身で現在ハビエル・ラトーレ門下。
国立バレエ団ソリストのタマラ・ロペスのあとをうけ
これまたみごとに魅惑的な乙女を踊りあげた。
小島舞踊団の踊り手たちも練習の成果を
見事に舞台に昇華した。

写真;Javier Fergo


そしてその音楽のすばらしさ。
最初から最後までいっときもたえることなく続く
チクエロ監督のもとに演奏されるのは
タラントやタンゴ、ブレリアといったフラメンコ曲だけでなく
バッハのサラバンダだったりパウ・カサルスの「鳥の歌」だったり
リト・イグレシアスのチェロとオルビド・ランサのバイオリンの美しさ。
そしてカンテのヘスース・メンデスとロンドロ、モニカ・ナバロの
フラメンコな声。

老女セレスティーナを踊るコジマのタラントのすごみ
ドラマティックさ。
演技の要素もあるゆえか
能の狂女や舞踏のようにみえる瞬間もあるが
そのブラソのフラメンコなことといったらない
誰の真似をしているというのではなく
今までの人生で彼がみてきた全ての名バイラオーラたちの記憶が
そのままにじみでてきたようで
どこかなつかしくムイ・フラメンコなのである。
若手とのからみでみせる
その風格も
フラメンコのために、そしてフラメンコを生きてきたコジマならではのものだろう。



終演後
「最高だった!」
とヘレスのテレビ局オンダ・ヘレスのフラメンコウエブ、カナル・フラメンコのクルー、
「彼の事はまったく知らなかったけど感動したよ。
振り付け、衣装、照明、美術なにをとっても最高だ」
と、地元ディアリオ・デ・ヘレスのカメラマン、フラメンコの写真集もだした
ミゲル・アンヘル・ゴンサレス。朝刊を彼の美しい写真が飾った。
「日本のマエストロがビジャマルタを驚嘆させた」との記事


小島のフラメンコがヘレスを驚嘆させたのだ

2 件のコメント:

  1. 先日テレビでこの公演のドキュメンタリーをやっていたので録画して見ました。小島さんは徳島の出身で地元を大切にしてらっしゃるので、時々里帰り公演があります。もうずいぶん前にわたしも行きましたが、その時に初めてフラメンコを見たのでした。その小島さんがヘレスでこれほどまでに評価されて、素直にうれしく思います。機会があればまた彼の舞台を見てみたいです。

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  2. mimiさん コメントありがとうございます。
    はい。本当にそれはそれはすばらしい舞台でしたよ。
    ぜひいつか徳島でもぜひ上演して頂きたいものです。

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