2010年3月6日土曜日

ヘレスのフェスティバル10 ハビエル・ラトーレ/振り付け工房

ヘレスのフェスティバルというと
スペインの今を代表するアルティスタたちの公演とともに
そのアルティスタたちによる
世界中から生徒が集まるクルシージョが有名。
その講師陣たちには第1回からずっと担当している
アンヘリータ・ゴメスをはじめ
マティルデ・コラルやメルチェ・エスメラルダなど常連講師がたくさんいる。
ハビエル・ラトーレもそんな一人。
バレンシア生まれでスペイン国立バレエ団ソリストを経て
コルドバのコンクールで初の3部門受賞をはたした。
2003年に舞台での公演活動は引退したが
振付家としての活躍はご存知の通り。
「リンコネーテ・イ・コルタディージョ」「ペネローペ」「トリアーナ」
「ロコ」「フェードラ」…
昨年小島章司「セレスティーナ」を振り付けた彼の今年のクラスは
タジェール・デ・コレオグラフィア
振り付け工房と名付けられ
単なるクルシージョではなく
実際の振り付けを通して
グループでの動き 舞台上での構成なども学んでいく、
というものだった。
6日間、6つのクラス
出身もレベルも経歴もさまざまな20人が
学んだ振り付けをサラ・パウルで披露したのがこの無料公演。

クラスのメンバーによるタラントにさきがけ
ハビエルの愛弟子、メキシコ出身のカレン・ルゴのマルティネーテ
地元へレスでアカデミアをやっているチキとカルロス・カルボネルによるタンギージョ
そしてハビエルによるティエント
彼がセレスティーナで振り付けた曲だ。
優雅なブラソ、余韻をひく腕の使い方、美しい回転
かつての彼の魅力は健在だ。
ひとつひとつの動きに心がこもっている。
腕を右へやったらそれに心もついていくのだ。
首のつかいかたも心憎いほど。
ドラマティックなナンバーだった。
そしていよいよクラスの面々。


一人で
 二人で
  三人で
群舞で パレハで
現れてはきえ、消えては現れる
こった振り付けを生徒たちは精一杯踊った
たった6日間でこれだけの作品をつくりあげた
ラトーレと生徒たちに脱帽
目頭があつくなる

その夜中、余韻さめやらぬラトーレがよもやま話の中で
「プロとして扱えばプロとしてこたえてくれる」
と話していたのが印象的。
群舞がはじめてだった生徒も レベルが低い生徒も
皆が皆 自分のマックスをだしきり
ひとつの振り付けをつくりきった。
これほどの満足感はないだろう。

レベルの高い舞踊団の公演も勉強になるが
こういった公演もまた、見る側にとってもたいへん勉強になる。

どこにアクセントをつけるか
姿/形をどうイメージするか
舞台の上の歩き方
表情
次の振り付けを考えて踊るのではなく
ひとつひとつの振りを精一杯やりきって次にいくこと
ななめの線
正面だけで踊らない
腕の位置 顔の位置
フラメンコ舞踊ってすごく複雑だけど
それだから面白いのだと思う

個性と技術と表現
やっぱフラメンコはやめられない

2 件のコメント:

  1. このクラスを受けてサラ・パウルで踊らせてもらいました。
    踊り終わったら「早く楽屋を出ろ」という伝言が伝わってきて、なんだか急いで出てきてしまいました。公式サイトにも何も記事がないので、ラトーレ先生の後日談を少しだけ読めてよかったです。

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  2. pukapukaさん コメントありがとうございます。ほんと、客席みんな感動でうるうるしてました。ほんと素晴らしい体験でした。舞台の上にいた人にとってはよりそうかと。。。ラトーレにとってもある意味、挑戦だったのだと思いますよ。それに立派にこたえた生徒たち。ほんとにすごいことです。

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