ガデス没後発足した財団による舞踊団での公演が始まって20年。今年はオペラ『カルメン』初演150周年ということで、ガデス舞踊団『カルメン』が1998年に第2回フェスティバルで上演されて以来、2回目の上演。前回とはメンバーもだいぶ変わっているものの名作をこうしてライブで見ることができるのには感謝。映画やビデオもいいけれど、生じゃないとわからないこと、感じられないことがあるのであります。ガデス『カルメン』を観るのは何回目だろうか。86年の来日公演を観たことでフラメンコの深い井戸に真っ逆さまに落ちてしまったということもあるのでありましょう。今回も、あ、ここってこうなってたのか、などという新しい発見があったり、歴代のカルメンやドン・ホセを頭の中で比較して勝手にダメ出ししたり、と舞台を見ながら頭の中はフル回転。最初に見た時のような作品そのものへののめり込みとは違う見方ではありますが、堪能いたしました。結論。名作は何度観てもいい。常に勉強させてくれる。
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© Festival de Jerez/Esteban Abión |
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最初のゆっくり歌われる悲しげなベルデのところですでにうるうる。ビゼーのオペラの曲とフラメンコ がこれほど完璧に融合してる作品はありませんが、何度も登場するベルデの曲も場面によって違う雰囲気で歌われています。
今回ホセを踊ったアルバロ・マドリーは胸を大きく開いた感じが本家本元アントニオを彷彿とさせます。アントニオの美しいポーズの数々を思い出し重ねて見ていましたが、ガデスを真似する、ガデスになろうとするのではなく、ガデスにならってガデスのスタイルで踊っていると思います。
また、ガデス存命時代からいる3人のベテラン男性舞踊手たちの腰の位置、安定感も素晴らしかったです。歌もアルフレド・テハダ、ピクラベ、イスラエル・パスと違う味わいの歌声で楽しませてくれました。
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1983年の作品ということもあり、今の作品からすると振り付けはシンプルに見えるかもしれません。でも必要十分で、ムイ・フラメンコに物語を語っていきます。鏡と椅子と机だけで居酒屋や牢獄など、それぞれの場面を作り出していくのも、舞台上のコンポジションも、今見ても見事というしかないです。
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