前々回、2018年のビエナルの公演が面白かったので来てみたニーニョ・デ・エルチェ。日本ではイスラエル・ガルバンとの共演で知られているのかな。でも、スペインでは、フラメンコ界においては自分のことを批評した批評家に早死にすると言ったりとか、行き過ぎな過激な発言で多くの人に嫌われている反面、一部には支持者もいるらしい。らしい、というのは実際に会ったことがないから。新聞などでフラメンコの専門家ではないジャーナリストに持ち上げられているのは読んだけど。まあ、挑発もアートの一つの方法ってこともあるしな、と思ってた。
で、昨日。
カンテとの銀婚式と名うち、開演前、緞帳には若き日の彼が正統派フラメンコを歌うビデオが流されている。そう、彼はかつてクリスティーナ・ヘーレン財団で学んで各地のコンクールに出場していたのであります。そこで大きな成功をおさめることはできなかったけど。
85年生まれというから37歳か。でカンテとの銀婚式って、12歳で結婚したわけ?法律的にどうなの、とか冗談はともかく、彼としては子供の時からフラメンコ歌っていたんだぞ、アピールなのかもしれませぬ。
紗幕のむこうで、フラメンコとスペイン歌謡のヒット曲の一節を、一音だけギターを鳴らし歌う、というオープニング。
©️ Archico fotográfico Bienal de flamenco / Claudia Ruiz Caro |
©️ Archico fotográfico Bienal de flamenco / Claudia Ruiz Caro |
©️ Archico fotográfico Bienal de flamenco / Claudia Ruiz Caro |
いつもの相棒ラウル・カンティサーノと、マリアノ・カンパージョの伴奏で、ソレア、ベルディアーレス、アレグリアス、ファルーカ、カンパニジェーロス…節まわしを変えてみたり、歌の最後のところでちょっと変な声出して遊んだり、ファルーカではギターはタンゴ的にジャカジャカ弾いたりとか、ストレートなフラメンコにはない遊びはあるものの、前回見た時のようなフラメンコの歴史をおちょくるといった凝った仕掛けはないし、歌自体は平板というか一本調子で感動も面白味もない。御詠歌のような?ソレア、はっきり言ってつまらない。フラメンコはつまらない、ということを表現しようとしたのであれば大成功だろう。
なんで途中からは頭の中にイスラエルを登場させ、踊らせてみたりしてしのいでいたというのが正直なところ。
声、音程、リズム、知識はあるのはわかるけど、それ以上の何か、心を伝える力や人間的な魅力というものは見えてこない。そうなんだよね、知識、技術は必要だけど、その人の魅力、伝える力、フラメンコ愛といったものがもっと大切なようにも思うのですよ。
他の公演に行けばよかったな。
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