2020年にヘレスのフェスティバルとビエナルで新人賞ダブル受賞のパウラ・コミトレは文句なく今一番勢いのある若手。超絶テクニックと繊細な表現で大好きな踊り手の一人でもある。
その彼女がビエナルでリーダー作品を初めて上演するというので期待は高まる。リーダー作品はこれが初めてではないけれどね。
パリで初演したこの作品はコンテンポラリーダンサーのロレナ・ノガルと組んだ、二人ともが主役という感じの作品でありました。また、作品のコンセプトという舞台の構成、運びなどが、驚くほどアナ・モラーレス作品と共通点が多いように思えたのだけど、それは多分偶然の一致、もしくは今の潮流が、そういう方向性なのでありましょう。
©️ Archico fotográfico Bienal de flamenco / Claudia Ruiz Caro |
大きな布の下から現れて、最後また布の中に戻っていくというのはアナとは違うけど、トマス・デ・ペラーテの歌を主役にしたり、彼に語りをさせたりフラメンコ以外の曲を歌わせたり、とか、女性二人のデュエットとか、二人羽織風の重なる振り付けとか、デジャヴ感半端ない。
©️ Archico fotográfico Bienal de flamenco / Claudia Ruiz Caro |
ロレナはちゃんとしたコンテのダンサーという感じで(フラメンコ作品で見てきたコンテのダンサーの中ではピカイチの方に入ると思う、随分ひどいのもあるから)、体の使い方とかうまいし面白いけど彼女のソロが延々続いたり、 パウラとのデュオもコンテンポラリーよりだったりするのはちょっと閉口した。コンテンポラリーダンスが今のフラメンコ舞踊に大きい影響を与え、表現が広がったことは事実だし、コンテンポラリーとの共演や技術の導入を否定するわけではない。でも、パーセンテージが多すぎやしませんか、という感じ。コンテンポラリーは双刃の剣という気もするなあ。
中盤、ミロンガ、コロンビアーナ、タンゴ・デ・マラガ、タンゴ、アバンドラオと続くところがあって(ビデオ参照)、そこで見せる体の使い方とか、さすがの一言。
その後、バタ・デ・コーラのスカートが落ちてきてからも同様。いややっぱうまいわ、この人。すごいわ。
©️ Archico fotográfico Bienal de flamenco / Claudia Ruiz Caro |
なんだけど、だからこそ、もっと自分を前面に出して、彼女のフラメンコが中心の作品を観てみたい気がするんだよね。って、前作がそうだったから、なのかなあ。んーちょっとモヤモヤする。こっちの勝手な気分なんだけど。
ギターのフアン・カンパージョの流石の演奏、パーカッションのラファエル・エレディアもよかったよ。
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