2016年2月22日月曜日

ヘレスのフェスティバル3日目/アナ・モラーレス「ロス・パソス・ペルディードス」

昨年9月セビージャのトーレ・デ・ドン・ファドリケで初演された作品「ロス・パソス・ペルディードス」。失われた足取り、とでも訳そうか。ペルディードは失われたという意味のほかに、迷子になった、という意味もある。
「迷子になったと思ったらかえって自分の道がみつかった、ということがあります」
と前日の記者会見で語っていたアナ・モラーレス。
今回は初日のエバ・ジェルバブエナ舞踊団公演でも大活躍したダビ・コリアが出演し、昨年9月の公演とはだいぶ趣きが変わった。

Foto Javier Fergo para Festival de Jerez


ぱたぱたと扇の音をさせながら、たき火?にみたてた舞台前面中央のライトに近づいたり遠ざかったりして、バックにうつしだされた影も踊るようなオープニングは、やがてパブロ・スアレスのピアノが弾くレクオーナの「マラゲーニャ」 がミゲル・オルテガの歌うフラメンコのマラゲーニャへ。

Foto Javier Fergo para Festival de Jerez

そしてバタ・デ・コーラでのソレア。完璧なまでのバタさばき。美しい動きに酔う。
ただ一昨日のエバと比べるわけではないが、線が細いというのだろうか、がっと観客の心をわしづかみになるような力強さや重厚さはない。まったく違うソレアである。
繊細でたえやかなソレア。それは彼女自身のスタイルにも通じる。

Foto Javier Fergo para Festival de Jerez

9月の舞台と比べると、まったく一人でやっていたところがダビ・コリアとのデュオになったりもしているが、最も変わったのはダビのソロ、グアヒーラが加わったことだろう。
キューバ起源の曲として南国風、コロニアル風の雰囲気をだす曲だが、ここではそういったものよりもリズムを重視してつくっている感じ。作品の中での曲だからここではこれもありだろう。回転、跳躍、静止。手足が長くかたちが美しい。
カンテソロでのビダリータからのアナのタンゴははじけるように。

Foto Javier Fergo para Festival de Jerez
そしてまた最初の扇のささやきに戻り幕。

先日のチョロのような強さもあればアナのような繊細さもある。どちらも上質の、よく鍛えられ、練り上げられたフラメンコで、あとは観る人の好みだろう。

Foto Javier Fergo para Festival de Jerez


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