カハソル財団のフエベス・フラメンコス、15年目の今年トップバッターはアントニオ・カナーレス。南米公演から帰ってまもなくのセビージャでの公演でありました。
フエベス・フラメンコスの会場が新しくなったのをご存知ですか?
これまではエンカルナシオン広場とカンパナの間にある、カハソル文化センターのホアキン・トゥリナ・ホールを会場としていましたが、昨年末に、サン・フランシスコ広場にカハソルの本拠地の中にある小ホールが新しい会場となりました。細かくいうと、サン・フランシスコ広場で市役所を背にして立って向かい側、右端伸建物なのですが、入り口はその建物の角を入ったチカレーロ通りにあります。
さて舞台。ホセ・カラスコのカホンのソロにはじまるプレセンタシオン。アントニオとアデラ・カンパージョ、オスカル・デ・ロス・レジェス。アントニオの圧倒的な存在感、フラメンカなアデラ。そしてすっとしたオスカル。
フアン・カンパージョのギターソロでタラントをはさんでカナーレスのシギリージャ。昔ながらのファルセータ。そしてカナーレスならではの重みのある迫力のあるサパテアード。昔ながらの動きがみえかくれする。彼の靴音は重くかつクリア。
オスカルのアレグリアスはサパテアード主体で少し単調。回転もきれがなく残念。
歌とギターのタンゴの最後に登場したカナーレスのみごとさ!タンゴのアクセントのつけかたがもう絶妙としかいいようがない。トリアーナのタンゴ、ヒターノのタンゴ、さまざまな要素をもってはいるガ、結局カナーレスのタンゴなのだ。
アデラのシギリージャは黒い衣装で深く。テクニカルな感じもあるのだがなによりもフラメンコ。形の美しさ。表情のすごみ。すばらしい。
そしてカナーレスのソレア。十八番。昔のままでは無いけれど、やはり昔の要素もでてくるのでオールドファンにはうれしくもなつかしい。暗い中、舞台から落ちるというアクシデントもあったが、なにごともなかったかのように踊り続ける。このアクシデントのあとのカナーレスがすごかった。その前よりも気力充実とでもいうのか、テンションマックス、どんどんと客席をまきこんでいく。若き日を彷彿とさせる出来。スタンディングオーベーションも当然だろう。
いや、本当に、一番後ろの席だった私には舞台からおちたのか、転んだだけなのか一瞬わからなかったくらいに素早かった。いやあ、すごかった。
舞台ではさまざまなアクシデントがおこる。その昔、サルスエラ劇場でスポットライトで前がみえずにオーケストラピットに落ちたホアキン・コルテス。セントラル劇場で靴のかかとがとんでしまったラファエル・カンパージョ。そのほかにも、衣装のファスナーが壊れてしまった人やバタで椅子を倒した人、本当にいろいろあるものだ。
アクシデントにのまれてしまうのではなく、それすら自分の徳にしてしまうのがアルティスタ。それがあったかどうかも感じさせないほどのカナーレスはやはりさすがの存在だ。
最後に挨拶したカナーレスによると、出演予定だったパコ・イグレシアスは母堂の逝去により出演できなかったとのこと。ご冥福を祈ります。
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