2015年2月22日日曜日

ヘレスのフェスティバル二日目ルイサ・パリシオ「セビージャ」

ビジャマルタ劇場のマヌエラ・カラスコはビエナルと同じ作品ということでパスして、12時からのサラ・コンパニアへ。ルイサ・パリシオ「セビージャ」を観る。
マラガ県エステポナ生まれの彼女はセビージャのクリスティーナ・ヘーレン財団フラメンコ芸術学校でミラグロス・メンヒバルらに長年師事。現在は母校で教えている実力派。ミラグロスらが代表するセビージャ派のバイレ、エスクエラ・セビジャーナを継承する。タイトルはストレートに「セビージャ」
ローレ・イ・マヌエルの歌詞の朗読に始まり、ピアノが聖週間の名曲「アマルグーラ」を奏でる。黒い衣装。薄手の長方形のショールを手に舞う。バルコニーからサエタがうたいかけられる。

ピアノのブレリアでハビエル・バロンと踊る。 バランスがいい。ベテランが若手の公演にゲスト出演して、背中をおしてあげる、というのは前日のメルセデス・ルイスとアントニオ・カナーレスと同じなのだが、そのデュオは師弟にしかみえなかったのだが、今度は仲間にみえた。 共犯者というのだろうか、文字通り志しを同じくする同志という感じ。

© Festival de Jerez/Javier Fergo
サンブラ、カルセレーロとマノロ・カラコールのメドレー。

タンゴ、そしてタンゴ・デ・マラガ。伝統的な衣装がかわいい。品がいい。

© Festival de Jerez/Javier Fergo
 そしてハビエル・バロンのアレグリアス。これが特筆ものの素晴らしさ、だったのである。ずいぶん痩せてすっきりしたハビエル。カディスの町をいく伊達者のような粋な歩き方。
© Festival de Jerez/Javier Fergo
 次から次へと繰り出される技。サパテアードひとつ、回転ひとつにしても、とにかく間がよく美しいかたち。フラメンコな抜きもみごとのひとこと。オレ!と声がついでてしまう。天に昇っていくような高揚感。楽しんで踊っている感がすごい。こちらも思わず笑顔になる。アレグリアス冥利。幸せなひととき。いやあ、こんなすごいアレグリアスをみることができて本当に幸せ。涙がこぼれるほど素晴らしかったのであります。ありがとう、ハビエル。

バタ・デ・コーラで登場したルイサはカスタネットでピアノとからみ。セビジャーナス、そしてソレア。
水色のバタ・デ・コーラはそれだけでも美しいが、その動きの素晴らしさ。ミラグロスゆずりのバタづかいはもうそのまま文化遺産といいたくらいの見事さ。自由自在にあやつって踊る。

アンコールでタンゴをハビエルとデュオで。粋で楽しい趣向だった。

以前はミラグロス・メンヒバルのコピーという感じだったのだが、年を経て、ミラグロスの技はしっかり受け継ぎながらも、彼女自身の表現がでてきたのが素晴らしい。ミラグロスのような少女はもうしっかりと自分の足で歩き始めている。
マントンやバタ、アバニコなど小物の使い方も美しく、上体や腕の優美さとあいまって、まさに“セビージャ”な感じ。
彼女は語りたいことがその身体の中にいっぱいあるようだ。
グランドピアノがサラ・ラ・コンパニアの小さな舞台をより小さくしていたのは残念で、本当はもっと大きい舞台で思う存分バタやマントンで魅了してもらいたかったようにも思うけど、最初の一歩は踏み出した。どんどん大きな舞台でも活躍してくれることを祈ります。




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