2024年3月5日火曜日

ヘレスのフェスティバル11日目ベアトリス・モラーレス&アグヘータ・チーコ『デ・ラ・ナトゥラレサ・デル・アモール』

ヘレス出身の踊り手ベアトリスとドローレス・アグヘータの息子、すなわちマヌエル・アグヘータの孫で、アグへータ・ビエホのひ孫。歌い手でギタリストで弾き語りのシンガソングライターというちょっと不思議な存在、アントニオ、アグへータ・チーコ。公私を共にするパートナーが二人で初めてのヘレスのフェスティバルに登場したのは2年前のサラ・コンパニアでの公演だった。私はみに行けなかったのだけど、そこで認められたのだろう、初めてのビジャマルタ劇場公演。

パトリシア・ゲレーロ作品の演出家フアン・ドローレス・カバジェーロ“エル・チノ”、マリア・モレーノ作品の衣装デザイナー、パロモ・スペインなどを招き、作り上げた、最初の大きな劇場向けの作品。力入っている。

そう全力で頑張った。

最初のマルティネーテに、確かなアグヘータの響きが感じられた。

白い伸縮性のある頭巾のようなものをかぶって蠢くベアトリス。

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

ソレア。アグヘータファミリーらしい響きと90年代にヒットしたフラメンコ・ポップのグループ、ケタマの雰囲気とが混ざっているようなのが面白い。レトラはオリジナルのようなのだけど、ちょっと聞き取りにくい。

©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

上手で赤い衣装に着替え、なぜか黒の固定されたスカートみたいなのをつけて舞台上を移動。
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

赤い、着物袖のような衣装に黒の半纏のようなベスト?を着てソレア。
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez
タラント。
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

ブレリアの振り付けはホアキン・グリロだという。
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

最後は二人でサルサ風の曲を歌い踊って。
©︎Tamara Pastora/Festival de Jerez

うーん。頑張ったのはわかる。でもベアトリスの踊り手としての実力、個性は、現在のスペイン舞踊/フラメンコ舞踊シーンのレベルとも、潮流とも乖離している。いろんなフラメンコがあるのはいいことなのだろう。凄技をたくさんみてきているせいもあるかもしれないけれど、技術的にも表現的にも、もっと色々向上できるのではないだろうか。
そんな中、演出家を招いて作品としてのまとまりを作ったのは良かったと思う。でも衣装は個性的だけど、踊りやすそうには見えない。着物袖とかマントとか、なんかアジアっぽい、というかムーランみたいだったし。そこになんらかの意味があったのかもしれないけれど、それが全くわからない。黒の固定のスカートや最後の方に彼女が一人で走っている振りをするのにも???

全部わからないといけないと言うわけでもないし、フラメンコは自由なアートだと思うけど、舞台作品はやっぱ色々難しいですね。踊り手としての実力があっても作品作りで失敗することもあるし。うーん、色々考えさえられた夜でした。

フルートのフアンとバイオリンのベルナルド、かつてカナーレスやホアキン・コルテスのカンパニーなどで活躍した二人の音色が久しぶりに聴けて懐かしかったことも書いておきましょう。


 

Beatriz Morales – Agujetas Chico from Festival de Jerez Televisión on Vimeo.

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