舞踊部門のヒラルディージョ賞を受賞したアンドレス・マリンの作品。ビエナルでは修道院の1日のお祈りの時間に合わせて踊る、という意欲作を発表。美術館にそのビデオが収蔵されるそうで、踊る場所や衣装なども含め、美術作品的作品でありました。
Bienal-Claudia Ruiz |
今回の作品はもともと、パリのピカソ美術館からの依頼で作られた作品『カルタ・ブランカ』が進化した作品だそうで、内容的には『カルタ・ブランカ』とほぼ重なります。
2015年にセビージャで上演された時に書いたルポがこちらにありますが、出演者はホセ・バレンシアがトレメンディータに変わっただけで、あとは一緒。すなわち、歌にトレメンディータとセグンド・ファルコン、ギターにサルバドール・グティエレス、ダニエル・スアレスのパーカッション/ドラムス、ハビエル・トリゴのクラリネット、ラウル・カンティサーノのサンフォニャとエレキギターという構成。
客席から登場した歌い手二人が舞台の下で歌い始めるオープニングは確かに前回と違うような。コルドバ帽被って踊るアンドレス。下を向いた時の丸い形が印象的。エレキとドラムの音が大きすぎて歌がよく聞こえないのはちょっと残念。
プレゴン、タランタや牧神の午後、仮面つけてのファルーカはピカソへのオマージュだそう。ルンバ、シギリージャ、カーニャなど、さまざまな曲で踊り続けます。それぞれのつながりはないようで、スケッチ集というか、美術館でいろんな絵が並んでいる感じなのかな。
体にムートンの敷物みたいなのとカウベルをつけるのは、同じような格好で練り歩くお祭りにインスパイアされたのでしょう。面白い。そういえば、昔、鐘をテーマにした作品もやっていたよね、とか思い出します。
アンドレスは耳がとてもよくて、コンパスというか、リズムがすごくて、彼の靴音を聴いているのは心地よい。それは前回といっしょ。でも首と胃を突き出すような姿勢が個人的にはどうも受け入れられなく拒否反応しちゃうんだよね。それはもう私のフェティシズム?というか、マニアックな姿勢への執着の現れと言えるかもなんだけど、うーん。
フラメンコ舞踊で、リズムが大切なのはもちろんなんだけど、踊りだから、やはり見た目というのもあるわけで。姿勢、形の美しさ、ってのも大切だと思うんだけど、いや、あれが彼の姿勢であり、個性なのかもしれないとも思うのではあるけど。
前回見た時は結構好きだったはずなんだけど、残念ながら今回はうーん。
ずーっと考えていました。一見、同じようなことをしてるのに、なぜイスラエルにはときめいて、彼にはときめかないのか。ほんとなぜなんだろう。
フラメンコを本当によく知っているし、フラメンコを心から愛しているし、舞台で歌ったソレアもとても良かったし、人柄だっていいし、色々と先鋭的な試みを意欲的にしているし、評価されるべき人だと思うし、今回のヒラルディージョ賞もよかったなあ、と思う。だけど。いやね、単に私の好みの問題といえばそれだけなのだけど、私に見えてない彼の長所があるような気がして、ぜひ、教えて欲しいと心から思うのであります。なんか悔しいのよ、見えてないとしたら。
0 件のコメント:
コメントを投稿