ラ・ウニオンのガラ二日目はサラ・バラス「ボセス」
ラ・ウニオンの舞台は鉄の柱があるので群舞などたいへんだと思うのだけど、スペイン国立バレエやアンダルシア舞踊団も公演している。サラの舞踊団はほぼ常連で、去年も「メドゥサ」を上演。「ラ・ペパ」や「サボーレス」などの作品でもきているそうだ。
いや、これがよかったんです。
カディスで一度観ているんだけど、最初のときよりも良かった。
席は一番後ろのはじっこで、柱もあってよくみえないのだけど、スクリーンもあるせいもあってか、カディスで観た時は気がつかなかったいろんなものもみえて、いやあ、よかったです。
個人的に、サラがオマージュしている6人のうち3人、エンリケ・モレンテ、モライート、パコ・デ・ルシアは、ラ・ウニオンで観た記憶も鮮明で、感傷的になっているってこともあったかもしれない。だから、サラの彼らへの気持ちがびんびん伝わって来たのだと思う。
サラがいわゆる“アフィシオナード”、フラメンコのコアなファンだけじゃなく、 広く一般に強く支持されるのは、彼女がエントレガールするからだと思った。エントレガールは捧げるとか手渡すとか訳すけれど、彼女は自分自身を観客にぽんと差し出す感じなのだ。これが私、これが私のフラメンコ、これが私の心、って言う感じで。それがストレートに観客の心をつかむ。そしてそれを包む、音楽、照明、衣装の美しさ。ある意味、いわゆる“プーロ・フラメンコ”よりもプーロ、純粋なのではないか。もちろん彼女が持って生まれた華もあるだろう。だけどそれだけではない。2時間近い舞台で、舞踊団だけで踊るのは曲とのつなぎが少しだけで、ホセ・セラーノのソレアをのぞき、全部、サラが踊るのだ。
ホセとパレハでのシギリージャ。タランタ。ファルーカ。ソレア・ポル・ブレリア。ブレリア。 そのエネルギー!圧倒されます。
ルビオ・デ・プルーナ、イスラエル、ロセンド。3人の歌がいいから、踊りもどんどんよくなる。ホセのソレアも歌をきいて、歌を踊っているのがわかる。振付け優先ではない、本当のフラメンコだ。
圧巻はサラのファルーカ。歌はなくギター一本の伴奏ではじまるが、ギターの音色と靴音が会話するようにからみあう。フラメンコは踊りも音楽なのだ。そしてパーカッションが加わってそことの絡みも素晴らしい。とここまではカディスでも思ったこと。
そして今日はスペシャルゲストで、サックスのトム・リーズが登場。その見事な演奏に脱帽。もともとジャズの人だけど、音の美しさ、リズムのみごとさ、何をとっても超一流。あとできいたらローリングストーンズともやっているそう。サラのニューヨーク公演のときに一緒にやって、マドリード公演、このラ・ウニオン、そしてマルベージャでまた帰国するそう。最後のブレリアでもサラとからんでほんとすごかった。フラメンコのリズムは難しいと思ってたけど百戦錬磨の一流ミュージシャンはこんなにかんたんに?こなしてしまうものなのでしょうか。すごすぎる。
満員札止めの会場は総立ちで拍手。サラはマイクをもって挨拶。歌い手たちが次々に歌い踊るフィン・デ・フィエスタにいたるまで本当に素晴らしい公演でありました。
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