2018年7月13日金曜日

フラメンケリア/工藤朋子と田村陽子

セビージャはトリアーナ、カスティージャ通りにあるフラメンケリア。
昼間はフラメンコスタジオだが、グアダルキビル川に面した大きなスタジオは夜タブラオに変身。
タブラオと言っても毎日決まったメンバーでライブがあるわけではなく基本週末のみだが
時にアントニオ・カナーレスなどとんでもない大物のライブがあったりするところ。
そこで現在セビージャ留学中の二人、工藤朋子と田村陽子がライブを行った。
鍵田真由美門下の工藤と小松原庸子門下の田村。
日本ではほとんど接点がなかったろう二人がこうしてセビージャで一緒に踊るというのが面白い。

オープニングは二人でマントンを使っての華やかなアレグリアス。
二人とも舞踊団での活動が長いせいもあるのか、非常にきちんとしている。二人で踊るのは初めてだろうと思うのだが、ごく自然な感じ。破綻がない。
マントンも、ある程度重みのあるもので、やはり、マントンはちゃんと刺繍が多めに入ったこういうタイプでこそ、美しく見える、というのも確認。いや、もちろん、二人の技術がしっかりしているというのもある。重みのあるマントンを自在に操るのは体力的にも大変なはずだ。が、いくら技術があっても例えば無地のものだと、軽すぎてひるがえってしまいシーツを干しているように見えてしまうこともある。上級者には上級者なりの衣装、小物が必要なのである。
田村の、胴体の使い方が秀逸。コンクールの時に多かった、鎧のように胴体が動かない人に見せたいほど。体をひねるというのか、ねじるというのか、柔らかく使っているのが良い。日本人の体はスペイン人に比べると平面的なのだが、体の使い方で立体的に見て、棚ミックに見える。工藤のマントンを床に置くときの丁寧さが、小さなことだが、セビージャらしい感じで、留学の成果の一つかも?
ギターソロを挟んで、工藤のソロはタラント。
ちゃんと曲の性格を理解して踊っているのを感じる、男前なタラントだったがちょっと長いし、同じように見えるところがあるのでもう少し振りを整理すればもっとずっと良くなるのではないかと思うが、技術はもちろん、曲への入り込み方など、文句のつけようがない。後半タンゴに成ると歌より先にいく感じもあるが、歌を待って、ためて入るともっとフラメンコな感じになるようにも思う。
田村のソロはシックなバタ・デ・コーラにカスタネットでのシギリージャ。
ここでもやはり体の使い方がうまい。が、ところどころ歌やギターのペースと踊りがうまくかみ合わず混乱するような感じがあったのは残念。また、シージョの背中のところがずれてしまったのも残念。
工藤もシージョのフレコが櫛?に絡まっていたが、こう行ったことはアクシデントで誰にでも起こりうることなのだが、絡みにくいアクセサリーにする、フレコに柔軟剤をスプレーして静電気を避けるなど、また田村なら安全ピンで留めるなど、何らかの工夫でリスクを避けることが可能なアクシデントはなるべく避けるべきだろう。踊りよりそっちに気がいってしまうから踊り手にとっても損だと思う。
踊りのレベルが高いからこそ、細かいところにも気をつけるべきだ。
青い衣装で揃えた最後のブレリアも劇場的で、日本のフラメンコのレベルの高さを改めて感じさせられた一夜でございました。


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