2010年7月12日月曜日

スペイン国立バレエ団マドリ公演

金曜日のお昼にセビージャをたち、スペインの新幹線AVE でマドリードまで2時間半。
夜8時からのスペイン国立バレエ団公演をみてきました。

今回の公演はエスクエラ・ボレーラとなうって、
スペイン舞踊のなかでも古典舞踊というべきジャンル、エスクエラ・ボレーラ尽くしのプログラム。
フラメンコも好きだけど、スペイン舞踊全般が大好きな私としてはこれを見逃すわけにはいかない。。。というわけで1泊ででかけていったわけです。


幕開けは、アンヘル・ペリセ振付けの「スペイン王妃のための6つのソナタ」
ペリセ家はエスクエラ・ボレーラの名門で、アンヘルの祖父がカンパネラに習ったのをはじまりに、父、叔母、弟たちと、踊り手/舞踊教授を輩出してきた名門。
この作品は18世紀の宮廷風の衣装をつけた踊り手たちが
バレエシューズでみせる、純粋なエスクエラ・ボレーラの作品で
跳躍、回転、カスタネットといった、この舞踊の特徴的なテクニックをいかした優雅なもの。振付けの細部までよく考えられており、群舞、ソロと趣向をこらした6曲のつなげかたも美しい。

続く「チャコナ」はベティ先生ことビクトリア・エウヘニア振付けの小品。
こちらはバレエシューズではなくサパトでのスペイン舞踊。
この日踊ったアローニャ・アロンソの姿に、昔みたマリベル・ガジャルドが重なる。
上手にやってはいるのだが、マリベルに比べると細部のニュアンスの表現が弱い。
動きに意味・感情をこめる、というか、もうひとつのつっこみがほしいところ。

ホセ・アントニオがアイーダ・ゴメスに振り付けた「サラバンダ」はモダンなボレーラ。
センスのよい小品だが、ここでもクリスティーナ・ゴメスをアイーダと比べてしまう。
マドリード生まれ、コンセルバトリオの優等生だった小柄なクリスティーナのボレーラには定評があり、そつなくこなす。

続く「モサイコ・アンダルース」となづけた作品集ではそのクリスティーナが
1960年グラン・アントニオ振付けの「プエルタ・ティエラ」を
セルヒオ・ガルシアとパレハで踊ったのが、それこそ絵から抜け出たようにキュート。
最後の「エリターニャ」の群舞も美しく、1958年初演というから50年以上も前のものなのに古さを感じさせないのがすごい。
これこそ“古典”!

休憩をはさんでの第2部は日本でも上演されたことのある「ダンサ・イ・トロニオ」。
舞踊と伊達、というほどの意味で、サパティージャ(バレエシューズ)とサパト(フラメンコ靴)の踊り手たちがそれぞれの見せ場をつくり美しくみせる傑作。
かつてバレエ団監督をつとめたマリエンマの振付け。


こういった作品が上演できるのはスペイン国立バレエ団ならでは。
フラメンコばかりではなく、こういった美しいスペイン舞踊の作品をもっと上演してもらいたいものだ。
そしてまたスペイン中のコンセルバトリオでスペイン舞踊を専攻するこどもたちにも
ぜひぜひみてもらいたい。モチベーションがあがるはずだ。
スペインが誇る文化であるエスクエラ・ボレーラをなくしてはならない。


ちなみにフラメンコを踊るうえでもボレーラを知ることはためになりますよん。
機会があればぜひ一度。

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