2020年10月5日月曜日

エストレージャ・モレンテ&ラファエル・リケーニ

ビエナル終幕を飾るのはエストレージャ・モレンテ。それもいつものグループではなく、ラファエル・リケーニ伴奏でのリサイタル。この特別感って昔のビエナルが持ってた感じ。そうなんです、昔はビエナルでしか見ることができないものがあったんですよ。ビエナル特別企画。今は、アーティストが提案する作品主体だから少ないけれど。 例えば、前回2018年のビエナルならラファエラ・カラスコがハビエル・バロン、ルベン・オルモらとの共演で作った『サロン・デ ・バイレ』がそうですね。

    幕が開くと下手に机を前にした二人のパルメーロ、上手にラファエル。幕が開く前から弾いていて、そこにエストレージャ登場。黒いらめのジャケットにパンタロン。黒地に白い刺繍の豪華なマントンを肩にかけています。昔よりふくよかになって声も太くなったかな。貫禄たっぷりのアレグリアス。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

エストレージャのお父さんであるエンリケ・モレンテの伴奏もしていたラファエルは、エストレージャが子供の頃から知っているわけで、親戚のおじさんみたいな優しい眼差し。


Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

続くティエント、タンゴ。ラファエルの優しい伴奏。お互い慣れていないせいか、ちょっとぎこちない感じもあるんだけど、そこは一流同士だからなんとかなるんだけどね。

マラゲーニャからのアバンドラオ。声の回し方とかいいなあ。ラファの伴奏もナチュラルで。


Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

ソレア・アポラー。シギリージャ。

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ラファエルのギターソロはエンリケ・モレンテに捧げたグラナイーナ。エモーショナル。ちょっと聖週間の行進曲のようなメロディもあったり。

続く、拳で机叩いて伴奏なしのブレリアで、フアニャーレスがヘレスらしさを感じさせ、エストレージャの叔父で昔ホアキン・コルテス舞踊団などで活躍したアントニオ・カルボネルはカンシオンを、なんかファリーナとかポリーナとか思い出させる名調子で。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

衣装を黒いドレスに替え、白地に多色刺繍のマントンでガロティン。これが良かった。

あまりカンテソロで歌われない曲だけど、リケーニの素敵なファルセータもいいし、彼女にあうね。


Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro


再びソレア。そしてタンゴ。サリーダからしてパストーラ・パボン“ニーニャ・デ ・ロス・ペイネス”風。この曲の以前もいっぱい、パストーラが歌ってたレトラ歌ってたけど、うん、パストーラは偉大。

立ち上がってブレリア。カンシオンをいっぱい。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

なんか亡きスペイン歌謡の歌手ロシオ・フラードを思い出させる感じ。カリスマだね。

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アンコールでラファエルが十八番、聖週間の名曲『アマルグーラ』を演奏し、エストレージャがそれに父がつけた歌詞を歌う。


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そのあとも舞台の前に出てマイクなしでカンシオンを歌っておしまい。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

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最高!とまではいかなかったけど、いいコンサートでした。エストレージャ、やっぱカンシオンの方が強いのかなあ。それが悪いわけではないけれど。

というわけで、定員半分でも、劇場に入るたび手指消毒しながらでも、1ヶ月、無事終了いたしました、ビエナル。

近日中に総括書きますね。
 

2020年10月4日日曜日

ダニ・デ ・モロン『クレエル・パラ・ベール』


舞踊伴奏で頭角を現し、2012年にはソロアルバムを発表したダニ・デ ・モロン。若手だと思ってた彼も1981年生まれだからもう39歳なんですね。びっくり。2015年には2枚目のCDをだし、今年もこの9月に新譜を発表したばかり。
その新譜『クレエル・パラ・ベール(見るために信じる)』のプレゼンテーションをも兼ねたコンサート。ここ数日で急にセビージャも涼しくなり、夜の野外公演には寒い。薄いダウン着て行きました。会場にもコートや革ジャンなど着てる人いましたよ。満員。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro


オープニングからしばらくは、ベース(エレキ&ウッド)、パーカッションとトリオ構成で、パット・メセニー系の、ジャズ風の演奏。そこに時々フラメンコの聴き慣れたフレーズが出てくる、という感じ。1曲目は『La Mazaroca』かな。2曲目はタンゴのリズムかな、と思うとマリアーナのメロディが出てきたから『Mary Anne』。マリアーナを英語風にした曲名が面白い。3曲目はシギリージャのリズムだと思うのだけど、音程が違うし、なんだろう。4曲目はソレアの伝統的フレーズが入ったり。興味深い曲たちであります。


Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

ソロでシギリージャ。ここにもマリアーナのメロディが隠れている?

スペイン歌謡の名曲『緑の瞳』を演奏するのは、最後のアルバムがスペイン歌謡集となったパコ・デ ・ルシアへのオマージュかな。パコの第2ギター弾いたこともあったよね。カディスで見たのが懐かしい。

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 パーカッションと二人で一曲。曲は『ANI MAAMIN』かな。後、再びトリオで。

「外出するのも命がけのようなこんな時にコンサートに出てきてくれてありがとう」と客席に話しかけて、最後の曲、『コンケ』。そしてアンコールのブレリア。

この最後のブレリア、最初のアルバムに収録した曲だけど、これが一番盛り上がったかも。バリバリリズムでガツンとくるやつ。

やっぱ、わかりやすいフラメンコをみんな求めているのかも、と思ったことでした。

2020年10月3日土曜日

イスラエル・ガルバン&シルク・ロマネス『ガトマキア』

イスラエル・ガルバンの新作はパリのジプシーサーカスとの共演。
セントラル劇場に入ると、舞台は客席とフラットになっており、舞台脇にも客席ができています。可動式の客席であるこの劇場ならでは。
真ん中に赤い丸い円。後ろにはカーテン。と、サーカスのテントを模しています。
そして片隅には猫!本物の猫ちゃん!



一本歯の高下駄で登場し、なんと、これでサパテアードするんですよ!
歩くだけでも大変なやつですよ、これ。
歌いながらこれでサパテアードやってるの。歌というか、ごちゃごちゃした掛け声。
最後なんてベティ、ベティと彼が愛するサッカーチームの名を唱え、ゴール!とか言ってたし。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

客席の隅でブーツに履き替え、猫の鳴き真似をしながら、イスラエルファンにはお馴染みの金属製のゆり椅子(確か『アレーナ』で使ったのが最初)を使って踊ります。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

ここでサーカス一座の親方であるお父さんが説明したのによると家族と19匹の猫でトレーラーハウスに暮らし、ショーを行なっているそうな。彼がイスラエルの公演を観に行った時に、イスラエルが今度はあなたたちのを観に行きます、と行ってやってきたのが最初で、その後、空いているトレーラーハウスに2ヶ月住み込んだんだそうな。

おどけた音楽で登場し、帽子を使って踊ったり、ピエロでございますな。


Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

カーニャの歌詞をギター弾きつつパソドブレ風に歌うカラカフェ。

エプロンつけて、ポケットからおもちゃのピストル出したりして踊ったり。ドラえもん?(後ろで見てた友だちに聞かれて、あ、たしかに!と思ったのでした。)

小さい丸い台に乗って踊ったり。

サーカスのカリカチュアって感じ。最初の高下駄も竹馬に乗ってるような感じだしね。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

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『フィナル・デ ・エステ・エスタード・デ ・コーサス』で使った(ひょっとすると『ガルバニカス』でもかな?)所々、凹んだり、跳ね上がったりする板の上で踊って、その上に並べられた鍋釜フライパンを落としたり。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

今度はカフェエプロンに替えて、闘牛場の喝采の中、ポーズだけで踊ったり、サパテアードにピトーや体叩いたりの人間パーカッションになったり。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

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猫に餌をやり、というかぶちまけ、その上でサパテアード。

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猫の鳴き真似で歌われる曲で猫耳つけて踊って、

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バストン使って踊ったら、最後、バストンが尻尾になるというオチ。


Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

カーニャ風ガロティン、ガロティン風カーニャ?とかも面白い。

とここまで45分、ほぼ踊りっぱなし。

「僕の妹」と紹介し、パストーラ登場。王冠つけて、超ピンヒールで色っぽく動く。

さっきの高下駄がピンヒールに変わって、これもやっぱり竹馬なのね。


Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

金色の靴に履き替え、カラカフェによる詩(エウヘニオ・ノエルがパストーラ・インペリオの踊りをたたえたもの)の朗読で、踊る。ソレアのリズムでマルカールしていく感じ。

そのフラメンコなこと!

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

なんかね、ちょっと太ったんだけど、その太り方が理想的で、よりフラメンコで、よりセクシーな感じ。

裸足になって、エプロンつけて、カラカフェが奏でるスペイン歌謡のアレンジ集はラジオのイメージかな、おばちゃんが台所で踊っている感じで、彼女の作品『パストーラ』で最初にタンゴ踊ってた、あの感じ。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

フライパンをギターのようにしたり、ブルブル震える機械の上で、声だしてビブラートかけたり。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

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で、次はサーカスの登場。大きなワッカを回してそこに乗ったり、

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

フラフープにしたり
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新体操のような女の子と絡みながらのお手玉だったり、素朴な芸。
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布に体巻き付けての空中遊泳エアリアルがこの日一番の大技。
Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

彼女が空中ブランコに座って、そこに猫が登るはずだったのだけど、猫、餌食べ過ぎか、登らず。ハムでつるも、登らず。またたびでも送ってあげようかしらん。
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再び登場した兄妹による踊りはかつてマエストランサ劇場で踊ったセビジャーナスだよね?

音楽違うけど。

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ルーマニア風のジプシーダンス?をスカートひらひらさせて踊ってフィナーレ。
Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro


曲はラス・グレカスの『Anma Inmi』

客席にいたイスラエルたちのお母さんや弟も舞台に出てひと踊り。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

 ジプシー万歳、ってとこですね。

ん〜。イスラエル、パストーラ、サーカスの三部構成って感じで、バラバラな感じだったのはちょっと期待外れかも。

いやね、イスラエルが自由に遊んでる、っていうか。

いつか観たような動き/振りが多く、ある意味、今までの踊りの総集編みたいな感じで、新味はないけど、足技もすごいし、腕なんかもばっと伸ばすとそれがどこまでも伸びていくような感じがするくらいに、個人技は堪能できて、それはそれで満足だし、パストーラのかっこよさも再認識できたし、それはそれで良かったんだけどさ。でもやっぱもうちょっとつながって欲しいというか。

サーカスの人が膝叩いて踊るのとか、一緒にやるかな、と思ったんだけどなあ。なんかこれだと一緒にやる意味があんまないような。


結論。天才はやりたいことを自由にやることができる。

天才の見せる一瞬見たいもんなあ、やっぱり。

あ、今回なぜかあんまりイスラにいつものような内包するコンパス感じなかったんだけど、なぜだろう。解体中?

2020年10月2日金曜日

ホセ・デル・トマテ

22時からアルカサルで、トマティートの息子、ホセ・デル・トマテのコンサート。

2018年、二十歳の時にCDデビューを果たし、昨年セビージャでもリサイタルを行ったのだけど、その時の印象が悪くなかったので、再び。


Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro


タランタからのグループでのブレリアというプレゼンテーションは一緒だったけど、ソレアをソロで弾いたり、パコ・デ ・ルシアの『愛のうた』を演奏したり、レパートリーは増えてるし、上達してる。さすが若いね。

とは言っても、まだ足りない。お父ちゃんが君の年頃には、と言いたくなるし、『愛のうた』もまだ人前で演奏するほどにはこなれていない。

ただ、ソロでも曲の形がちゃんとできてるし、ブレリアのアタックの鋭さとか、才能の片鱗みたいなのは見え隠れするんだよね。タンゴ、ブレリアのノリもさすがだし、最後のブレリアの最初にマンサニータの曲入れるとかもツボ。

日本もそうだけど、今の20歳と昔の20歳は違うよね。今の方が、一人前になるのに時間がかかる。フラメンコもそう。そんな中パコと同じく20歳でデビューアルバム、リリースした彼だけど、パコの20歳やお父さんトマティートの20歳(カマロンに見出されて『レジェンダ・デル・ティエンポ』録音)に比べるとまだまだ足りない部分も多そう。だけど、MCも堂々とこなす現代っ子。

また見てみたいな。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

でも歌い手もパーカッションも変えてくれると嬉しいかも。


2020年10月1日木曜日

ドランテス『イデンティダ』

サン・ルイス・デ ・ロス・フランセセス教会でのピアニスト、ドランテスのリサイタル。

18世紀のバロック教会(現在はセビージャ県の管理下で教会としては使われていない)の真ん中にピアノが置かれ、四方を客席で囲む形。

どこか東洋的な、切ない調べの曲で始まり、ソレアのリズムやカンシオンなどを取り入れた曲、グラナイーナ?風の歌が浮かぶようなメロディやマノロ・サンルーカルへのオマージュと言っていた通り、名盤『タウロマヒア』のオラシオンのようなメロディが出てきたり。


Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro


弦楽器で打楽器なピアノならではの演奏。ギターの音を再現するようなところもあるけど、メロディを奏で、リズムを刻み、世界を広げていくよう。

アレグリアスはリズムと新しいメロディできかせます。

昔のフラメンコピアノはメロディ中心、また歌唱やギターの演奏を再現する、というイメージだったのではないかと思うのですが、現在は大きく変わり、様々なテクニックを用いて、ピアノを通じて自らのフラメンコを表現する、という感じではないでしょうか。


Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro


この日最も感動したのはシギリージャ!伝統的なファルセータを再現したかと思うと、現代音楽風のバリエーションへ。シギリージャの深刻さ、深い悲しみ、重さ、など曲のもつ性格を見事に表現しています。マノロ・カラコールが歌ったサンブラを挟むなどの小技?も効いています。


Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

 早いテンポで始まったのが実はティエント。自由に駆け回っているようで、実はすごくよく考えられているな、という感じ。

坂本龍一ぽい感じや、映画音楽的なものがあったり、ピアソラぽかったり。

いろんな音楽聴いているんだろうなあ。

フラメンコの坂本龍一、って言ったら本人、どう思うかな。でもクラシック系のペドロ・リカルド・ミーニョ、ジャズ系チャノ・ドミンゲス、ジャズ/ロック系ディエゴ・アマドール、とかイメージで分類していくと、ドランテはニューエイジ系、って思ったのを思い出しました。

前日のトレメンディータもそうだけど、フラメンコを熟知し、解体し、再構築していくこの感じ、すごいし、面白い!

ソロ演奏、おすすめです。


ちなみに一番前の席だったので、初めて、指の動きまでつぶさに見ることができました。

2020年9月30日水曜日

ラ・トレメンディータ『トレメンダ』

いやあ、楽しかった。すごかった。
フラメンコ未来形?いやすでに現在形。

伝統的なアコースティックギターでのフラメンコもいいけれど、エレキベースにドラムにキーボード(+シンセサイダー、シーケンサーなど)伴奏のめちゃかっこいいフラメンコってすごくいい!のであります。

新奇をてらってやっているのではなく、これがいいからやっているし、編曲のかっこいいことと言ったら、もう。すごすぎ。
編曲はトレメンディータとドラムのパブロ・マルティン・ジョーンズ(ロシオ・モリーナの公演とかにも出ています)。


幕が開いたら、ロックコンサートのようなイメージの照明のセッティングで、上手からドラム、エレキベース、キーボード、カホン、パルマ2人が座っていて、下手の端にいるのは、あれ、おばあちゃん? うちの近所でいつも朝ごはん食べてる、トレメンディータのおばあちゃんだ!

電子音の中、トナを歌いながら登場し、自分でもカホン叩きながら歌うシギリージャ。エレキベースが奏でる伝統的なファルセータがめっちゃかっこいい。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro


トレメンディータは本名ロサリオ・ゲレーロ。1984年セビージャはトリアーナ生まれ。父はタブラオなどで活躍する歌い手ホセ、トレメンドで、芸名はそこから。トレメンド/トレメンダはものすごい、という意味であります。昔、まだ十代の頃、ウニオンやコルドバのコンクールに出場してた頃から知ってるけれど、いやあ化けました。大きく化けました。

伝統的なフラメンコも熟知しているけど、フラメンコだけ聴いてきたわけじゃないから、いろんな楽器でもフラメンコを、自分なりの形で表現しているのだと思います。

エンリケ・モレンテが歌っていた、ロルカ作イエルマの『no te pude ver』の詞で、違うメロディのコーラスに始まるセラーナ。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro


エレキベースを持って弾き語るペテネーラ。ニーニャ・デ ・ロス・ペイネスも歌っていたレトラ。こうやって新しい命が与えられていくのかもしれなません。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro


Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

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そっと、本当にそっと登場したアンドレス・マリンが歌うタランタ。これがそこらの歌い手顔負けの味わい。伴奏するトレメンディータが最後のレトラは一緒に歌う。


Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro


レジェスおばあちゃんは歌わない、踊らない。舞台のはしで孫を見守り、時々、机叩いてコンパスとってるだけ。

でもその存在が、なんとも言えない味わい。最先端、超モダンなアレンジの音楽、舞台の中に、歴史と伝統のおばあちゃんがいることが意義がある、ってことまで考えたわけじゃないだろうけど、孫のリサイタルを心から楽しんでいるようなおばあちゃんにほっとする。


Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

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パルマ二人のみの伴奏でのブレリア弾き語り。

Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

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アレグリアスのイントロのベースの演奏がカッコよすぎた。伝統的なフレーズからいくつかの音を抜き取って、でもアレグリアス感があるというやつ。


Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro


ソレアでもニーニャ・デ ・ロス・ペイネスが歌っていた伝統的な歌詞を歌います。

コンサートの半分が伝統的な歌詞、後の半分が今の歌詞、という感じかも。


Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

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 最後のこの写真だけ見たらフラメンコ公演だとは思わないよね。片側刈り上げ、半分長髪のロサリオも歌い手には見えない。でもそれが本格正統フラメンコを見事に歌い上げるのであります。超かっこいい編曲で。

これが生まれて初めて見るフラメンコだったら、若い世代にもフラメンコがぐっと身近に感じられるのではないかなあ。ロサリアもいいけど私のおすすめはロサリオ。フラメンコ好きにも興味がないロック少年少女にも絶対おすすめ。

とかも思ったけど、そんなこと何より、いいエネルギーで心が満タンになるコンサートでした。ああ、楽しかった。

も一度いうけど、奇をてらったわけじゃないよ。愛と敬意で自分のフラメンコを描いているだけだよ。だから気持ちがいいんだ、そう思います。