2020年10月1日木曜日

ドランテス『イデンティダ』

サン・ルイス・デ ・ロス・フランセセス教会でのピアニスト、ドランテスのリサイタル。

18世紀のバロック教会(現在はセビージャ県の管理下で教会としては使われていない)の真ん中にピアノが置かれ、四方を客席で囲む形。

どこか東洋的な、切ない調べの曲で始まり、ソレアのリズムやカンシオンなどを取り入れた曲、グラナイーナ?風の歌が浮かぶようなメロディやマノロ・サンルーカルへのオマージュと言っていた通り、名盤『タウロマヒア』のオラシオンのようなメロディが出てきたり。


Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro


弦楽器で打楽器なピアノならではの演奏。ギターの音を再現するようなところもあるけど、メロディを奏で、リズムを刻み、世界を広げていくよう。

アレグリアスはリズムと新しいメロディできかせます。

昔のフラメンコピアノはメロディ中心、また歌唱やギターの演奏を再現する、というイメージだったのではないかと思うのですが、現在は大きく変わり、様々なテクニックを用いて、ピアノを通じて自らのフラメンコを表現する、という感じではないでしょうか。


Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro


この日最も感動したのはシギリージャ!伝統的なファルセータを再現したかと思うと、現代音楽風のバリエーションへ。シギリージャの深刻さ、深い悲しみ、重さ、など曲のもつ性格を見事に表現しています。マノロ・カラコールが歌ったサンブラを挟むなどの小技?も効いています。


Archivo fotográfico Bienal de Flamenco. Fotógrafa: Claudia Ruiz Caro

 早いテンポで始まったのが実はティエント。自由に駆け回っているようで、実はすごくよく考えられているな、という感じ。

坂本龍一ぽい感じや、映画音楽的なものがあったり、ピアソラぽかったり。

いろんな音楽聴いているんだろうなあ。

フラメンコの坂本龍一、って言ったら本人、どう思うかな。でもクラシック系のペドロ・リカルド・ミーニョ、ジャズ系チャノ・ドミンゲス、ジャズ/ロック系ディエゴ・アマドール、とかイメージで分類していくと、ドランテはニューエイジ系、って思ったのを思い出しました。

前日のトレメンディータもそうだけど、フラメンコを熟知し、解体し、再構築していくこの感じ、すごいし、面白い!

ソロ演奏、おすすめです。


ちなみに一番前の席だったので、初めて、指の動きまでつぶさに見ることができました。

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