マラガ、セルバンテス劇場での、サラ・バラスの新作「ソンブラス」。
これがアンダルシアでの初演と成る。5日間の公演がすべて満員御礼。
さすがの人気、そしてそれに応えた、彼女の熱い心がダイレクトに伝わってくるようなパフォーマンス。
前作「ボセス」は、彼女が敬愛する6人のアルティスタへのオマージュということもあるのか、ベースにどこか悲しい気持ちが流れているような感じがあり、抑制された雰囲気もあったように思うのだが、この「ソンブラス」は100%サラ!な作品。
明るく華やかで、エネルギーに満ち溢れている。
ソンブラスとは影のこと。
なので、影、シルエットを効果的に使いっているのはもちろん、ダンサーを描いた絵の幕も、写真で見るよりもずっと素晴らしく、そこにショーアップされた華やかな照明が加わり、雰囲気を盛り上げる。
シルエットでのオープニングから、「ボセス」でも踊っていた、ファルーカへ。
最近、各地のペーニャやフェスティバルで引っ張りだこの、歌のイスラエル・フェルナンデス、ルビオ・デ・プルーナが素晴らしい。
サラは水玉のシャツに黒いパンタロン、ベスト、スカーフといういでたち。
ギターやパーカッションとの掛け合いで聴かせるサパテアードは楽器のようで、フラメンコは音楽を生む舞踊なのだと改めて感じさせられる。
群舞でのバストンを使ったロマンセを挟んで(ここでも歌の良さが光る)、トルコブルーの衣装でサラが踊るのはセラーナ。多分、彼女がこの曲を踊るのは初めてではないだろうか。
サラの言葉の録音で影が踊る。
アバニコを使った群舞にティムのサックスが絡む。
黒い衣装のホセ・セラーノと真紅のサラとのワルツ。青い光の中、楽しそうに踊る、ロマッチックなシーンだ。ロルカの詩「ペケーニョ・ワルツ・ビエネサ/小さなウィーンのワルツ」をレナード・コーエンが歌った「テイク・ディス・ワルツ」。エンリケ・モレンテも歌った、この曲のノスタルジック
群舞のマリアーナ。
バタとマントンの群舞にティム。
ホセのソロは生き生きと本領発揮。レマテのかっこよさ。
アラ・マリキアンのバイオリン録音による群舞での男性のスカートをマントのように使う不思議な場面。
サラのアレグリアスは赤いマントンで。それがティムとのナンバーになり、二人の掛け合いで見せる。サパテアードの音は正確で美しく、エネルギッシュ。
終幕でのこのパワー。どこからこんな力が湧き出てくるのだろう。
全員でのブレリア、そしてフィン・デ・フィエスタに至るまで、力を抜くことなく全力投球。
最後はもちろん劇場全体がスタンディングオーベーション。
すべての観客を満足させるエンターテイナー。
スペイン語でいうシャポー、まさに脱帽だ。
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