2014年2月25日火曜日

ヘレスのフェスティバル2014四日目ベレン・マジャ「ロス・インビタードス」

ベレン・マジャ「ロス・インビタードス」
ロス・インビタードスはゲスト、招かれた人たち、という意味で
これまで数々の公演にゲストとして出演してきたベレンが
今度は自分の好きなアーティストを招いたというもの。

夢みているかのよう、という彼女の気持ちゆえか
横たわるベレン。
©Festival de Jerez, 撮影Javier Fergo/全部

ヘマ・カバジェーロの高く澄んだ声
ホセ・アニージョのフラメンコな声
ブレリア・ポル・ソレアで
ムイ・フラメンコなパソをみせたかと思うとしっとりとカンテソロ
 ベレンを見守るようにそばに付かず離れずいる男(俳優)。
そのまなざしは恋人のようでも兄のようでも父のようでもある。
舞台奥に赤いバタ・デ・コーラに黒地に白い刺繍のマントンで立っていたのは
ベレンではなくマヌエル・リニャンだった!
リニャンのバタ・デ・コーラは
その昔、ラファエラ・カラスコ舞踊団で男3人でセビジャーナス踊ったこともあり
昨日のガラのカラコーレスも彼の振付けだった。
そして今日もカラコーレス。
その見事なバタさばきに思わずオレ!
軽やかに宙を舞い、翻る。
どうしてこれを昨日のバイラオーラたちは学ばなかったのだろう。
女性舞踊のシンボルであるバタでありながら
男性らしさを失わない。
白いTシャツにズボン吊り。
筋肉の目立つ腕でこれまた見事にマントンをひるがえす。

そこに赤いシャツに白のバタ・デ・コーラのベレンが
二人で踊る姿の美しさ!

ベレンの両親とグイトによるトリオ・マドリードというグループがあって
マリオとグイトがデュオで踊っていた姿(ビデオはこちら
と二重写しになる。
息があった見事なコンビネーションでのカンティーニャス。

俳優が突如トランペットで吹き出すのはチーク・トゥ・チーク
ハビエル・パティーノがそれをギターで弾けば
サッチモばりに英語で歌い出すのはなんとトマス・デ・ペラーテ!
それが合唱団に引き継がれ
俳優と羽の衣装で踊るベレン
まさに夢の瞬間!
ベレンのいにしえのダンスの再現ぶりも見事だし
フラメンコ作品の中でありながら全く違和感がないのも不思議。

ホセ・バレンシアの見事なシギリージャを椅子に座ってきいていたベレンは
紫のバタ・デ・コーラで彼が歌うソレアを踊る
 そして最後はタラント
カルメン・モーラのビデオが最初に流れ
ベレンによる母へのオマージュ
母に歌ったカルメン・リナーレスが
娘ベレンに歌う。
 魔法のような美しさ。
娘の姿に母が重なる。
その昔
ベレンがセビージャのタブラオ、ロス・ガジョスのオーディションを受けるため
母のビデオをみて学んだというタラント
  

最後は全員が舞台に集まってくる
そのシルエットがマリオ・マジャ舞踊団そのもので
背筋にぞくっときた。

ベレンの夢の宴は
観客の私にとっても夢の宴
曲と曲、アーティストとアーティストをつないでいく演出も素晴らしい。
楽屋に多くの踊り手たち、がかけつけたのは
きっと同じ気持ちだったからだろう。
マリオ舞踊団のいわば同期の
ラファエラ・カラスコ、マヌエル・ベタンソスをはじめ、
ウルスラ・ロペス、レオノール・レアル、サラ・カレーロ…
幸せな気分で劇場を後にする。
これだけでヘレスのフェスティバルに来た意味があるというものだ。

絶品舞台のビデオはこちら
こうして改めてみてもベレンの趣味の良さが伝わってくるなあ

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