ホセとパストーラ親娘が出演中のガルロチで、ガルバン親娘のバックを務めているミュージシャンたち、ガジ、ミゲル・ラビ、パコ・イグレシアスと日本人ダンサーが共演する公演も3回行われ、その3回目が5月15日に開催された。
AMI蒲田厚子と渡部純子。80年代後半にスペインにわたり、セビージャでは同じ先生に習ったこともあるベテラン二人。90年代にはコルドバのコンクールで優勝したAMIとバルセロナのタブラオのレギュラーだった渡部。長いスペイン生活で、フラメンコの表現に欠かせない、スペイン人の感情の機微もつかんでいる彼女たちが二人でつとめた舞台は、ラビのカラコール風サンブラ、ガジのマルティネーテからの二人で踊るシギリージャによるプレセンタシオン、ガジのカンテソロ(タラント/タンゴ)、バルセロナが長かったせいか、カルメン・アマジャぽいブラソが所々に出てくる渡部のソロ、タラントと続いてからのAMIのグアヒーラ。これが超絶品。涙が出るほど素晴らしいものだった。
ガジが歌うカンシオン(後で聞いたら、スペインが誇るシンガーソングライター、ジョアン・マヌエル・セラットの曲だそうだ)で始まり、その間、舞台に足をかけ、扇子を開いたり閉じたり。グアヒーラの歌が始まると水を得た魚のように踊るAMI 。振り付けを踊っているのでなく、歌を、グアヒーラという曲そのものを踊っている。扇子を使って遊ぶような振りがあったり、表情や仕草も優雅さ、それもグアヒーラの世界ならではのコロニアルな、どこかのんびりして自由な雰囲気の中の優雅さやユーモアも見せながらの自由自在。芯がちゃんとしているからの自由さ。コルドバで賞を取ったのもこの曲だったけど、あの頃のグアヒーラも思い出させてくれながらもより自由で、余裕があって、品格がある。スペインでこの曲を得意とする踊り手たちにも見てもらいたい、そんな風に思うくらいすばらしかった。素晴らしすぎて涙が出てきた。
第2部はラビのカンテソロでマラゲーニャ、渡部の中折れ帽を使ったアレグリアス、AMIのソレアでフィナーレのブレリアへという構成。
渡部はタブラオにレギュラー出演していただけあって、観客とのコミニュケーションがすごい。ちょっとした仕草で観客をつかんでしまう。実は、35年前一緒にスペインに渡った彼女が、マノロ・マリンやホセ・ガルバンのクラスに通っていた時代を知っているせいか、80年代後半のホセっぽい感じがすごく感じられて感慨深かった。またAMIのシギリージャに彼女が習っていたアンドレス・マリンのブラソのくせみたいなのを感じたり、と、勝手にノスタルジーに浸っていた私だったのでありました。
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