2020年8月15日土曜日

ビエナル(夏の陣)開幕! リカルド・モレーノの世界

 ビエナルが開幕しました。

とは言っても9月の本番を前にした前哨戦のような公演で、88年や90年にもドン・ファドリケで開かれていたなあ、と思い出します。今回の舞台はセビージャ市内の北の端の方にある、サン・ヘロニモ修道院のお庭。

ちょっと遠い。旧万博会場内にあるセントラル劇場よりもどんどん北に行ったところの川沿い。3番のバスで行きます。

そこに特設舞台が作られ、ソーシャルディスタンスを考えて十分に感覚をとって椅子を配置しています。

bienalからもらったリハーサル写真で見るとこんな感じ。


La Bienal
La Bienal


舞台は高めです。



もちろんお客さんも全員マスク着用。みんなちゃんとしてます。この青い、外科マスクと言われる、お医者さん用の使い捨てのものがスタンダードだけど、おしゃれマスクの人も時々います。

リカルド・モレーノと言っても日本ではまだほとんど知られていないのではないでしょうか。1981年レブリーハ生まれ。ヒターノの血筋で、11歳の時には祖母や叔父たちを伴奏していたと言います。20歳でフラメンコ ・フュージョン系のグループでデビュー。以後、作曲家、プロデューサーとして、アンダルシア観光局CM曲なども手掛けていました。ドランテスやホルヘ・パルドらとの共演などを経て、2015年ソロアルバム『バレカイ』をリリースしました。このあたりからフラメンコ界でも知られてくるようになったと思います。

コンサートはロンデーニャに始まりグラナイーナ、ブレリア、アレグリアス、グアヒーラ、7弦ギターによるロドリーゴへのオマージュ(ちょこっとアランフェスの一節なども挟んでる)であるインプロ(をマヌエル・モリーナに捧げる、という複雑さ)、そしていろんなブレリアを組み合わせた組曲。

というと普通なんだけど、実際にはロンデーニャの最後にはパルマのメジによるマルティネーテを挟んでのカンシオン風のシギリージャがあったり、なんというか精神が自由。
一つ目のブレリアも、聞いたことのない、オリジナリティにあふれるもの。
もちろん、パコやトマティート、ビセンテと言った先駆者たちの影響は見えるのだけど、既存のものをなぞっているのではなく、自由な精神で再構築していく感じ。
アレグリアスは三弦の調弦を変えてる、というし、グアヒーラは8分の5拍子だし(「首切られるかもだけど」って本人言ってた)、縛られず、でもフラメンコを愛し、敬意を持って、自分の世界を築いているという感じ。面白い。
実際問題、昔ながらのフラメンコの型の中でやってくれた方がわかりやすく。個性が見えて楽しめる部分っていうのはあるのだけど、これはこれで面白い。

La Bienal


最後は4歳の長男が舞台に上がってちょっと歌って踊って。

ああ、フラメンコはこうやってフラメンコ を遊びとして育っていくんだなあ、フラメンコは遊びなんだなあ、と思ったことでした。


照明も綺麗で、曲にあっていてよかったけど、コーラスとかはちょっと古臭く思えちゃう。多分普通のカンテの方が今は新しい感じがするんだろうな。

新しいものが古臭くなって、古いものが新しく見える、って時代の移り変わり、なんでしょうね。




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