2019年11月28日木曜日

アンダルシア舞踊団25周年記念公演

アンダルシア舞踊団25周年記念公演は11月26日、小雨模様のセビージャはマエストランサ劇場で。

アンダルシア舞踊団は1994年アンダルシア自治体政府により創立されました。

当初の名前はコンパニア・アンダルーサ・デ・ダンサ、初代監督はマリオ・マジャ。
以後、多くの才能を世に送り出してきたのであります。
ちなみに初代メンバーはゲストにアントニオ・アロンソとディエゴ・ジョリ、他にベレン・マジャ、イスラエル・ガルバン、イサベル・バジョン、ラファエラ・カラスコ、ベアトリス・マルティンがソリストで、群舞にはマヌエル・ベタンソやアンヘル・アティエンサ、マルコ・バルガス、ラモン・マルティネス、バレリアノ・パーニョら、まさに錚々たる顔ぶれだったのでありました。
マドリードのプエルタ・デル・ソルそばにあったアルベニス劇場での公演をはるばる観に行ったのを覚えてます。
その後、マリア・パヘス、ホセ・アントニオ、クリスティーナ・オヨス、ルベン・オルモ、ラファエラ・カラスコ、ラファエル・エステベスと、監督は代わり、現在はウルスラ・ロペスが芸術コーディネートという名の実質的な監督を務めています。

過去の作品の名場面などを集めての公演は、旗揚げ公演の第2部で上演された、マリオ・マジャ振付『レクイエム』に始まりました。
大掛かりなセットは映像に成っていましたが、ゲスト出演の、マリアノ・ベルナルとロサ・ベルモンテのパレハ(二人ともかつてメンバーだったことがあります。初演ではアントニオ・アロンソとベアトリス・マルティンだったかと思います)と、敵対するのはディエゴ・ジョリ。ディエゴは初演のそのままの役どころを踊ります。時の流れを感じさせません。
ラベルの『ボレロ』のようなリズムにヘマ・カバジェロが歌うアバンドラオ?の歌が乗ったり、男性たちによるバストンを使った振りの豪快さ。いやあ、やっぱマリオはすごかったなあ。
なお、この旗揚げ公演での第1部でのディエゴ・カラスコの曲を使ったフラメンコは、国立バレエで上演予定です。3月へレスでお披露目。こちらも楽しみです。

マリオの退団後、しばし監督は空席となりましたが、その時に初演されたのが、マノロ・マリンの振付での『イベリア組曲』と『アルトサーノのフラメンコ、ティエント タンゴ』。コルドバのグランテアトロでした。その時、注目されたのがラファエル・カンパージョ。その後、ホセ・アントニオ監督時代にも二人でのナンバー、『ゴルペ・ダ・ラ・ビダ』を踊るなど、舞踊団と縁の深いラファエル。マノロの振付にインスパイアされたというタンゴを踊りました。マエストランサの大きな舞台で一人きり。得意曲だけにしっかり踊ります。

1996年『アンダルシアの犬、ブルレリアス』を振り付けたマリア・パヘスが監督に就任します。この代表作のセントラル劇場での公演は衝撃的でした。キューバの歌謡やピアソラのアルゼンチンタンゴなどなど、フラメンコじゃない曲をフラメンコで踊っている! 振付賞も受賞したこの作品の再演は残念ながらされませんでした。見たかったなあ。

1997年、元スペイン国立バレエ団監督のホセ・アントニオが監督に就任します。
そこに呼ばれてハビエル・ラトーレがエンリケ・モレンテの『ファンタシア・デ・カンテ・ホンド』に振り付けた『コサス・デ・パジョ』。その第3楽章が上演されました。
20年以上前の作品なのに、全く古びていない、というのはマリオと同じ。
ホセ・アントニオは数多くの作品を世に送り出すとともに、ハビエルやマノレーテの作品を上演したり、アントニオ・ガデス『血の婚礼』を上演したり、また若手育成をしたりした、功労者ホセ・アントニオの振付作品の中からはカルメン・アマジャへのオマージュ作品『レジェンダ』(2002年)が上演されました。印象的な白い長いバタ・デ・コーラと黒いバタ・デ・コーラのシーンです。初演でも踊ったウルスラがみせてくれました。

2004年にクリスティーナ・オヨスが監督に就任し、Ballet Flamenco de Andalucía と名を変えます(日本語では変わりません)。彼女の振付作品からは、愛知万博時に名古屋で上演された『南への旅』(2005年)から。真っ赤な衣装での群舞で見せる『情熱』の場面。クリスティーナをロサ・ベルモンテが、フンコをマリアーノが踊ります。エネルギッシュで華やか!


2012年、初の公募制で選ばれたルベン・オルモが監督に就任し、翌年初演した『ジャント・ポル・イグナシオ・サンチェス・メヒアス』から、闘牛場へ向かうシーンを。ルベンが踊った闘牛士、イグナシオはクリスティアン・ロサーノが踊りました。ルベンの優美な、性を超越した雰囲気とは違い、男らしい闘牛士となりました。闘牛のケープをマントンか男性舞踊のマントのように使う美しい振付です。また黒い衣装の男女が牛をイメージさせる振付も力強くて素晴らしい!この部分はアルバロ・パーニョの振付です。


最後はラファエラ・カラスコ『カンテの記憶に』。2014年初演というからあれからもう5年も経つのですね。早いなあ。ラモン・モントージャのロンデーニャを6人の男女が弦のイメージで踊る美しいシーンと、この作品の最後に見せたラファエラがマカローナのイメージで踊るカンティーニャ。見事。

最後はウルスラの振付で締めてくれました。


終演後は地下でレセプションがあったのですが、そこに集う顔を見て、改めてこの舞踊団が、フラメンコに果たしてきた役割を思い知らされました。

すごいなあ。
真ん中にいるのはディエゴ・ジョリとボルハ・コルテス、歌い手のビセンテ・ヘロ。
左端にはマルコ・バルガスがいるし、ラモン・マルティネスやアナ・モラーレス、ダビ・コリア、フアン・パレデス、ウルスラ・ロペスやマヌエル・ベタンソの顔も見える。
彼ら、みんながこの舞踊団にいたんだよ。


25周年おめでとうございます。




記念公演ということで言えば、2014年に20周年記念でラファエラ監督のもとで行われたビエナル公演での方が、作品としてのまとまりがあってよかったけど、うん、これはこれで、過去を振り返った集大成ということで、ありですね。


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