2018年9月29日土曜日

アナ・モラーレス「シン・ペルミソ。カンシオネス・パラ・エル・シレンシオ」

20時30分からロペ・デ・ベガ劇場。
アナ・モラーレスの新作は、彼女らしい作品だった。
鍛えられた肉体による、細やかな神経が行き届いた完璧なテクニック。
ひとつひとつの動きが美しい。回転、アラベスク、カンブレ…
特にブラソが素晴らしい。腕を伸ばすとそのまま手が伸びていくような、手の先にこっちの心も持っていかれそうな、そんな感じ。
きっちりしたコンパスなのだが、時にそれをすっと放すような感じにも唸らされる。
踊りは言葉だなあ、と改めて感じさせられた。

Bienal Óscar Romero
一瞬裸かと思わせる肌色の総タイツ。馬の顔にかける飾りのような黒いもので顔を覆っている。足にも飾り。海を連想させる電子音楽が流れる中、外套とバタ・デ・コーラを手に登場。

カーノのギターでのペテネーラ。
ホセ・マヌエル・アルバレスと二人でのコンパス合戦。

フアン・ホセ・アマドールが弾き語るセラーナへ。
バタ・デ・コーラの扱いも完璧。バタの滞空時間も長く、コントロールも素晴らしい。
 とここまでは今年、ほぼヘレスで見た通り。
Bienal Óscar Romero
 水玉の布を丸めたものでのサッカーする男たち。
ボールを開いたスカートでセビジャーナスとルンバ。

再びの電子音楽とパルマで始まるシギリージャ。
男のジャケットを、ズボンを裏返してきて踊る。
Bienal Óscar Romero
最後はまた外套を着て…

コンテンポラリー的な文法で作られている感じだが、フラメンコがないがしろにされているわけではなく、フラメンコを自分の言葉として使って
プログラムも読まずに見ても楽しめたが外套や、殻にこもっている表現など、きっといろんな意味があるんだろうなあ、と思っていたのが、後で、プログラムを読むと、バルセロナ生まれの彼女が見ないようにしていたセビージャ生まれの亡き父の思い出と向き合って生まれた作品で、外套は父だったんだなあ、と。なるほど。

それにしても今回のビエナル、コンピューターやサンプラーなども、すっかりフラメンコに馴染んできましたな。面白い。


市民ナイトミニマラソンが行われていたので、徒歩40分でアラメーダへ。
人気の新進歌手ロサリアのリサイタル。
声がきれいです。
グアヒーラ、タンギージョ、ファンダンゴ。なんでも上手に歌うけど、フラメンコ的な味わいは皆無。
この人フラメンコ好きじゃないなあ、って思わせるくらい。
昔ながらのタンギージョとか、メロディ微妙に間違ってるし。

ギター伴奏もえ、っと思うくらいダメでびっくり。
チューニング、コンパスも変だし、歌い手の音をすぐにとっての歌伴奏もできてない。慣れてないからとかじゃないよ、このレベル。
以前は彼女をアルフレド・ラゴスが伴奏してたこともあったんだよね、確か。
なんでアルフレドでやらなかったんだろう。残念。
お客さんは喜んでたけどね。

Bienal Óscar Romero



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