バルセロナ出身の彼がテーマに選んだのはガウディ。その作品ではなく、人物像を描くのが『トレンカディス、ガウディの情熱』。トレンカディスとは、ガウディの作品でおなじみの、砕いたタイルでのモザイク技術のことだ。
客席から現れたクリスティアン/ガウディが、舞台に上がり、教会で人々と共に祈る場面に始まる。クリスティアンのセリフも、祈りの言葉(ハビエル・ラトーレの声での録音)もカタルーニャ語で、意味がよくわからないけれど、カタルーニャ感を出すのには成功している。
すっと伸ばした手がサグラダ・ファミリアの塔の先の飾りのように見えた。
彼の生まれ故郷レウスの民族舞踊を踊ったり、
© Javier Fergo / Festival de Jerez |
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やはりバッハで、合わせ鏡の前で踊ることで、一人が3人にも5人も見えたりするこの場面の美しさ。
© Javier Fergo / Festival de Jerez |
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なんていう回転!完璧のその先を行くテクニックだ。
もちろん、それまでの新スペイン舞踊とも言える、コンテンポラリーのテクニックをも使った動きなどでも、その強靭でしなやかな動きには感嘆させられていたのだが、フラメンコを踊ると、その形の美しさ、完璧なテクニックが余計に際立つように思われる。
正面からのライトで、ガウディの電車に轢かれる事故を暗示して終わる。
シンプルに、モザイクのように作られた作品を彩る音楽は主にティノ・バン・デル・スマンによるもの。マラゲーニャをキーボードで弾き語りするクリスティアン・デ・モレも面白い。照明も美しい。
だがなんといってもクリスティアン!
散々踊った後にセリフ(詩の暗唱だったり)を言っても全然息が上がってないのもすごい。一流アスリートのようだ。うん、ダンサーもアスリートなんだね。
スペイン舞踊全般をこんだけ踊れて、シンプルだけどセンスのいい作品を作れる存在なんてそんなにいない。
フラメンコだけでなく、スペイン舞踊も大好きな私的には感謝しかない。
会場に、ラトーレを始め、ラファエラ・カラスコやパトリシア・ゲレーロ、モネータなど、踊り手たちがたくさん来ていたのも頷ける。
ただ、スペイン舞踊寄りで、フラメンコ・フラメンコ的な要素はあまり多くないから、その意味でどうセールスしていくかとかは難しいのかなあ。
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残念ながら最後のソレアがない。
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