2015年3月1日日曜日

ヘレスのフェスティバル9日目その1アントニオ・ガデス舞踊団「フエゴ」

ヘレスのフェスティバルも中日となり、アントニオ・ガデス舞踊団が登場。作品「フエゴ」、「炎」という邦題で日本でも上演された作品。ガデス存命中にはスペインで上演されたことはなかったが、昨年7月にマドリードのサルスエラ劇場で生のオーケストラとの共演でスペイン初演された。(そのときの様子はこちら)
それから後、グラナダやフランス、ヒホンなどで上演されたというが、初演時よりも大幅にパワーアップされていた。

主役をつとめたのはハコブ・ゲレーロとエスメラルダ・マンサーノ。ハコブはヘレスの隣町、サンルーカル出身で、オヨス監督時のアンダルシア舞踊団にいたらしい。エスメラルダは2年前小島章司フラメンコ舞踊団のヘレス公演で「セレスティーナ」のヒロイン、メリベアを踊った若き実力派。この下の写真をみるだけでも、彼らがガデス時代の振付けを忠実に再現していることがわかることだろう。
© Festival de Jerez/Javier Fergo
愛し合う恋人たちをなやませる亡霊を魔法の力で退治する、というおなじみの物語だけど、魔法の力がパルマで表現されているのがフラメンコ的。

そのほかのダンサーたちの動きも、踊りのつながりも全てがマドリード公演のときよりもずっとスムーズで流れるように進んでいく。照明も絵画的なガデスの世界そのもの。マドリードの初日よりもずっと美しく、くっきりと世界をみせてくれる。クリスマスの宴でブレリア三昧も楽しめる。
© Festival de Jerez/Javier Fergo
 この写真の美しさには感動。いや、生ももちろん美しいんですが。奥に群衆のこの構図、ガデスならではのものであります。白いシャツ、といえばやっぱガデスだなあ。とノスタルジーにひたる私。
© Festival de Jerez/Javier Fergo
 ガデスの印象がとても強いのでガデス版をみている人にとっては、どんなに上手に踊っても違和感がでがちなのだけど、今回の二人にはそれをあまり感じなかった。しっかり研究しているからだろうか。彼の足取りや回転のときの首のむきなどに、ガデスの姿が二重写しになる。巧みな踊り手だ。そして主役二人のバランスもとてもいい。
© Festival de Jerez/Javier Fergo
 エスメラルダのこのブラソの美しさ!
© Festival de Jerez/Javier Fergo
 最後は結婚式でめでたしめでたし。
© Festival de Jerez/Javier Fergo
やはり初日によしあしを判断してはいけませんね。 アンコール恒例のパルマのオーケストラも素晴らしく、とても幸せな気持ちになったのでありました。

終演後バルで偶然あったステラ・アラウソ監督と話していたら、もともとこの作品は録音のオーケストラで振付けされ、上演されていたこともあってか、生のオーケストラのタイミングではどうしても流れがとまりがちになってしまっていたんだ、ということでした。
いつの日か日本でもぜひ!ガデス舞踊団にとって日本は特別な国だから、とステラ監督の弁。実現しますように。

ちなみに、日本語では同じアントニオ・ガデス舞踊団という 名前ですが、スペイン語では、ガデス存命時のカンパニーはBallet Antonio Gadesで、今はCompañía Antonio Gadesと違うカンパニーなのであります。ガデスの遺産を生かし続けるために生まれた舞踊団、今後もいっそうの飛躍を!

ビデオはこちら


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