2019年9月13日金曜日

第2回カビルド・フラメンコ三日目午前

今日のゲストはパトリシア・ゲレーロ。
フラメンコ研究家カルメン・プルポンが質問をしていく公開インタビューの形。
アルバイシンで生まれ踊り手の母にてほどきを受け8歳でペーニャでデビューを飾り、
14歳でタブラオへ。またマリオ・マジャのおしえを受け、17歳でウニオン優勝。18歳でセビージャ移り、ロスガジョスやアレナルといったタブラオ出演しつつ大学の教育学部に通い、ルベンの・オルモの舞踊団を経て自分の作品を作り出す。
その道筋を語り、グラナダとセビージャの違いや作品作りについて語る。

昨日のトレメンディータと同じく、
「自分がしんじることをする」と言い切るのがすがすがしい。

いろいろプロジェクトもあるみたいです。楽しみ!

第2回カビルド・フラメンコ二日目午後

16時半からはレストランでフアン・ディエゴ・マルティンの本『エステティカ・デ・ロ・ホンド』を紹介。
セビージャ県プエブラ・デ・カサージャ出身の詩人で画家のフランシスコ・モレーノ・ガルバンの作品と生涯を描いた本はセビージャ大学から出版されました。
ホセ・メネセが歌った彼の詩を、昔からのアフィシオナードならご存知でしょう。もしくはポスターやレコードジャケットの絵で?
私はぼんやりとしか知らなかった彼に俄然興味が湧いてきました。ちょっと勉強しなくては。

19時からは音楽堂で、レオノール・レアルの講演。彼女が語り、踊る。

最初に言います。
「踊るときにイメージをする。教えるときにもイメージを伝える。有名な『手を鳩のように』ではないけれど、回転の時は水が排水孔へ引き込まれていくように回る、とか。
他の踊り手たちはどんなイメージを持っていたのだろうか、と考えて探したけど、バイラーラたちが書いた本というのは本当に少ない。踊りた方について書いたものはあるけれど」
と、本にあるように踊ってみせたり。
そんな中で、アルヘンティーナの講演に目が止まり、彼女のことを学びます。

唯一?残るビデオを写真に分解して研究して踊って見せたり。
簡単に見えることが実は難しかったり。

またアルヘンティーナに影響されて踊り始めた大野一雄の話にもなります。
50年後に大野が踊ったアルヘンティーナのイメージ。イメージは繋がっていく、という話。

最後は彼女が昔踊っていたファルーカを久しぶりに踊ります。

その他にも楽屋に飾る写真の話や、ショートカットである自分をセビージャのタブラオで、外国人観光客になぜフラメンコらしく踊らないかと言われた話や、外国人が、想像するスペイン風の衣装で踊ったスペイン舞踊がヨーロッパを席巻し、スペインに来た外国人からなぜスペイン風の装いをしないかとスペイン人が言われた話。

あれ、なんだか、午前の話にも繋がってるぞ。


21時から、と言っても始まったのは45分遅れでしたが、高校校庭では『ポル・インティマ、グロリア・デ・ミ・マドレ』2010年のビエナルで初演されたこの作品とマラガのピカソ美術館で上演した作品をミックスしたもの。
フアンホ・マシアスという喜劇俳優が演じる母がフラメンコについて講演をし、
 娘が踊る、というていで、チョニ演じるエストレージャがグアヒーラ、


アレグリアス、
 ファルーカ、
 サンブラと踊りついでいきます。
 最後は母の歌で、外国で踊って稼ぐアルティスタたちへのオマージュ。

いやいや楽しゅうございました。

グアヒーラのアバニコ、アレグリアスのマントンは中国由来だとか、
(アバニコは日本由来だとも言いますが)
ファルーカはガリシア由来ではなく、トリアーナのファイコが踊ったのが最初だとか、ちょこちょこネタを入れてくるのもなかなか面白く、サンブラでは、カラコールのサンブラをグラナダのサンブラ風に踊るというのも楽しい。

いやあ、あっというまでございました。
ルイサの優美さもいいけど、
フラメンコの重みを知ってるチョニもすごいよ!


2019年9月12日木曜日

第2回カビルド・フラメンコ二日目朝

二日目の朝、と言っても13時開始ですが、図書館ホールで行われたのはロシオ・マルケス、ロサリオ“トレメンディータ”、二人の若手カンタオーラによるお話。

いやあ、これがまた素晴らしいものでした。
もともとはそれぞれ別々にお話、のはずだったのが、諸般の事情で二人一緒に、ということになり、二人で話してみると、共通点もあり、で、和やかに進んでいきます。


自分が絶対言わないことを歌うことの抵抗を感じた話をロシオがすれば、ロサリオは牢屋や畑仕事の歌は自分のものとは思えない、という話をします。
それぞれ、自分が自分のものとして歌える詩を探し、現代の詩人たちにたどり着き、昔ながらのメロディーにその詩を乗せて歌うのを実演、つまり歌って、示してくれました。
またロサリオは歌うのに、最初に楽器のアレンジを考えてしまう、と言います。それが決まらないと歌えない、と。ギターやベース、カホンを操り歌う、ロサリオ。

彼女が弾き語りしたソレアの感動的だったこと!

ぱっと見、フラメンコのアルティスタに見えない二人。
セビージャ大学でフラメンコ学の博士号を取得したロシオは声の出し方を説明します。
ロサリオはよくわからない、と言いつつ歌い、それを解説したロシオは、でも知っているからいいというものではない、と言います。深いなあ。

一見、すごく遠いような二人がフラメンコ愛で繋がっていて、一緒に歌ったミロンガも素晴らしかった。

また人と違うことをするとき、怖さもあるけれど、自分が好きなことをするのが一番、ということでも二人は合意。
うん、アルティスタは自分が信じた、自分の好きなことをしてほしい。と観客である私も思うよ。



女性の生理の話など、フェミニズムの話も少し。
コンクールの日に生理があたり、男性参加者とは違うコンディションで戦わねばならなかった話など。
それを聞いて、私も身近に接する踊り手たちの苦労を思い出したり。

うん、女性ももっと色々話していかなきゃ。です。

第2回カビルド・フラメンコ初日午後

初日の講演の後は皆で食事。その後、レストランで本のプレゼンテーション。
初日はこのフェスティバルの監督である、ホセ・ルイス・オルティス・ヌエボの最新作『トレメンド・アソンブロ』。1790年から1850年にかけてのキューバでの、フラメンコに関する記録を集めたもの。
と言ってもここでいうフラメンコは、フラメンコがフラメンコとして成り立つ以前の、フラメンコ的なものの記録でもある。

スペインでは、刃傷沙汰か上流社会との何かがない限り、ほぼ報道されることがなかった、成立前後のフラメンコの様子は、スペイン本土を遠く離れた、植民地だったキューバでは細かく報道されており、それがフラメンコを知る上でかけがえのない資料となっているという次第。読むのが楽しみ。



19時からは音楽堂で、パストーラ・パボン“ニーニャ・デ・ロス・ペイネス”の人生をモチーフにした芝居、『パストーラ・エテルナ』。
スーシ・ゴンサレスという女優の一人語りに歌い手、ラウラ・ビタルの歌とエドゥアルド・レボジャールのギターが絡むというもの。


歌われるのはもちろんパストーラのレパートリー。
語りはパストーラの伝記を参考にしていると思われるが、これじゃ、彼女のこと、何もわからないんじゃ? という感じ。まずはパストーラがすごい歌手だったことをきちんと伝えてから、エピソードに行かないとダメじゃないかな、などと思う。
ラウラは幅広いレパートリーを熱唱するだけでなく、ちょっと踊ったりもするのだが、うーん、これじゃ、語り入りのリサイタルの方が良かったかも。

21時からは高校の校庭の特設舞台でホセ・ルイス・オルティス・ヌエボとルイサ・パリシオ『クアトロ・ノーチェス・イ・ウン・アマネセル』
2008年のビエナルで初演した作品。

横暴で残虐な王様が、愛に目覚めるという話。

マラガ県エステポナ生まれのルイサ・パリシオの踊りが見事の一言。
舞台に出てくるだけで、気品があって、美しく、あたりを圧倒する。
小物使いも、体使いも一流で、朝のヘネシスの講演を思い出す。
女性の自由と尊厳を体現するかのような舞。


アバニコでのグアヒーラ、

バタ・デ・コーラでのペテネーラ。


ソレア。


そしてマントンを使ったアレグリアス。

どれを取っても文句のない、素晴らしい踊りだった。

踊りの中に入っていく、というのか、演技が自然で、目線ひとつで表現する。


終演後、話すと、リハーサルもなく、出入りもちゃんと決まってなかったそうだけど、いえいえ、そんなことは感じさせない出来でありました。


2019年9月10日火曜日

第2回カビルド・フラメンコ初日

第2回カビルド・フラメンコでマラガ県アルチドーナに来ています。
セビージャからぐらなだに向かう街道沿いの丘の町。
アンテケーラからすぐのこの町でのフラメンコ祭は火曜から金曜まで毎日、講演と本のプレゼンテーションと公演二つというプログラム。加えて舞踊などのクラスも今年から加わりました。

初日は開会式、
セビージャのビエナルの初代監督でこの企画の生みの親ホセ・ルイス・オルティス・ヌエボの挨拶に始まり、少女による宣言朗読、市長の挨拶と続きます。


そして講演。ヘネシス・ガルシアによる「フラメンカとバイラオーラ。自由の仕草」
アンヘレス・クルサード(左)による紹介に続き、講演。

サルスエラやサイネーテのような舞台上で演じられるものではなく、舞台の外で、辺境の不良たちによって演じられたフラメンコが今も生き生きとしているのはなぜか、フラメンコの女性たちの仕草は誇りにあふれ、場を支配しているのはなぜか、という話。



ヨーロッパの西の果てのイベリア半島はカルタゴやギリシャ時代から日が落ちる辺境の、悪いイメージがあったとか、スペインは産業革命に遅れをとったせいもあるのか、フェミニズムを否定する動きはなかったとか、興味深いエピソードに彩られあっという間の1時間半でした。


2019年8月14日水曜日

フエベス・フラメンコスのプログラム発表



セビージャの銀行の財団が主催するフエベス・フラメンコスが今年も開催される。
もともとはエル・モンテ・デ・ピエダ信用銀行の文化事業として始まり、その後、銀行の合併で、カハソル文化財団に引き継がれたたもの。
すでに前売り開始されているようです。


◇フエベス・フラメンコス
9/12(木)21時『メメント』
[出]〈c〉マイテ・マルティン、〈g〉アレハンドロ・ウルタード
9/19(木)21時『ロ・インデフィニード』
[出]〈b〉アナ・モラーレス、特別協力〈c〉サンドラ・カラスコ、フアン・ホセ・アマドール、〈g〉カーノ
10/3(木)21時『アグア・ドゥルセ』
[出]〈c〉ソニア・ミランダ、〈g〉アントニオ・ルイス・ロペス、
〈g〉ホセ・デ・トマテ、 クリストバル・サンティアゴ、〈c〉キキ・コルティーニャ、〈perc〉ジョニ・コルテス
10/24(木)21時『ジョ・バイロ』
[出]〈b〉マリア・モレーノ、〈g〉フアン・レケーナ、〈c〉ぺぺ・デ・プーラ、〈perc〉ロベルト・ハエン
10/31(木)21時『エントレ・マノス』
[出]〈g〉フアン・カルロス・ロメーロ、〈violin〉アレシス・レフブレ、〈チェロ〉ホセ・カルロス・ロカ他
11/14(木)21時『オンセ』
[出]〈b〉アルベルト・セジェス、〈g〉ラファエル・ロドリゲス、〈c〉マヌエル・ロメーロ、アナ・ゴメス
11/21(木)21時『トリアーナDF』
[出]〈g〉ホセリート・アセド、〈c〉イスマエル・デ・ラ・ロサ、〈perc〉パコ・ベガ、〈palmas〉マヌエル・バレンシア、フアン・ディエゴ・バレンシア他
11/27(木)21時『エル・ジャント・デ・ラ・ギターラ』
[出]〈g〉ペドロ・シエラ、〈c〉ラ・トバラ、〈b〉エル・トロンボ他
12/19(木)21時『アシ・エス・ラ・ナビダ』
[出]〈c〉エセキエル・ベニテス
[場]セビージャ カハソル劇場

[問]www.fundacioncajasol.com   tel.954508200

2019年8月11日日曜日

ラ・ウニオンのコンクール

第59回を迎えたラ・ウニオンのコンクール、今年の大賞、ランパラ・ミネーラは、バルセロナ出身で、舞踊伴唱で何度か来日している、マティアス・ロペス“エル・マティ”に。
彼はシギリージャとティエント部門でも受賞。

舞踊のデスプランテ女性賞もやはりバルセロナ出身のオルガ・ジョレンテが受賞。
男性部門は決勝進出者なしで、該当者なしという残念な結果。

ギターのボルドン・ミネーロ賞はグラナダ出身ホセ・フェルミン・フェルナンデス、その他楽器部門のエル・フィロン賞は地元、カルタヘーナ出身でマリンバを演奏したアレハンドロ・ソラーノが受賞。

おめでとうマティ!


ちなみに今年はカンテ部門、なんと、決勝進出はマティの他、バダホスのエル・ペレーテという歌い手のみがミネーラ部門にノミネートでの一騎打ち、というだけでなく、マラゲーニャとベルディアーレス部門とソレアとタンゴ部門にノミネートのロレート・アルナイスだけという残念さ。ギター部門も決勝進出は一人だけ、つまり、カンテの決勝進出は3m人だけ。舞踊もオルガとパウラ・コミトレ(タラントをなんとバタ・デ・コーラで踊ったよ!)女性の二人だけだから、その他楽器部門の二人を合わせて8人だけのなんとも寂しい決勝だった模様。