2009年9月19日土曜日

スペイン国立バレエ団 30周年記念公演 その4「マルティネテ」「メデア」「ガリシア・ファンタジー」

「マルティネーテ」は、今、国立バレエ団監督をつとめるホセ・アントニオの振り付けの小品。
「フラメンコ組曲」の中の一曲として日本でも何度か公演されています。
今回の公演で唯一の、カンテ伴唱による、純フラメンコのレパートリーなんですが、これも単にソロで曲を踊るというわけじゃなくて、鍛冶屋の兄弟の娘のところに恋人がやってきて去って行く、といった小さなストーリーものになっています。ひとすじなわではないけない。
これがまたいいんですね。なにが?とかいわれそうだけど、
言葉で説明しなくてもいい、小さな物語を舞踊だけで表現
しているのがやっぱいいな、と。
ふつうに、シンプルに曲として踊るのもいいけれど、こういったプラスアルファをくわえるというのもいいですね。なんか最近あんまりみないからか、かえって新鮮
主役の娘はローラ・グレコ。恋人はこれもゲスト出演のカルロス・ロドリゲスです。
なんか、前に兄弟たちを踊っていた、エドゥアルド・ソリスやヘスース・コルドバ、ヘスース・フロレンシオなどの、OBたちの顔をうかんできます。

続いてはご存知「メデア」。ローマ神話に材をとったホセ・グラネーロ振り付けのこの名作を踊るのはホセ・アントニオ、国立バレエ団監督とメルチェ・エスメラルダ。20年くらい前の、国立バレエ団初来日のときにスターとしてやってきたメルチェ。年を経て、少し貫禄ついたかな。ホセ・アントニオはまーるくおなかがでています。ですが、ですが、なのであります。
ぜーんぜん重さを感じさせない、優雅な踊りっぷり。すごいです。
メデアとイアソンのけんかから続いて愛のパドトゥと、呪いのシーンを踊って行くのですが、メルチェのメデアの迫力といい、ホセ・アントニオの太っても失わない美しい動きといい、いやーこれもよかったです。また、乳母を、ルペ・ゴメスが踊っていたのもよかった。小柄な踊り手で、乳母は長らく彼女の持ち役でした。。。
メデアは初演が故マヌエラ・バルガス、後、メルチェ、アナ・ゴンサレス(会場にみえてましたが美しさは変わらない!足を悪くされたようで杖をついていらっしゃいましたが)、ローラ・グレコ、マリベル・ガジャルドと踊ってきました。どれも好きだけど、やっぱメルチェはいいなあ。。。

最後の曲の幕が開いた瞬間に涙していました。
グラン・アントニオ振り付け「ガリシア・ファンタジー」。その名の通り、ガリシア地方の民族舞踊をみせる作品。初演はアントニオの舞踊団で1950年代ですが、国立バレエ団でも何度か上演しています。昔の作品なのに、まったく古さを感じさせず、今も新しいというのがすごい。半世紀も経ているのに。。。
民俗舞踊は、フラメンコ、クラシコ、エスクエラ・ボレーラとともにスペイン舞踊の4本柱のひとつですが、最近はなかなか舞台でみることができません。でもこんな、壮大なスペクタクル、倉にしまったままにしておくのはもったいない。
最初は男女のデュオが、ガリシアのサンティアゴ巡礼のシンボルであるホタテ貝を手にもってならしながら踊るバレエ。ため息がでるほど美しい音楽と振り付けです。
そして最後はその作品のフィナーレ。ガリシアを代表するムニェイラなどもちりばめて、全員が登場して一気にもりあがります。はなやかで美しくて、もうただただ酔わされました。
え、涙のわけですか?うーん、なんででしょうね。遠い昔への憧憬かな。。。

というわけで休憩含めて3時間!という長丁場もほんと、楽しめました。
このプログラムは明日でおしまい。
火曜からは新しいプログラムになります

0 件のコメント:

コメントを投稿