2010年3月7日日曜日

ヘレスのフェスティバル11 ラファエラ・カラスコ

なんという美しさなんだろう。
美しい姿。
美しい動き。
その美しさはフラメンコ舞踊の歴史の中でずうっと育まれてきたものだ。

ラ・アルヘンティニータが歌いロルカがピアノで伴奏する
スペイン民謡集のCDを聴いたラファエラが
それにインスパイアされてつくりあげた舞台
「バモス・アル・ティロテオ」は
伝統と今が交差する
それは美しい舞台だった。

カスタネットを操るラファエラが
フラッシュのような照明にうかびあがるオープニング
グラナダ出身の若手カンタオール、アントニオ・カンポスが
「アンダ・ハレオ」の曲をペテネーラのメロディで歌えば
高音のきれいなヘマ・カバジェーロは「ラス・モリージャス・デ・ハエン」を
ティエントスのリズムで歌い上げる。
セビジャーナス「ビバ・セビージャ」を踊るのは4人のバイラオール。
上体は男性舞踊の基本である直線的な動きをみせるのに
下はバタ・デ・コーラをまとい、バタの技術をきちんとみせる
というとアンバランス/ミスマッチに思えるだろうが
テクニックのすごさでとても美しい場面となっている。


バタ・デ・コーラのラファエラと
ダビ・コリアがマントンを手に舞うパ・ド・トゥの比類なき美しさ。
アントニオとロサリオ、ピラール・ロペスとアレハンドロ・ベガといった
パレハの伝統を思い起こさせつつ現代的なセンスをとりいれた
この「クアトロ・ムレーロス(4人のラバ飼い)」


そう、この作品は古典の美しさが
現代的なセンスで美しく再創造、再構成されているのだ。

男性舞踊手たちが伝統的な腰高のズボンにベストという衣装で
赤いコルドベスを手に赤い靴で踊るシーンも
過去への郷愁だけでなく
強烈な美意識によって現代的にみせている。

ラファエラのパルマだけでのソロ!
アクセントのつけかた
イントネーション
ブエルタのバリエーション
サパテアードのコンビネーション
すべてが完璧だ。

ひとつひとつのかたちの美しさ
どこを切り取っても美しい


照明とのコラボレーションでの魅せ方!
本当に素晴らしい舞台だった。

伝統に学び
新しい地平を切り開く
ラファエラ
もう一度といわず、何度でもみたい。
世界中のオペラ劇場で公演するべき作品だ。

スペイン舞踊の最高峰にラファエラは到達した。




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