2010年3月19日金曜日

日本のフラメンコ最前線1 AMI&TOMOKO ISHII

3月の水曜日のエル・フラメンコはAMIのライブ。毎回ゲストを迎えての4回公演。
3月17日はその3回目で、石井智子との公演。

マントンをつかってのオープニングからフィナーレまで
とにかくよく考えられているのに脱帽。
途切れることなく演目が続いていく。

マントンを持った頭の真上に高く上げ顔をかくした形ではじまるオープニング。
二人のその姿の美しさ。
ただ立っているだけでわかる実力。
ともにミラグロス・メンヒバルに師事。
女性らしい優雅なバイレに定評があるが、こうしてみるとそれぞれに個性的。
ブラソの美しさ、姿のよさ、
回転、体づかいなどの基本がしっかりできていること、
など共通点はあるものの 決して似てはいない。
同じ師についてもそれぞれの資質で違った花が咲く。

かつてはミラグロスに師事したものの最近は習っていないはずの
AMIの手首の使いかたやブラソ、からだのつかいかたなどに
ミラグロスの影がみえるのが面白い。

オープニングのロンデーニャからしぜんな流れでつながる石井のタラントは昨秋の公演で踊った曲? 印象はまったくちがったので地震はない。
小さな会場だけにドラマチックな表情などが印象に残る。
そう、舞踊には表情も重要だ。

AMIはティエント。一時ほとんど踊られることがなかった曲だが、なぜか最近、スペインでもリバイバル。最近もラファエル・カンパージョが踊っているのをみたばかりだ。
ゆっくりしたリズムをいかにみせるか。
ともすれば単調にもなりがちなところをいかにもたせてもりあげて観客をひきこむか。
そしてまた、そのあとのタンゴにいかにつなげるか。
グラシアと色気を、こびることなくいやらしくならずにどうみせるか。
ふたつの曲種のコントラストをどう配するか。
みどころ満載なこの曲をAMIはバタ・デ・コーラで踊る。思いがけない展開。
そのバタが、布地のせいだろうか、今ひとつ、
そのテクニックにバタがこたえてくれないのが残念。衣装で損をしている感がある。
そこが気になっていまひとつのめりこめない。
曲もティエントのレトラひとつのあとタンゴのリズムになるのだが、
またティエントのレトラになったり、でもリズムはタンゴ、という複雑さ。

石井のアレグリアスも純白のバタで。見事!の一言。
空間の制限があるので舞台のように思いっきり踊れなかったようだが
彼女にはやはり花がある。
優雅で華やか。観ているこちらも晴れ晴れするようなアレグリアスだ。

そしてAMIのソレア。
ドラマチックな、マイムのような出だしはAMIのもう一人の師で、以前共演していたアンドレス・マリンを思い出させた。が、それは今のアンドレスで、AMIと踊っていた頃のアンドレスではない。さらにいえば、彼がやりたい表現の方向性のようなものが似ているということであり、アンドレスが今やっていることそのままではもちろんない。うーん、なぜだろう。でも面白い。踊りにすごみのようなものがでてきている。
ミラーダ(視線)ひとつでうならせる。
複雑な構成の曲だが、ちゃんとしたイメージが彼女の中にあって踊っているという感じがある。ゆるぎないなにかをきちんともっている。そして引き出しの多い人だ。オレ!と叫ぶ間すら与えずにたたみかけるように訴えてくる。その表現がひとつではない。表現しようとしているものはひとつでもそれをさまざまなかたちでみせようとする。そんな感じだ。

フィナーレでは舞踊団員による身体を叩き、互いの手を叩きあってのリズム遊びなど、
楽しい趣向も。
最後の挨拶にいたるまで観客を楽しませる、ということも忘れない。
この姿勢にも脱帽。

日本のフラメンコ。スペインのフラメンコ。
とかいってもやっぱりフラメンコなんだよな。
それぞれがどこをみて、今をどう生きてるか。
踊りには全部でちゃうような。
なーんて抽象的?独りよがりですみません。
自分の中でまだちゃんと整理できてないのかな。

来週はスペインから一時帰国中の萩原淳子が彼女の師の一人、AMIと共演する。

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