いやあ、もうなんと言ったらいいのでしょう。この人はどこまで進化、深化していくのでしょう。
ヘスス・カルモナ新作『ウニードス』
舞台の真ん中に、奥から手前へ向かう光の道。そこでただ一人、音楽も何もない中で踊る。ゆっくりゆっくり。空間に絵を描くかのように、旋律を奏でるかのように動いていく。伝統的な男性舞踊のキリッとした姿勢とブラソ、マノ。そして見事というしかないサパテアード。
©︎ Festival Internacional de Cante de Las Minas |
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水玉の衣装のルシア・カンピージョとパレハでタラント。これがまた良かった。2012年ここラ・ウニオンで優勝したヘスス。2016年の準決勝で素晴らしい演技を見せたルシア。タラントらしいシリアスさやドラマチックさをしっかりと表現しつつもやりすぎにならない。同じ振りで踊るところ、二人が絡むところ、そのバランスもよく、姿も美しく。抑制されているからこその美しさ。
男性がすっと女性をサポートするような、パレハの基本もちゃんと抑えているのだけどそれもごく自然な形で嫌味にならない。
エレアサル・セレドゥエラが歌うファンダンゴ・デ・ウエルバをヘススが踊る。初心者クラスの曲目として見ている人も多いかもだけど、踊る人が踊れば、最先端のフラメンコになるのです。
赤い衣装のルシアの上半身が浮かび上がる。曲はアレグリアス。すっと舞台全体に灯が灯るとバタ・デ・コーラ。華やかに優雅に。キリッとした男性舞踊のヘススと良い対比を見せる。踊り手はヘススとルシアの二人だけなのに、舞踊団公演を見たかのような満足感があるのは二人がいろんなタイプの踊りを踊ることができるからだろう。基本は伝統。でも伝統をなぞるのではなく、そこに新しい動きや形も取り入れていく。
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ホセ・バレンシアのカンテソロはフアン・レケーナの伴奏でティエント/タンゴ。長らくヘススと共演している二人だけど、今回はゲストという形で登場。風格のあるカンテをたっぷり聴かせた。と、ギターソロのグラナイーナで二人の後ろに登場したヘススがメロディをなぞるように踊る。カンテリブレを踊るのはもう珍しいことではないけれど、こういう曲にこそ、踊り手の技量が見える、という気がします。
からの、ブレリアで盛り上げてこれで終わりかと思いきや。
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ルシアのカスタネットでのシギリージャ。ヘススのソロ・デ・ピエからのソレアとまだまだたっぷり見せてくれるのでありました。
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2012年ここで優勝したヘスス.初日のアントニオ・レイと言い,コンクール優勝者たちが経験を積んでこの舞台に帰ってくるのは素晴らしいですね
いいものを見た後の高揚感に包まれつつ通りに刻まれたぺぺ・アビチュエラとヘススの名前の除幕式。
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ついツーショットまでお願いしちゃったのでありました
なお、講演に先駆け20時からはぺぺ・アビチュエラ、アンパーロ・ベンガラ夫妻と息子のホセミ・カルモナの3人の話を中心に構成された書籍『ぺぺ・アビチュエラ ナウ・オア・ネバー』のプレゼンテーションとぺぺ、アビチュエラへのカスティジェーテ・デ・オロの授賞式が行われました。
まだ読み終えていませんが、まるで彼らの会話を聞いているような感覚で読める本です。著者のホセ・マヌエル・ガンボアとぺぺ、アンパーロ夫妻が壇上に。
その様子はビデオでも。
その後、カスティジェーテの授賞式も。
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おめでとうございます。
個人的なことを言えば36年前、フェリアのカセータで初めて会った時からずっと変わらず、親しくいろんな話を聞かせてくれるぺぺ夫妻。長年の功績が受賞や書籍という形で多くの人に伝えられているのは嬉しい限りです。
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