2022年2月14日月曜日

パシオン、若きフラメンカたち 配信/辛口だけど期待を込めて


 

配信は生とは違うし、その配信も今日で終了ということで、それについてどうこういうのもなんなんだけど、話題の公演の配信、私も見させていただきました。

たくさんの若い人たちが、フラメンコを愛し、真摯に学び、取り組んでいるのは本当に素晴らしいし、その若い人たちをまとめ、一つの舞台を作り上げたのは本当にすごいことだと思います。

いやあみんなよく頑張った。出演者のプロフィールを見たら関東関西東海と各地の人がいるみたいだから練習だって大変だったんだろう、というのはよくわかる。公演を録画するだけでなく、ビデオ録画のためにも劇場を借りて踊って、お客さんのいる公演では不可能なアングルとかも使われている(これ、サラ・バラスもやってた)のもすごいと思うし、またそれがあまり違和感なく見ることができた編集も大変だったろうと思います。踊りはなるべく全身入るアングルで見たいけど、表情も見たいものね。

今の若い人たちはみんな上手だなあ。昔はコンパスない先生とかもいたんだよなあ、と遠い目。

でもその上であえて言うのですが、ツッコミどころも色々ありました。たとえば、タイトルのフラメンカたち、も、男性も出演するのに、なぜ? という感じ。オープニングは凝っていて、それぞれの見せ場もあり、すごくいい感じなのに、そのラインが続いていかない。作品としての流れが感じられず、上級クラスの発表会になってしまっているような感じなのがなんとももったいない。第2部の幕開けのフィエスタのシーンもどういうフィエスタなのかが全く伝わらない。バックから言って酒蔵?なのかな。でもそこにどういう理由で集まっているのか、なぜフィエスタになったのかもわからない。女性が多いのはなぜ? ミュージシャンはネクタイなのはなぜ? 少ない男性舞踊手はもっと効果的に使えたのでは?いや、別に小芝居をしろというわけじゃない。バックが他の場面と同じならそれほど気にならなかったと思うのだけど、オペラ『カルメン』の酒場の場面?みたいなバックだから、うーん、酒蔵にいる女たちの割にはすっぱな感じじゃないから酒場の女でもなさそうだし、一体?って考えだしちゃったのであります。これ、長屋のパティオでの十字架祭りとか、長屋のお祝い事とかなら普通の女性がたくさんいるのも違和感ないし、いやセビージャのフェリアやヘレスの馬祭りとかでも女性が目立つし、女性同士で集まる人もいるのでおかしくはないと思うんだけど、うーん、ありものの幕を借りただけなのかなあ。わからん。

踊り手たちも足は動くけど、姿勢や表情はみんなもっと気にした方がいいし、大きな舞台での身のこなし、歩き方などもまだまだ勉強の余地あり。衣装もなぜこの衣装なのかなあ、と思うところもあったり。表情は、特にこういうビデオだと、しっかり見られる、と言うことも考えるべきなのかも。ギタリストがマイクの使い方を知っているか知らないかで差が出るみたいなとこもあるかも。

群舞もフォーメーション等工夫も全くないわけではないけれど皆で正面向いて同じ振りというのが多く、いや、みんなで練習する時間少なかっただろうから仕方ない部分もあるのかもだけど、でもどうせやるなら、もっと全体の構成とか凝ってもいいんじゃないかと思うのでありますよ。近所の人でグループ作って、そこで練習してそれを持ってきて合わせるとか。いや言うのは簡単でやるのは大変、ってわかってます。1回限りの公演にそんなにできない、って言いたくなるだろうこともわかります。でもね、せっかくやるんだからさ。

はっきりいうと、これで満足していて欲しくない、というのが正直な気持ち。もっともっと上を目指してほしい、と思うのです。勝手な希望なのではありますが。

今回、一緒にやるのは楽しい、舞台作りは楽しい、って思った人はぜひ、次回を目指してください。次回を、より良いものを作ろうと、より良い自分を見せようと。

オープニングのあのクオリティで最後までいけるように。心から願っています。

最初から完璧は無理でも少しずつでもクオリティ上げて、スペインにも勝るとも劣らないと言わせてほしい。

これは最初の一歩なんだろうけど、ここでおしまいにしないでほしい。お金ここまでかけなくても何か絶対できるはず。

あ、最後になったけどフィエスタのギターのとこ、よかったです。ああいう仲間感がバイレでももっと出てくるといいなあ。

追記

群舞振付するのに、ヘレスでのハビエル・ラトーレのプロ対象の振付タジェール、すごく参考になると思います。プロ対象とは言いつつ、レベルの違う参加者を見極め、フォーメーションや出入りも含めて構成し、振り付けているので。今年は来られないと思うのでこれまでのビデオ、ここで見てみてください。



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