2022年2月26日土曜日

ヘレスのフェスティバル9日目ロシオ・モリーナ『ブエルタ・ア・ウノ』

©Javier Fergo Festival de Jerez

一昨年のビエナルで初演したギター三部作の三作目。ラファエル・リケーニとの繊細な『イニシオ』、エドゥアルド・トラシエラとジェライ・コルテスとの黒が基調の『アル・フォンド・リエラ』そして今回の『ブエルタ・ア・ウノ』となるわけだが、今回は爆発、活気、開花などのキーワード通り、ユーモアに満ちた楽しい作品でありました。

袖幕やバックのホリゾントなどを全部取り去った裸の舞台に照明が客席向きに配され、赤い低い台が並ぶ。赤い照明。舞台の真ん中で正面向いて座っているギタリスト、ジェライ・コルテスのところに来てロシオは「これはなんでもいいものじゃないの」と繰り返し、サパテアードを打ち舞台奥に行き、またやってきて同じ言葉を繰り返し、サパテアード。それを何度か繰り返したり、「右足だけでやる、タコンなしで…」などと話しながら一人で踊ったり。パチパチを口に含み、その音を吊るされたマイクで聞かせたり、砂糖か粉かをこぼして歩いたり、ガムを噛んだり、飴をなめたり。むちゃくちゃなんだけど憎めない感じ。これって子どもじゃん? 4年前のビエナルで大きなお腹で舞台に登場したロシオの娘ももう3歳。子どものめちゃくちゃをフラメンコに組み合わせてるのだな、これはきっと。

タンゴもタランタも、ソレア、シギリージャも既にあるものを一度壊して再構築していくということをしているような感じで、先日のアナの舞台にも通じる感覚が、この世代の共通感覚なのかも、と思ったり。でもロシオは積み木を壊してまた積んでと遊ぶ子どものような感覚で演じているのだと思ったり。扇2本持ちで音を聞かせて踊るのはリケーニとの時もやってたけれど、今回は扇を投げ捨てたり、口にくわえたりして、はじけまくるフィナーレまで、天才ロシオと、音も感覚もいいジェライの二人の会話が止まらない感じ。

ロシオが息を切らしながらファンダンゴを歌った後で「せっかく歌があるのに」とか実際に喋って色々文句を言うところとかも、なんだろう、芝居なんだろうけど、二人の間のすごくいい空気が感じられて楽しいのであります。

おもちゃ箱をひっくり返したような、でももちろんんただのおふざけではなく、色々感じ、考えさせられるこの作品、ビエナルでも見ることができるといいなあ。







Rocío Molina from Festival de Jerez Televisión on Vimeo.

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