2020年2月29日土曜日

へレスのフェスティバル8日目午後ベレン・マジャ&フアン・ディエゴ『

シンプル・イズ・ビューティフル。
美しい音楽、美しい動き。
フラメンコのリズムだったり、そうでなかったり。
物語があるようで、ないようで。
不思議な不思議な作品。

へレスのギタリスト、フアン・ディエゴの繊細で優しく、時に力強い音楽が
ベレン・マジャの、センティードを感じる、ムイ・フラメンカで美しい動きと調和。

カンテはないし、普通のフラメンコを期待してくると、え、ってなるかもしれない。
フラメンコの精神の自由さがここでも発揮され、
カンテはなくても、フラメンコ曲でなくても、
元がフラメンコな二人だから、極上のフラメンコを見せてもらった。

舞台下手に洋服の山。
女は次々にそれを着て脱いでたたんで。
洋服を着る、脱ぐ、たたむ。日常。
ギターを弾き続ける男。
日常と非日常の対称のようでもあり、
永遠に分かり合えない男女と言うものを表しているようでもあり。


© Festival de Jerez/Javier Fergo
 演出には演出の意図があるのだろうけど、舞台作品も絵や本と同じで、一度公開したら、見る側読む側の自由な解釈も可能なわけで。
わけがわからないのもまた楽しい。
舞台を行ったり来たりして、そのうちすっと踊る、その形の美しさ。
リズムへの入り方のかっこよさ。
バタの使い方の優雅さ。余裕があるってことだよね、優雅って。

フラメンコにコンテンポラリー的な動きを取り入れた先駆者ならではの一歩先をいくフラメンコ。
客席に降りたり、舞台に寝転がったり、はたまたバタ・デ・コーラを3枚重ね着したり。
© Festival de Jerez/Javier Fergo
椅子に座ってのセビジャーナスでは、パサーダの所で入れ替わるのが面白い。
途中で脚本を朗読するのが流れるなど、
上品なユーモア。
© Festival de Jerez/Javier Fergo

© Festival de Jerez/Javier Fergo
舞台の前の方にベレンが座って、手を動かしている時には、音楽の美しさも相まって、わけのわからないまま、ああ、これは私だ、と思って涙が出てきた。
シンプルだから、自分と重ねやすいのかも。

もう一度いや、二度三度と見てみたくなる、そんな作品でございました。

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