2019年3月3日日曜日

へレスのフェスティバル9日目 メルセデス・ルイス『タウロマヒア』

『タウロマヒア』は、1988年に発表された、ギタリスト、マノロ・サンルーカルが闘牛をテーマに作り上げた不朽の名作。
闘牛術を意味するタウロマキアと魔術の意味のマヒアを合わせたマノロの造語で、闘牛魔術、という意味になる。
牛の誕生に始まり、見習い闘牛士たちの旅、闘牛場への到着、祈り、そして、様子見のケープさばき、槍打ち、銛打ち、ケープさばきから最後のとどめ、という実際の闘牛の試合の進行をそのままなぞり、最後は喝采で終わる。
これ、フラメンコ好きの必聴盤の一つであります。



その発表から30年だった昨年、フランスで初演。ビエナルでも上演されたのがメルセデス・ルイスのこの作品。闘牛をそのまま描くのではなく、それぞれの曲に託されている、生、夢と現実、恐れ、成功などを描いているのだという。
女性3人の群舞、クラシコもこなすソリストも招いて、というのはメルセデスには珍しい。大抵、彼女の作品ではいつも一人で踊っていたように思う。

かつてマノロの第二ギターを務めていたメルセデスの夫、サンティアゴ・ララが生演奏。ホセ・メルセやマカニータ、インディオ・ヒターノ、ディエゴ・カラスコらが歌っている全ての歌をダビ・ラゴスが歌い、第2ギターとパーカッション二人にキーボードで、オーケストラまで全部カバーしてしまう。

© Javier Fergo / Festival de Jerez


意欲は買います。
振り付けも鏡見て全員同じのクラス風ではなく、構成や帽子や扇などの小物使いなどいろいろ工夫はしている。

でも、闘牛じゃない、とは言いながら、闘牛的な動きをしたりもするので混乱してしまう。ビエナルで見た時、あれ、どっちが牛?と思ったりしたのもしょうがない、と思う。
同じ『タウロマヒア』を使ったホセ・アントニオ振り付けの『イマヘン』という作品があったのだけど、(調べたら1995年だった)これは、確か父と子の軋轢と和解がテーマになっていたと思う。だから別に闘牛を直接描かなくてはいけないわけではないのだけど、なんか中途半端なのであります。脚本が悪いのかな。

そして残念ながら、踊り手たちのレベルが低いこともあって発表会的印象が否めない。
舞台の上での歩き方などから勉強する必要があるのでは? 
マントンさばきも綺麗じゃない。乱暴というか、余韻がない。花とか髪飾りとかではなく頭にかぶさってしまうアクシデントは生まれて初めて見た。アクシデントは仕方ないけどね。

© Javier Fergo / Festival de Jerez
衣装も、もっとスカートにゆとりがないと動きにくいのでは?
© Javier Fergo / Festival de Jerez

またバタ・デ・コーラも綺麗に舞わないのは形が悪いのかな。ペシャンとしてるし。布地のせい?

© Javier Fergo / Festival de Jerez

また曲の順番が変わっているのも違和感があったし、原作だと短いからといって曲を引き延ばしたり、他の曲を加えているのも、うーん、どうなんだろう。
原作の印象が強すぎるからかなあ、なんか納得がいかない。原作者が認めているのだからいいんだろうけど。ビエナルでは見に来ていたし、最後は原作者、マノロ・サンルーカルが朗読する詩を踊って終わる。

© Javier Fergo / Festival de Jerez

地元ということもあって大喝采ではありましたが、個人的にはなんか納得がいかない、というか、不満足なのは原作への思い入れが強いせいかしらん。
オレ!な瞬間もなかったし。

前日のアナ・モラーレスの個人的な感じとこの大衆的な感じは好対照とも言える。
いやね、好みは様々なんだなあ、と感じたことでした。

ビデオはこちら



0 件のコメント:

コメントを投稿