2019年3月6日水曜日

へレスのフェスティバル12日目 アナ・ラトーレ『レイバ・ジョ・ア・コンタール』

19時からはサラ・パウルで、24歳アナ・ラトーレのデビュー作。
レイバは彼女の母方からの苗字であり、それにひっかけてのタイトルは、私が話そうとしたこと、くらいの意味で、母レイバが彼女に語ろうとしたこと、とも、娘のレイバが語ろうとすること、とも取れる。
母ヌリア・レイバはコルドバ舞踊学校教授、父はハビエル・ラトーレ。母の姉妹も元踊り手で、その夫がアントニオ・マルケス。コルドバの舞踊専門学校卒後、現在までマドリードの上級舞踊学校に学び、資格を取得している。
これまでもハビエル振り付けで小島章司制作作品の『ファトゥム』『東洋人には歌わない』『フラメンコナウタス』、またエステベス/パーニョス『春の祭典』などに出演しているほか、ソロでタブラオ出演などもしている。

技術的事情で10分遅れで開幕。

冒頭、このビデオが流れる。
ある母と娘(レイバ母娘ではない)が暗唱する、マグダレーナ・サンチェス・ブレサの詩『私のこどもたちへの説明書』

戻らない、逃げない、恐れない、諦めない、這ってでもゴールへ、歌おう、歌えば人生はより美しい、などなどというこどもへの言葉の数々。ビデオの性質上か、少し聞き取りにくいが、人生の基本を教える母と娘。

それを客席に背中を見せて聞いているアナ。花柄のドレスはバタ・デ・コーラで、マントンをかけたスツールに座っている。

ギターが始まる。
ペテネーラ。モダンな振り付けマヌエル・リニャン。
正直、バタの扱いも、マントンもこなしているものの、そう上手とは言えない。緊張もあったのかな。
大柄な彼女にはマントンはもう少し大きめな、持ち重りのするものの方が合うだろうし、バタも、曲柄、無地とかの方が良かったのでは?
© Javier Fergo / Festival de Jerez

歌はエバ・ルイス。イメージは母。黒いワンピース。
その母をマントンで巻き込んだり、受け渡しをしたりの振り付けはホセ・マルドナードかな?

舞台上でバタを脱ぎ、黒いガウンに着替える。
男の歌い手ロベルト・ロレンテは父のイメージ。スーツで。
サンブラ/ティエントを歌い、曲はサパテアードへ。これはラトーレ振り付けで間違いない。
靴音は正確でクリア。音もきれいでこれは彼女の凄いところだろう。
© Javier Fergo / Festival de Jerez
すると、客席から話しながら登場したのは、アナのいとこを名乗る男性。
シギリージャのリズムでラップを歌い踊る。
面白い。口跡よく、小気味良いほど聞き取りやすい。
シギリージャのポーズもこなしている。
© Javier Fergo / Festival de Jerez
がそれが終わると、髪ピンを投げ捨て、椅子を投げ、髪をざんばらにして、
そこからがさらに本領発揮。
パルマでのサパテアードやハレオ。これはウーゴ・ロペスの振り付け。
テンペラメントと強さ。フラメンコ性。
髪振り乱してのタンゴはリニャンの振り付けだろう。と思ったのだが、アナ自身の振り付けだという。グラナダぽくていい感じ。
そのタンゴからのタラントというのも面白い構成。
© Javier Fergo / Festival de Jerez
最後は革ジャンに赤いチュールのスカート、スニーカーというフィフティーズ風ファッションで、ストリート風クラシコ。コルドバ。おそらくこれは彼女自身の振り付け。違うかな? 違った。ホセ・マルドーナードの振り付けだったそう。
ちょっと発表会風ではあるけれど、今を生きる自分のスペイン舞踊への思いみたいなものは伝わってくる。

24歳の半生記はいわば卒業論文。合格間違いなし。

舞台で着替えることで、空白の時間もなく、よくまとまった作品。
ただまだ道半ばであることは明白で、これからも研鑽を積んで、より良い舞台を見せてくれることだろう。

ビデオはこちら

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